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公開番号
2024121428
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-06
出願番号
2023028537
出願日
2023-02-27
発明の名称
シリカ系複合酸化物粉粒体及びその製造方法、歯科用硬化性組成物、並びに歯科切削加工用ブランク
出願人
株式会社トクヤマデンタル
代理人
主分類
C01B
33/12 20060101AFI20240830BHJP(無機化学)
要約
【課題】 歯科用硬化性組成物に配合したときに好ましいペースト物性や硬化体物性を与えることができる、シリカ含有率が80~92モル%の複合酸化物球状粉子からなる平均一次粒子径が350~600nmである粉粒体であって、保存安定性の低下や、硬化体外観色の厚みによる変化という現象を引起こし難い粉粒体を提供する。
【解決手段】 前記組成に対応した組成の加水分解性化合物が溶解した溶液を塩基性溶液に添加するゾルゲル法において、前記溶液及び反応液中の有機溶媒組成を制御することによって所定の平均粒子径を有する「内部シリカコアを有さない複合酸化物球状粒子」を析出させた後に各析出粒子の表面にシリカ前駆体層を形成してから焼成することによって得られる、前記組成を有する複合酸化物球状粉子の表面が厚さ3~15nmのシリカコート層で被覆された粒子の集合体からなるシリカ系複合酸化物粉粒体。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ケイ素と、少なくともチタン又はジルコニウム含む1種又は複数種の金属と、の複合酸化物からなる球状本体粒子の表面の少なくとも一部がシリカからなるシリカコート層によって被覆されてなる球状一次粒子の集合体からなるシリカ系複合酸化物粉粒体であって、
前記球状一次粒子の平均粒子径は、350~600nmであり、
前記球状本体粒子を構成する前記複合酸化物中のシリカ(ケイ素酸化物)成分の含有率は80~92(モル%)で、残余は、前記1種又は複数種の金属の酸化物成分からなる金属酸化物成分であり、
前記球状本体粒子は、その内部にシリカ成分のみからなる中心層を有さず、
前記シリカコート層の平均厚みは3~15nmである、
ことを特徴とするシリカ系複合酸化物粉粒体。
続きを表示(約 2,200 文字)
【請求項2】
請求項1に記載のシリカ系複合酸化物粉粒体を製造する方法であって、
I: シリカ成分の原料となる、「縮合性シリカ成分原料化合物」;及び前記球状本体粒子を構成する前記複合酸化物の金属酸化物成分の原料となる、少なくとも1種の「縮合性金属酸化物原料化合物」;が、水を含んでいてもよい「有機溶媒」中に溶解した溶液からなり、該溶液中で、前記「縮合性シリカ成分原料化合物」と前記「縮合性金属酸化物原料化合物」とは反応して「溶解性複合体」を形成していてもよく、該溶液に含まれる前記「縮合性シリカ成分原料化合物」に由来するケイ素原子と前記「縮合性金属酸化物原料化合物」に由来する少なくとも1種の金属原子の量比は、前記球状本体粒子を構成する前記複合酸化物の組成に対応している、「本体粒子原料溶液」を準備する本体粒子原料溶液準備工程;
II: 水を含む「水溶解性有機溶媒」に「塩基性化合物」が溶解した「塩基性溶液」中に前記「本体粒子原料溶液」を添加して、前記球状本体粒子を析出させる析出工程;
III: 前記「縮合性シリカ成分原料化合物」が、水を含んでいてもよい「有機溶媒」中に溶解した溶液からなる「シリカコート層原料溶液」を準備し、前記析出工程で析出した前記球状本体粒子が分散した塩基性溶液に前記「シリカコート層原料溶液」を添加して、前記球状本体粒子の表面上に該表面の少なくとも一部を覆う平均厚さが4~20nmのシリカ及び/又はその前駆体からなるコート層を形成するコート層形成工程;及び
IV: 球状本体粒子の表面上に前記コート層が形成された粒子を700~1500℃で焼成して前記コート層を、平均厚さが3~15nmであるシリカコート層とする焼成工程、
を含み、
前記I:本体粒子原料溶液準備工程では、前記「本体粒子原料溶液」における水を除く前記「有機溶媒」として、メタノール含有率が80質量%以上の有機溶媒を使用し、
前記II:析出工程では、
前記「塩基性溶液」における「水溶解性有機溶媒」として、「炭素数1~5のアルキル基を有するアルコール」を含み、「炭素数3のアルキル基を有するアルコール」及び「炭素数4~5のアルキル基を有するアルコール」の合計含有率が80質量%以上であり、且つ「炭素数3以下のアルキル基を有するアルコール」の含有量が5~50質量%である水溶解性有機溶媒を使用し、更に
