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公開番号2024067168
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-17
出願番号2022177022
出願日2022-11-04
発明の名称細胞培養基材及びその製造方法
出願人東ソー株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12M 1/00 20060101AFI20240510BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】粒径が均一で、培養後に温度変化を伴うことなく細胞凝集塊を剥離回収可能な細胞培養基材及び該細胞培養基材の製造方法を提供する。
【解決手段】表面に凹凸を有する基材と、上記基材を上記凹凸に沿って被覆する親水性高分子層とを有する細胞培養基材であって、上記細胞培養基材が有する表面凹凸の基準長さ10μmにおける最大高さが0.1~2μmであり、上記細胞培養基材は下記(A)及び(B)の2つの領域を有し、上記(A)領域はプラズマ処理領域である、細胞培養基材。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001~5mm2の島状の領域
(B)上記(A)領域に隣接し、細胞増殖性を有しない領域
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
表面に凹凸を有する基材と、前記基材を前記凹凸に沿って被覆する親水性高分子層とを有する細胞培養基材であって、前記細胞培養基材が有する表面凹凸の基準長さ10μmにおける最大高さが0.1~2μmであり、前記細胞培養基材は下記(A)及び(B)の2つの領域を有し、前記(A)領域はプラズマ処理領域である、細胞培養基材。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001~5mm

の島状の領域
(B)前記(A)領域に隣接し、細胞増殖性を有しない領域
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
前記基材が、基材用シートと、前記基材用シート上に配置された、鉛直方向の長さが0.1~3μmの立体要素とを有する、請求項1に記載の細胞培養基材。
【請求項3】
前記立体要素の数密度が、0.1~10個/μm

である、請求項2に記載の細胞培養基材。
【請求項4】
前記表面凹凸の凸部間距離の変動係数が、3~50%である、請求項1に記載の細胞培養基材。
【請求項5】
前記親水性高分子が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含有する、請求項1に記載の細胞培養基材。
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2024067168000006.jpg
36
149
[式(1)中、R

及びR

はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R

は任意の置換基を示し、m及びnはそれぞれ独立に正の整数を示す。]
JPEG
2024067168000007.jpg
23
149
[式(2)中、R

、R

及びR

はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R

は任意の置換基を示し、x、y及びzはそれぞれ独立に正の整数を示す。]
【請求項6】
前記(A)領域が、カルボキシフェニル基を有する、請求項1に記載の細胞培養基材。
【請求項7】
下記(1)及び(2)工程を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の細胞培養基材の製造方法。
(1)表面に凹凸を有する基材上に、前記凹凸に沿って親水性高分子層を形成する工程であって、前記親水性高分子層が有する表面凹凸の基準長さ10μmにおける最大高さが0.1~2μmである工程
(2)前記親水性高分子層の表面の一部のみにプラズマ処理を行い、下記(A)及び(B)の2つの領域を形成する工程
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001~5mm

