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公開番号2024038140
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-19
出願番号2023220226,2020544428
出願日2023-12-27,2019-02-22
発明の名称ブタトリプシンの変異体
出願人サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 15/57 20060101AFI20240312BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ブタトリプシンのポリペプチド変異体、これらの変異体をコードする核酸分子、およびかかる核酸分子を含む宿主細胞を提供する。
【解決手段】ブタトリプシンの変異体であって、特定の配列で表される、天然ブタトリプシンと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはそれからなり、該アミノ酸配列は、前記特定の配列で表される、天然ブタトリプシンのF24、S44、D56、G78、Y131、S172およびW193に対応する1つまたはそれ以上の位置での少なくとも1個またはそれ以上のアミノ酸置換を含有し、但し、該アミノ酸配列は、前記特定の配列による天然ブタトリプシンではないことを条件とし;かつ、該アミノ酸配列は、別の特定の配列によるブタ変異体トリプシンS172Aではないことを条件とする、前記ブタトリプシンの変異体を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ブタトリプシンの変異体であって、
配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みまたはそれからなり、
該アミノ酸配列は、配列番号1による天然ブタトリプシンのF24、S44、D56、G78、Y131、S172およびW193に対応する1つまたはそれ以上の位置での少なくとも1個またはそれ以上のアミノ酸置換がある点が配列番号1と異なり;但し、
該アミノ酸配列は、配列番号1による天然ブタトリプシンではないことを条件とし;かつ、
該アミノ酸配列は、配列番号2によるブタ変異体トリプシンS172Aではないことを条件とする、
前記ブタトリプシンの変異体。
続きを表示(約 3,700 文字)【請求項2】
F24に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Asn、Arg、Gln、Ile、Leu、Lys、Met、Ser、Thr、およびValからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;
S44に対応する位置のアミノ酸は、LeuおよびProからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;
D56に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Asn、His、およびTrpからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;
G78に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Glu、Pro、Ser、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;
Y131に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Valからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;
S172に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Cys、およびThrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;ならびに/または
W193に対応する位置のアミノ酸は、Phe、Ser、Thr、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている、
請求項1に記載のブタトリプシンの変異体。
【請求項3】
前記アミノ酸配列は、配列番号1による天然ブタトリプシンのR99、R107、K125、およびK170に対応する1つまたはそれ以上の位置での少なくとも1個またはそれ以上のアミノ酸置換がある点が配列番号1とはさらに異なる、請求項1または2に記載のブタトリプシンの変異体。
【請求項4】
R99に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Asn、Asp、Glu、Gly、His、Leu、Phe、Thr、Trp、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;
R107に対応する位置のアミノ酸は、Asp、Gly、Pro、Ser、およびThrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;
K125に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Leu、Ser、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている;ならびに/または
K170に対応する位置のアミノ酸は、Ala、Asn、GlyおよびTyrからなる群から選択されるアミノ酸で置換されている、
請求項3に記載のブタトリプシンの変異体。
【請求項5】
前記アミノ酸配列は配列番号3であり、ここで、
- Xaa24は、Ala、Asn、Arg、Gln、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Ser、Thr、およびValからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa44は、Leu、Pro、およびSerからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa56は、Ala、Asn、Asp、His、およびTrpからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa78は、Ala、Glu、Gly、Pro、Ser、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa99は、Ala、Arg、Asn、Asp、Glu、Gly、His、Leu、Phe、Thr、Trp、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa107は、Arg、Asp、Gly、Pro、Ser、およびThrからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa125は、Ala、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Leu、Lys、Ser、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa131は、Ala、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびValからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa170は、Ala、Asn、Gly、Lys、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸であり;
- Xaa172は、Ala、Cys、Ser、およびThrからなる群から選択されるアミノ酸であり;ならびに/または
- Xaa193は、Phe、Ser、Thr、Trp、およびTyrからなる群から選択されるアミノ酸であり;但し、
