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公開番号2024123071
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-10
出願番号2024095736,2020573383
出願日2024-06-13,2019-06-26
発明の名称ミトコンドリア機能障害の治療方法
出願人リボノバ インコーポレイテッド,RIBONOVA INC.
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 31/10 20060101AFI20240903BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】対象におけるミトコンドリア機能障害またはミトコンドリア病を治療または予防する方法に使用する治療剤を提供する。
【解決手段】ミトコンドリア機能を維持または改善するのに有効な量のプロブコールまたはその薬学的に許容される塩を含有する、ミトコンドリア機能障害に起因する疾患の治療剤であって、前記治療剤が、ミトコンドリア機能障害に起因する疾患を有するヒト対象の前記疾患を治療する用の治療剤であり、前記ヒト対象が、ミトコンドリア機能障害に関連する少なくとも1つのDNA変異またはバリアントを有する、治療剤である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ミトコンドリア機能を維持または改善するのに有効な量のプロブコールまたはその薬学的に許容される塩を含有する、ミトコンドリア機能障害に起因する疾患の治療剤であって、
前記治療剤が、ミトコンドリア機能障害に起因する疾患を有するヒト対象の前記疾患を治療する用の治療剤であり、
前記ヒト対象が、ミトコンドリア機能障害に関連する少なくとも1つのDNA変異またはバリアントを有する、治療剤。
続きを表示(約 6,800 文字)【請求項2】
前記疾患は、常染色体優性視神経萎縮症(ADOA)、β酸化欠損症、カルニチン欠損症、カルニチン-アシルカルニチン欠損症、慢性進行性外眼筋麻痺症候群(CPEO)、コエンザイムQ10欠損症、複合体I欠損症(NADH脱水素酵素欠損症)、複合体II欠損症(コハク酸脱水素酵素欠損症)、複合体III欠損症(ユビキノン-シトクロムc酸化還元酵素欠損症)、複合体IV欠損症(シトクロムc酸化酵素欠損症またはCOX欠損症)、複合体V欠損症(ATP合成酵素欠損症)、多発性呼吸鎖複合体欠損症、カルニチンパルミトイル基転移酵素(CPT)I欠損症、CPTII欠損症、糖尿病および難聴(DAD)、クレアチン欠損症候群、フリードライヒ運動失調症(FA)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、乳酸アシドーシス、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、リー症候群(リー病)、致死性乳児心筋症(LICまたはバース症候群)、白質ジストロフィー、脳幹および脊髄障害と乳酸上昇を伴う白質脳症(LBSL)、長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(LCAD)、長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素(LCHAD)、ルフト病、中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD)、ミトコンドリア細胞症、ミトコンドリアDNA枯渇症、ミトコンドリアDNA欠失症(複数可)、ミトコンドリア脳症、ミトコンドリア筋症(MM)、ミトコンドリア筋症、脳筋症、乳酸アシドーシス、脳卒中様症状(MELAS)、ミトコンドリアエノイルCoA還元酵素タンパク質関連神経変性(MEPAN)、ミトコンドリア神経消化管性脳症(MNGIE)、ミトコンドリア劣性運動失調症候群(MIRAS)、多発性アシルCoA脱水素酵素欠損症(MADまたはグルタル酸酸性尿症II型)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF)、神経障害、運動失調、網膜色素変性症(NARP)、ピアソン症候群、POLG変異、進行性乳児ポリジストロフィー(アルパーズ病)、下垂、ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症(PCD)、ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症(PDCDまたはPDH)、短鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(SCAD)、短鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症(SCHAD)、ならびに超長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(VLCAD)からなる群から選択されるミトコンドリア病である、請求項1に記載の治療剤。
【請求項3】