の島状の領域
(B)前記(A)領域に隣接し、細胞増殖性を有しない領域

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養基材及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
胚性細胞(ES細胞)や人工細胞(iPS細胞)などの多能性幹細胞は、生体の様々な組織に分化する能力(分化万能性)を持つ細胞であり、再生医療分野や創薬スクリーニングのための細胞ソースとして大きな注目が寄せられている。多能性幹細胞を再生医療や創薬スクリーニングに応用するには、多能性幹細胞から目的の細胞へと分化させる必要があるが、その際、多能性幹細胞の細胞凝集塊を形成する必要がある。また、多能性幹細胞は様々な細胞へと分化することができるが、分化後の細胞の種類によって最適な細胞凝集塊のサイズが異なることが知られており、サイズを制御し、更にサイズの均一な細胞凝集塊を作製することが望ましい。
【0003】
細胞凝集塊を形成する方法として、従来、多能性幹細胞が接着しない基材を用いることで多能性幹細胞に自発的に凝集体を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は細胞凝集塊の量産性に優れるものの、均一なサイズの細胞凝集塊を得ることができないという問題があった。
【0004】
サイズの均一な細胞凝集塊を形成する方法として、細胞が接着しない処理を施し、細胞のサイズよりも大きな直径の窪みを表面に設けた細胞培養基材を使用する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、このような窪みを設けた細胞培養基材を使用すると、細胞が細胞培養基材に固定化されていないため、培養中に細胞凝集塊が窪みから飛び出しやすく、飛び出した細胞凝集塊同士が融合するため、細胞凝集塊のサイズが不均一になりやすいという問題があった。
【0005】
上記問題に対し、細胞接着領域と細胞非接着領域の二つの領域を有する細胞培養基材を用い、細胞が細胞培養基材に接着して固定化された状態で細胞凝集塊を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法では細胞凝集塊が細胞培養基材に固定化されているため、培養中に細胞凝集塊同士が融合することを防ぐことができ、均一サイズの細胞凝集塊が得られる。しかし、細胞凝集塊を培養した後に、細胞培養基材に強固に接着した細胞凝集塊を剥離する必要があり、剥離する際に細胞にダメージを与えやすく、細胞生存率の低下や分化万能性の消失等の細胞品質を低下させる原因となっていた。
【0006】
この問題に対し、温度変化によって細胞の接着を制御可能なポリマーを被覆した細胞培養基材が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、細胞凝集塊を培養した後に、細胞培養基材の温度を室温以下にすることで細胞凝集塊を剥離して回収する。しかしながら、細胞は一般に37℃が生存に最適な温度であり、温度低下によって細胞品質が悪化しやすくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平8-140673号公報
特開2015-073520号公報
国際公開第2010/134606号
特開2015-211688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、粒径が均一で、培養後に温度変化を伴うことなく細胞凝集塊を剥離回収可能な細胞培養基材及び該細胞培養基材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、以上の点を鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の表面粗さを有し、特定サイズの細胞接着及び細胞増殖領域を形成した細胞培養基材によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明の一態様は、下記[1]~[7]に関する。
[1]表面に凹凸を有する基材と、上記基材を上記凹凸に沿って被覆する親水性高分子層とを有する細胞培養基材であって、上記細胞培養基材が有する表面凹凸の基準長さ10μmにおける最大高さが0.1~2μmであり、上記細胞培養基材は下記(A)及び(B)の2つの領域を有し、上記(A)領域はプラズマ処理領域である、細胞培養基材。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001~5mm

の島状の領域
(B)上記(A)領域に隣接し、細胞増殖性を有しない領域
[2]上記基材が、基材用シートと、上記基材用シート上に配置又は接着された、鉛直方向の長さが0.1~3μmの立体要素とを有する、[1]に記載の細胞培養基材。
[3]上記立体要素の数密度が、0.1~10個/μm

である、[2]に記載の細胞培養基材。
[4]上記表面凹凸の凸部間距離の変動係数が、3~50%である、[1]~[3]のいずれかに記載の細胞培養基材。
[5]上記親水性高分子が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の細胞培養基材。
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2024067168000002.jpg
36
149
[式(1)中、R

及びR

はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R

は任意の置換基を示し、m及びnはそれぞれ独立に正の整数を示す。]
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2024067168000003.jpg
25
149
[式(2)中、R

、R

及びR

はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R

は任意の置換基を示し、x、y及びzはそれぞれ独立に正の整数を示す。]
[6]上記(A)領域が、カルボキシフェニル基を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の細胞培養基材。
[7]下記(1)及び(2)工程を備える、[1]~[6]のいずれかに記載の細胞培養基材の製造方法。
(1)表面に凹凸を有する基材上に、上記凹凸に沿って親水性高分子層を形成する工程であって、上記親水性高分子層が有する表面凹凸の基準長さ10μmにおける最大高さが0.1~2μmである工程
(2)上記親水性高分子層の表面の一部のみにプラズマ処理を行い、下記(A)及び(B)の2つの領域を形成する工程
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001~5mm

の島状の領域
(B)上記(A)領域に隣接し、細胞増殖性を有しない領域
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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