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公開番号
2024118072
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-30
出願番号
2023024255
出願日
2023-02-20
発明の名称
細胞培養方法および細胞培養装置
出願人
澁谷工業株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C12N
1/00 20060101AFI20240823BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】 内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場を用いた細胞培養において、より効率的な培養を行う。
【解決手段】 内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場2に細胞を播種し、当該細胞の播種された培養用足場2を培養容器3に収容した培地Mに浸漬させて、上記細胞を培養する細胞培養方法および細胞培養装置1に関する。
上記培養用足場2は繊維によって構成されるとともに、厚さ方向に弾性変形可能に構成されている。
細胞を培養する際、上記細胞の播種された上記培養用足場2を厚さ方向に圧縮し、圧縮した状態で培養用足場2を培地Mに浸漬させて繊維に細胞を接着させて培養する。
その後、上記培養用足場2の圧縮量を低減させて、厚さ方向に復元した状態で培養用足場2を培地Mに浸漬させて培養を継続する。
【選択図】 図6
特許請求の範囲
【請求項1】
内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場に細胞を播種し、当該細胞の播種された培養用足場を培養容器に収容した培地に浸漬させて細胞を培養する細胞培養方法において、
上記培養用足場は繊維によって構成されるとともに、厚さ方向に弾性変形可能に構成され、
細胞を培養する際、上記細胞の播種された培養用足場を厚さ方向に圧縮し、圧縮した状態で培養用足場を培地に浸漬させて繊維に細胞を接着させて培養し、
その後、上記培養用足場の圧縮量を低減させて、厚さ方向に復元した状態で培養用足場を培地に浸漬させて培養を継続することを特徴とする細胞培養方法。
続きを表示(約 770 文字)
【請求項2】
上記培養用足場に細胞を播種する際、
上記培養用足場に細胞懸濁液を浸透させ、
その後上記培養用足場を圧縮して、細胞懸濁液を培養用足場の細部に行き渡らせることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養方法。
【請求項3】
上記培養用足場で細胞を培養する際、
上記培養用足場の圧縮量の低減に伴って、上記培養容器に収容する培地の量を増加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の細胞培養方法。
【請求項4】
上記培養用足場で細胞を培養する際、
上記培養用足場を、圧縮した状態を維持したまま浸漬させた培地から取り出し、再び培地に浸漬させて培養を継続することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の細胞培養方法。
【請求項5】
上記培養用足場の圧縮量を低減して、圧縮しない状態で培養を行った後に、上記培養容器に収容する培地の量を増加させて、再び圧縮しない状態で培養を行うことを特徴とする請求項3に記載の細胞培養方法。
【請求項6】
内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場に細胞を播種し、当該細胞の播種された培養用足場を培養容器に収容した培地に浸漬させて細胞を培養する細胞培養装置において、
上記培養用足場は繊維によって構成されるとともに、厚さ方向に弾性変形可能に構成され、
上記培養用足場を培養容器の内部で圧縮する圧縮手段を設け、
上記圧縮手段は、上記培養用足場に播種された細胞を培養する際、上記培養用足場を圧縮した状態を維持することを特徴とする細胞培養装置。
【請求項7】
上記圧縮手段による上記培養用足場の圧縮量を変更可能としたことを特徴とする請求項6に記載の細胞培養装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞培養方法および細胞培養装置に関し、詳しくは内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場で細胞を培養する細胞培養方法および細胞培養装置に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、細胞の培養方法には様々な方法が知られているが、たとえば内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場で細胞を培養するものが知られている(特許文献1)。
上記特許文献1では、上記培養用足場として不織布や多孔質膜などの内部に液体が浸透するシート状の培養用足場を用いており、これらのシート状の培養用足場を培養容器に収容された培地に浸漬させることで、培養用足場の内部に培地が浸透して内部で細胞が培養されるようになっている。
また上記特許文献1では、1枚のシート状の培養用足場においてある程度細胞が培養されると、細胞を培養している培養用足場に新たなシート状の培養用足場を密着させて、細胞を継代させることにより培養を継続するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6502392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1で用いられるようなシート状の培養用足場を用いる場合、培養用足場の厚さを厚く設定すれば内部に多くの細胞を取り込むことができることから、より多くの細胞を培養することが期待できる。
しかしながら、細胞を培養するためには上記培養用足場を培地に浸漬させなければならないが、細胞を播種した直後は培養用足場における細胞密度が小さく、内部に保持している細胞の数に対して過剰な培地を使用することとなるため、培地のロスが大きいという問題が生じる。
また特許文献1では、細胞の培養された培養用足場に新たなシート状の培養用足場を密着させて継代を行っているが、その作業が煩雑であった。
