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公開番号2024129543
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-27
出願番号2023038832
出願日2023-03-13
発明の名称電極構造体及び電極構造体の製造方法
出願人東洋アルミニウム株式会社
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類H01G 9/045 20060101AFI20240919BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】高い静電容量を備え、基材であるアルミニウム箔と誘電体層との密着性と誘電体層中の弁金属酸化物粒子同士の密着性とに優れ、且つ、逆電圧が印加された際の耐久性に優れた電極構造体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電極構造体1は、アルミニウム箔11の少なくとも一方面に、複数の弁金属酸化物粒子121が三次元網目構造を形成して積層された誘電体層12を備え、前記アルミニウム箔と前記誘電体層との間で前記アルミニウム箔の表面の少なくとも一部の領域に形成された、アルミニウムと炭素を含む介在層13とを備える。前記弁金属酸化物粒子同士及び前記アルミニウム箔と前記弁金属酸化物粒子とは、弁金属酸化物及び炭素材料を含む接合部122によって接合されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アルミニウム箔の少なくとも一方面に、複数の弁金属酸化物粒子が三次元網目構造を形成して積層された誘電体層を備え、
前記アルミニウム箔と前記誘電体層との間で前記アルミニウム箔の表面の少なくとも一部の領域に形成された、アルミニウムと炭素を含む介在層とを備え、
前記弁金属酸化物粒子同士、及び、前記アルミニウム箔と前記弁金属酸化物粒子とは、弁金属酸化物及び炭素材料を含む接合部によって接合されている、
ことを特徴とする電極構造体。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記接合部に含まれる前記弁金属酸化物は、TiOx(xは0<x<2を示す。)で示される低次酸化チタンを少なくとも1種以上含む、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項3】
前記弁金属酸化物粒子はチタン、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、シリコン、及び、アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電極構造体。
【請求項4】
前記弁金属酸化物粒子は酸化チタン粒子である、請求項1又は2に記載の電極構造体。
【請求項5】
(1)弁金属酸化物粒子、弁金属を含む有機金属化合物、及び、樹脂バインダーを含有する混合物層をアルミニウム箔の表面上に形成する工程1、
(2)炭化水素含有物質を含む空間に前記混合物層が形成された前記アルミニウム箔を配置した状態で加熱する工程2
を有することを特徴とする、電極構造体の製造方法。
【請求項6】
前記工程2の加熱は、450℃以上660℃未満の温度範囲で行われる、請求項5に記載の電極構造体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電極構造体及び電極構造体の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、高誘電率を有する誘電体材料は、コンデンサ、半導体素子、発光素子等の電子材料に広く用いられている。これらの中でも、アルミニウム電解コンデンサは、安価で高容量を得ることができるため、エネルギー分野で広く用いられている。
【0003】
コンデンサは二つの電極、すなわち陽極と陰極とを備えている。電解コンデンサの陽極材料としては、表面に絶縁酸化被膜を生成することが可能なアルミニウム、タンタル等の弁金属(バルブ金属ともいう)が用いられる。ここで、バルブ金属とは、陽極酸化により、酸化被膜で覆われる金属のことをいい、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。
【0004】
また、陰極材料としては、電解液、無機半導体、有機導電性物質又は金属薄膜のいずれかが用いられている。陰極材料が電解液の場合には、陰極端子として表面積を拡大したアルミニウム箔が使用されている。なお、電解コンデンサの真の陰極は電解液等であるが、便宜上アルミニウム箔等の陰極端子は陰極箔等ともよばれている。
【0005】
また、導電性高分子を電解質として用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子と電解液を用いた導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ等のコンデンサは、優れたESR(等価直列抵抗)、温度特性、安全性等の特性を示すことができるため、近年市場を拡大しつつある。このような導電性高分子を電解質として用いたコンデンサの陰極箔には、高い静電容量、耐圧性、低ESRの特性が要求される。
【0006】
上述の特性を示す陰極として用いられる電極構造体として、たとえば、下記特許文献1及び特許文献2に記載の電極構造体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2007/055121パンフレット
国際公開第2010/109783パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
急激な充放電を頻繁に繰り返すストロボ発光用や溶接機用、回路電圧が大きく変動する制御回路用等の用途に用いられるコンデンサでは、陰極箔に逆電圧が印加される場合がある。逆電圧に対する耐久性が十分でない陰極箔を使用した場合、陰極箔での酸化被膜の形成による容量低下やガス発生による内圧上昇、陰極箔に用いられる電極材の破壊等が発生する。このため、用途によっては陰極箔に逆電圧が印加された場合の耐久性が必要となる。
【0009】
特許文献1には、電極構造体の基材であるアルミニウム材と誘電体層の密着性を改善するために、バルブ金属を含む誘電体前駆物質をアルミニウム材の表面上に形成した後、炭化水素雰囲気中で加熱することにより、アルミニウム材の表面上にバルブ金属を含む誘電体層と、アルミニウム材と誘電体層との間に、アルミニウム及び炭素を含む介在層とを形成して、アルミニウム材と誘電体層との密着性を高める方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、上記の方法においては、誘電体層の形成方法として、いわゆるゾルゲル法が好適に採用されているが、静電容量を向上させるために誘電体層の厚みを厚くするとクラック等の欠陥が発生し、アルミニウム材と誘電体層との密着性や誘電体層中の弁金属酸化物粒子同士の密着性が大幅に低下するという問題がある。このため、上記の方法ではアルミニウム材の表面に形成可能な誘電体層の厚みに制限があり、結果として得られる静電容量に限界がある。
(【0011】以降は省略されています)

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