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公開番号2025042705
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-28
出願番号2023149794
出願日2023-09-15
発明の名称積層フィルム、センサー、およびテープ
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B32B 27/08 20060101AFI20250321BHJP(積層体)
要約【課題】長期にわたり変形/復元を繰り返しながら使用できる柔軟フィルムを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂Aを主成分とするポリマーからなるA層と、前記熱可塑性樹脂Aと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするポリマーからなるB層を交互に9層以上積層した構造を有する積層フィルムであって、JIS-K-7122(1987年)に従い、試料約5mg、20℃/分の昇温速度で測定した時の示差走査熱量計測定より得られる最も高い融点Tmよりも低い領域に現れるガラス転移温度あるいは融点のうち最も高い温度をTnとしたときに、Tn+20℃にて50%延伸成形―再加熱サイクル試験を行った際の、延伸後の寸法固定率が80%以上、かつ、試験前寸法に対する再加熱後の寸法復元率が80%以上を示す積層フィルム。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
熱可塑性樹脂Aを主成分とするポリマーからなるA層と、前記熱可塑性樹脂Aと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするポリマーからなるB層を交互に9層以上積層した構造を有する積層フィルムであって、JIS-K-7122(1987年)に従い、試料約5mg、20℃/分の昇温速度で測定した時の示差走査熱量計測定より得られる最も高い融点Tmよりも低い領域に現れるガラス転移温度あるいは融点のうち最も高い温度をTnとしたときに、Tn+20℃にて50%延伸成形―再加熱サイクル試験を行った際の、延伸後の寸法固定率が80%以上、かつ、試験前寸法に対する再加熱後の寸法復元率が80%以上、である、積層フィルム。
なお、融点が積層フィルムの示す最も高い融点Tmの±5℃を示す層をA層、層のガラス転移温度あるいは融点のうち高い方の温度が積層フィルムの示すTnの±5℃を示す層をB層とする。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
前記のTn+20℃での50%延伸成形―再加熱サイクル試験を5回繰り返した際の、5回目試験時の延伸後の寸法固定率が90%以上、かつ、サイクル試験前の初期寸法に対する5回目試験の再加熱後の寸法復元率が80%以上、である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂Aが結晶性であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂Bは非晶性であり、B層のガラス転移温度が前記Tnであることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記のTn+20℃の引張試験における歪み-応力曲線において、微分解析を行った際の変曲点が歪み50%以上で初めて現れる、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
温度T(℃)におけるA層の貯蔵弾性率をGA(T) (GPa)、B層の貯蔵弾性率をGB(T) (GPa)としたときに、1.2GA(Tn-10)<GB(Tn-10)、かつ、GA(Tn+10)≧1.2GB(Tn+10)を満足する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記TnおよびTmが、Tm-Tn≧30℃を満たす、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項8】
-80℃から前記融点Tmまでの温度範囲に対して周波数10Hzにおける動的粘弾性測定を実施した際に、損失正接ピークが2つ以上存在し、最も低温(温度T1(℃))で生じる損失正接ピークtanδ1と、最も高温(温度T2(℃))で生じる損失正接ピークtanδ2の関係がtanδ2/tanδ1≧1.0である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂Aの主成分が、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドのいずれかからなる、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項10】
請求項1または2に記載の積層フィルムに伸縮性の導電性層が積層されてなる、センサー。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特定温度以上の熱刺激に対して高い応答性を示すことで、長期にわたり変形/復元を繰り返しながら使用できる積層フィルム、センサー、およびテープを提供する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
外部刺激(熱、光、電気、pH、磁場など)に応答してミクロ/マクロに分子構造が変化することで材料を形状変換できるスマートポリマーが盛んに研究開発されている。スマートポリマーは、弾性収縮挙動を示すポリマー成分と、剛性の高いポリマー成分から主に構成され、両者を混練分散/分配混合した樹脂からなるものが知られており、シート状、チューブ状、ひも状など所望の形状に成形したのち、刺激により変形したり、変形後再度の刺激により形状を復元する機能を生かして、様々な用途に実用化が進められている。例えば、医療用では、刺激によるポリマーの弾性率変化を利用して医療用カテーテルに、形状固定性を利用してギプスやドレッシング材基材などに利用されているほか、工業用では、熱収縮による形状復元力を利用して工程用熱収縮フィルムや締結部品に、体積膨張や屈折率温度依存性を利用して温度センサーにも利用されている。特に刺激の中でも熱刺激を利用するスマートポリマー材料が、最も簡便で実用的であるとして注目されている(特許文献1、2)。
【0003】