前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントが、MT-ATP6、MT-ATP8、MT-CO1、MT-CO2、MT-CO3、MT-CYB、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND4、MT-ND4L、MT-ND5、MT-ND6、MT-RNR1、MT-RNR2、MT-TA、MT-TC、MT-TE、MT-TF、MT-TH、MT-TI、MT-TK、MT-TL1、MT-TL2、MT-TM、MT-TN、MT-TQ、MT-TS1、MT-TS2、MT-TV、およびMT-TWからなる群から選択されるミトコンドリアDNAコード遺伝子にある、請求項1に記載の治療剤。
【請求項4】
前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントが、AARS2、ABCC8、ACAD9、ACADM、ACADS、ACADVL、ACAT1、ACO2、ADCK3、ADRB2、ADRB3、AFG3L2、AGK、AGRP、AIFM1、AK2、AKT2、ALDH2、AMT、APOPT1、ATP5A1、ATP5E、ATP5F1A、ATP5F1D、ATP5F1E、ATPAF2、AUH、BCS1L、BOLA3、C10orf2、C12orf65、C19orf12、C1QBP、CAPN10、CARS2、CARTPT、CDH23、CDKAL1、CHCHD10、CHKB、CISD2、CLRN1、COA5、COA7、COQ2、COQ4、COQ6、COQ7、COQ8A、COQ9、COX10、COX14、COX15、COX20、COX6B1、COX8A、CPS1、CPT1A、CPT2、CYC1、DARS2、DFNB31、DGUOK、DLAT、DNA2、DNAJC19、DNM1L、EARS2、ECHS1、ELAC2、ENPP1、ETFA、ETFB、ETFDH、ETHE1、FARS2、FASTKD2、FBXL4、FOXRED1、FXN、GATM、GCGR、GCK、GCSH、GFER、GFM1、GHRL、GJB2、GJB3、GJB6、GLDC、GPD2、GPR98、GTPBP3、HADH、HADHA、HADHB、HARS2、HMGA1、HMGCS2、HNF1A、HNF1B、HNF4A、HSD17B10、HSPD1、IBA57、IDH2、IGF2BP2、IL6、INSR、IRS1、IRS2、ISCA1、ISCA2、ISCU、KANK1、KCNJ11、LARS2、LEPR、LIAS、LIPC、LRPPRC、LYRM4、LYRM7、MAPK8IP1、MARS2、MC4R、MFF、MFN2、MGME1、MIPEP、MPC1、MPV17、MRAP2、MRPL3、MRPL44、MRPS16、MRPS2、MRPS22、MRPS34、MRPS7、MSTO1、MTFMT、MTO1、MTPAP、MYO7A、NARS2、NDUFA1、NDUFA10、NDUFA11、NDUFA12、NDUFA13、NDUFA2、NDUFA6、NDUFA9、NDUFAF1、NDUFAF2、NDUFAF3、NDUFAF4、NDUFAF5、NDUFAF6、NDUFB11、NDUFB3、NDUFB8、NDUFB9、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS6、NDUFS7、NDUFS8、NDUFV1、NDUFV2、NEUROD1、NF2、NFU1、NR0B2、NUBPL、NUP62、OPA1、OPA3、PAX4、PC、PCDH15、PCK2、PDHA1、PDHB、PDP1、PDSS1、PDSS2、PDX1、PET100、PMPCB、PNPLA8、PNPT1、POLG、POLG2、POMC、PPARG、PPARGC1B、PPP1R3A、PUS1、PYY、RARS2、RMND1、RNASEH1、RRM2B、SCO1、SCO2、SDC3、SDHA、SDHAF1、SDHD、SERAC1、SFXN4、SIM1、SLC22A5、SLC25A1、SLC25A12、SLC25A13、SLC25A15、SLC25A19、SLC25A20、SLC25A22、SLC25A26、SLC25A3、SLC25A4、SLC2A2、SLC2A4、SLC30A8、SPG7、SUCLA2、SUCLG1、SURF1、TACO1、TARS2、TAZ、TDF7L2、TFAM、TIMM8A、TIMMDC1、TK2、TMEM126B、TMEM70、TOP3A、TRIT1、TRMT10C、TRMT5、TRMU、TRNT1、TSFM、TTC19、TUFM、TWNK、TXN2、TYMP、UCP1、UCP3、UQCC2、UQCC3、UQCRB、UQCRC2、UQCRQ、USH1C、USH1G、USH2A、VARS2、WARS2、WFS1およびYARS2からなる群から選択される核DNAコード遺伝子にある、請求項1に記載の治療剤。
【請求項5】
