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公開番号2024132713
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2023043603
出願日2023-03-17
発明の名称抗体模倣分子
出願人京都府公立大学法人,国立大学法人東北大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C07K 16/18 20060101AFI20240920BHJP(有機化学)
要約【課題】新規な抗体模倣分子を提供する。
【解決手段】ヒト由来フィブロネクチンIII型ドメイン(fibronectin type III domain;FN3)をコードするアミノ酸配列において、少なくとも1個のアミノ酸が変異したアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、セレノプロテインP(SeP)に対する、抗体模倣分子。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ヒト由来フィブロネクチンIII型ドメイン(fibronectin type III domain;FN3)をコードするアミノ酸配列において、少なくとも1個のアミノ酸が変異したアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、セレノプロテインP(SeP)に対する、抗体模倣分子。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
SeP細胞内取込み阻害活性を有する、請求項1に記載の抗体模倣分子。
【請求項3】
FN3をコードするアミノ酸配列において、少なくとも1個のアミノ酸が変異したアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、FN3が少なくとも2500nM以下の強さのKdで結合しないSePに対して少なくとも2500nM以下の強さのKdで結合する、抗体模倣分子。
【請求項4】
配列番号2で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が変異したアミノ酸配列、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号4で表されるアミノ酸配列、若しくは配列番号5で表されるアミノ酸配列;又は
これらのアミノ酸配列のいずれかと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
からなるポリペプチドを含み、SeP結合能を有する、抗体模倣分子。
【請求項5】
(a)配列番号6で表されるアミノ酸配列
(17番目のアミノ酸は、S又はCであり;
31番目のアミノ酸は、H又はYであり;
36番目のアミノ酸は、Y又はCであり;
37番目のアミノ酸は、G又はSであり;
46番目のアミノ酸は、C又はYであり;
47番目のアミノ酸は、Q又はRであり;
49番目のアミノ酸は、F、S又はLであり;
54番目のアミノ酸は、S又はPであり;
68番目のアミノ酸は、D又はGである。)、
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(但し、
17番目のアミノ酸は、S又はCであり;
31番目のアミノ酸は、H又はYであり;
36番目のアミノ酸は、Y又はCであり;
37番目のアミノ酸は、G又はSであり;
46番目のアミノ酸は、C又はYであり;
47番目のアミノ酸は、Q又はRであり;
49番目のアミノ酸は、F、S又はLであり;
54番目のアミノ酸は、S又はPであり;
68番目のアミノ酸は、D又はGである。)、
(c)配列番号5で表されるアミノ酸配列、又は
(d)配列番号5で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
からなるポリペプチドを含み、SeP結合能を有する、抗体模倣分子。
【請求項6】
配列番号5及び配列番号8~12のいずれかで表されるアミノ酸配列、又は
これらのアミノ酸配列のいずれかと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
からなるポリペプチドを含み、SeP結合能を有する、抗体模倣分子。
【請求項7】
配列番号5、8、10又は11で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、抗体模倣分子。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体模倣分子を含む、神経膠芽腫治療用の、及び/又は神経膠芽腫予防用の、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体模倣分子をコードする、核酸分子。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は抗体模倣分子に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
神経膠芽腫(グリオブラストーマ;GBM)は、脳に存在するグリア細胞から発生して迅速に周囲の脳組織へ広がり、致死性が非常に高く、極めて予後の悪い悪性脳腫瘍である。GBM細胞は、手術によって完全に摘出することが困難であり、術後も放射線と抗がん剤による治療が継続されるが、治療成績は改善されない現状にある。近年、GBM患者の予後と遺伝子発現の関連について、分泌タンパク質であるセレノプロテインP(SeP)のmRNA高発現が悪性化と相関することが見出され、一部のGBM患者でSePの高発現が確認された。ヒトGBM細胞株のうち、T98G細胞ではSePとSeP受容体であるApoER2の発現が比較的高く、細胞増殖速度が速いことが分かっている。また、T98G細胞へSePsiRNAやApoER2siRNA、抗SeP中和抗体を添加することで、細胞増殖が有意に抑制されることが見出されている。このように、GBMにおいて高発現したSePが、オートクライン・パラクラインによりSeP受容体を介して細胞増殖速度を促進させるといったシグナル軸は、GBM治療標的となり得ると期待されており、アンメット・メディカル・ニーズを満たす効果的な新規GBM治療法の開発が求められている。
【0003】
抗体は標的抗原に対して高い特異性及び親和性を示すため、病原分子に対する高い分子認識能及び標的能を有する医薬品として利用価値が高い。しかし、天然の抗体は分子量が大きいこと等の様々な制約があり、十分や特異性及び親和性を示さない場合もある。このような問題を解決するものとして、天然型抗体の構造や機能を改変した低分子抗体や低分子抗体模倣分子が開発されてきた(特許文献1及び特許文献2)。低分子抗体や低分子抗体模倣分子は、組織への透過性、製造の容易性等の観点から医薬品応用への期待が高まっている。
【0004】
しかし、これまでにGBMの治療及び予防を目的とした低分子抗体及び低分子抗体模倣分子の開発報告例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2002/033073号
特開2013-162789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新規な抗体模倣分子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行ったところ、SeP結合能を有する新規な低分子抗体模倣分子(Monobody)の開発に成功した。本発明はかかる知見に基づいてさらに検討を加えることにより完成したものであり、以下の態様を含む。
【0008】
項1.
