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公開番号
2024114129
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-23
出願番号
2023019638
出願日
2023-02-13
発明の名称
窒化ケイ素粉末の製造方法
出願人
株式会社MARUWA
代理人
弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
主分類
C01B
21/068 20060101AFI20240816BHJP(無機化学)
要約
【課題】工程を簡略化し、および/または短時間で高α分率の窒化ケイ素粉末の合成を可能とする、窒化ケイ素粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】窒化ケイ素粉末を製造する方法は、98~99.3重量%の金属シリコン粉末と、反応触媒としての0.7~2.0重量%の酸化マグネシウム粉末とを混合して混合粉末を作製する混合工程と、混合粉末を炉内で窒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含む。加熱工程は、常圧以上の窒素雰囲気中で、炉内温度を第1の温度Tsまで昇温させる第1の昇温ステップと、炉内温度が第1の温度Tsに到達したときに、炉内の窒素圧が負圧になるまで炉内を減圧する減圧ステップと、負圧の窒素雰囲気中で、炉内温度を第1の温度Tsから第2の温度Teまで昇温させる第2の昇温ステップと、を含む。第1の温度Tsは1200℃以下であり、第2の温度Teは1250℃以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
窒化ケイ素粉末を製造する方法であって、
98~99.3重量%の金属シリコン粉末と、反応触媒としての0.7~2.0重量%の酸化マグネシウム粉末とを混合して混合粉末を作製する混合工程と、
前記混合粉末を炉内で窒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含み、
前記加熱工程は、
常圧以上の窒素雰囲気中で、炉内温度を第1の温度Tsまで昇温させる第1の昇温ステップと、
前記炉内温度が前記第1の温度Tsに到達したときに、前記炉内の窒素圧が負圧になるまで前記炉内を減圧する減圧ステップと、
負圧の窒素雰囲気中で、前記炉内温度を前記第1の温度Tsから第2の温度Teまで昇温させる第2の昇温ステップと、を含み、
前記第1の温度Tsは1200℃以下であり、前記第2の温度Teは1250℃以上であることを特徴とする方法。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記第2の昇温ステップは、50℃/h以下の昇温速度で前記炉内温度を前記第1の温度Tsから前記第2の温度Teまで昇温させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の昇温ステップにおいて、前記金属シリコン粉末と窒素ガスとの平均反応速度が5%/h以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱工程は、前記第2の昇温ステップに続いて、常圧以上の窒素雰囲気中で所定時間1350℃以上で前記混合粉末を熱処理する後熱処理ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加熱工程は、前記第2の昇温ステップに続いて、前記第1の温度Tsに到達した第1の時間ts(h)と前記第2の温度Teに到達した第2の時間te(h)との間における、前記金属シリコン粉末の重量(kg)当たりの炉内圧力P(kPa)の時間積分値Sが、-7kPa・h/kg以下であるように制御され、前記炉内圧力P(kPa)は、常圧に対する差圧値として表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の温度Tsは1100~1200℃であり、前記第2の温度Teは1250℃~1450℃であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の温度Teと前記第1の温度Tsとの温度差が90~250℃であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
窒化ケイ素粉末のα分率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合工程は、0~0.4重量%のフッ化カルシウム粉末を添加することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
窒化ケイ素粉末を製造する方法であって、
97.6~99.5重量%の金属シリコン粉末と、反応触媒としての0.4~2.0重量%の酸化マグネシウム粉末と、0.1~0.4重量%のフッ化カルシウム粉末と、を混合して混合粉末を作製する混合工程と、
前記混合粉末を炉内で窒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含み、
前記加熱工程は、
常圧以上の窒素雰囲気中で、炉内温度を第1の温度Tsまで昇温させる第1の昇温ステップと、
前記炉内温度が前記第1の温度Tsに到達したときに、前記炉内の窒素圧が負圧になるまで前記炉内を減圧する減圧ステップと、
負圧の窒素雰囲気中で、前記炉内温度を前記第1の温度Tsから第2の温度Teまで昇温させる第2の昇温ステップと、を含み、
前記第1の温度Tsは1200℃以下であり、前記第2の温度Teは1250℃以上であることを特徴とする方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ケイ素焼結体を製造する方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器や半導体デバイスの高密度化、高出力化に伴い、パワーモジュールの発熱密度が増加している。パワーモジュールの温度上昇は、素子の動作不良を引き起こしたり、絶縁回路基板の割れを引き起こしたりする要因となる。そのため、絶縁回路基板には、比較的に熱伝導率が高い材料であるアルミナや窒化アルミニウムなどのセラミック基板が用いられてきた。しかしながら、アルミナや窒化アルミニウムには、機械的強度が低いという欠点が存在する。それ故、熱応力が強くかかる厚銅をセラミック基板へ直接接合することが出来ず、パワーモジュールの構造に制約を与えてきた。具体的には、銅やアルミニウムなどの放熱板を絶縁回路基板に対して、はんだ接合する必要が生じることから、パワーモジュールが大型化することが問題として挙げられる。そこで、絶縁回路基板として注目されているのが窒化ケイ素(Si
