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公開番号2024119912
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-03
出願番号2024093105,2020538457
出願日2024-06-07,2019-08-21
発明の名称化合物の特定形状の結晶及びその製造方法
出願人東和薬品株式会社,国立大学法人 東京大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07C 213/10 20060101AFI20240827BHJP(有機化学)
要約【課題】化合物の特定形状の結晶(特に球晶)を再現性良く得るための方法の提供。
【解決手段】化合物の特定形状の結晶(特に球晶)の製造方法であって、(1)臨界過飽和度以上の過飽和度を有する化合物の過飽和溶液を調製する工程;及び(2)前記過飽和溶液から化合物の特定形状の結晶(特に球晶)を析出させる工程を含む、方法に関する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
化合物の球晶の製造方法であって、
(1)前記化合物の球晶を得るために必要な臨界過飽和度以上の過飽和度を有する、前記化合物の過飽和溶液を調製する工程;及び
(2)前記過飽和溶液から化合物の球晶を析出させる工程
を含む、方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記工程(1)は、臨界過飽和度以上の過飽和度に到達するまでに核形成を起こさない条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(1)において、臨界過飽和度以上の過飽和度に到達するまでに生成した結晶核を除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
球晶として得られる化合物に関する情報と、
結晶化に使用される溶媒に関する情報及び結晶化時の溶液温度のうち少なくとも1つと
を含むデータを、前記化合物の球晶を得るために必要な臨界過飽和度の予測モデルに入力して、前記予測モデルから前記臨界過飽和度の予測値を出力する工程をさらに含み、
前記工程(1)における臨界過飽和度が前記予測値である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記予測値が数値範囲として出力される場合、前記工程(1)における臨界過飽和度が前記数値範囲の下限値である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記臨界過飽和度が実測値である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記球晶の球形度が0.60以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
球晶として得られる化合物が、以下の(1)及び(2)から選択される化合物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法:
(1)以下の式Iで表される化合物、又はその互変異性体、又はそれらの光学異性体、又はそれらの塩、又はそれらの溶媒和物:
JPEG
2024119912000033.jpg
67
167
[式中、
Xは、CH又はNであり、

1
は水素原子であるか、又は置換されていても良いC
1-6
アルコキシ基であり、

2
、R
3
及びR
4
は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換されていても良いC
1-6
アルキル基、置換されていても良いC
1-6
アルコキシ基、又は置換されていても良いアミノ基を示す];
(2)アジスロマイシン、デュロキセチン、クラリスロマイシン、炭酸ランタン、グルタミン酸、クロピドグレル、ケトチフェン、エスシタロプラム、ダビガトランエテキシラート、テオフィリン、テネリグリプチン、ピルシカイニド、トラマドール、ビルダグリプチン、リナグリプチン、グルタチオン、ミラベグロン、トルバプタン、バラシクロビル、ベポタスチン、オロパタジン又はそれらの光学異性体、又はそれらの塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項9】
球晶として得られる化合物が、エソメプラゾール若しくはランソプラゾール、又はそれらの塩、又はそれらの溶媒和物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
球晶として得られる化合物が、エソメプラゾールマグネシウム3水和物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物の特定形状の結晶及びその製造方法に関する。特に本発明は、化合物の球晶及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
化合物の粉体特性は、その結晶形状によって大きく影響される。そのため、結晶形状を制御する方法は医薬品製造分野、農薬製造分野、食品製造分野、印刷技術及び有機電子デバイス分野などにおいて幅広い応用可能性を有する。
