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公開番号2023174426
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-07
出願番号2022096115
出願日2022-05-27
発明の名称浮体式洋上風力発電方式
出願人個人
代理人
主分類B63B 35/00 20200101AFI20231130BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約【課題】海上の大部分を動作領域として運用できる浮体式洋上風力発電装置を提供する。
【解決手段】複数の船体22、23、24を横に並べて、それらを水面上の甲板等25で結合し、甲板等の上に風力発電機21を具備し、また船体の内少なくとも両側の船体においては推進器37、39を具備し、推進器は、船体の構造上の進行方向を風向と直角になるように制御する。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
複数の船体を横に並べて、それらを甲板等で結合し、前記甲板等上に風力発電機を具備し、さらに前記複数の船体の内少なくとも外側の船体においては、推進器を具備して、前記船体の構造上の進行方向と風向が直角になるように制御する一方、前もって定められた船体の一部又は全体を上下に移動させることにより、前記船体の甲板等を常時水平になるように制御しながら発電することを特徴とする洋上風力発電方式

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上において、風力による発電を行う風力発電方式に関する。
続きを表示(約 5,300 文字)【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化の対策が大きな課題となっている。その対策として、風力発電機の普及が急がれている。しかし、いくつかの欠点があるため、その普及は思うようには進んでいない。風力発電機は、非常に大型であり、低音騒音があること等のため人里離れたところに設置される場合が多い。そのため道路建設、土台建設及び大型トレーラによる遠距離の多数回の搬送等により搬送費、設置費が高価となり、発電コストが高くなっている。さらに、発電電力が天候によって不安定であり、適切な場所が少ないことなどの問題点があるため、普及が思うようには進んでいない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記問題点を解決するには、風力発電機を陸から離れた海上に設置するという案が考えられる。しかし、陸から離れていて、しかも風力発電機を設置するに適した浅瀬で漁業、景観を害しない場所は少ないと考えられる。従って、今後風力発電機を大きく普及させるには、陸から大きく離れていて水深の深い場所に風力発電機を設置出来るようにすることが必要と考える。しかし、その場合、風力を十分効率よく電力に変換出来るように風力発電機を固定することが難しいこと、海流によって流されること及びうねりによって揺れること、並びに発電した電力を陸上に搬送するのが困難であるこという問題がある。しかし、これらが解決されると、世界中の海で使用できるため、世界中の電力は、大幅に余裕が出来ることになる。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
複数の船体を横に並べて、それらを水面上の甲板等で結合し、前記甲板等の上に風力発電機を、具備し、さらに前記船体の内少なくとも両側の船体においては推進器を具備する。前記推進器は、船体の構造上の進行方向(以降船体の進行方向と称する)を風向と直角になるように制御する。
また、前もって定められた船体の一部又は全体を上下させることにより、前記船体の浮力を変化させて、前記甲板が常時水平になるように制御しながら具備している風力発電機で発電する。
発電した電力は、蓄電池に充電し、前記蓄電池を陸上に運ぶか、発電した電力により水素を製造し、その水素を陸上に運び、再度電力に変換する方法等により、発電した電力を陸上に搬送する。
【0005】
陸から大きく離れた水深の深い場所において、風力発電機で安定に発電できるようにするには、前記のように複数の船体を横に並べて、それらを水面上の甲板等で結合した構造とし、船体の進行方向を風向と直角になるようにすること等が必要となる。