前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントが、ABCB7、ACADSB、AKAP10、ALAS2、ALDH4A1、ALDH6A1、AMACR、APTX、ARMS2、BAX、BCAT2、BCKDHA、BCKDHB、BCL2、C12orf62、C20orf7、C8orf38、COX4I2、CRAT、CYB5R3、CYCS、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP24A1、CYP27A1、CYP27B1、D2HGDH、DBT、DECR1、DHODH、DIABLO、DLD、DMGDH、FH、GDAP1、GK、GLRX5、GLUD1、HCCS、HIBCH、HK1、HLCS、HMGCL、HOGA1、HTRA2、IDH3B、IVD、KARS、KIF1B、L2HGDH、LRRK2、MAOA、MCCC1、MCCC2、MCEE、ME2、MLYCD、MMAA、MMAB、MMADHC、MUT、NAGS、NGLY1、OAT、OGDH、OTC、OXCT1、PANK2、PARK2、PARK7、PCCA、PCCB、PDHX、PINK1、PNKD、PPOX、PYCR1、REEP1、RMRP、SACS、SARDH、SARS2、SDHAF2、SDHB、SDHC、SOD2、SPG20、STAR、TMEM126、UCP2、USMG5、WWOXおよびXPNPEP3からなる群から選択される核DNAコード遺伝子にある、請求項1に記載の治療剤。
【請求項6】
(i)前記疾患は、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF)であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントが、MT-ND5、MT-TF、MT-TH、MT-TS1、MT-TS2、MT-TL1およびMT-TKからなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(ii)前記疾患は、ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス、および脳卒中様発作症候群(MELAS)からなる群から選択されるミトコンドリア病であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、MT-ND1、MT-ND4、Mt-ND5、MT-ND6、MT-TC、MT-TF、MT-TH、MT-TQ、MT-TS1、MT-TS2、MT-TL1およびMT-TKからなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(iii)前記疾患は、非症候性感音難聴であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントが、MT-RNR1およびMT-RNR2からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(iv)前記疾患は、リー症候群であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、MT-ATP6、MT-TK、MT-TV、MT-TW、ATP5A1、ATP5E、BCS1L、COX10、COX15、CYC1、FOXRED1、LRPPRC、LYRM7、NDUFA10、NDUFA12、NDUFA2、NDUFA9、NDUFAF2、NDUFAF6、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS7、NDUFS8、POLG、SCO1、SCO2、SDHA、SDHC、SDHC、SDHAF1、SDHAF2、SURF1、TMEM70、ATPAF2、UQCRB、UQCRQ、UQCRC2、UQCC2、UQCC3およびUSMG5からなる群から選択される1つ以上の遺伝子に存在する、または
(v)前記疾患は、白質脳症であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、DARS2、SDHA、SDHB、SDHC、SDHD、SDHAF1およびSDHAF2からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(vi)前記疾患は、アルパーズ・フッテンロッハー症候群であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、POLG遺伝子にある、または
(vii)前記疾患は、ミトコンドリア神経胃腸管性脳症(MNGIE)症候群であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、TK2、DGUOK、SUCLG1、SUCLA2、ABAT、TYMP、RRM2B、MT-TK、POLG、SLC25A4、AGKおよびMPV17からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(viii)前記疾患は、肝不全であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、TFAM遺伝子にある、または
