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公開番号
2024132076
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-30
出願番号
2023042729
出願日
2023-03-17
発明の名称
厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム、電池の電極用フィルム、および電池
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
C08J
5/18 20060101AFI20240920BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】電極基材として金属蒸着フィルムを用いることによってピンホールが少なく、加工張力に耐えられるようにする。さらに、電池の高出力、高寿命といった電池性能を向上させるために電極シートの抵抗特性を向上させる厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた電池の電極用フィルムを提供すること。
【解決手段】
下記(1)~(3)を満たす厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)示差走査熱量測定にて求められる結晶化度が30.0~50.0%。
(2)固有粘度(IV、単位dl/g)が0.60~0.80。
(3)ポリエステルフィルム中におけるDEG(ジエチレングリコール)量が1.5質量%以下。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記(1)~(3)を満たす厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)以下の方法による示差走査熱量測定にて求められる結晶化度が30.0~50.0%。
<測定方法>昇温速度20℃/minで25℃から300℃まで加熱し測定する。結晶化度(Χc)は、得られた示差走査熱量測定チャートから結晶融解熱量(ΔHm)と冷結晶化熱量(ΔHc)を用い下記式より算出する。
Χc=(ΔHm-ΔHc)/ΔHm0
ここで、ΔHm0は完全結晶PETの融解熱量の値である140.10J/gを用いる。
(2)固有粘度(IV、単位dl/g)が0.60~0.80。
(3)以下の方法で求めたポリエステルフィルム中におけるDEG(ジエチレングリコール)量が1.5質量%以下。
<測定方法>ポリエステルフィルム1.0gを1,6-ヘキサンジオールを0.4質量%濃度含有したモノエタノールアミン2.5mLを用いて260℃で分解する。次いでメタノール10mLを加えて冷却し、テレフタル酸にて中和後、遠心分離した後に上澄みをガスクロマトグラフィーにてジエチレングリコール(DEG)含有量を測定する。なお、無機粒子などの添加成分は不溶物として遠心分離時に沈降するため、沈降成分について濾過、質量測定を行い、その質量を測定試料質量から差し引いて測定試料質量の補正を実施する。
続きを表示(約 330 文字)
【請求項2】
微小吸熱ピーク温度(Tmeta)が220℃以上である請求項1に記載の厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記二軸配向ポリエステルフィルムの厚さが1.5~15μmである、請求項1または2に記載の厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルムを用いた電池の電極用フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載の二次電池の電極用フィルム。
【請求項6】
請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用の電極用フィルム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の電池の電極用フィルムを有する、電池。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた電池の電極用フィルムに関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの推進は、温室効果ガス排出量の削減とエネルギーセキュリティーの確保を同時に実現させるための施策として重要性が高まっている。特に、太陽光発電や風力発電は発電電力量が気象条件に依存するため安定した出力を確保することが困難であり、再生可能エネルギー発電施設ではリチウムイオン二次電池が効果的に活用されている。
【0003】
最近では、電気自動車(EV:electric vehicle)やプラグインハイブリッド車(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)をはじめとする自動車関連での利用も新たに始まっており、さらには、携帯電話、ノートバソコン、携帯音楽プレイヤーなどの小型電子機器を中心に幅広く使用されている。こうした携帯用電子機器市場の発展にあわせてリチウムイオン二次電池の小型化を進めるには、性能および信頼性の向上が必要となっている。
【0004】
これらリチウムイオン二次電池に使用される電極は、正負どちらの電極にもリチウムを吸ったり(吸蔵)、吐き出したり(放出)する機能があり、充電時にはリチウムイオンは負極に、放電時には正極に移動している。そして、それぞれの電極は電解液や固体電解質と接触して電極間でのリチウムイオンのやり取りを担う機能を必要としており、従来10~30μm程度の厚みの金属箔が電極の基材として用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2011-054339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、リチウムイオン二次電池の大容量化により体積エネルギー密度が向上したことにより、小型化による重量エネルギー密度の向上が必要となり、電極基材の薄膜化が進められている中で、従来技術である金属箔の圧延による薄膜化では、ピンホールが発生して塗工液が裏漏れしたり、加工張力に対して強度が足りず切れたり、シワが入ったりして課題となっている。
【0007】
上記に鑑み、本発明では電極基材を金属蒸着フィルムとすることによってピンホールが少なく、加工張力に耐えられるようになるとともに、電池の高出力、高寿命といった電池性能の向上につなげるため、電極シートの抵抗特性を向上させるべく厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた電池の電極用フィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の物性を有する二軸配向フィルムを基材フィルムとして用いれば上記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明の厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた電池の電極用フィルムの好ましい一態様は、以下の構成よりなる。
1.下記(1)~(3)を満たす厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)以下の方法による示差走査熱量測定にて求められる結晶化度が30.0~50.0%。
<測定方法>昇温速度20℃/minで25℃から300℃まで加熱し測定する。結晶化度(Χc)は、得られた示差走査熱量測定チャートから結晶融解熱量(ΔHm)と冷結晶化熱量(ΔHc)を用い下記式より算出する。
Χc=(ΔHm-ΔHc)/ΔHm0
ここで、ΔHm0は完全結晶PETの融解熱量の値である140.10J/gを用いる。
(2)固有粘度(IV、単位dl/g)が0.60~0.80。
(3)以下の方法で求めたポリエステルフィルム中におけるDEG(ジエチレングリコール)量が1.5質量%以下。
<測定方法>ポリエステルフィルム1.0gを1,6-ヘキサンジオールを0.4質量%濃度含有したモノエタノールアミン2.5mLを用いて260℃で分解する。次いでメタノール10mLを加えて冷却し、テレフタル酸にて中和後、遠心分離した後に上澄みをガスクロマトグラフィーにてジエチレングリコール(DEG)含有量を測定する。なお、無機粒子などの添加成分は不溶物として遠心分離時に沈降するため、沈降成分について濾過、質量測定を行い、その質量を測定試料質量から差し引いて測定試料質量の補正を実施する。
2.微小吸熱ピーク温度(Tmeta)が220℃以上である1.に記載の厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム。
3. 前記二軸配向ポリエステルフィルムの厚さが1.5~15μmである、1.または2.に記載の厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム。
4.1.~3.のいずれかに記載の厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルムを用いた電池の電極用フィルム。
5.4.に記載の二次電池の電極用フィルム。
6.5.に記載のリチウムイオン二次電池用の電極用フィルム。
7.1~6のいずれかに記載の電池の電極用フィルムを有する、電池。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電極基材として金属蒸着フィルムを用いることによってピンホールが少なく、加工張力に耐えられるようにできる。さらに、電池の高出力、高寿命といった電池性能を向上させるために電極シートの抵抗特性を向上させることができる厚蒸着用二軸配向ポリエステルフィルム、およびそれを用いた電池の電極用フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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