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公開番号
2024112788
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-21
出願番号
2024016873
出願日
2024-02-07
発明の名称
フレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムおよび画像表示装置
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
C08J
5/18 20060101AFI20240814BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】静的耐屈曲性および動的耐屈曲性が良好なフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムおよびそのフィルムを搭載した画像表示装置を提供する。
【解決手段】温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))から、前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)を減算したΔCp-ΔHg(緩和非晶度A)が0.0以下であるフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムおよびそのフィルムが搭載された画像表示装置。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))から、前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)を減算したΔCp-ΔHg(緩和非晶度A)が0.0以下であるフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
なお、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))は、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線より得られる、JIS K7121(1987年)に準拠した示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点からガラス転移温度を求めたあと、前記ガラス転移温度における上記各ベースラインを延長した2つの直線の距離から求められる。前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)は当該不可逆曲線において観測される吸熱ピークのピーク面積から吸熱量ΔHg(単位:J/g)から求められる。
続きを表示(約 1,400 文字)
【請求項2】
温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))、前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)について、前記吸熱量ΔHg(単位:J/g)を前記比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))で除算したΔHg/ΔCpが1.0以上であるフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
なお、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))は、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線より得られる、JIS K7121(1987年)に準拠した示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点からガラス転移温度を求めたあと、前記ガラス転移温度における上記各ベースラインを延長した2つの直線の距離から求められる。前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)は当該不可逆曲線において観測される吸熱ピークのピーク面積から吸熱量ΔHg(単位:J/g)から求められる。
【請求項3】
前記吸熱量ΔHgが0.1J/gより大きい請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
【請求項4】
温度変調式示差走査熱量測定の不可逆曲線において30℃から130℃で観測される吸熱ピークの吸熱開始温度Thgが70℃以上である請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
【請求項5】
ループスティフネステスターにより測定される少なくとも1方向の曲げ剛性が1mN以上100mN以下である請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
【請求項6】
少なくとも1方向の5%伸長到達時の応力をF0m、5%伸長状態を30分保持した後の応力をF30mとした際、F30mをF0mで除したF30m/F0m(応力緩和度)が0.4以上1.0以下である請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
【請求項7】
少なくとも1方向の40℃から110℃で観測される最大収縮応力が50kPa以下である請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
【請求項8】
ナフタレンジカルボン酸に由来する成分、フルオレン基を有するジオールに由来する成分、イソソルビドに由来する成分のいずれか1つ以上を主鎖骨格中に含有するポリマー、および/またはイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有する請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
【請求項9】
固有粘度が0.60dL/g以上である請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
【請求項10】
アンチモン原子の含有量が50ppm以上130ppm以下である請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムおよび画像表示装置に関するものである。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode)と呼ばれる(OLEDと省略されることもある)自発光体を用いた画像表示装置(以下、「有機エレクトロルミネッセンス表示装置」という。)の実用化が進んでいる。この有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、自発光体を用いているため、視認性、応答速度の点で優れているだけでなく、バックライトのような補助照明装置を要しないため、表示装置としての薄膜化、フレキシブル化が可能となっている。このため、折り畳みや巻き取ること、繰り返し折り曲げが可能なフレキシブル画像表示装置の開発が加速しており、表示装置表面の傷付きを防止する表面保護フィルムや、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の内部に搭載されるOLEDの保護を目的としたサポートフィルム(バックプレートフィルムと呼ばれることもある)についても耐屈曲性が求められている。
【0003】
折りたたみ用フィルムとしては屈曲方向や折りたたみ部および厚み方向の屈折率を制御したフィルムが検討されている(特許文献1)。
【0004】
また、特定の曲げ特性に着目したフィルムが検討されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-9349号公報