このような問題に鑑み、本発明は内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場を用いて細胞を培養する場合において、培地の使用量を抑えるとともに継代操作を簡略化することが可能であり、より効率的に培養を行うことが可能な細胞培養方法および細胞培養装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる細胞培養方法は、内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場に細胞を播種し、当該細胞の播種された培養用足場を培養容器に収容した培地に浸漬させて細胞を培養する細胞培養方法において、
上記培養用足場は繊維によって構成されるとともに、厚さ方向に弾性変形可能に構成され、
細胞を培養する際、上記細胞の播種された培養用足場を厚さ方向に圧縮し、圧縮した状態で培養用足場を培地に浸漬させて繊維に細胞を接着させて培養し、
その後、上記培養用足場の圧縮量を低減させて、厚さ方向に復元した状態で培養用足場を培地に浸漬させて培養を継続することを特徴としている。
また請求項6の発明にかかる細胞培養装置は、内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場に細胞を播種し、当該細胞の播種された培養用足場を培養容器に収容した培地に浸漬させて細胞を培養する細胞培養装置において、
上記培養用足場は繊維によって構成されるとともに、厚さ方向に弾性変形可能に構成され、
上記培養用足場を培養容器の内部で圧縮する圧縮手段を設け、
上記圧縮手段は、上記培養用足場に播種された細胞を培養する際、上記培養用足場を圧縮した状態を維持した状態を維持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、培養用足場を繊維によって構成するとともに、厚さ方向に弾性変形可能なものとしているため、細胞の播種された培養用足場を圧縮させることで、培養用足場の全体を浸漬させるために必要な培地の量を少なくすることができる。
また、培養が進行して細胞が増殖したら、培養用足場の圧縮量を低減させれば培養用足場が厚さ方向に復元して容積が拡大するため、特許文献1のように新たな培養用足場に細胞を継代させる必要がなく、継代操作を簡略化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
第1実施形態にかかる細胞培養装置の構成図
細胞培養方法を説明するフロー図
懸濁液供給作業を説明する図
分散作業、接着作業を説明する図
培地供給作業を説明する図
圧縮培養を説明する図
圧縮しない状態での培養を説明する図
最終培養を説明する図
各回収工程を説明する図
第2実施形態にかかる細胞培養装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施形態について説明すると、図1は細胞の培養を行う細胞培養装置1を示しており、当該細胞培養装置1は培養に適した環境に維持された図示しないインキュベータ内に設置されている。
上記細胞培養装置1は、内部に液体が浸透するよう構成された培養用足場2を用いて細胞の培養を行うようになっており、当該培養用足場2は培養容器3に収容された培地Mに浸漬されるようになっている。
上記培養容器3は、培地Mを収容可能な外容器3Aと、当該外容器3Aの内部に収容されるとともに、上記培養用足場2を収容する内容器3Bとから構成されている。
そして上記細胞培養装置1は、上記培養容器3の外容器3Aを昇降させる外容器昇降手段4と、上記内容器3Bを所定の高さに支持する内容器支持手段5と、上記培養容器3内の培養用足場2を圧縮する圧縮手段6とから構成され、これらはコンピュータなどからなる図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
本実施形態において培養する細胞は、間葉系幹細胞であって足場依存性の接着細胞であり、上記培養用足場2を構成する繊維に接着した状態で増殖する性質を有している。
【0009】
上記培養用足場2は繊維によって構成されるとともに、厚さ方向に弾性変形可能に構成されたものとなっている。ここで厚さ方向に弾性変形可能とは、所定の厚さを有する培養用足場2を厚さ方向に圧縮した後、当該圧縮力を解放した際に厚さ方向に復元する性質を指している。
また本実施形態の培養用足場2は、厚さ1~3mmで直径が15cm程度の円盤状の足場シート2aを10~20枚程度積層させたものとなっており、上記足場シート2aとしては、伸縮性を有さない繊維を用いた一般的なダブルラッセル構造のシートを用いることができる。
上記ダブルラッセル構造の足場シート2aは、2mm程度の開口が形成されたラッセル編みによる2枚の編物を作製し、これら2枚の編物を多数の縦糸で連結することにより得ることができる。これら編物や縦糸は、太さが10~100μmのPET等のポリエステル繊維からなる糸を使用している。
このようなダブルラッセル構造を有した足場シート2aは、ラッセル編みにより形成された多数の開口や編目、2枚の編物と編物との間に設けられた多数の縦糸の間に形成される空間や間隙により、内部に液体が浸透するようになっており、また上記多数の縦糸によって厚さ方向に弾性変形する性質を有したものとなっている。そして、これらダブルラッセル構造からなる足場シート2aの編物や縦糸の繊維に細胞を接着させるようにしている。
一方、上記足場シート2aに伸縮性を有さない繊維を使用していることで、シート2aが厚さ方向に弾性変形しても繊維自体は伸縮せず、当該繊維に接着した細胞が脱落しないようにすることができる。
なお、上記足場シート2aの厚さや直径は本実施形態の寸法に限るものではなく、さらには上記培養用足場2としては、細胞培養に適した厚さや大きさを有し厚さ方向に弾性変形可能であれば、上記ダブルラッセル構造を有した足場シート2a以外を用いてもよく、また必ずしも複数枚の足場シート2aを積層させる必要もない。
【0010】
上記培養容器3は、上述したように外容器3Aと内容器3Bとから構成されており、このうち外容器3Aは上部に開口部が形成された有底円筒状を有したものとなっている。
外容器3Aの上端開口部には蓋部材3Cが装着されるようになっており、外容器3Aの開口部外周縁に設けられたフランジに対し、複数本のボルトを用いて連結されることで密閉状態が維持されるようになっている。
また蓋部材3Cには、外容器3Aの内部空間の環境を清浄に維持するためのエアフィルタを備えた通気菅7が設けられている。
(【0011】以降は省略されています)
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