(ix)前記疾患は、神経疾患または肝疾患であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、DARS2、RARS2、EARS2、MARS2、FARS2、YARS2、SARS2、AARS2およびHARS2からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(x)前記疾患は、原発性ミトコンドリア病であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、MRPSおよびMRPLからなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(xi)前記疾患は、呼吸鎖欠損症、神経疾患、視力喪失または肝疾患であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、TACO1、GFM1およびC12ORF65からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(xii)前記疾患は、末梢神経障害または視神経障害であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、OPA1、MFN1、MFN2、DNM1LおよびMIEF2からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(xiii)前記疾患が、ミトコンドリア複合体欠損症であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントが、MT-ATP6、MT-CO1、MT-CO2、MT-CO3、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND4、MT-TL1、MT-TN、MT-TK、MT-TV、MT-TW、APOPT1、ATPAF2、ATP5A1、ATP5E、ATP5F1A、ATP5F1D、ATP5F1E、BCS1L、COA5、COA7、COX6B1、COX8A、COX10、COX14、COX15、COX20、CYC1、FASTKD2、FOXRED1、MTFMT、NDUFA1、NDUFA2、NDUFA6、NDUFA9、NDUFA10、NDUFA11、NDUFA12、NDUFA13、NDUFAF1、NDUFAF2、NDUFAF3、NDUFAF4、NDUFAF5、NDUFAF6、NDUFB3、NDUFB8、NDUFB9、NDUFB11、NDUFS1、NDUFS2、NDUFS3、NDUFS4、NDUFS6、NDUFS7、NDUFS8、NDUFV1、NDUFV2、NUBPL、PET100、SCO1、SDHA、SDHAF1、SDHD、SURF1、TACO1、TIMMDC1、TMEM70、TMEM126B、LYRM4、TTC19、UQCC2、UQCC3、UQCRB、UQCRC2およびUQCRQからなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(xiv)前記疾患は、コエンザイムQ10欠損症であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、ADCK3、COQ2、COQ4、COQ6、COQ7、COQ8A、COQ9、PDSS1およびPDSS2からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(xv)前記疾患は、慢性進行性外眼麻痺(CPEO)であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、MT-TA、MT-TL2、MT-TM、MT-TW、C10orf2、DGUOK、DNA2、POLG、RNASEH1、RRM2B、SLC25A4、TK2、TOP3AおよびTWNKからなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(xvi)前記疾患は、カルニチン欠損症であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、CPT1A、CPT2、SLC22A5およびSLC22A20からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、または
(xvii)前記疾患は、フリードライヒ運動失調であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、FXN遺伝子にある、または
(xviii)前記疾患は、カーンズ・セイヤー症候群であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、MT-TL1遺伝子にある、または
(xviiii)前記疾患は、致死性乳児心筋症(LIC)またはバース症候群であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、TAZ遺伝子内にある、または
(xx)前記疾患は、レーベル遺伝性視神経症(LHON)であり、前記少なくとも1つのDNA変異またはバリアントは、MT-ND1、MT-ND2、MT-ND3、MT-ND4、MT-ND5、MT-ND6、MT-ND4L、MT-CYB、MT-CO1、MT-CO2、MT-CO3、MT-ATP6およびMT-ATP8からなる群から選択される1つ以上の遺伝子にある、
請求項1に記載の治療剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