配列番号3は、配列番号1によるブタ野生型トリプシンではないことを条件とし;かつ
配列番号3は、配列番号2によるブタ変異体トリプシンS172Aではないことを条件とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載のブタトリプシンの変異体。
【請求項6】
前記アミノ酸配列は、
配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、および配列番号119
からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載のブタトリプシンの変異体。
【請求項7】
(i) 前記変異体は、一般式A-Lys-Thr-Arg-Arg-Bを有するペプチドを切断して、少なくとも80%の収率で、一般式A-Lys-Thr-Arg-Argの切断産物を生じることができ、
Aは1個またはそれ以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列であり;かつ
Bは1個またはそれ以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列である;かつ/または
(ii) 該変異体は、配列番号2によるブタ変異体トリプシンS172Aと比較して、B32-Arg位のC末端側の位置での、プレプロヒトインスリン、プレプロインスリングラルギン、プレプロインスリンリスプロ、プレプロインスリンアスパルト、またはプレプロインスリングルリジンの切断に対して向上した選択性を呈する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のブタトリプシンの変異体。
【請求項8】
核酸分子であって、
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のブタトリプシンの変異体、または
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のブタトリプシンの変異体のトリプシノーゲン前駆体分子
をコードし、
ベクターに場合により含有されるか、またはゲノムに場合により組み込まれている前記核酸分子。
【請求項9】
宿主細胞であって、請求項8に記載の核酸分子を含有する宿主細胞。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載のブタトリプシンの変異体を産生する方法であって:
請求項9に記載の宿主細胞を培養する工程;および
培養培地からまたは該宿主細胞からブタトリプシンの該変異体のトリプシノーゲン前駆体分子を単離する工程、ならびに
場合により、該トリプシノーゲン前駆体分子を活性化し、それによりブタトリプシンの該変異体を得る工程
を含む前記方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ブタトリプシンのペプチド変異体に、これら変異体をコードする核酸分子に、およびかかる核酸分子を含む宿主細胞に関する。本発明はまた、インシュリンを産生するための方法におけるこれら変異体の使用にも関する。本発明はさらに、医薬としての、食品成分としての、または飼料成分としてのこれら変異体の使用に、および、食品成分または飼料成分を製造する方法中でのこれら変異体の使用に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
エンドペプチダーゼトリプシンは、ヒトインスリン、インスリンアナログの、およびまたインスリン誘導体の製造向けに使用される。ヒトインスリン、インスリンアナログ、またはインスリン誘導体は、トリプシンを使用して酵素加水分解によってプレプロインスリン(PPI)から生成され、この場合、プレ配列およびCペプチドが、それぞれの産物を得るために切断される(図1を参照されたい)。トリプシンは、ポリペプチド鎖内のArg残基およびLys残基のC末端側で切断するのに特異的である。プレプロヒトインスリンおよびプレプロインスリングラルギンポリペプチド内には、B鎖とCペプチドとの接合部でのB29Lys、B31Arg、およびB32Argを含めて、いくつかのArg残基およびLys残基が存在する。したがって、プレプロヒトインスリンおよびプレプロインスリングラルギンは、B29LysおよびB31ArgおよびB32ArgのC末端側を含めて、Arg残基およびLys残基のC末端側でトリプシンによって切断される。インスリングラルギンの製造の場合、B32Argの後のトリプシン切断により最終的なインスリングラルギンが提供される。B29LysおよびB31Argの後のトリプシン切断によって、副産物desB30-Thr(「des-Thr」)-インスリングラルギンおよびdesB32Arg-インスリングラルギン(「des-Arg」とも呼ばれる)がもたらされる。したがって、インスリングラルギンの製造方法で副産物を除去する必要がある。
【0003】
ヒトインスリンの製造の場合、B31Argの後のトリプシン切断によりB31Arg-ヒトインスリン(「モノ-Arg」とも呼ばれる)が、B32Argの後のトリプシン切断によりB31Arg-B32Arg-ヒトインスリン(「ジ-Arg」とも呼ばれる)が、もたらされる。どちらも前記製造方法の中間体である。その後の製造方法では、これら2つの中間体は両方とも最終的なヒトインスリンに変換される。B29Lysの後のトリプシン切断により、副産物のdesB30-Thr(「des-Thr」)-ヒトインスリンがもたらされる。したがって、ヒトインスリンの製造方法で副産物を除去する必要がある。
【0004】
ヒトインスリンおよびインスリングラルギンの製造の場合、B32Argの後のトリプシン切断により最終的なインスリングラルギンがもたらされ、ヒトインスリンの場合、B32Argの後のトリプシン切断により中間体がもたらされ、これは、後続の工程段階において最終的なヒトインスリンに変換される。
【0005】
desB30-Thr-中間体の望ましくない形成に対処するために、過去の開発により、Arg対LysのC末端側に対する選択性が高いことにより、この誤切断を低減させるブタトリプシン変異体S172Aがもたらされた。ブタトリプシン変異体S172Aは、その全体が参照によって本明細書に組み入れる、特許文献1に記載されている。
【0006】
ここで、発明者らは、トリプシンS172A触媒反応の速度論を注意深く観察したところ、驚くべきことに、誤切断された副産物の形成は、文献に記載されているようなエンド
プロテアーゼとして作用するトリプシンによるPPIの主な誤切断に起因するだけでなく、エキソペプチダーゼとして作用するブタトリプシンならびにその変異体S172Aに内在するサイドアクティビティ(side-activity)にも起因するであろうことを見いだした。エキソペプチダーゼ活性によって、des-Argおよびdes-Thrの形成の下でインスリングラルギンの分解がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際特許出願WO2007/031187A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の基礎をなす技術上の問題
したがって、先行技術において、サイドアクティビティが低減した、特にエキソペプチダーゼ活性が低減した新規なトリプシン変異体に対するニーズがあった。かかる新規なトリプシン変異体は、PPIの切断において副産物の量を低減し、PPIからインスリン(またはインスリン誘導体)を産生するときに、インスリンおよびインスリン誘導体の収率がより向上するという結果をもたらすであろう。
【0009】
本発明者らは、エキソペプチダーゼ活性の低減を有する、および/またはPPI切断反応において副産物の形成の低減を示す、ブタトリプシンの新規な変異体を製造した。
【0010】
上のあらましは、本発明によって解決される問題すべてを必ずしも説明するものではない。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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