まず、風力によって風力発電機本体が大きな移動しないようにすることを考えたとき、文房具の下敷で水を切る場合、面と平行の方向で切る場合は非常に小さな力で済むが、面と直角の方向で切る場合は非常に大きな力を必要とする。そこで、船体の進行方向と平行であって船の喫水線から下の表面積を可能な限り広くし、船体の進行方向に対する水の抵抗を限りなく少なくすれば、この作用を応用できる。つまり、船体を前記のような構造とし、船体の進行方向を風向と直角になるように制御すれば良い。本考案のように船体が複数ある場合は、その効果はさらに大きい。しかし、風の向きは常時同じ向きではないので、常時前記の状態を保つことは問題があるように考えられるが、海上においては、風の向きは急激には変化しないので、少なくとも両側の船体に具備された推進器を操作して、船体の構造上の進行方向を常時風と垂直になるように制御することで解決される。
【0006】
また、日本近くの海域においては、海流があるので、船体は海流の速さに従って流されることになる。本案においては、船体の進行方向は常時風向と直角になるように制御されており、風向は変化するので、船体の進行方向と風向との角度は一定しない。場合によっては、後ろ向き(推進器が具備されている側)になる場合もある。しかし、海流の流れる方向及びその流速は、ほぼ一定しているので、海流に逆らわず海流に従って流され、一定時間後又は船がある一定範囲を超えたら、元の場所又は適切な場所に戻るようにすることで対応できる。しかし、その航路は、海流及び風向の変化等によって多少航路に差が生じると考えられるが、それは往路又は復路において修正するか、元の場所又は適切な場所の位置を修正すれば良い。
本案における風力発電船は、海流によって流されていくので、その発電量は海流の速度によって変化する。しかし、風向は変化するし、風力発電機の定格出力時における風速は6m/sであり、海流の速度は通常1ノット(0.5m/s)以下であるので問題ないと考える。
本考案において、貨物の積載は通常は不要なので、非常に軽量であるとともに、船体の進行方向における水の抵抗は非常に小さくなっているので、元の場所又は適切な場所に戻るに必要とする電力は、発電量と比べて非常に小さくなり、無視できる量であると考えられ、問題とならない。
【0007】
次に、発電した電力を陸上に搬送する方法であるが、複数の風力発電船を1グループとして、各船が定められたある一定距離を離れたら又は一定時間後、元の出発点等の前もって定められた場所に戻るように設定し、前記定められた場所に船舶を停泊させ、風力発電船の製造品例えば発電した電力を蓄電池に充電する場合は充電済みの蓄電池を、水素を製造する場合は、水素を前記停泊している船に載せ替えるようにする。そして、ある一定以上集積されたら、それらを陸上に搬送すれば良い。前記停泊する船舶及び搬送する船舶は、風及び海流の影響を可能の限り少ない形状にして、海底深度の浅い所では碇を下ろし、深い所では海流に向かって推進器を動作させて海流に流されないようにして停泊する。前記船舶は、可能の限り無人化を行い、燃料には太陽光又は前記風力発電船において製造された水素を使用する。
これにより非常に格安に運用できる。
【0008】
風力発電機で発電する場合、風力の全てが電力に変換される訳ではない。風力の一部は、重心又は風力発電機の甲板との接続部分を中心とした回転力となるため、甲板は傾くことになる。定格発電力Aワットの風力発電機が定格で稼働時においては、風力発電機の効率を50%とすれば、前記回転力は、Aニュートンとなる。
前記回転力を打ち消すために、本考案においては浮力を使用している。浮力を変化させるには、喫水線から下の重量を変化させれば良い。そこで、本考案においては、両端の船体の喫水線で切った断面積を可能な限り広くして、前記回転力によって生じる風力発電船の傾きの変化を小さくするとともに、前もって定められた船体の一部又は全体を、喫水線を中心に上下に変化させることによって浮力を変化させ前記回転力を打ち消している。この場合、必要とする浮力がAニュートンの場合、前記直方体の体積は、A/9.8×10



となる。例えば、風力発電機の定格発電電力Aを9,8MWとすれば10



となる。つまり、一辺が10mの立方体となる。この大きさであれば、問題ないと考える。
そこで、浮力を調整する船体において、前もって定められた位置に、浮力を調整する機具を設置する。前記浮力は、風力発電機の甲板との接続部分から風力発電機の風車の中心部までの長さと前記風力発電機の甲板との接続部分から前記浮力を調整する機具を設置する位置までの長さに反比例するので、前記風力発電機の甲板との接続部分から前記浮力を調整する機具を設置する位置までの長さが風力発電機の甲板との接続部分から風力発電機の風車の中心部までの長さの1/2の場合、前記浮力は2倍必要となる。従って、風力発電機の甲板との接続部分から風力発電機の風車の中心部までの長さは、長い方が前記浮力は少なくて良いことになるが、各船体を接続している甲板に構造上の問題が生じるため、そのバランスをとる必要がある。