プロブコールまたはその薬学的に許容される塩の投与を含む、対象におけるミトコンドリア機能障害またはミトコンドリア病の治療または予防方法が、本明細書に開示される。また、当該治療または予防の前に、かつそれと関連して、対象における遺伝的ミトコンドリア病を診断する方法も、本明細書に開示される。ミトコンドリア機能障害またはミトコンドリア病を有する患者を管理し、2つ以上のサブ手段からの結果を組み合わせた複合測定値の使用を通して治療的介入に対するそれらの応答を評価する方法も、本明細書に開示される。また、当該複合測定値を計算する方法も、本明細書に開示される。ミトコンドリア機能障害またはミトコンドリア病を有するヒト対象を診断および治療し、複合測定値を使用してそれらの応答を評価するための統合的方法が、本明細書にさらに開示される。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
原発性ミトコンドリア病は、細胞エネルギーを生成する能力を損なう遺伝的状態の不均一な群を含む。Kremer et al.,Mitochondrial Disease Genetics in Diagnosis and Management of Mitochondrial Disorders;Mancuso and Klopstock(Eds);Springer 2019;pp 41-62。この疾患は、4,300人に少なくとも1人が罹患し、高度に可変的であるが、多くの場合、進行性の一連の多臓器症状を有する(Gorman et al.,Ann.Neurol.2015;77:753-9)。より深刻な症状は、著しい罹患率および死亡率につながり得る。罹患した小児についての2つの研究では、小児期における死亡率は、それぞれ35%と36%であることがわかった。Scaglia et al.,Pediatrics.2004;114:925-31、Verity et al.,Dev.Med.Child Neurol.2010;52:434-40.を参照されたい。2007年から2011年までのカリフォルニア州のすべての非軍事的入院の縦断的研究では、ミトコンドリア病のために少なくとも1回入院したすべての参加者の9.9%(成人が9%、子供が10%)が、5年間のフォローアップの間に入院中に死亡した。McCormack et al.,Mol.Genet.Metab.2017;121(2):119-126。基礎疾患プロセスのための治療の選択肢は存在しない。Pfeffer et al.,Nat.Rev.Neurol.2013;9:474-81。
【0003】
前臨床研究では、プロブコールは、原発性ミトコンドリア病を有する個体において調査のための治療剤として可能性を有し得ることが示されているが、この化合物は、ミトコンドリア病の治療のためにこれまで使用されたことがない(Zhang et al.,Mol.Genet.Metab.2010;99(3):309-18、Falk et al.,EMBO Mol.Med.2011;3(7):410-27、Peng et al.,Hum.Mol.Genet.2015;24(17):4829-47、Byrnes et al.,Neurochem.Int.2018;117:23-34)。プロブコールは、高脂血症の治療のための安全性および有効性のプロファイルが知られているが、ミトコンドリア病の患者において、その安全性および有効性は確立されていない(Yamashita et al.,Curr.Opin.Lipidol.2015;26(4):304-16)。現在、ミトコンドリア病の患者を治療する上で、著しく満たされていない医学的な必要性がある(Gorman et al.,Nat.Rev.Dis.Prim.2016;2:16080)。開示される方法は、この必要性および他の重要な必要性を対象とする。
【0004】
ヒトにおけるプロブコールの報告された臨床研究の大部分は、脂質管理および関連する心血管用途のための錠剤製剤の経口投与を使用する。(Yamashita et al.,Curr.Opin.Lipidol.2015;26(4):304-16)。ヒトにおける脂質還元のためのプロブコールの液体製剤の使用が報告されている。国際特許出願第WO9210996号。プロブコールは、再狭窄を防ぐためにステントをコーティングするためにも使用されている(Kim et al.Catheterization and Cardiovascular Interventions 2002;57(4):424-8)。
【0005】
ミトコンドリア病は、典型的には、多臓器に影響を及ぼす。例えば、胃腸(GI)の関与および栄養不足が一般的である。ミトコンドリア病を有する小児患者の29%(Debray et al.,Pediatrics.2007;119(4):722-33)から48%(Skladal et al.,Clin.Pediatr.2003;42(8):703-10)で、GIが関与していることが報告されている。主なGI症状としては、持続性嘔吐、成長障害、嚥下障害を挙げることができる。嚥下困難は、しばしば十分な経口の食物摂取を阻害し、誤嚥または胸部感染をもたらし得る(Kisler et al.,Dev.Med.Child.Neurol.2010;52(5):422-33)。ミトコンドリア病を有する成人患者の48%が、嚥下障害を経験する(Read et al.,Int.J.Lan.Commun.Disord.2012;47:106-11)。
