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公開番号2024125038
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023033102
出願日2023-03-03
発明の名称作業機械の溶接構造
出願人コベルコ建機株式会社
代理人個人,個人
主分類E02F 9/08 20060101AFI20240906BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】溶接箇所の応力を緩和しつつ、衝撃荷重にも強い構造を提供する。
【解決手段】第1部材に相当する梁材20に第2部材に相当する板材22の縁部が突き合わせ溶接(溶接ビード22d)され、第2部材には縁部の一端を突片状に残すようにして切り欠く凹部Gが形成される構造において、凹部Gに沿って第2部材に取付固定される補強板24を備えることを特徴とする。
【選択図】図2B
特許請求の範囲【請求項1】
作業機械の第1部材に第2部材の縁部が突き合わせ溶接され、前記第2部材には前記縁部の一端を突片状に残すようにして切り欠く凹部が形成される構造において、
前記凹部に沿って前記第2部材に取付固定される補強板を備えることを特徴とする、作業機械の溶接構造。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記補強板には前記凹部と重なる切り欠き状の第2凹部が形成される、請求項1に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項3】
前記突片を前記凹部の一側部として前記第2部材は、前記凹部の他側部と、これら一側部および他側部の間にある凹底部を含み、
前記凹底部は、前記補強板の前記第2凹部よりも後退するよう切り欠いている、請求項2に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項4】
前記縁部に沿って延びる溶接ビードの始終端が、前記突片の根元から突出端まで区間の途中に配置される、請求項3に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項5】
前記縁部に沿って延びる溶接ビードが、前記突片の一面側で当該突片の突出端に達し、折り返して前記突片の他面側でさらに延びる、請求項3に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項6】
前記第1部材は作業機械の旋回体フレームのセンターセクションから幅方向外側へ延びる梁材であり、前記第2部材は前記センターセクションよりも幅方向外側に配置されて前後方向および幅方向に広がる板材である、請求項4に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項7】
前記板材に形成される前記凹部を下方から塞ぐように覆う部材をさらに備える、請求項6に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項8】
前記第1部材は作業機械の旋回体フレームのセンターセクションに含まれ前後方向および上下方向に広がる縦板であり、前記第2部材は前記センターセクションから幅方向外側へ延びる梁材であり、
前記梁材は、縦壁と横壁とこれら壁同士が結合する稜線とを含み、
前記第2部材の前記凹部は、前記稜線を切り欠くものである、請求項4に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項9】
前記第1部材は作業機械の旋回体フレームのセンターセクションに含まれ前後方向および上下方向に広がる縦板であり、前記第2部材は前記センターセクションから幅方向外側へ延びる梁材であり、
前記第2部材の前記凹部は、前記梁材の側縁を切り欠くものである、請求項4に記載の作業機械の溶接構造。
【請求項10】
前記第1部材は、作業機械の旋回体フレームのセンターセクションのうち前後方向および幅方向に広がる板材であり、
前記第2部材は、前記センターセクションから幅方向外側へ延びる梁材のうち上下方向に広がる縦壁である、請求項4に記載の作業機械の溶接構造。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械や農業機械や荷役機械等の作業機械に関し、特に溶接箇所を補強する構造に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
作業機械、例えば油圧ショベル、の上部旋回体において、フレーム同士の溶接箇所で発生する応力を低減する構造として従来、例えば実開平5-044374号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。かかる特許文献に記載の溶接構造物は、平板状の第1部材に、異なる2面を有する屈曲したL字部材を接触させて溶接した構造物であり、L字部材の角(屈曲部分)に切り欠きを設けて、L字部材の接触部を突片に形成するとともに、溶接ビードの始終端の位置を、突片の長さ(切り欠きの深さ)内とする。かかる構成により、従来高応力部となるL字部材の角(屈曲部分)は第1部材に溶接されていないから、溶接箇所で応力集中は起こらず、溶接箇所全体として応力を低減することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
実開平5-044374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の溶接構造物にあっては、応力逃しの切り欠き部を設けることにより疲労寿命は長くなるものの、さらに改善すべき点があることを本発明者は見いだした。つまり切り欠き部の応力は高いため、例えば誤操作によって上部旋回体を岩盤に衝突させる等の衝撃荷重により、切り欠き部の応力が材料の降伏点を越えてしまう懸念がある。切り欠き部の応力を降伏点以下に設定しようとすれば、材料の板厚を大きくしたり、高張力鋼を使用したりすることが考えられるが、今度は製造原価が高くなってしまう。また切り欠き縁の曲率を小さくする、切り欠き縁を緩やかな曲線にする等も考えられるが、溶接ビードの始終端で通常作業時の荷重や衝撃荷重を受けることになってしまい、当初の目的である切り欠き部で応力を逃すことができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上述の実情に鑑み、疲労寿命を長くしつつ、衝撃荷重にも強い溶接構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため本発明による作業機械の溶接構造は、作業機械の第1部材に第2部材の縁部が突き合わせ溶接され、第2部材には縁部の一端を突片状に残すようにして切り欠く凹部が形成される構造において、かかる凹部に沿って第2部材に取付固定される補強板を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる本発明によれば、凹部によって溶接箇所の応力を低減しつつ、補強板によって衝撃荷重に対する強度を高めることができる。補強板は第2部材よりも小さいので、第2部材の板厚寸法を大きくしたり、高張力鋼の第2部材を使用したりするよりも、コスト上有利である。さらに補強板の縦横寸法および板厚寸法を調整したり、補強板の材質を変更したりすることにより、溶接箇所の強度を調整可能であり、想定される衝撃荷重に対応可能である。なお溶接箇所は、溶接で接着される箇所であり、第1部材と、第2部材と、溶接痕で構成される。溶接痕として例えば溶接ビードが挙げられる。第1部材および第2部材は、共に構造材であってもよく、あるいはいずれか一方が非構造材であってもよい。構造材とは例えば作業機械のフレームの梁材や縦材や柱材や床板材等、強度の構造計算で考慮される部材をいう。非構造材とは例えば作業機械のフレーム以外の付属品等、強度の構造計算で考慮されない部材をいう。
【0008】
本発明の一局面として補強板には、第2部材の凹部と重なる切り欠き状の第2凹部が形成される。かかる局面によれば、第2部材の凹部が溶接箇所、特に溶接箇所の始終端、に作用する応力を緩和するに際し、補強板は応力緩和を阻害しない。
【0009】
本発明の好ましい局面として第2部材の突片を凹部の一側部として、第2部材は、凹部の他側部と、これら一側部および他側部の間にある凹底部を含み、かかる凹底部は、補強板の第2凹部よりも後退するよう切り欠いている。かかる局面によれば、溶接箇所に荷重が入力されると、第2部材の凹部が変形するより先に補強板の第2凹部が先に変形する。したがって第2部材よりも補強板で荷重を受けることができる。
【0010】
溶接ビードの始終端は、品質上不安定である。そこで本発明のさらに好ましい局面として、第2部材の縁部に沿って延びる溶接ビードの始終端が、突片の根元から突出端まで区間の途中に配置される。かかる局面によれば、溶接ビードの始終端に作用する応力を軽減することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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