ヒト由来フィブロネクチンIII型ドメイン(fibronectin type III domain;FN3)をコードするアミノ酸配列において、少なくとも1個のアミノ酸が変異したアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、セレノプロテインP(SeP)に対する、抗体模倣分子。
項2.
SeP細胞内取込み阻害活性を有する、項1に記載の抗体模倣分子。
項3.
FN3をコードするアミノ酸配列において、少なくとも1個のアミノ酸が変異したアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、FN3が少なくとも2500nM以下の強さのKdで結合しないSePに対して少なくとも2500nM以下の強さのKdで結合する、抗体模倣分子。
項4.
配列番号2で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が変異したアミノ酸配列、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号4で表されるアミノ酸配列、若しくは配列番号5で表されるアミノ酸配列;又は
これらのアミノ酸配列のいずれかと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
からなるポリペプチドを含み、SeP結合能を有する、抗体模倣分子。
項5.
(a)配列番号6で表されるアミノ酸配列
(17番目のアミノ酸は、S又はCであり;
31番目のアミノ酸は、H又はYであり;
36番目のアミノ酸は、Y又はCであり;
37番目のアミノ酸は、G又はSであり;
46番目のアミノ酸は、C又はYであり;
47番目のアミノ酸は、Q又はRであり;
49番目のアミノ酸は、F、S又はLであり;
54番目のアミノ酸は、S又はPであり;
68番目のアミノ酸は、D又はGである。)、
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(但し、
17番目のアミノ酸は、S又はCであり;
31番目のアミノ酸は、H又はYであり;
36番目のアミノ酸は、Y又はCであり;
37番目のアミノ酸は、G又はSであり;
46番目のアミノ酸は、C又はYであり;
47番目のアミノ酸は、Q又はRであり;
49番目のアミノ酸は、F、S又はLであり;
54番目のアミノ酸は、S又はPであり;
68番目のアミノ酸は、D又はGである。)、
(c)配列番号5で表されるアミノ酸配列、又は
(d)配列番号5で表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
からなるポリペプチドを含み、SeP結合能を有する、抗体模倣分子。
項6.
配列番号5及び配列番号8~12のいずれかで表されるアミノ酸配列、又は
これらのアミノ酸配列のいずれかと80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
からなるポリペプチドを含み、SeP結合能を有する、抗体模倣分子。
項7.
配列番号5、8、10又は11で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、抗体模倣分子。
項8.
項1~7のいずれか一項に記載の抗体模倣分子を含む、神経膠芽腫治療用の、及び/又は神経膠芽腫予防用の、医薬組成物。
項9.
項1~7のいずれか一項に記載の抗体模倣分子をコードする、核酸分子。
項10.
項9に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
項11.
項9に記載の核酸分子を含む、核酸ライブラリー。
項12.
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、新規な抗体模倣分子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
SePのSec残基を全てCysで置換した変異体SeP
(Cys)
の配列を示す図である。
ビオチン化SeP
(Cys)
ドメイン変異体(Ndom-His
(Cys)
、Cdom
(Cys)
)のビオチン化を示す図である。
Monobody sideライブラリー及びMonobody loopライブラリーのアミノ酸配列及び構造を示す図である。
バイオパニングの概略図である。
ターゲットをNdom-His
(Cys)
、Ndom-His
(Cys)
C62Sとするバイオパニングの各roundにおける結合ファージの回収率を示す図である。
ターゲットをCdom
(Cys)
とするバイオパニングの各roundにおける結合ファージの回収率を示す図である。
各結合ファージにおけるターゲット特異的結合割合を示す図である。
Monobodyの特異的結合能確認におけるELISAの系の概略図である。
ELISAによるmonobodyの特異的結合能確認結果を示す図である。
FACS解析の概略図である。
FACS解析による各MonobodyのKd値測定結果を示す図である。
酵母表層ディスプレイによるスクリーニングの概略図である。
Ndom-His
(Cys)
をターゲットとしたスクリーニング結果を示す図である。
Cdom
(Cys)
をターゲットとしたスクリーニング結果を示す図である。
モノクローン化した酵母におけるビオチン化ターゲットタンパク質濃度50 nMでのFACS解析結果を示す図である。
FACS解析による各新規MonobodyのKd値測定結果を示す図である。
各ドメイン認識Monobodyの結合は、各ドメインに対して特異的であることを示す図である。
グリオブラストーマT98GにおけるSePの取込みに対するMonobodyの効果を示す図である。
グリオブラストーマT98Gの増殖に対するMonobodyの効果を示す図である。表記は、コントロール細胞の数を1とした相対値でMean±S.D.を示す (n=3) 。
*
P<0.05 vs T98G, Dunnett’s test.
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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