【0006】
このような神経症状を有する一部の患者では、経腸管栄養が必要となる(Braegger et al.,J Pediatr.Gastroenterol.Nutr.2010 Jul;51(1):110-22)。経鼻胃管栄養は数ヶ月まで可能であり、給餌の問題が続く場合、胃瘻造設が適切な選択肢である。研究では、胃瘻造設は、臨床的進歩と生活の質の面で神経発達疾患を有する小児患者に有益であることが示されている(Kisler et al.,Dev.Med.Child.Neurol.2010;52(5):422-33)。小児ミトコンドリア病患者の1つの研究では、患者の大部分は経腸管栄養を必要とするGI症状を有し、中咽頭嚥下障害が最も一般的な適応症であり、81%の患者で明らかであった(Choi and Lee,Scientific Reports 2017;7:16909)。
【0007】
ミトコンドリア病の深刻な臨床結果は、しばしば経口錠剤の投与を阻害または阻止する。結果として、開示されるプロブコールの液体製剤は、著しい医療的有用性を有し、経鼻胃、胃瘻造設、または空腸瘻造設管を介して投与することによって、プロブコールで治療することができるミトコンドリア病を有する患者の数を増加させるであろう。さらに、プロブコールの液体製剤は、幅広い体重を示す新生児(用量計算および投与方法の両方に課題を提示する)を含む小児患者へのプロブコールのより正確かつ便利な投与を可能にする。
【0008】
眼は、ミトコンドリア病において最も頻繁に影響を受ける臓器の1つであり、外眼筋、挙筋、レンズ、網膜、または視神経に変動的に関与し得る破壊的な影響を有する(Haasetal.Pediatrics.2007;120(6):1326-33)。多くの原発性ミトコンドリア病は、眼科的関与を有する。ミトコンドリア障害で見られる最も一般的な4つの神経眼科異常は、(i)両側性視神経障害(例えば、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、Fraser et al.,Surv.Ophthalmol.2010;55(4):299-334)、(ii)眼筋麻痺および下垂(例えば、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)を含む慢性進行性外眼麻痺(CPEO)、Gronlund et al.,Br.J.Ophthalmol.2010;94(1):121-127)、(iii)色素性網膜症(例えば、ミトコンドリア脳症、乳酸アシドーシス・脳卒中様発作(MELAS)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌス癲癇(MERRF)、神経原性衰弱、運動失調、網膜色素変性症(NARP)、リー症候群、CPEOおよびKSS(Gronlund et al.,Br.J.Ophthalmol.2010;94(1):121-127)、ならびに(iv)視交叉後失明(例えば、MELAS)である。CPEOは、下垂と関連して、外眼筋の可動性を損なう複雑な障害であり、ミトコンドリア筋症の最も一般的な眼性発現である(SchoserandPongratz,Strabismus.2006;14(2):107-13)。LHONは、数日から数ヶ月にわたって逐次的な様式で両眼の急性かつ無痛性の中心視力の低下を特徴とする。
【0009】
明らかなミトコンドリア起源であると従来考えられていなかった特定の眼科疾患は、ミトコンドリア機能の障害、酸化ストレスの増加、およびアポトーシスの増加に部分的に起因することが徐々に認識されている(Schrier and Falk,Curr.Opin.Ophthalmol.2011;22(5):325-331)。エネルギー需要の高い臓器として、眼は特にミトコンドリア損傷の結果を受けやすい(Jarrettetal.,OphthalmicRes.2010;44(3):179-90)。ミトコンドリア機能障害を伴う眼科障害としては、糖尿病性網膜症および加齢黄斑変性症(AMD)が挙げられる(Mohammad et al.,Lab.Invest.2010;90(9):1365-1372、.Kenney et al.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2010;51(8):4289-4297)。
【0010】
眼病態のためのプロブコールの局所的な局所投与は、全身投与よりも特定の利点を提供する。点眼剤は、より多くの局所投与量を眼に直接送達することができ、血液脳関門を横切るプロブコールの輸送に関する全身投与の課題を緩和することができる。プロブコールは、比較的水に不溶性であり、高脂肪性の組織によって優先的に吸収されることが知られており、眼の臨床的に関連する成分による取り込みを増強することができる特性を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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