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公開番号2024123369
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023030712
出願日2023-03-01
発明の名称喫水管理システム、喫水管理装置、及び喫水管理方法
出願人株式会社中北製作所
代理人個人
主分類B63B 43/06 20060101AFI20240905BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約【課題】船舶の航行における安全性を確保すると共に、燃料消費量を最適に保つことができる喫水管理システムを提供する。
【解決手段】喫水管理システムは、喫水取得部50と、船体中央喫水取得部50Mと、GM算出部10と、海象データ取得部15と、海象データ6Aを判定する海象判定部20と、安全航行に必要なGM値及び中央喫水Dmの関係を規定したGM曲線を設定するGM曲線設定部25と、GM曲線に基づき目標喫水を設定する目標喫水設定部30とを備える。海象判定基準は、船舶2が安全に航行できない海象荒れ基準を有し、海象データ6Aが海象荒れ基準以上と判定されることを条件に、目標喫水が安全喫水に設定され、海象データ6Aが海象荒れ基準を下回ると判定されることを条件に、目標喫水が、安全に航行できる喫水の範囲内で、最小値に設定される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
船舶における喫水を管理する喫水管理システムであって、
前記喫水を取得する少なくとも1つの喫水取得部と、
前記喫水取得部のうち、前記船舶の船体中央部における前記喫水を中央喫水として直接的又は間接的に取得する船体中央喫水取得部と、
前記船体中央部におけるGM値を算出するGM算出部と、
前記船舶の周辺海域の気象に関する海象データを取得する海象データ取得部と、
取得した前記海象データを、所定の海象判定基準に基づいて判定する海象判定部と、
前記船舶における複数のトリム毎に予め設定され、前記船舶が安全に航行するために必要な前記GM値及び前記中央喫水の関係を規定したGM曲線を設定するGM曲線設定部と、
設定された前記GM曲線に基づいて、前記船舶が航行するための目標となる目標喫水を設定する目標喫水設定部と、
を備え、
前記海象判定基準は、少なくとも前記船舶が安全に航行できない海象状態にある場合の下限基準となる海象荒れ基準を有しており、
前記海象データ取得部で取得された前記海象データが、前記海象判定部において、前記海象荒れ基準以上であると判定されることを条件として、前記目標喫水設定部において、前記目標喫水が、前記海象データにおける気象条件下において、前記船舶が安全に航行できる安全喫水に設定されるものであり、
前記海象データ取得部で取得された前記海象データが、前記海象判定部において、前記海象荒れ基準を下回るものであると判定されることを条件として、前記目標喫水設定部において、前記目標喫水が、前記船舶が安全に航行できる前記喫水の範囲内で、最小値に設定されるものであること、を特徴とする喫水管理システム。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
前記目標喫水設定部で設定された前記目標喫水に基づいて、前記船舶における複数のバラストタンクに配分するバラスト水の配分量を算出するバラスト水配分量算出部を備えていること、を特徴とする請求項1に記載の喫水管理システム。
【請求項3】
前記中央喫水及び前記目標喫水を比較する喫水状態判定部を有しており、
前記船体中央喫水取得部は、複数の前記バラストタンクへの前記バラスト水の配分が少なくとも終了した後に、前記中央喫水を取得できるものであり、
前記バラスト水の配分の終了後に取得された前記中央喫水が、前記喫水状態判定部において、前記目標喫水と異なることを条件として、前記目標喫水と前記中央喫水との差が減じられるように前記バラスト水配分量算出部において、再度、前記バラスト水の配分量が算出されること、を特徴とする請求項2に記載の喫水管理システム。
【請求項4】
前記喫水取得部によって時系列に取得される前記喫水を含む船体状態量に基づいて、前記船舶の横揺れ周期を検出する横揺れ周期算出部を有しており、
前記GM算出部は、前記横揺れ周期及び前記船舶の船幅に基づいて、前記GM値を算出するものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の喫水管理システム。
【請求項5】
前記喫水取得部が、
船首側の前記喫水を船首喫水として取得する船首喫水取得部と、
船尾側の前記喫水を船尾喫水として取得する船尾喫水取得部と、
を有しており、
前記中央喫水は、前記船首喫水及び前記船尾喫水を平均化することにより算出されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の喫水管理システム。
