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公開番号2025074590
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-14
出願番号2023185510
出願日2023-10-30
発明の名称流体解析方法、流体解析装置及びプログラム
出願人国立大学法人広島大学
代理人個人
主分類G01M 10/00 20060101AFI20250507BHJP(測定;試験)
要約【課題】時間変動の速い成分を表す局所成分と、時間変動の遅い成分を表す平均成分を含む環境流体の変動解析では、局所の空間解像度から要求される時間刻みは実質的に要求される時間スケールに対して遥かに小さくなり、解析期間全体で多くの繰り返し演算が要求されることとなり、演算時間が膨大になるため、高い精度の計算を効率よく行うことが困難となっている。
【解決手段】対象とする実現象の時間スケールを定数分の1に縮めた短い期間を計算することで計算時間の短縮を図るために、現在時刻ステップにおける環境流体の変動量に基づいて、次時刻ステップにおける変動量の平均成分を定数倍増幅させることで実際の時間スケールの変化を考慮した演算を行い、演算された種々の変動量の時間変化を、定数倍に引き伸ばすことにより、実際の時間スケールにおける変動量の時間変化の演算を高速かつ高精度に行う。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
時間変動の速い成分を表す局所成分と、時間変動の遅い成分を表す平均成分とを含む環境流体の変動解析を行う環境流体解析方法であって、
現在時刻ステップにおける前記環境流体の変動量に基づいて、次時刻ステップにおける前記変動量を実際の時間スケールに基づく解析に対して加速して演算する次時刻変動量演算処理を繰り返し実行することにより、前記変動量の時間変化を演算する加速演算工程と、
前記加速演算工程で演算された前記変動量の時間変化に基づいて、実際の時間スケールに戻すように前記変動量の時間変化を演算する引き伸ばし工程と、を含み、
前記加速演算工程では、
次時刻ステップの前記変動量と前記現在時刻ステップの前記変動量との差分を演算し、
前記差分を平均して得られる差分平均値を演算し、
前記差分平均値に、前記局所成分による前記環境流体の変動に対して前記平均成分による前記環境流体の変動が十分に小さい範囲で予め定められた定数を乗じて得られる加速平均値を演算し、
前記現在時刻ステップにおける変動量と、前記差分と、前記加速平均値との和によって次時刻ステップの前記変動量を演算し、
前記引き伸ばし演算工程では、
前記加速演算工程で演算された前記変動量の時間変化を、前記定数に基づいて引き伸ばすことにより、実際の時間スケールにおける前記変動量の時間変化を演算する、
ことを特徴とする環境流体解析方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記平均は、解析領域の一部又は全部の空間平均である、
ことを特徴とする請求項1に記載の環境流体解析方法。
【請求項3】
前記平均は、前記変動量の時間変化の平均である、
ことを特徴とする請求項1に記載の環境流体解析方法。
【請求項4】
前記環境流体は、河川を流れる水であり、
前記変動量は、河川の水深である、
ことを特徴とする請求項1に記載の環境流体解析方法。
【請求項5】
時間変動の速い成分を表す局所成分と、時間変動の遅い成分を表す平均成分とを含む環境流体の変動解析を行う環境流体解析装置であって、
現在時刻ステップにおける前記環境流体の変動量に基づいて、次時刻ステップにおける前記変動量を実際の時間スケールに基づく解析に対して加速して演算する次時刻変動量演算処理を、繰り返し実行することにより、前記変動量の時間変化を演算する加速演算部と、
前記加速演算部で演算された前記変動量の時間変化に基づいて、実際の時間スケールに戻すように前記変動量の時間変化を演算する引き伸ばし演算部と、を備え、
前記加速演算部は、
次時刻ステップの前記変動量と前記現在時刻ステップの前記変動量との差分を演算し、
前記差分を平均して得られる差分平均値を演算し、
前記差分平均値に、前記局所成分による前記環境流体の変動に対して前記平均成分による前記環境流体の変動が十分に小さい範囲で予め定められた定数を乗じて得られる加速平均値を演算し、
前記現在時刻ステップにおける変動量と、前記差分と、前記加速平均値との和によって次時刻ステップの前記変動量を演算し、
前記引き伸ばし演算部は、
前記加速演算部で演算された前記変動量の時間変化を、前記定数に基づいて引き伸ばすことにより、実際の時間スケールにおける前記変動量の時間変化を演算する、
ことを特徴とする環境流体解析装置。
【請求項6】
コンピュータを、
時間変動の速い成分を表す局所成分と、時間変動の遅い成分を表す平均成分とを含む環境流体について、次時刻ステップの前記環境流体の変動量と現在時刻ステップの前記変動量との差分を演算し、
前記差分を平均して得られる差分平均値を演算し、
前記差分平均値に、前記局所成分による前記環境流体の変動に対して前記平均成分による前記環境流体の変動が十分に小さい範囲で予め定められた定数を乗じて得られる加速平均値を演算し、
