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公開番号2024099132
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-25
出願番号2023002844
出願日2023-01-12
発明の名称繊維製品の洗浄方法
出願人花王株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類D06L 1/16 20060101AFI20240718BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】殺菌性と皮脂汚れ洗浄性を両立する簡便な繊維製品の洗浄方法を提供する。
【解決手段】(a)アニオン界面活性剤(以下、(a)成分という)、(b)カルボキシ基を有する炭素数1以上12以下の有機酸又はその塩(但し、(a)成分に該当するものは除く。以下、(b)成分という)、及び水を含有する洗浄剤組成物を用いて、下記の工程A、及び工程Bを行う、繊維製品の洗浄方法。
工程A:洗浄槽に繊維製品と前記洗浄剤組成物と水を投入して、全界面活性剤の含有量が400ppm以上であり、pHが5.7未満である、洗浄液Aを調製し、調製した洗浄液Aで前記繊維製品を殺菌する工程。
工程B:工程Aの後に、前記洗浄槽に更に水を投入し、全界面活性剤の含有量が250ppm以下であり、pHが5.7以上である、洗浄液Bを調製し、調製した洗浄液Bで前記繊維製品を洗浄する工程。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(a)アニオン界面活性剤(以下、(a)成分という)、(b)カルボキシ基を有する炭素数1以上12以下の有機酸又はその塩(但し、(a)成分に該当するものは除く。以下、(b)成分という)、及び水を含有する洗浄剤組成物を用いて、下記の工程A、及び工程Bを行う、繊維製品の洗浄方法。
工程A:洗浄槽に繊維製品と前記洗浄剤組成物と水を投入して、全界面活性剤の含有量が400ppm以上であり、pHが5.7未満である、洗浄液Aを調製し、調製した洗浄液Aで前記繊維製品を殺菌する工程。
工程B:工程Aの後に、前記洗浄槽に更に水を投入し、全界面活性剤の含有量が250ppm以下であり、pHが5.7以上である、洗浄液Bを調製し、調製した洗浄液Bで前記繊維製品を洗浄する工程。
続きを表示(約 490 文字)【請求項2】
工程Aにおける殺菌時間が30秒以上30分以下である、請求項1に記載の繊維製品の洗浄方法。
【請求項3】
工程Aが、洗浄槽に繊維製品と、前記洗浄剤組成物又はそれを少量の水で混合したものを投入後、水を投入して洗浄液Aを調製し、調製した洗浄液Aで前記繊維製品を殺菌する工程であり、水の投入速度が2L/分以上22L/分以下である、請求項1又は2に記載の繊維製品の洗浄方法。
【請求項4】
(a)成分が、(a1)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が8以上18以下である、アルキル又はアルケニル硫酸エステル、又はその塩を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の繊維製品の洗浄方法。
【請求項5】
(b)成分が、(b1)CLogPが1以上3以下のカルボキシ基を有する有機酸又はその塩を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の繊維製品の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄剤組成物が、更に(c)ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上を含有する、請求項1~5の何れか1項に記載の繊維製品の洗浄方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の洗浄方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
衣料等の繊維製品の洗浄には、各種界面活性剤を配合した洗浄剤が広く用いられている。近年、生活者の衛生意識の高まりに伴い、繊維製品の表面に付着した菌やウイルスに関心も高まってきている。そのため生活者は、菌が繁殖し易い靴下や汗のかいた衣類を洗浄液にしばらく浸け置いたり、消毒剤や漂白剤を繊維製品用洗浄剤と併用したりするなど、余分な手間やコストをかけて洗浄を行っている。
一方、多くの生活者は、繊維製品の洗浄後に洗浄剤成分が繊維製品に残留することを嫌っており、また、水を節約するという環境負荷の視点からも、少ない水量でも洗浄剤成分がきれいに濯げることは重要である。
繊維製品用洗浄剤には殺菌性能を有するカチオン界面活性剤が汎用的に使用されるが、繊維製品に残留して汚れを再汚染させてしまうことが知られている。また、繊維製品用洗浄剤を強酸性や強アルカリ性にすることにより殺菌性や洗浄性を強化する検討が見られるが、強い液性から生じる衣類や基剤や手肌へのダメージ、強酸性により次亜塩素酸塩配合製品との混合で生じる塩素ガス発生リスクは解決できていない。そのため、繊維製品用洗浄剤を、残留性の高いカチオン界面活性剤を用いることなく、且つ該繊維製品用洗浄剤を水で希釈した洗浄液を弱酸性から弱アルカリ性の穏やかな環境下で、繊維製品の殺菌性能と洗浄性能を両立した技術を確立し、更に洗浄後の繊維製品を少ない水量で濯ぐことができれば、生活者に手間やコストをかけることなく、より衛生的で安心できる繊維製品の洗浄方法を提供できると考えられる。
【0003】
カチオン界面活性剤に依らず殺菌性能を付与する手段として、以下の先行技術文献が開示されている。
特許文献1には、殺菌を目的として、成分(A)として、疎水端の炭化水素基の炭素数は10~18のアニオン界面活性剤を0.1~25質量%、成分(B)として、(b1)XlogPが-0.3以上4.1以下のカルボン酸を0.1~5質量%、(b2)ClogPが0.3以上4.2以下の香料を0.1~5質量%、を含有し、25℃におけるpHが2以上6.1以下であり、水で100倍に希釈された後に25℃におけるpHが5.5以下である、液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、乳石の除去を目的とした濃縮液体清浄組成物であって、無機酸、有機酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される酸と、一般式R-NH-CH

