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公開番号2025025041
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2023129479
出願日2023-08-08
発明の名称メタン発酵菌叢の馴化培養方法
出願人国立大学法人広島大学
代理人弁理士法人前田特許事務所
主分類C12N 1/20 20060101AFI20250214BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】メタン発酵菌叢の馴化培養方法において、低コスト且つ容易な方法でアンモニア及び塩に耐性を示すメタン発酵菌叢を獲得する。
【解決手段】糖類、ペプトン及び酵母エキスを含む模擬排水、種汚泥、pH調整剤、並びに、無機塩を混合して培養し、消化された前記模擬排水を補うために、培養途中で培地へ前記模擬排水を添加することを含み、前記模擬排水を添加すること、及び、前記模擬排水が消化されることにより、培地内のアンモニア態窒素濃度及び塩濃度を滑らかに上昇させる。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
メタン発酵菌叢の馴化培養方法であって、
糖類、ペプトン及び酵母エキスを含む模擬排水、種汚泥、pH調整剤、並びに、無機塩を混合して培養し、
消化された前記模擬排水を補うように、培養途中で培地へ前記模擬排水を添加することを含み、
前記模擬排水を添加すること、及び、前記模擬排水が消化されることにより、培地内のアンモニア態窒素濃度及び塩濃度を滑らかに上昇させることを特徴とする馴化培養方法。
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
前記無機塩は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンから選択される陽イオンと、塩化物イオンの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の馴化培養方法。
【請求項3】
前記無機塩は、塩化アンモニウムであり、混合物全体に対して1~3g/Lとなるように配合されることを特徴とする請求項1に記載の馴化培養方法。
【請求項4】
前記無機塩は、塩化ナトリウムであり、混合物全体に対して10g/L以下となるように配合されることを特徴とする請求項1に記載の馴化培養方法。
【請求項5】
前記模擬排水は、糖類、ペプトン及び酵母エキスを、COD
Cr
4~5g/L及びTN200~300mg/Lとなるような組成比率で含むことを特徴とする請求項1に記載の馴化培養方法。
【請求項6】
前記種汚泥は、食品工場の排水から採取された汚泥であることを特徴とする請求項1に記載の馴化培養方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、馴化培養方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来より、食品廃棄物や家畜糞尿等の有機性廃棄物を含む排水を処理する技術として、メタン発酵がある。メタン発酵は、有機物分解、酸生成、メタン生成等を担う複数の微生物種が、群集を構成して機能することで有機物を最終的にバイオガス(メタン及び二酸化炭素)へ変換する。また、このような排水中には多くの窒素化合物が含まれており、メタン発酵による消化過程において、アンモニアが生産される。排水中に含まれる有機物や窒素化合物から生産されるメタン及びアンモニアを取り出してエネルギーとして利用することで、資源の有効活用が可能となる。
【0003】
排水中に含まれる有機物や窒素化合物は希薄であるため、メタン及びアンモニアを取り出すためには、排水を濃縮することが必要である。近年、有機性廃棄物を含む排水を膜濃縮技術によって濃縮してメタン発酵を行うプロセスの構築が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第6046373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、排水を濃縮すると排水中のアンモニア濃度及び塩濃度が上昇し、メタン発酵が阻害されるという問題がある。この問題への対策として、アンモニア及び塩に耐性を示すメタン発酵菌叢を獲得することが必要である。
【0006】
ある物質に対して耐性を有する微生物群集を人為的に得る方法として馴化培養がある。特許文献1には、好気性の硝化菌を高濃度のアンモニア環境で馴化培養することが開示されている。一般的に馴化培養を行う場合、例えば、アンモニアへの耐性を示す菌叢を獲得するためには、アンモニウムイオンを一定期間毎に培地へ添加する方法や、特許文献1のように、一定期間毎に培地を入れ替え、その都度培地のアンモニウムイオン濃度を高くする方法が行われる。このような従来の馴化培養のように、適応させたい物質を直接培地へ添加する方法は、その物質の濃度や培地のpHが急激に変化するなどして微生物群集の活性が阻害されないようリアクターによって制御や監視を行うことが必要であり、設備投資や維持管理のために多大なコストがかかるという課題がある。
【0007】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、メタン発酵菌叢の馴化培養方法において、低コスト且つ容易な方法でアンモニア及び塩に耐性を示すメタン発酵菌叢を獲得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく、本開示では、培地へアンモニウム塩等の適応させたい物質の直接添加を主とするのではなく、模擬排水を添加するようにした。
【0009】
具体的に、ここに開示するメタン発酵菌叢の馴化培養方法は、
糖類、ペプトン及び酵母エキスを含む模擬排水、種汚泥、pH調整剤、並びに、無機塩を混合して培養し、
消化された前記模擬排水を補うために、培養途中で前記模擬排水を添加することを含み、
前記模擬排水を添加すること、及び、前記模擬排水が消化されることにより、培地内のアンモニア態窒素濃度及び塩濃度を滑らかに上昇させることを特徴とする。
【0010】
本開示の馴化培養方法によれば、培地へ直接アンモニウム塩等を加えてアンモニア態窒素濃度を急激に上昇させるのではなく、添加した模擬排水が消化されることにより、系内に少しずつアンモニウムイオンが蓄積され、アンモニア態窒素濃度及び塩濃度を滑らかに上昇させることが可能である。これにより、アンモニウムイオンの濃度やpHの監視等の制御は不要となり、リアクター等の特別な設備や高度な管理技術を必要としないため、低コスト且つ容易にアンモニア及び塩に耐性を示すメタン発酵菌叢を獲得することが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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