国際公開第2021/182191号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ポリエステルフィルムの中でも耐屈曲性が考慮されて設計されているが、繰り返し開閉されるときの動的耐屈曲性が考慮されているだけであり、使用時以外は殆ど折りたたまれて放置されることが考慮されていない。すなわち静的耐屈曲性に対する設計が考慮されておらず、静的耐屈曲性に劣るという課題がある。また、耐屈曲性には繰り返し折り曲げ試験による動的耐屈曲性と、折り曲げた状態で一定時間静置して、その後にどの程度折り目が付いているか、といった静的耐屈曲性があるが、特許文献2については、静的耐屈曲性を発現するために特定の曲げ特性に着目しているものの、動的耐屈曲性までは考慮されておらず、静的耐屈曲性と動的耐屈曲性を両立できていないものであった。
【0007】
そこで本発明の課題は、上記した動的耐屈曲性と静的耐屈曲性を両立するフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムおよびそのフィルムが搭載された画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムおよびそのフィルムが搭載された画像表示装置は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1)温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))から、前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)を減算したΔCp-ΔHg(緩和非晶度A)が0.0以下であるフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
なお、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))は、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線より得られる、JIS K7121(1987年)に準拠した示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点からガラス転移温度を求めたあと、前記ガラス転移温度における上記各ベースラインを延長した2つの直線の距離から求められる。前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)は当該不可逆曲線において観測される吸熱ピークのピーク面積から吸熱量ΔHg(単位:J/g)から求められる。
(2)温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))、前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)について、前記吸熱量ΔHg(単位:J/g)を前記比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))で除算したΔHg/ΔCpが1.0より大きいフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
なお、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線において30℃から130℃の間で観測されるガラス転移温度における比熱差ΔCp(単位:J/(g℃))は、温度変調式示差走査熱量測定の可逆曲線より得られる、JIS K7121(1987年)に準拠した示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点からガラス転移温度を求めたあと、前記ガラス転移温度における上記各ベースラインを延長した2つの直線の距離から求められる。前記測定の不可逆曲線で30℃から130℃の間で観測される吸熱量ΔHg(単位:J/g)は当該不可逆曲線において観測される吸熱ピークのピーク面積から吸熱量ΔHg(単位:J/g)から求められる。
(3)前記吸熱量ΔHgが0.1J/g以上である(1)または(2)に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(4)温度変調式示差走査熱量測定の不可逆曲線において30℃から130℃の間で観測される吸熱ピークの吸熱開始温度Thgが70℃以上である(1)~(3)のいすれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(5)ループスティフネステスターにより測定される少なくとも1方向の曲げ剛性が1mN以上100mN以下である(1)~(4)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(6)少なくとも1方向の5%伸長到達時の応力をF0m、5%伸長状態を30分保持した後の応力をF30mとした際、F30mをF0mで除したF30m/F0m(応力緩和度)が0.4以上1.0以下である(1)~(5)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(7)少なくとも1方向の40℃から110℃で観測される最大収縮応力が50kPa以下である(1)~(6)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(8)ナフタレンジカルボン酸に由来する成分、フルオレン基を有するジオールに由来する成分、イソソルビドに由来する成分のいずれか1つ以上を主鎖骨格中に含有するポリマー、および/またはイミド基を主鎖骨格中に含有するポリマーを含有する(1)~(7)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(9)固有粘度が0.60dL/g以上である(1)~(8)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(10)アンチモン原子の含有量が50ppm以上130ppm以下である(1)~(9)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(11)カルボキシ末端基量が40eq/t以下である(1)~(10)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(12)ポリエステルフィルム面内の主配向軸とポリエステルフィルム長手方向との角度が1°以上89°以下である(1)~(11)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(13)画像表示装置を保護する用途に用いられる、(1)~(12)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(14)有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置の発光素子を保護するサポートフィルムとして用いられる、(13)に記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルム。
(15)(1)~(12)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムを搭載した画像表示装置。
(16)(1)~(12)のいずれかに記載のフレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムを搭載した画像表示装置であり、前記画像表示装置は有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置であり、前記画像表示装置は少なくとも1つの屈曲部を有しており、前記屈曲部と直行する方向である屈曲方向と、前記ポリエステルフィルム面内の主配向軸との成す角度が1°以上である画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレキシブルデバイス用ポリエステルフィルムとして、静的耐屈曲性および動的耐屈曲性が良好なポリエステルフィルムを提供できる。また、該フィルムを搭載した画像表示装置は静的耐屈曲性および動的耐屈曲性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ポリエステルフィルムの温度変調示差走査熱量特性の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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