CH

CH

NH

(式中RはC4~C22アルキル基)で表される脂肪族アルキル-1,3-ジアミノプロパンまたはそれらの塩とを含有し、酸性下で洗浄する組成物が開示されている。
特許文献3には、a)5~25%のアニオン界面活性剤、b)0~5%の非イオン性界面活性剤、c)任意の両性界面活性剤を含み、アニオン界面活性剤は界面活性剤の50%以上であり、d)0.5~3%のカプリル酸を含む、液体組成物であって、pHは4.5~5.5、好ましくは4.5~5.1である組成物が開示されている。
特許文献4には、a.アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩およびそれらの組み合わせから選択される陰イオン性界面活性剤を0.1~10質量%、b.アルコールエトキシレート、短鎖アルキルポリグリコシドおよびそれらの組み合わせから選択される非イオン性界面活性剤を0.1~10質量%、c.乳酸、酢酸、マロン酸、アジピン酸、グルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、ヘキサン酸、シクロヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、4-メチルオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸およびそれらの組み合わせから選択される有機酸を1~20質量%含有する、洗浄剤組成物であって、組成物のpHが2~4であり、アルコールエトキシレートは、1から7個のEOを有し、アルキルポリグリコシドはC8~C10のアルキル基を有し、有機溶媒を含まない、洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
中国特許出願公開第110713863号明細書
国際公開第2006/020608号
欧州特許第3700500号明細書
国際公開第2022/129269号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
繊維製品の洗浄において、アニオン界面活性剤を含有する洗浄剤組成物を水で希釈した際の洗浄液のpHを酸性にすることで優れた殺菌性を発揮する。しかしながら、洗浄液のpHが酸性の場合、洗浄液に含まれる界面活性剤が有する本来の皮脂汚れ洗浄性(つまり、洗浄液のpHが7の場合の洗浄性)が損なわれてしまう。そのため、殺菌性と皮脂汚れ洗浄性を両立する簡便な繊維製品の洗浄方法が求められる。
本発明は、殺菌性と皮脂汚れ洗浄性を両立する簡便な繊維製品の洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)アニオン界面活性剤(以下、(a)成分という)、(b)カルボキシ基を有する炭素数1以上12以下の有機酸又はその塩(但し、(a)成分に該当するものは除く。以下、(b)成分という)、及び水を含有する洗浄剤組成物を用いて、下記の工程A、及び工程Bを行う、繊維製品の洗浄方法に関する。
工程A:洗浄槽に繊維製品と前記洗浄剤組成物と水を投入して、全界面活性剤の含有量が400ppm以上であり、pHが5.7未満である、洗浄液Aを調製し、調製した洗浄液Aで前記繊維製品を殺菌する工程。