【請求項6】
予め複数の前記目標喫水と、前記バラスト水を複数の前記バラストタンクに配分するための配分量と、の関係を定めたバラスト水配置テーブルを有しており、
前記バラスト水配置テーブル及び前記喫水取得部で取得された前記喫水に基づいて、前記バラスト水の配分量が算出されること、を特徴とする請求項2又は3に記載の喫水管理システム。
【請求項7】
前記海象データは、前記船舶の予定航路において予想される海洋気象に係る予測海象データ、及び前記船舶が遭遇している海洋気象に係る現状海象データのいずれか一方又は双方を含むこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の喫水管理システム。
【請求項8】
前記海象判定基準は、前記GM値において許容される上限基準を有しており、
前記海象データ取得部で取得された前記海象データが、前記海象判定部において、前記海象荒れ基準を下回るものであり、かつ、前記GM値が、前記上限基準以内であると判定されることを条件として、前記目標喫水設定部において、予め設定された前記目標喫水のまま維持されるものであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の喫水管理システム。
【請求項9】
船舶における喫水を管理する喫水管理装置であって、
前記喫水を取得する少なくとも1つの喫水取得部と、
前記喫水取得部のうち、前記船舶の船体中央部における前記喫水を中央喫水として直接的又は間接的に取得する船体中央喫水取得部と、
前記船体中央部におけるGM値を算出するGM算出部と、
前記船舶の周辺海域の気象に関する海象データを取得する海象データ取得部と、
取得した前記海象データを、所定の海象判定基準に基づいて判定する海象判定部と、
前記船舶における複数のトリム毎に予め設定され、前記船舶が安全に航行するために必要な前記GM値及び前記中央喫水の関係を規定したGM曲線を設定するGM曲線設定部と、
設定された前記GM曲線に基づいて、前記船舶が航行するための目標となる目標喫水を設定する目標喫水設定部と、
を備え、
前記海象判定基準は、少なくとも前記船舶が安全に航行できない海象状態にある場合の下限基準となる海象荒れ基準を有しており、
前記海象データ取得部で取得された前記海象データが、前記海象判定部において、前記海象荒れ基準以上であると判定されることを条件として、前記目標喫水設定部において、前記目標喫水が、前記海象データにおける気象条件下において、前記船舶が安全に航行できる安全喫水に設定されるものであり、
前記海象データ取得部で取得された前記海象データが、前記海象判定部において、前記海象荒れ基準を下回るものであると判定されることを条件として、前記目標喫水設定部において、前記目標喫水が、前記船舶が安全に航行できる前記喫水の範囲内で、最小値に設定されるものであること、を特徴とする喫水管理装置。
【請求項10】
前記船舶が、
バラスト水を貯留するための複数のバラストタンクと、
前記目標喫水となるように複数の前記バラストタンクに前記バラスト水を配分するための切替バルブと、
を有しており、
前記切替バルブが、前記目標喫水設定部において設定された前記目標喫水に基づいて、前記バラスト水を複数の前記バラストタンクに配分するよう切り替えられること、を特徴とする請求項9に記載の喫水管理装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶等における喫水管理システム、喫水管理装置、及び喫水管理方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、一定規模以上の船舶では、船体のバランスを保つためにバラスト制御が行われている。前記バラスト制御においては、船舶の積荷の状況に応じて、バラストタンク内へのバラスト水の量を変更する制御が行われている(例えば、特許文献1)。前記船舶では、一般的に船体の外壁側に複数のバラストタンクが設けられている。また、前記船舶では、右舷及び左舷、又は、船首側及び船尾側において船体のバランスが保たれるよう、複数のバラストタンクへのバラスト水の張排水量(配分量)が制御されている。
【0003】