また、通例の熱応答性のスマートポリマー材料は一定以上の高い温度条件で変形し冷却すると固化、さらに熱刺激を与えて弾性収縮挙動を解放すると元の形状に戻るといったように、常温では形状が固定されて変形しないものがほとんどである。しかしながら近年では、人肌温度で変形し、肌に触れている状態では常にドレープ性を示し、身体の形状に合わせて自由に変形可能なシート材料の開発も報告されている(特許文献3、4)。近年ヘルスケアへの関心が高まっていることでウエアラブル端末の需要が拡大しているが、ウエアラブル端末の欠点である装着感を解消することを期待して、体温近傍で軟化し変形できる材料がウエアレス材料や、各種医療用・衛生材料用のテープ基材としての利用されようとしている。また、古くは、形状復元を主目的とした弾性フィルム材料として、多層積層構造と弾性伸縮するオレフィン系樹脂の組み合わせにより、おむつなどのパーソナルケア製品や医療用途、衣料品用途向けの技術も検討されてきた(特許文献5、6)。
【0004】
このように必要な環境下でのみ応答し変形できる刺激応答性のスマート材料は、今後も工業用や民生用として多方面で実用化されることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平4-122712号公報
特開平9-309986号公報
特開2021-023499号公報
特開2017-133011号公報
特許第04991742号
特開平5-501386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、変形、復元を繰り返すことで分子構造のネットワークが破壊されたり、高次構造が変化することで、連続使用において徐々にポリマーの刺激に対する応答性が低下し、形状固定量、形状復元量ともに低下していく課題があった。
【0007】
また、従来の形状復元を主目的とした多層積層構造による材料は、予備延伸として少なくとも50%の塑性変形を行うことで、変形量に依存して一定寸法以下には形状が戻りきらず、永久歪みが残る点を利用しており、元の形状まで復元する思想がなかった。さらに、塑性変形後にその状態を維持する固定能力に乏しく、変形後に応力を開放すると、ゴム材料のように永久歪みに相当する形状まで自動的に回復するため、スマート材料の主な機能である形状固定・形状復元機能は発現できていなかった。
【0008】
そこで、本発明では、長期にわたり変形/復元を繰り返しながら使用できる積層フィルムおよびそれを用いたセンサー、テープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の好ましい一態様は以下のとおりである。
(1)熱可塑性樹脂Aを主成分とするポリマーからなるA層と、前記熱可塑性樹脂Aと異なる熱可塑性樹脂Bを主成分とするポリマーからなるB層を交互に9層以上積層した構造を有する積層フィルムであって、JIS-K-7122(1987年)に従い、試料5mg、20℃/分の昇温速度で測定した時の示差走査熱量計測定より得られる最も高い融点Tmよりも低い領域に現れるガラス転移温度あるいは融点のうち最も高い温度をTnとしたときに、Tn+20℃にて50%延伸成形―再加熱サイクル試験を行った際の、延伸後の寸法固定率が80%以上、かつ、試験前寸法に対する再加熱後の寸法復元率が80%以上、である、積層フィルム。
なお、融点が積層フィルムの示す最も高い融点Tmの±5℃を示す層をA層、層のガラス転移温度あるいは融点のうち高い方の温度が積層フィルムの示すTnの±5℃を示す層をB層とする。
(2)前記のTn+20℃での50%延伸成形―再加熱サイクル試験を5回繰り返した際の、5回目試験時の延伸後の寸法固定率が90%以上、かつ、サイクル試験前の初期寸法に対する5回目試験の再加熱後の寸法復元率が80%以上、である、(1)に記載の積層フィルム。
(3)前記熱可塑性樹脂Aが結晶性であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4)前記熱可塑性樹脂Bは非晶性であり、B層のガラス転移温度が前記Tnであることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)前記のTn+20℃の引張試験における歪み-応力曲線において、微分解析を行った際の変曲点が歪み50%以上で初めて現れる、(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)温度T(℃)におけるA層の貯蔵弾性率をGA(T) (GPa)、B層の貯蔵弾性率をGB(T) (GPa)としたときに、1.2GA(Tn-10)<GB(Tn-10)、かつ、GA(Tn+10)≧1.2GB(Tn+10)を満足する、(1)~(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7)前記TnおよびTmが、Tm-Tn≧30℃を満たす、(1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(8)-80℃から前記融点Tmまでの温度範囲に対して周波数10Hzにおける動的粘弾性測定を実施した際に、損失正接ピークが2つ以上存在し、最も低温(温度T1(℃))で生じる損失正接ピークtanδ1と、最も高温(温度T2(℃))で生じる損失正接ピークtanδ2の関係がtanδ2/tanδ1≧1.0である、(1)~(7)のいずれかに記載の積層フィルム。
(9)前記熱可塑性樹脂Aの主成分が、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドのいずれかからなる、(1)~(8)のいずれかに記載の積層フィルム。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の積層フィルムに伸縮性の導電性層が積層されてなる、センサー。
(11)20~100℃の温度範囲で形状や機能を変えて使用する、(10)に記載のセンサー。
(12)(1)~(9)のいずれかに記載の積層フィルムの少なくとも片面にアクリル系またはシリコン系の粘着層を設けてなる、テープ。
(13)水蒸気透過率が300(g・25μm/(m

・day)以上であり、20~50℃の温度範囲で形状や機能を変えて使用する、(12)に記載のテープ。
【発明の効果】
【0010】
複数回にわたり刺激応答による変形/復元を実施した場合でも、積層界面に沿った方向に特に力学応答するため、変形前後でポリマー材料全体での分子構造ネットワーク状態の変化が小さく、長期にわたり変形/復元しながら使用できる柔軟フィルム基材としての実用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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