工程B:工程Aの後に、前記洗浄槽に更に水を投入し、全界面活性剤の含有量が250ppm以下であり、pHが5.7以上である、洗浄液Bを調製し、調製した洗浄液Bで前記繊維製品を洗浄する工程。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、殺菌性と皮脂汚れ洗浄性を両立する簡便な繊維製品の洗浄方法が提供される。
【0008】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、洗浄槽に洗浄剤組成物を一度投入するだけでよく、洗浄剤組成物を水で希釈した際の洗浄液に含まれる界面活性剤の濃度ごとにpHを制御して、殺菌工程と洗浄工程を行うことで、殺菌性と皮脂汚れ洗浄性を両立することができるため、本発明の効果を有する繊維製品の洗浄を簡便に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[繊維製品の洗浄方法]
本発明の繊維製品の洗浄方法が、殺菌性と皮脂汚れ洗浄性を両立することができる理由は必ずしも定かではないが以下のように推定される。
アニオン界面活性剤を含有する洗浄剤組成物を水で希釈した洗浄液のpHを酸性にすることで優れた殺菌性を発揮するが、繊維製品の洗濯のように非常に希釈度の高い条件では、洗浄液中のアニオン界面活性剤の濃度が低く、また洗浄液も中性になるため、その効果は大きく減じてしまう。菌表面は、洗浄液が酸性の条件下で、菌表面のたんぱく質が等電点以下となるため正電荷を帯びる。その結果、洗浄液中のアニオン界面活性剤が、菌表面の正電荷とイオン間相互作用を生じ、効率よく菌表面に作用することが可能となる。つまり、本発明の工程Aでは、洗浄液Aを、界面活性剤濃度が指定した範囲において、pHを5.7未満に維持することができ、十分な殺菌性能が得られる。一方、洗浄対象物である、繊維製品に付着した皮脂汚れは、洗浄液が酸性の条件下では皮脂汚れ中に含まれる脂肪酸の中和反応が進まないため、十分な洗浄性が得られない。本発明の工程Bでは、洗浄液Bを、洗浄効果を発現し得る界面活性剤濃度で、且つpHを中性付近にまで上げることで、脂肪酸の中和度が高まり、乳化が促進されることで高い洗浄性が得られる。つまり、本発明の繊維製品の洗浄方法では、pH範囲と界面活性剤濃度を精密に制御する2工程を設けることで、はじめて繊維上の菌を殺菌することと、繊維の汚れを除去することが両立できたものと考えられる。
また水道水中には通常、石灰岩由来の炭酸イオンが溶け込んでおり、その量はアルカリ度として定義されている。アルカリ度が高いほど、即ち炭酸イオンが多く溶け込んでいる水道水ほど、中性付近に強いpH緩衝能を有する。
また本発明では、洗浄剤組成物に(b)成分として規定したカルボキシ基を有する特定の有機酸又はその塩を含有し、(b)成分が酸性付近にpH緩衝能を有していることから、洗浄剤組成物を希釈する水のアルカリ度にあまり影響されずに工程Aにおける洗浄液AのpHを、酸性付近の好適な範囲を保つことに寄与していると考えられる。
【0010】
<洗浄剤組成物>
本発明の繊維製品の洗浄方法は、(a)アニオン界面活性剤(以下、(a)成分という)、(b)カルボキシ基を有する炭素数1以上12以下の有機酸又はその塩(但し、(a)成分に該当するものは除く。以下、(b)成分という)、及び水を含有する洗浄剤組成物(以下、本発明の洗浄剤組成物という)を用いる。
(【0011】以降は省略されています)

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