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公開番号2023172014
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-06
出願番号2022083556
出願日2022-05-23
発明の名称吊りバケット装置
出願人個人
代理人個人
主分類B66C 3/02 20060101AFI20231129BHJP(巻上装置;揚重装置;牽引装置)
要約【課題】 吊りフレームを上下に移動させることのみで、バケット本体を反転し、土砂等を排出できる吊りバケット装置を提供する。
【解決手段】 正面視において左右対称な容器形状に構成され、土砂等を積載可能なバケット本体2と、正面視において左右対称な門型形状に構成され、その脚部の下端部から左右に突出する一対の接続ピン7が前記バケット本体2の左右両側面に枢着された状態でその中央上部をクレーンフック等で吊り上げることにより前記バケット本体2を吊り上げ可能な吊りフレーム3と、正面視において前記バケット本体2の両側面に左右一対設けられ、前記吊りフレーム3が上昇下降することのみにより前記バケット本体2を運搬姿勢と排土姿勢とに上下反転可能な反転機構4と、を備える。
【選択図】 図1

特許請求の範囲【請求項1】
正面視において左右対称な容器形状に構成され、土砂等を積載可能なバケット本体と、
正面視において左右対称な門型形状に構成され、その脚部の下端部から左右に突出する一対の接続ピンが前記バケット本体の左右両側面に枢着された状態でその中央上部をクレーンフック等で吊り上げることにより前記バケット本体を吊り上げ可能な吊りフレームと、
正面視において前記バケット本体の両側面に左右一対設けられ、前記吊りフレームが上昇下降することのみにより前記バケット本体を運搬姿勢と排土姿勢とに上下反転可能な反転機構と、
を備えた、クレーン作業に用いられる吊りバケット装置であって、
前記反転機構は、
正面視において前記バケット本体の左右両側面に互いに平行となるよう配置され、前記接続ピンが回転可能かつスライド可能に嵌合されるスライド溝を備える接続プレートと、
側面視において前記バケット本体の中心線に近接し前記バケット本体の上下中心付近に設けられる枢支点で枢支され、前記バケット本体の上下反転に伴い前記接続プレートの面に沿って所定角度揺動し前記スライド溝に出没することで前記接続ピンのスライド方向をガイドする接続ピンガイドと、を備え、
前記接続プレートは、前記スライド溝が、
前記バケット本体の重心を通る上下方向の中心線上に形成された中心スライド溝と、
前記中心スライド溝の両端部から前記枢支点の側にレ状に折り返して形成された上下2つのオフセットスライド溝と、が上下対称となる形状に連続して形成され、
前記接続ピンガイドは、その中央部に前記枢支点で枢支される枢支部を含む二等辺三角形の板状のガイドプレート部と、当該ガイドプレート部の二等辺三角形の頂点方向に伸びる棒状の重力感知棒部と、とから構成され、
また、側面視において前記接続ピンガイドは、前記バケット本体の前後方向に配置され前記枢支点を中心として枢支されてバランスした状態において、常に前記重力感知棒部の重力による回転モーメントが前記ガイドプレート部の重力による回転モーメントよりも大きくなる性質を付与されることで、前記バケット本体の上下反転に伴い揺動した後に常にストッパにより所定位置で停止するよう構成され、
さらに、前記接続ピンガイドは、前記所定位置において、前記ガイドプレート部の二等辺三角形の底辺にあたる一方の端部が上側の前記オフセットスライド溝を閉鎖し、かつ前記中心スライド溝を開放する一方、前記ガイドプレート部の二等辺三角形の底辺にあたる他方の端部が下側の前記オフセットスライド溝を開放し、かつ前記中心スライド溝を閉鎖する形状に形成されており、
上述した前記吊りバケット装置が、以下の工程によって前記バケット本体が反転することを特徴とする。
ステップ1:前記接続ピンが前記中心スライド溝の上側の端部にある状態で、前記吊りフレームによって前記バケット本体が吊り上げられている。
ステップ2:前記吊りフレームが降下することで前記バケット本体が接地したのち、前記吊りフレームがさらに降下すると、前記接続ピンが前記接続ピンガイドによってガイドされ、前記中心スライド溝に沿って下方へスライドする。
ステップ3:前記接続ピンが、前記中心スライド溝に突出する前記ガイドプレート部の前記他方の端部を押しのけて前記中心スライド溝の下側の端部に到達する。
