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公開番号2023139416
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-10-04
出願番号2022044932
出願日2022-03-22
発明の名称積層ポリエステルフィルム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B32B 27/36 20060101AFI20230927BHJP(積層体)
要約【課題】湿熱雰囲気下かつ面圧がかかった状態で保管した後でもポリエステルフィルム上の樹脂層の品質が良好で、かつ洗浄して当該樹脂層等を容易に除去できる積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムの片方の面に層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、層Xの表面自由エネルギーが50mN/m以上70mN/m以下であり、層Xの十点平均粗さRzjisXが200nm以上700nm以下である積層ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエステルフィルムの片方の面に層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、層Xの表面自由エネルギーが50mN/m以上70mN/m以下であり、層Xの十点平均粗さRzjisXが200nm以上700nm以下である積層ポリエステルフィルム。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記層Xの水の接触角HX(1)(°)とHX(20)(°)が5≦|HX(1)-HX(20)|≦60を満たす、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
HX(1):層Xに水が接触してから1秒後の接触角
HX(20):層Xに水が接触してから20秒後の接触角
【請求項3】
前記層Xが水溶性の物質を含有する、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記層Xが粒子を含有する、請求項1~3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記層Xの厚みxa(nm)と、層Xの十点平均粗さRzjisX(nm)が以下の条件1を満たす請求項1~4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件1:1≦RzjisX/xa≦10
【請求項6】
前記層Xは粒子を含有し、前記層Xに含有される粒子が球状で粒径が90nm以上500nm以下である請求項1~5のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
前記層Xは粒子を含有し、前記粒子の粒径Z(nm)と前記層Xの厚みxa(nm)が、以下の条件2を満たす請求項1~6のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件2:0.8≦Z/xa≦5.0
【請求項8】
前記ポリエステルフィルムの、層Xと接する面とは反対側の面Bの十点平均粗さRzjisBが50nm以上1000nm以下であり、面BのRzjisB(nm)と前記層Xの厚みxa(nm)以下の条件3を満たす請求項1~7のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件3:1≦RzjisB/xa≦10
【請求項9】
前記層Xのポリエステルフィルムと接する面とは反対面に、以下の条件4および条件5を満たす層Yを有する請求項1~8のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件4:80≦HY(1)≦120
条件5:5≦|HY(1)-HY(20)|≦90
HY(1)(°):層Yに水が接触してから1秒後の接触角
HY(20)(°):層Yに水が接触してから20秒後の接触角
【請求項10】
前記層Yの層Xと接する面とは反対側の面に被離型層を設け、層Yから被離型層を剥離する離型用途に用いられる請求項9に記載の積層ポリエステルフィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は積層ポリエステルフィルムに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
プラスチックは様々な分野に利用されている一方、マイクロプラスチックなど海洋汚染の原因物とされ、プラスチックによる環境負荷低減が急務となっている。また、近年、IoT(Internet of Things)の進化により、コンピュータやスマートフォンに搭載されるCPUなどの電子デバイスが急激に増加し、それに伴い、電子デバイスを駆動するために重要な積層セラミックコンデンサー(MLCC)の数も爆発的に増加している。MLCCの一般的な製造方法は、プラスチックフィルムを基材とし、該基材上に離型層を設けた離型フィルム上に、セラミックグリーンシートと電極を積層して乾燥して固めた後、該積層体を離型フィルムから剥離し複数層を積層し、焼成するというものである。この工程において、離型フィルムは、工程中で不要物として廃棄されることとなる。
【0003】
すなわち、近年のMLCC数量の爆発的増加で不要物として廃棄される離型フィルムが増えることによる環境への負荷が課題となりつつある。MLCCの製造工程で用いられる離型フィルムに含まれる離型層の成分は、離型性の観点から、一般的にはフィルムを構成する成分とは異なる組成であるため、離型層がついた離型フィルムをそのまま再溶融した場合、離型層の成分が異物として存在するため、再利用ができない。
【0004】
また、「withコロナ」の社会変革の中で、リモートワークなどの増加により、タブレット、ノートPCやディスプレイなどの需要が増加する中で、液晶モニタの部材である偏光フィルムの需要も伸びている。偏光フィルムは、一般的にはポリビニルアルコール樹脂とトリアセチルセルロース樹脂からなる積層体が用いられる。かかる積層体は、液晶モニタの製造工程における該積層体へのダメージを低減するため、該積層体に保護フィルムを貼り合わせられることが一般的に行われている。
【0005】