前記回転力は風速の変化に対応するので、前記浮力の反応時間は、前記変化に対応出来るよう十分短いことが要求される。前記反応時間が十分短くない場合は、甲板は傾くことになり、風力発電機の発電効率が悪化するだけでなく、発電機自体が故障する場合もある。従って、甲板が常時水平になるように制御するには、前記浮力の反応時間が十分短いことが必要である。そこで、本考案においては、甲板の傾きを検出して、船体の全体又は一部を上下させることにより浮力を変化させ、甲板が常時水平になるように制御している。しかし、発電の開始時及び終了時のように、前記船体の浮力の対応速度が遅くなっても問題ない場合は、前記浮力の調整を船内への水の注排水で行っても良い。
また、風力が一定以上に大きくなった場合は、風力発電機のブレードの角度を下げて、風力発電機にかかる力を小さくする。ブレードの角度の調整で対応できなく、さらに前記風力の調整範囲を超えた場合においては、多少の超過は両端の船体の浮力が対応するが、それを越える場合は、適切な場所に移動する。
【0009】
また、風浪及びうねり等があって、船の長さ及び船の幅がその波長に比べて十分長くない場合、甲板の水平性が保たれない場合が生じることになり、風力発電機の発電効率が悪化するだけでなく、発電機自体が故障することになることが考えられる。
風浪及びうねり等は、主に風によって発生するので、風とほぼ同じ方向で進んでくる。従って、風浪及びうねり等の方向は、本考案においては船体とほぼ直角になる。この場合は、前項[0008]においての対応で解決される。但し、風向が変化した場合は、うねりと風浪との進行方向は異なってくる場合があるが、風向と異なる成分つまり風向と直角の成分は小さく、前記直角の方向は、船体の進行方向であり、船体は非常に長くなっているので問題ない。船体が非常に長い豪華客船、巨大タンカーなどは揺れが殆どないことで知られている。例えば、船体の前後で、波高の平均値に1mの差があっても、船長が300mあれば、傾きは1/300となるので問題ない。しかし、問題となる場合は、前記浮力調整用設備を風力発電船の前後に追加すれば良い。
従って、通常は問題とならないと考えられるので、浮力の調整は、簡単な構造となる船体全体の上下の移動のみによって行う方が良いと考える。
風浪及びうねり等による甲板の傾きは、風力発電機の甲板との接続部分の左右の船体の喫水線の高さの差により発生し、喫水線の高さは風浪及びうねり等の波高の平均値によるので、船体の幅は広い方が良い。
甲板を水平に保つためには、エネルギーが必要となるが、これは風力、風浪及びうねり等の大きさが変化する場合に必要となるので、通常それらは小さいので問題とならない。また、多く必要となる発電の開始時及び終了時に必要となるエネルギーは、多くて日に1,2回程度で、しかも短時間であるので、これも問題とならない。
通常の発電時においては、海上における風速は略一定しているので、風力発電機の回転力による傾きの変化は非常に小さく、それを補正する浮力を変化させるエネルギーが非常に小さいので問題とならない。
以上記載したとおり、発電を安定に行うために消費されるエネルギーは、甲板等を水平に保持するための浮力調整と、進行方向の補正及び風力発電船を元の場所又は指定された位置に戻るために行う為のものであり、それらは全て無視できるほど小さいので、有効な発電が可能となる。
【0010】
以上記載したとおり、風力発電機の設置場所において、海上に設置しても、水深等による制約が非常に少ないため、設置可能場所が非常に広い。また、建造はドックで行うことが可能であるので、建造費も安価となっている。
さらに、発電した電力の陸上への搬送は、主に運用コストの安価な搬送船で行うため、安価な電力が得られることになる。
一方、本考案においては、風力発電機を設置する甲板を常時水平に保つためにエネルギーを使用するが、前項[0007][0008][0009]に記載したとおり、その使用するエネルギーの費用は問題とならず、さらに風力は陸上の場合より大きく、甲板では風力発電に匹敵するほどの電力を発電する太陽光発電も行えるため、陸上においてより十分大きな電力が得られることになる。
よって、陸上に設置した場合より効果が大きな発電が得られることになる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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