前記「本体粒子原料溶液」添加した後における前記「塩基性溶液」中における水を除く全有機溶媒の合計質量の65質量%以上を「炭素数3~5のアルキル基を有するアルコール」とする、
ことにより、前記析出工程において、前記球状本体粒子を析出させると共に、析出する球状本体粒子の平均一次粒子径を350~650nmとする、
ことを特徴とする、シリカ系複合酸化物粉粒体の製造方法。
【請求項3】
前記II:本体粒子原料溶液準備工程が、
シリコンアルコキシド、メタノール、水及び酸を混合して、シリコンアルコキシドの部分加水分解物及び/又は該部分加水分解物が縮合したオリゴマーからなる「縮合性シリカ成分原料化合物」が溶解した「シリカ成分原料組成物」を調製する工程;
少なくともチタン又はジルコニウム含む1種又は複数種の金属のアルコキシドと、該金属アルコキシドと、を溶解する水を含んでいてもよい極性有機溶媒を混合して、前記金属アルコキシド、その部分加水分解物及び該部分加水分解物が縮合したオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる「金属酸化物原料化合物」が溶解した「金属酸化物成分原料組成物」を調製する工程;
前記「シリカ成分原料組成物」及び前記「金属酸化物成分原料組成物」を用いて前記原料溶液」を調製する工程
を含んでなる、請求項2に記載のシリカ系複合酸化物粉粒体の製造方法。
【請求項4】
前記III:析出工程で析出させる球状粒子の平均粒子径の標準偏差値を1.00~1.30の範囲内とする、請求項2又は3に記載のシリカ系複合酸化物粉粒体の製造方法。
【請求項5】
ラジカル重合性単量体:100質量部、請求項1に記載のシリカ系複合酸化物粉粒体:100~800質量部、及び重合開始剤を含んでなる、ことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
【請求項6】
前記ラジカル重合性単量体が、その硬化体の25℃、波長589nmの光に対する屈折率をnPで表し、前記シリカ系複合酸化物粉粒体の25℃、波長589nmの光に対する屈折率をnFで表したときに、
式:0.01<nF-nP<0.1
を満足する硬化体を与える(メタ)アクリル化合物系ラジカル重合性単量体のみからなり、
前記シリカ系複合酸化物粉粒体の平均粒子径の標準偏差値が1.00~1.30である、請求項5に記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項7】
被切削加工部を有する歯科切削加工用ブランクにおいて、
前記被切削加工部の少なくとも一部が請求項5又は6に記載の歯科用硬化性組成物又は該歯科用硬化性組成物に色素を配合して調色した歯科用硬化性組成物、の硬化体からなる、
ことを特徴とする前記歯科切削加工用ブランク。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ系複合酸化物粉粒体及びその製造方法、歯科用硬化性組成物、並びに歯科切削加工用ブランクに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
歯科補綴治療で用いられるハイブリッドレジン(以下、「HR」と略記することもある。)は無機充填材及び樹脂等の有機成分の複合材料であり、補綴修復で用いられるインレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造体などの材料としても広く使用されている。
【0003】
HRの原料となる歯科用硬化性組成物は、強度等の点から、シリカ等の無機充填材、メタクリレート樹脂などの重合性単量体および重合開始剤を含有する組成物からなり、切削や研磨の作業性や高審美性の点から、無機充填材としては球状無機酸化物粒子からなるものが使用されることが多い(特許文献1参照)。そして、球状無機酸化物粒子からなる充填材としては、ケイ素や各種金属のアルコキシドなどの加水分解性化合物を塩基性含水溶液中で加水分解及び脱水縮合させる所謂ゾルゲル法で製造される「シリカ系複合酸化物からなる球状粒子」、具体的には、周期律表第I~IV族からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属成分と珪素成分とを主な構成成分とする無機酸化物、特にシリカジルコニアなどのシリカ-チタン族系複合酸化物、からなる球状粒子が、一般的に使用されている(特許文献1~3参照)。
【0004】