ところで、上述したバラスト制御は、海洋における気象(以下、海象とも称する)が悪いときは、船体を安定させるために喫水を深くする制御を行うものとされている。かかる場合は、安全性を重視するあまり、バラスト水をバラストタンクに張水し過ぎる(喫水を深くし過ぎる)懸念があった。このように、然るべきときに然るべき喫水で船舶を航行させることができるか否かは、当該船舶の船長、航海士の能力に依存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2004-161254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、積荷に対して必要以上に喫水を深めてしまう(深くし過ぎる)と、例えば、海象が改善したときに、船舶の航行における負荷が高まり、燃料消費量が増大する問題があった。また、上述したように、船舶の航行において、喫水を適正に保つためには、船長や航海士の能力に依存しており、安全性と燃料消費量とのバランスを定量的に保つことが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、船舶の航行における安全性を確保できると共に、燃料消費量を最適に保つことができる喫水管理システム、喫水管理装置、及び喫水管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の喫水管理システムは、船舶における喫水を管理する喫水管理システムであって、前記喫水を取得する少なくとも1つの喫水取得部と、前記喫水取得部のうち、前記船舶の船体中央部における前記喫水を中央喫水として直接的又は間接的に取得する船体中央喫水取得部と、前記船体中央部におけるGM値を算出するGM算出部と、前記船舶の周辺海域の気象に関する海象データを取得する海象データ取得部と、取得した前記海象データを、所定の海象判定基準に基づいて判定する海象判定部と、前記船舶における複数のトリム毎に予め設定され、前記船舶が安全に航行するために必要な前記GM値及び前記中央喫水の関係を規定したGM曲線を設定するGM曲線設定部と、設定された前記GM曲線に基づいて、前記船舶が航行するための目標となる目標喫水を設定する目標喫水設定部と、を備え、前記海象判定基準は、少なくとも前記船舶が安全に航行できない海象状態にある場合の下限基準となる海象荒れ基準を有しており、前記海象データ取得部で取得された前記海象データが、前記海象判定部において、前記海象荒れ基準以上であると判定されることを条件として、前記目標喫水設定部において、前記目標喫水が、前記海象データにおける気象条件下において、前記船舶が安全に航行できる安全喫水に設定されるものであり、前記海象データ取得部で取得された前記海象データが、前記海象判定部において、前記海象荒れ基準を下回るものであると判定されることを条件として、前記目標喫水設定部において、前記目標喫水が、前記船舶が安全に航行できる前記喫水の範囲内で、最小値に設定されるものであること、を特徴とするものである。
【0008】
上述した喫水管理システムは、複数のトリム毎に予め設定され、船舶が安全に航行するために必要なGM値及び中央喫水の関係を規定したGM曲線を設定するGM曲線設定部と、設定されたGM曲線に基づいて、船舶が航行するための目標となる目標喫水を設定する目標喫水設定部と、を備えるものとされている。また、上述した喫水管理システムは、取得した海象データ(海洋気象データとも称する)を、所定の海象判定基準に基づいて判定するものとされている。ここで、上述した海象判定基準は、少なくとも前記船舶が安全に航行できない海象状態にある場合の下限基準となる海象荒れ基準(例えば、風速、波高に関する閾値)を有するものとされている。また、海象荒れ基準には、例えば、ジャイロセンサや加速度センサを用いて計測した船体の揺れ度合いを閾値化したものを含めることができる。
【0009】
また、上述した喫水管理システムは、取得された海象データが、海象判定部において、海象荒れ基準を超えるもの(海象が荒れている状態)と判断されることを条件として、目標喫水設定部において、目標喫水が、海象データにおける気象条件下において、船舶が安全に航行できる安全喫水に設定されるものとされている。したがって、上述した喫水管理システムによれば、海象が荒れている際に、目標喫水が確実に安全喫水に設定されるので、船舶が安定して航行できる。一方、上述した喫水管理システムは、取得された海象データが、海象判定部において、海象荒れ基準を下回るものであると判定されることを条件として、目標喫水設定部において、目標喫水が、船舶が安全に航行できる喫水の範囲内で、最小値に設定されるものとされている。言い換えると、目標喫水が、船舶が安全に航行できる喫水の範囲内で、燃料消費量が最小となるように設定される。このように、上述した喫水管理システムは、船舶の航行における安全性を確保できると共に、燃料消費量(燃費とも称する)を最適に保つことができる。なお、上述した喫水管理システムは、例えば、プログラムとして提供されるものでもよい。
【0010】
(2)上述した本発明の喫水管理システムは、前記目標喫水設定部で設定された前記目標喫水に基づいて、前記船舶における複数のバラストタンクに配分するバラスト水の配分量を算出するバラスト水配分量算出部を備えていること、を特徴とするとよい。
(【0011】以降は省略されています)

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