ステップ4:前記吊りフレームが上昇することで、前記接続ピンが前記接続ピンガイドによってガイドされ、前記オフセットスライド溝に沿ってスライドしレ状に折り返された前記オフセットスライド溝の端部へ到達する。
ステップ5:前記吊りフレームがさらに上昇すると、前記接続ピンが前記バケット本体の重心に対しオフセットした位置にあるため、前記接続ピンを中心として前記バケット本体が反転し上下逆転する。
ステップ6:前記オフセットスライド溝に沿って前記接続ピンが前記中心スライド溝の反転後上側となった端部に到達するまで、反転した前記バケット本体が滑り落ちる。
ステップ7:前記接続ピンが前記中心スライド溝の反転後上側となった端部にある状態で、反転した前記バケット本体が前記吊りフレームによって吊り上げられている。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式クレーン等に用いられる吊りバケット装置に関し、上下の移動操作のみで反転させ内容物を排出可能な吊りバケット装置の技術に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
砂防堰堤、ダムなどの建設工事現場、矢板を用いた掘削などの土木工事現場では、移動式クレーン等を用いた土砂等の運搬作業が行われる。その際の用具として、四角に吊環が取り付けられた正方形の土砂吊り上げ用金属ネット(「ワイヤーモッコ」と呼ばれる。)に土砂を積み込んで、その吊環をクレーンフックに掛け吊り上げ運搬する作業が古くから行われている。
【0003】
さらには、中身を排出できる反転型バケットも使用されている。反転型バケットでは、積み込んだ土砂を排出する際に、玉掛け補助者が容器に取り付けられているロックを手動で外して持ち上げる。すると、重心に対し偏芯した下方位置に吊手が取り付けられている容器が反転し、バケットの中身を排出できる。
【0004】
一方、玉掛け作業者が直接バケットに手を触れなくても土砂を排出できる吊りバケット装置が提案されている。例えば、実開昭62-157888(特許文献1)には、バッグ本体の左右両側面板の上下及び左右の両方向に偏位した4個所で吊りフレームをつかんでバッグ本体を吊り上げ可能とし、バケット本体の下側のピンに対し吊りフレームを摺動させることで上側のピンとの係合が解かれるとバケット本体が反転し土砂を排出できる、吊りバケット装置が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載された吊りバケット装置であれば、クレーンフックを上下に動かすと共に、上側のピンと吊りフレームとの係合が解かれるよう水平方向にクレーンフックを動かした後、クレーンフックを上昇させることで、作業者が直接バケットに触れることなくバケットが反転し、内部の土砂を排出することができる。
【0006】
また、実公平7-32544(特許文献2)には、バッグ本体の側面に、重心を通る上下縦向きのスライド溝と、重心よりも下方位置における水平向きのスライド溝とが形成されることで、全体としてL字状の連続するスライド溝が形成され、吊持部材下端のスライドピンがL字状スライド溝の下方端部まで摺動したときに吊持部材を上昇させるとバッグ本体が反転し内容物を排出できる、ばら物運搬用の吊りバケット装置が記載されている。
【0007】
特許文献2に記載された吊りバケット装置であっても、クレーンのクレーンフックを上下に動かすと共に、吊持部材下端のスライドピンがL字状スライド溝の下方端部まで摺動するよう水平方向にクレーンフックを動かした後、クレーンフックを上昇させれば、直接作業者がバケットに触れることなくバケットが反転し、内部の内容物を排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
実開昭62-157888号公報
実公平7-32544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1と特許文献2に記載された吊りバケット装置は、共に、クレーンフックを上昇させバケット本体を反転する前に、クレーンフックをバケットに対し所定の水平方向に移動させる必要がある。そのため、クレーンオペレータにはクレーンフックを動かすべき水平向きの方向が分からなければならない。
【0010】
周知のように、移動式クレーン作業においてクレーンオペレータは常にクレーンフックを直接目視しながらクレーン操作できるわけではない。すなわち、クレーンフックを直接目視できない状況では、クレーンオペレータは、水平移動すべき方向を認識することができない。
(【0011】以降は省略されています)

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