【0003】
化合物の結晶形状は、結晶の成長機構と密接に関係している。結晶成長の駆動力あるいは不純物の増加に伴い、渦巻き成長や二次元核成長などによって単結晶である多面体結晶から骸晶(結晶面上に凹部のある結晶)、対称な樹枝状結晶へと変化する。駆動力あるいは不純物がさらに増加すると、付着成長によって多結晶である非対称な樹枝状結晶となり、最終的には球晶(spherulite)となる(非特許文献1)。
【0004】
球晶は比表面積が最も小さい結晶形状であることから、医薬品や農薬、食品、電子材料など多くの化学製品の製造プロセスにおいて様々な利点を有している。すなわち、結晶化工程で固液分離する際には、濾過性が高いことから操作時間が短くて済み、洗浄操作の効率が高く高純度の結晶を得ることができる。さらに製造機器への充填性が高いため、これらの操作において一回の処理量を増やすことができる。また、球晶を加工する工程においても流動性、充填性の向上による生産性の向上が見込まれる。例えば医薬製剤の製造工程において、微細な医薬品原薬は、付着凝集性、流動性、充填性及びぬれが悪く、そのままの状態では製剤化が困難な場合がある。この場合、従来、各種の賦形剤を加えて顆粒状などに造粒してから製剤化が行われる。しかし、原薬が球晶であれば高い流動性及び充填性を有するため、このような造粒操作が不要であり、直接打錠やコーティングができるという利点がある(特許文献1)。
【0005】
単一の化合物の均一溶液から放射状に結晶化して球晶を得る球形晶析法に対して、水および水混和性有機溶媒(エタノール等)へ、化合物を溶解した双方に混和しない有機溶媒(ジクロロメタン等)を加えることで擬エマルションを形成し、溶媒拡散によって得た微結晶を系内で直接球状に集積した球形凝集体(spherical agglomerate)を得る球形造粒法も知られている(特許文献1及び2)。この製法では、適用できる化合物がジクロロメタン等のハロゲン系溶媒に溶解するものに限定されるだけでなく、医薬品製造分野等ではハロゲン系溶媒の毒性の高さのために厳格な残留溶媒管理が必要である。一方で、ハロゲン系溶媒を用いる代わりに界面活性剤を用いてエマルションを形成する手法も知られている(非特許文献2)。この手法では、良溶媒に溶解している化合物はすべて結晶化するため、結晶化による精製効果が本質的に期待できない。したがって、あらかじめ高度に精製した化合物を原料とする必要があるため、化学製品の製造プロセスの生産性を向上するという用途には使用できない。以上のことから、単一の化合物の均一溶液から球晶を得る球形晶析法は適用範囲や応用範囲がより広いため、産業上の有用性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開昭58-143832号公報
特開平1-279869号公報
【非特許文献】
【0007】
砂川一郎「結晶 成長,形,完全性」,共立出版(東京,2003年),第3章pp.47~48
F. Espitalier, B. Biscans, J.-R. Authelin, C. Laguerie, Institution of Chemical Engineers, 1997, 75(2), pp.257-267
L. Granasy,et al., Nature Materials 2004, vol. 3, pp. 645-650
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
所望の形状を有する結晶を必要に応じて調製できる普遍的な方法は現時点で存在しない。特に上記の通り化合物の球晶は産業上の有用性が高いことから、あらゆる化合物の球晶を再現性良く製造できる方法が望まれている。
【0009】
球晶は化合物の種類によらず普遍的に観察される結晶形状であるが、高分子や鉱物、無機材料などの化合物から得られる例が多く、医薬品原薬や中間体、農薬などの分子性化合物から得られる例は比較的少ない。また、化合物の過冷却状態から球晶が得られる例は多く、過冷却度が増加するにつれて回転運動が並進運動よりも相対的に遅くなり、結晶表面において非結晶学的方位での核化が起こることによって結晶が分岐して多結晶化し、最終的に球晶となることが理論研究から示唆されている(非特許文献3)。一方で、化合物の過飽和溶液からの結晶化は、ファインケミカルの製造では一般的な晶析プロセスであり産業上の重要性が高いが、球晶が得られる例は少数であり理論研究も十分に行われていない。そのため、化合物の過飽和溶液から球晶を再現性よく得るという課題を統一的に解決することは困難であり、試行錯誤によるところが大きい。このことは製品開発期間の短縮の大きな妨げとなっている。したがって、化合物の過飽和溶液から球晶を得る手法を体系的に研究開発することは産業上有用である。
【0010】
本発明は、所望の形状を有する化合物の結晶を再現性良く得るための方法の提供を課題とする。特に本発明は、化合物の球晶を再現性良く得るための方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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