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公開番号2023173908
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-07
出願番号2022086460
出願日2022-05-26
発明の名称ペプチドの製造方法及び製造装置
出願人国立大学法人山形大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C07K 1/13 20060101AFI20231130BHJP(有機化学)
要約【課題】 本発明は、大量の反応試薬を用いる必要がなく、かつ高い収率でペプチドを製造することができる製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、自動合成装置を用いた固相合成法によるペプチドの製造方法であって、保護基を有するアミノ酸を反応系内に供給して、ペプチドの末端アミノ基と反応させる、ペプチド伸長工程、前記ペプチド伸長工程の後に、前記ペプチドの末端アミノ基と可逆的に反応して着色させることができる検査試薬を前記反応系内に供給する、反応確認工程、及び前記反応確認工程後に、脱保護剤を前記反応系内に供給する、脱保護工程を繰り返すことを含む、ペプチドの製造方法及びその製造方法を実行するためのペプチドの自動合成装置に関する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
自動合成装置を用いた固相合成法によるペプチドの製造方法であって、
保護基を有するアミノ酸を反応系内に供給して、ペプチドの末端アミノ基と反応させる、ペプチド伸長工程、
前記ペプチド伸長工程の後に、前記ペプチドの末端アミノ基と可逆的に反応して着色させることができる検査試薬を前記反応系内に供給する、反応確認工程、及び
前記反応確認工程後に、脱保護剤を前記反応系内に供給する、脱保護工程
を繰り返すことを含む、ペプチドの製造方法。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
前記ペプチド伸長工程において、前記反応の化学量論量の3.0倍以下の量で、前記アミノ酸を供給する、請求項1に記載のペプチドの製造方法。
【請求項3】
前記反応確認工程の後に反応液が着色していたら、前記ペプチド伸長工程をさらに繰り返す、請求項1に記載のペプチドの製造方法。
【請求項4】
前記ペプチド伸長工程の後で、かつ前記反応確認工程の前に、前記反応系内を洗い出す第1の洗浄工程を含み、かつ
前記反応確認工程の後で、かつ前記脱保護工程の前に、前記反応系内を洗い出す第3の洗浄工程を含まない、請求項1に記載のペプチドの製造方法。
【請求項5】
前記脱保護工程の後に、前記反応系内を洗い出す第4の洗浄工程を含み、かつさらに前記ペプチドの末端アミノ基と可逆的に反応して着色させることができる検査試薬を前記反応系内に供給する、脱保護確認工程を含む、請求項1に記載のペプチドの製造方法。
【請求項6】
Fmoc法である、請求項1に記載のペプチドの製造方法。
【請求項7】
前記検査試薬が、N-ヒドロキシ環状イミド骨格を有する化合物である、請求項1に記載のペプチドの製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法を実行するためのペプチドの自動合成装置であって、
光学的に透明な窓を有する反応容器、
前記反応容器に試薬を供給する複数の試薬供給容器、
前記窓から反応容器の内部の色を観察するための光学機器、及び
これらを制御するための制御機器、
を具備する、ペプチドの自動合成装置。
【請求項9】
前記反応容器が、前記検査試薬の供給位置に対応する位置に前記窓を有する、請求項8に記載の装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドの製造方法及び製造装置に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
アミノ酸のポリマーであるペプチドは、医薬品、機能性材料等として利用価値が高く、近年、最も注目されている化合物群である。
【0003】
ペプチドの化学合成方法として、固相合成法が知られている。固相合成法では、伸長させるペプチド鎖の他端を、樹脂担体に結合させた上で、伸長中のペプチド鎖のアミノ基に、新たに添加されたアミノ酸のカルボキシ基を連結させてアミド結合を形成し、ペプチド鎖を伸長させていく。そして、目的のペプチドが得られた後に、ペプチドを担体から分離させる。
【0004】
伸長反応の際には、アミド結合に使用される官能基以外の反応性の官能基を、保護基により保護しておくことで、副反応を抑えながらペプチド鎖を伸長させる。より詳細には、新たに添加されるアミノ酸のアミノ基を保護基で保護しておき、そのアミノ酸がペプチド鎖と連結した後に、保護基を除去する(脱保護)。このようにして露出されたアミノ基が、次に添加される新たなアミノ酸のカルボキシ基と連結される。これを繰り返すことによりペプチド鎖を伸長させていく。
【0005】
このようなペプチドの合成を実験室等で手動で行う場合には、ペプチド鎖末端のアミノ基と添加されたアミノ酸のカルボキシ基との縮合反応が終了しているかどうかを、カイザーテストと呼ばれる方法で確認することができる。カイザーテストとは、固相上でニンヒドリン反応を行い、末端アミノ基の残存を検出するという分析法である。ニンヒドリンは、末端アミノ基と反応してルーエマン紫という色素を生成するが、反応が終了している場合には、その色素が生成されないため、ニンヒドリンを加えても無色である場合には、反応が完了している目安となる。
【0006】
このカイザーテストは、検査試薬であるニンヒドリンが第一級アミノ基と特定の第二級アミノ基としか反応できず、プロリン、N-メチルアミノ酸等の第二級アミノ基には反応させることができない。また、カイザーテストは、ニンヒドリンを反応させるのに高温に加熱して5分程度の時間が必要であり、かつ使用したサンプルを再利用できない破壊試験であるという課題がある。カイザーテストが破壊試験となるのは、ニンヒドリンをペプチドの末端アミノ基に共有結合させる必要があり、その結合は可逆的には反応しないためである。
【0007】
それに対して、近年、カイザーテストに変わる新たな試験方法が提案された(非特許文献1)。この方法で用いる検査試薬によれば、第一級アミノ基及び第二級アミノ基のすべてと反応できるだけではなく、第三級アミノ基とも反応することができる。また、この試薬は、ペプチドと可逆的に反応することができるため、この試験方法は、試験に用いたペプチドを再利用することができる非破壊試験となり、その結果、カイザーテストと比較して、ペプチドの収率を高めることができる。ペプチドは、非常に高価であるため、この試験方法は、非常に有効である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
Rio Suzuki et al.,Org.Lett.2020,22,3309~3312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ペプチドの合成を手動で行うのは実験室レベルの場合であり、ペプチドの合成は、通常は、市販されているペプチドの自動合成装置を用いて行われる。自動合成装置は、上記のような反応を短時間、高精度、かつ簡単な操作で行うことができる。
【0010】
ペプチドの自動合成装置では、アミノ酸の縮合反応の都度、内部からペプチドを取り出してカイザーテストを行ってはいない。そのため、自動合成装置では、脱保護時に生じる保護基をUV検出して、縮合反応を間接的にモニタリングしている。したがって、現行の自動合成装置では、アミノ酸とペプチドとの縮合反応のモニタリングを高い精度で定量的に行うことができず、大量の反応試薬を用いて、マイクロ波加熱で反応を進行させることによって、収率の向上を図っている。
(【0011】以降は省略されています)

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