この保護フィルムの製造方法は、保護フィルムの片面に、偏光フィルムと貼り合わせるための粘着剤を形成する工程として、工程用離型フィルムを使用する工程を有することが一般的である。すなわち、工程用離型フィルムの離型面に粘着剤を付与した後に保護フィルムの片面に貼り合わせ、工程用離型フィルムを剥離することで粘着剤を保護フィルムの片面に転写する、という工程である。粘着剤形成の工程で用いられる工程用離型フィルムは、MLCCの製造工程で用いられる離型用フィルムと同様、離型層がついた離型フィルムをそのまま再利用したり、あるいはマテリアルリサイクルを実施する場合、離型層の成分が異物として存在するため、再利用ができないことがある。
【0006】
特許文献1では、離型層とポリエステルフィルムの中間に水溶性樹脂の層を設け、水洗することで離型層を除去した後、ポリエステルフィルムのみを再利用する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2004-050681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、回収性が良好とされるポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂層は、表面自由エネルギーが大きく、他の層との接着性が高いため、ロール形状に巻かれフィルムに面圧がかかる状況下で、湿熱雰囲気中に保管された場合、フィルムの特性が変化することがあり、かかるフィルムを使用する際に耐久性が低下し品質を保てないという改善点がみつかった。また湿熱雰囲気下において面圧がかかる状況で保管した後における当該樹脂層の水洗性が低下する場合があることもわかった。したがって、本発明の課題は、湿熱雰囲気下かつ面圧がかかった状態で保管した後でもポリエステルフィルム上の樹脂層の品質が良好で、かつ洗浄して当該樹脂層等を容易に除去できる積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の好ましい一態様は以下の構成をとる。
[1]ポリエステルフィルムの片方の面に層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、層Xの表面自由エネルギーが50mN/m以上70mN/m以下であり、層Xの十点平均粗さRzjisXが200nm以上700nm以下である積層ポリエステルフィルム。
[2]前記層Xの水の接触角HX(1)(°)とHX(20)(°)が5≦|HX(1)-HX(20)|≦60を満たす、[1]に記載の積層ポリエステルフィルム。
HX(1):層Xに水が接触してから1秒後の接触角
HX(20):層Xに水が接触してから20秒後の接触角
[3]前記層Xが水溶性の物質を含有する、[1]または[2]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[4]前記層Xが粒子を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[5]前記層Xの厚みxa(nm)と、層Xの十点平均粗さRzjisX(nm)が以下の条件1を満たす[1]~[4]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件1:1≦RzjisX/xa≦10
[6]前記層Xは粒子を含有し、前記層Xに含有される粒子が球状で粒径が90nm以上500nm以下である[1]~[5]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[7]前記層Xは粒子を含有し、前記粒子の粒径Z(nm)と前記層Xの厚みxa(nm)が、以下の条件2を満たす[1]~[6]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件2:0.8≦Z/xa≦5.0
[8]前記ポリエステルフィルムの、層Xと接する面とは反対側の面Bの十点平均粗さRzjisBが50nm以上1000nm以下であり、面BのRzjisB(nm)と前記層Xの厚みxa(nm)以下の条件3を満たす[1]~[7]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件3:1≦RzjisB/xa≦10
[9]前記層Xのポリエステルフィルムと接する面とは反対面に、以下の条件4および条件5を満たす層Yを有する[1]~[8]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
条件4:80≦HY(1)≦120
条件5:5≦|HY(1)-HY(20)|≦90
HY(1)(°):層Yに水が接触してから1秒後の接触角
HY(20)(°):層Yに水が接触してから20秒後の接触角
[10]前記層Yの層Xと接する面とは反対側の面に被離型層を設け、層Yから被離型層を剥離する離型用途に用いられる[9]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[11]前記層Yから被離型層を剥離した後、層Xと層Yが除去される用途に用いられる[10]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[12]前記層Xと層Yを除去した積層ポリエステルフィルムを再利用する用途に用いられる[9]~[11]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[13]前記被離型層が、チタン酸バリウムを主成分とするセラミックグリーンシートである[10]~[12]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[14]少なくとも積層セラミックコンデンサ(MLCC)製造工程用の離型フィルムの一部として用いられる[1]~[13]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[15]前記被離型層が、アクリル樹脂を主成分とする粘着剤である[10]~[14]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[16]偏光板製造工程用の離型フィルムとして用いられる[1]~[15]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、湿熱雰囲気下かつ面圧がかかった状態で保管した後でもポリエステルフィルム上の樹脂層の品質が良好で、かつ洗浄して当該樹脂層等を容易に除去できる積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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