3
N
4
)材料である。窒化ケイ素焼結体は、アルミナや窒化アルミニウム焼結体と比較して強度や破壊靭性が高いことから、絶縁回路基板へ直接厚銅を接合することが可能となり、モジュールの小型化に貢献する。
【0003】
一般的に、窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素粉末を出発原料として、少量の焼結助剤を添加し、それらを高温で焼成することによって作製される。窒化ケイ素粉末は、直接窒化法、シリカ還元法、イミド熱分解法によって製造される。特に、直接窒化法は、シリコン粉末を窒素中で熱処理することで窒化ケイ素粉末を作製する方法であり、カーボン等の不純物の混入がない利点を有することから、高性能の窒化ケイ素焼結体を作製するのに多く用いられている製法である。そして、窒化ケイ素粉末の状態が、窒化ケイ素焼結体の熱伝導性や物理的強度や耐食性などの特性に影響を与えることもまた知られている。
【0004】
窒化ケイ素には、異なる結晶相を有するα型窒化ケイ素(α-Si
3
N
4
)およびβ型窒化ケイ素(β-Si
3
N
4
)の2種類が存在する。α型窒化ケイ素は、高温(1500~1700℃の焼結温度付近)で不可逆的にβ型窒化ケイ素に相変態する性質を有する。一方で、β型窒化ケイ素は、窒化ケイ素焼結体を作製するにあたって、α型窒化ケイ素よりも焼結性の点で劣っている。すなわち、窒化ケイ素焼結体の原料粉末としての窒化ケイ素粉末において、焼結体の特性を損なわずに焼結するためにα型窒化ケイ素の比率(α分率、α化率)が高いことが望ましいとされる。それ故、α型窒化ケイ素の比率が高くかつ高純度の窒化ケイ素粉末を効率的に製造することが従来からの課題であった。
【0005】
特許文献1は、直接窒化法を用いた高α分率(高α化率)の窒化ケイ素を製造する方法を開示する。特許文献1の製造方法は、金属シリコンを含む窒化原料を窒素及び/又はアンモニアからなる反応ガスを含む雰囲気下に加熱して窒化ケイ素を製造する際に、密封可能な反応炉に、その炉内ガス容積1m
3
に対して10kg以上の金属シリコン分を含む窒化原料を充填し、それを以下の条件(1)反応速度4%/h以下、(2)窒化率10~90%における反応速度0.5%/h以上、(3)窒化率50%未満における反応速度の増加分0.6%/h
2
以下に制御して窒化原料を窒化するものである。より具体的には、市販の高純度金属シリコン粉末100重量部に窒化ケイ素粉末(電気化学工業社製商品名「SN-9FW」)を骨材として20重量部を配合し、ボールミルで混合して窒化原料とした。これをガス容積1997リットルの密閉可能な反応炉に充填し、真空排気後窒素ガスで置換してから体積比で窒素30%、アルゴン50%、水素20%の混合ガスを供給し昇温を開始した。昇温速度は、温度1150℃からは5℃/hとした。反応速度の測定は、反応炉の入口と出口において積算ガス流量計により反応ガス量を5分間毎に測定し、その差を消費ガス量として算出された金属シリコンの消費重量から求めた。反応開始温度は、いずれも1130~1140℃であり、反応開始後は、窒素ガスとアルゴンガスの流量を調節しながら反応速度を制御した。最大反応速度が4%/h以下、窒化率10~90%における最小反応速度は0.5%/h以上、窒化率50%未満における反応速度の増加分0.6%/h
2
以下に制御された。窒化終了後、窒素ガスを流しながら室温まで放冷し合成したインゴットを取り出した。得られたインゴットを0.2mm以下に粗・中砕した後、窒化ケイ素製ボールを用いた振動ミルで、窒素雰囲気下、1時間粉砕して高α分率の窒化ケイ素粉末を製造した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平7-81910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の製造方法は、炉内の反応ガス分圧を減少させて窒化反応速度を抑制することによって、高α分率の窒化ケイ素粉末を製造可能とするものである。特許文献1の方法によれば、アルゴンガスや水素ガスを用いて窒素ガスの分圧を制御することが行われており、窒素ガスの分圧の制御が煩雑な工程となることが避けられない。また、窒化ケイ素粉末の発熱量を抑えるために、窒素原料の反応速度が4%/h以下に制限されている。そのため、従来の製造方法には、最短でも25時間の合成時間(特許文献1の実施例では39時間以上)がかかり、バッチ当たりのサイクル時間が長くなるという欠点がある。そこで、発明者らは、工程を簡略化し、および/または合成時間を短縮し、窒化ケイ素焼結体をより効率的に製造する方法を提供することを課題とした。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、その目的は、工程を簡略化し、および/または短時間で高α分率の窒化ケイ素粉末の合成を可能とする、窒化ケイ素粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態の窒化ケイ素粉末の製造方法は、窒化ケイ素粉末を製造する方法であって、
98~99.3重量%の金属シリコン粉末と、反応触媒としての0.7~2.0重量%の酸化マグネシウム粉末とを混合して混合粉末を作製する混合工程と、
前記混合粉末を炉内で窒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含み、
前記加熱工程は、
常圧以上の窒素雰囲気中で、炉内温度を第1の温度Tsまで昇温させる第1の昇温ステップと、
前記炉内温度が前記第1の温度Tsに到達したときに、前記炉内の窒素圧が負圧になるまで前記炉内を減圧する減圧ステップと、
負圧の窒素雰囲気中で、前記炉内温度を前記第1の温度Tsから第2の温度Teまで昇温させる第2の昇温ステップと、を含み、
前記第1の温度Tsは1200℃以下であり、前記第2の温度Teは1250℃以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明のさらなる形態の窒化ケイ素粉末の製造方法は、上記形態の方法においてさらに、前記第2の昇温ステップは、50℃/h以下の昇温速度で前記炉内温度を前記第1の温度Tsから前記第2の温度Teまで昇温させることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)
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