前記現在時刻ステップにおける変動量と、前記差分と、前記加速平均値との和によって次時刻ステップの前記変動量を演算することにより、次時刻ステップにおける前記変動量を実際の時間スケールに基づく解析に対して加速して演算する次時刻変動量演算処理を繰り返し実行することにより、前記変動量の時間変化を演算する加速演算部、
前記加速演算部で演算された前記変動量の時間変化を、前記定数に基づいて引き伸ばすことにより、実際の時間スケールに戻すように前記変動量の時間変化を演算する引き伸ばし演算部、
として機能させるプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、流体解析方法等に関し、より詳細には河川、海洋、大気等の環境流体の状態変動の解析を行う流体解析方法、流体解析装置及びプログラムに関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、計算機技術の発展により、河川、海洋、大気等の環境流体の数値解析は、幅広い分野において実用的に応用されるようになっている。例えば、気候変動にともなって発生頻度が増加している豪雨災害に関して、洪水流、氾濫流等の解析の重要性が高まっている。
【0003】
精度よく環境流体の数値解析を行うためには、複雑な境界形状や渦、波運動を計算できるように解析対象領域の空間解像度を高くするとともに、空間解像度に基づいて設定される演算の時間刻みを小さくすることが求められる。しかしながら、河川、海洋、大気等の環境流体を解析する場合、解析領域は一般的に数キロメートル以上の解析の解像度に比べて遥かに大きな空間スケールで生じる長い時間スケールの現象が対象となるため、空間解像度を高くし、それに伴って時間刻み等を小さくすると、演算負荷が大きくなり、演算に要する時間が飛躍的に大きくなる。
【0004】
流体解析に係る演算を効率的に行う方法として、例えば特許文献1には、2種類の時間積分法を用いることにより、流れを支配する微分方程式の有限差分法による解析を安定して効率的に進める方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、移動境界を含む流体の数値流体解析において、メモリ容量を小さくするとともに、演算時間を短くする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平8-263470号公報
特開平6-75938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば上述した洪水流、氾濫流の解析を含む環境流体の解析では、解析結果として実質的に要求される時間スケールは日以上の洪水、氾濫継続時間における10分程度の間の緩やかな時間変化であることが多いのに対して、構造物などの境界や局所的な流れの変化を計算するためには数メートル以下の空間解像度が必要で、それに要求される時間スケールは秒以下となる。したがって、局所の空間解像度から要求される時間刻みは実質的に要求される時間スケールに対して遥かに小さくなり、解析期間全体で多くの繰り返し演算が要求されることとなり、演算時間が膨大になってしまう。
【0008】
特許文献1、2は、いずれも方程式の解を数値的に効率的に解こうとする技術に関するものである。しかしながら、要求される空間解像度から決まる演算の時間刻みと、解析結果に要求される時間解像度の差を埋めることは難しい。すなわち、実質的に解析結果に要求される大きい時間スケールに比べ、局所的な空間スケールを考慮する時間スケールが小さいために、期間全体の計算を短時間で行うことは難しい。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、高い精度で効率よく環境流体解析を行うことができる流体解析方法、流体解析装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の第1の観点に係る環境流体解析方法は、
時間変動の速い成分を表す局所成分と、時間変動の遅い成分を表す平均成分とを含む環境流体の変動解析を行う環境流体解析方法であって、
現在時刻ステップにおける前記環境流体の変動量に基づいて、次時刻ステップにおける前記変動量を実際の時間スケールに基づく解析に対して加速して演算する次時刻変動量演算処理を繰り返し実行することにより、前記変動量の時間変化を演算する加速演算工程と、
前記加速演算工程で演算された前記変動量の時間変化に基づいて、実際の時間スケールに戻すように前記変動量の時間変化を演算する引き伸ばし工程と、を含み、
前記加速演算工程では、
次時刻ステップの前記変動量と前記現在時刻ステップの前記変動量との差分を演算し、
前記差分を平均して得られる差分平均値を演算し、
前記差分平均値に、前記局所成分による前記環境流体の変動に対して前記平均成分による前記環境流体の変動が十分に小さい範囲で予め定められた定数を乗じて得られる加速平均値を演算し、
前記現在時刻ステップにおける変動量と、前記差分と、前記加速平均値との和によって次時刻ステップの前記変動量を演算し、
前記引き伸ばし演算工程では、
前記加速演算工程で演算された前記変動量の時間変化を、前記定数に基づいて引き伸ばすことにより、実際の時間スケールにおける前記変動量の時間変化を演算する。
(【0011】以降は省略されています)

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