なお、上記ゾルゲル法においては、塩基性含水溶液中にシリカ原料化合物のみ添加して内部コアとなるシリカを形成してから、シリカ原料化合物と縮合性金属酸化物原料化合物の混合物を添加して前記内部シリカコアの周りに複合酸化物層を成長させると、得られる球状粒子の粒度分布を良好なものとすることができる(粒子径のそろった球状粒子が得られる)とされており(特許文献3)、歯科用充填材として使用されるシリカ-チタン族系複合酸化物球状粒子においてもそのような方法で製造されることが多い(たとえば、特許文献2の製造例5及び6参照)。
【0005】
デジタル技術の進展に伴い近年急速に普及が進んでいる歯科切削加工用ブランクにおいても、上記したようなシリカ-チタン族系複合酸化物を配合したHRで構成された被切削加工部を有する歯科切削加工用ハイブリッドレジン系ブランク(以下、歯科切削加工用ハイブリッドレジン系ブランクを単に「HRブランク」ともいう。)が知られている(特許文献4参照。)。なお、歯科切削加工用ブランクとは、コンピュータ支援設計(CAD:Computer Aided Design)及びコンピュータ支援製造(CAM:Computer Aided Manufacturing)技術を用いた切削加工システム(CAD/CAMシステム)の切削加工機に取り付け可能にした専用被切削体(ミルブランクとも呼ばれる。)意味し、通常は、非金属材料からなる所定形状のブロック状被切削加工部とこれを切削加工機に取り付けるための部材とを有する。そして、CAD/CAMシステムにより、被切削加工部を、口腔内形状や模型形状等のデジタル情報に基づきCADにより設計された補綴物形状に切削加工して(CAM)して、目的とする形状の歯科用修復物が高精度に作製される。
【0006】
ところで、HRを歯科用補綴物材料として使用する場合には、審美性の観点から顔料等の着色剤を用いて天然歯牙の色(色相と、明度及び彩度の混合指標との組み合わせからなる指標、又は色相、明度及び彩度を考慮した指標で表される。以下このような指標で特定される色を「シェード」ともいう。)と近似した色に調色されたものを使用する必要がある。天然歯牙の色(シェード)には個人差があるため、HRやCRの製品については、通常、互い異なる所定の色(シェード)に調色したものを複数準備し、その中から修復する歯牙の色或いはその周囲の歯牙の色(シェード)をとマッチするものを選定して使用するのが一般的である。
【0007】
このような色(シェード)の選定(一般に、「シェードテイキング」と言われる。)は、シェードガイドと呼ばれる歯牙の色調見本を用いて行われるのが一般的である。シェードガイドには、色見本の数や色見本を保持する保持用器具の構成等が色の判定作業をしやすいように工夫された様々なものがあるが、全16種の色の見本からなり、該シェードガイドと修復部位および周囲の歯の色とを照らし合わせることで修復部位の色を決定することができるVITA社製の“VITA Classical”(商品名)が、最も広く普及している。VITAシェードガイドでは、A~D系統の色を明度によって分類し記号を付して表している。すなわちA系統(赤茶)、B系統(赤黄)、C系統(灰)及びD系統(赤灰)に分類し、16シェードを明度順(明度高→低)に並べると、「B1→A1→B2→D2→A2→C1→C2→D4→A3→D3→B3→A3.5→B4→C3→A4→C4」となっており、HR製歯科材料や、CRが商品化(製品化)される場合には、(HRやCR硬化体の外観色が)上記16種のシェード或いはその中から選ばれる幾つかのシェードとなるものが取り揃えられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特公平3-10603号公報
特開平8-12305号公報
特公平1-38044号公報
特開2017-213394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らが検討したところ、特許文献2に記載されるようなゾルゲル法を用いて合成されたシリカジルコニア球状粒子を用い、特許文献2に記載されるような無機組成物として配合した歯科用硬化性組成物から得られたHRは、機械的強度、耐摩耗性及び表面滑沢性が優れたものとなることが確認された。
【0010】
一方で、調色した上記HRについては、厚さによって目視で観察される色調が異なる場合があることが判明した。具体的には、歯冠形態においてHRの厚みが薄い場合は、青味が強くなり、厚さが厚い場合には赤味が強くなる場合があることが判明した。なお、HRはある程度の透明性を有するため、厚さによって外観色の濃淡が変化することは良く知られたことであるが、厚さによって青味と赤味のバランスが変化することはほとんど認識されていない。
(【0011】以降は省略されています)
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