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公開番号
2024170898
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-11
出願番号
2023087655
出願日
2023-05-29
発明の名称
水素の製造方法
出願人
国立大学法人広島大学
代理人
弁理士法人前田特許事務所
主分類
C01B
3/06 20060101AFI20241204BHJP(無機化学)
要約
【課題】水素の製造効率を向上させることができる水素の製造方法を提供する。
【解決手段】水素の製造方法は、粉砕媒体が収容された容器を有する粉砕装置を用いて、砕料と溶媒とを粉砕混合して、メカノケミカル反応により水素を製造する。溶媒は水を含み、砕料は、メカノケミカル反応により酸化しかつ酸化された後の物質が、粉砕媒体及び容器の少なくとも一方を構成する無機物質に対する酸化剤となる無機酸化物である。
【選択図】図7
特許請求の範囲
【請求項1】
粉砕媒体が収容された容器を有する粉砕装置を用いて、砕料と溶媒とを粉砕混合して、メカノケミカル反応により水素を製造する水素の製造方法であって、
前記溶媒は水を含み、
前記砕料は、前記メカノケミカル反応により酸化した後の物質が、前記粉砕媒体及び前記容器の少なくとも一方を構成する無機物質に対する酸化剤となる無機酸化物であることを特徴とする水素の製造方法。
続きを表示(約 840 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の水素の製造方法において、
前記砕料は、酸化クロム(Cr
2
O
3
)、酸化鉄(III)(Fe
2
O
3
)、又は酸化ニッケル(II)(NiO)であることを特徴とする水素の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の水素の製造方法において、
前記粉砕媒体及び前記容器の少なくとも一方は、ステンレス鋼であることを特徴とする水素の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の水素の製造方法において、
前記粉砕装置は、粉砕媒体としてボールを用いた遊星ボールミル装置であり、
前記遊星ボールミル装置の回転数は、200rpm~700rpmであることを特徴とする水素の製造方法。
【請求項5】
粉砕媒体が収容された容器を有する粉砕装置を用いて、砕料と、溶媒と、反応促進材とを粉砕混合して、メカノケミカル反応により水素を製造する水素の製造方法であって、
前記溶媒は水を含み、
前記砕料は、前記メカノケミカル反応により酸化しかつ酸化された後の物質が、前記反応促進材を構成する無機物質に対する酸化剤となる無機酸化物であることを特徴とする水素の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の水素の製造方法において、
前記砕料は、酸化クロム(Cr
2
O
3
)であることを特徴とする水素の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の水素の製造方法において、
前記反応促進材は、鉄粒子であることを特徴とする水素の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の水素の製造方法において、
前記粉砕媒体及び前記容器は、ジルコニア(ZrO
2
)であることを特徴とする水素の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、水素の製造方法に関する技術分野に属する。
続きを表示(約 1,500 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの利用推進が世界中で求められている。その1つとして、水素をエネルギー源として用いることが提案されている。例えば、自動車用の燃料電池においては、水素が燃料として使用されている。また、水素自体を気体燃料として用いることもある。これらの自動車の排ガスには、二酸化炭素が含まれないため、水素エネルギーは、地球温暖化や環境汚染を抑制することができるエネルギー源として注目されている。
【0003】
従来、水素の製造方法としては、天然ガスなどの化石燃料を水蒸気改質させる方法が知られている。しかしながらこの方法では、水素を製造する過程で二酸化炭素が発生してしまう。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に記載の製造方法のように、粉砕媒体が収容された容器を有する遊星ボールミルを用いて、ケイ素(Si)やアルミニウム(Al)等の無機物質と溶媒とを粉砕混合して、メカノケミカル反応により水素を製造する、ことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2016-47789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に、無機物質の表面、特に金属の表面には、空気中の酸素と反応して生成された酸化膜が形成されている。無機物質の一部が酸化膜となっているため、実際の無機物質単体の量は理論上の量よりも小さい。特に、無機物質が粉末状のときには、表面積が広くなるため、酸化膜の割合もその分増加してしまう。酸化膜の割合が増加すると、砕料の物質量に対する水素の製造効率が低下してしまう。一方で、メカノケミカル反応を効率的に進行させるには、砕料の表面積が広い方が好ましい。
【0007】
特許文献1に記載のように、無機物質を用いる場合には前記のようなトレードオフの関係が生じる。したがって、水素の製造効率を向上させるには改良の余地がある。
【0008】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水素の製造効率を向上させることができる水素の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様では、粉砕媒体が収容された容器を有する粉砕装置を用いて、砕料と溶媒とを粉砕混合して、メカノケミカル反応により水素を製造する水素の製造方法を対象として、前記溶媒は水を含み、前記砕料は、前記メカノケミカル反応により酸化した後の物質が、前記粉砕媒体及び前記容器の少なくとも一方を構成する無機物質に対する酸化剤となる無機酸化物である、という構成とした。
【0010】
すなわち、無機酸化物と水との間でメカノケミカル反応が進行すると、無機酸化物が酸化されて、より酸化数の大きい酸化物が生成される。このとき、水が還元されて、水素が発生する。生成された酸化物(より酸化数の大きい酸化物)が、粉砕媒体及び容器の少なくとも一方を構成する無機物質に対する酸化剤となれば、メカノケミカル反応により、該無機物質は酸化する。一方で、酸化された無機酸化物は還元されて、元の無機酸化物が生成される。その後、還元された無機酸化物がメカノケミカル反応により酸化されると、再び水素が発生する。これが繰り返されることで、水素が製造され続ける。
(【0011】以降は省略されています)
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