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公開番号2024055291
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-18
出願番号2022162100
出願日2022-10-07
発明の名称積層フィルム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類G02B 5/28 20060101AFI20240411BHJP(光学)
要約【課題】 本発明は、窓部材や車載部材等として用いた際の視認性がよく、居住環境を向上する積層フィルムに関する。
【解決手段】 異なる3種類の熱可塑性樹脂層からなる規則配列を連続して3つ以上有し、下記条件1~3を同時に満たすことを特徴とする、積層フィルム。
条件1:前記規則配列における異なる3種類の熱可塑性樹脂層を最表面から順にA層、B層、C層としたときに、前記B層の合計厚みに対する前記A層の合計厚みの比A/Bが0.5以上1.1以下であり、前記B層の合計厚みに対する前記C層合計厚みの比C/Bが0.9以上1.5以下である。
条件2:前記規則配列内の熱可塑性樹脂層の合計厚みが250nm以上600nm以下である。
条件3:垂直入射時の透過彩度C*(0°)と、60°入射時の透過彩度(60°)が、|C*(60°)-C*(0°)|≦10を満たす。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
異なる3種類の熱可塑性樹脂層からなる規則配列を連続して3つ以上有し、下記条件1~3を同時に満たすことを特徴とする、積層フィルム。
条件1:前記規則配列における異なる3種類の熱可塑性樹脂層を最表面から順にA層、B層、C層としたときに、前記B層の合計厚みに対する前記A層の合計厚みの比A/Bが0.5以上1.1以下であり、前記B層の合計厚みに対する前記C層合計厚みの比C/Bが0.9以上1.5以下である。
条件2:前記規則配列内の熱可塑性樹脂層の合計厚みが250nm以上600nm以下である。
条件3:垂直入射時の透過彩度C*(0°)と、60°入射時の透過彩度C*(60°)が、|C*(60°)-C*(0°)|≦10を満たす。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記規則配列が、A層、B層、C層、B層をこの順に含む4層からなる、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
フィルム配向軸方向をX方向、前記X方向にフィルム面内で直交する方向をY方向、フィルムの中心をC点としたときに、前記C点をとおり前記X方向に平行な直線とフィルム端部との交点をXE1点及びXE2点、前記C点をとおり前記Y方向に平行な直線とフィルム端部との交点をYE1点及びYE2点としたときに、前記C点、前記C点と前記XE1点の中間点、前記C点と前記XE2点の中間点、前記C点と前記YE1点の中間点、前記C点と前記YE2点の中間点の計5点における、透過彩度C*がいずれも10以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
フィルム配向軸方向をX方向、前記X方向にフィルム面内で直交する方向をY方向、フィルムの中心をC点としたときに、前記C点をとおり前記X方向に平行な直線とフィルム端部との交点をXE1点及びXE2点、前記C点をとおり前記Y方向に平行な直線とフィルム端部との交点をYE1点及びYE2点としたときに、前記C点、前記C点と前記XE1点の中間点、前記C点と前記XE2点の中間点、前記C点と前記YE1点の中間点、前記C点と前記YE2点の中間点の計5点における、透過彩度C*の変動係数が20.0以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項5】
横軸を波長(nm)、縦軸を反射率(%)とする300nm以上2500nm以下の波長帯域における分光スペクトルにおいて、最も長波長帯域に位置する100nm以上にわたり連続して20%以上の反射率を示す波長帯域を波長帯域Π、前記波長帯域Πにおける中心波長をλ、前記波長帯域Πの分光スペクトルと反射率のベースラインとで囲まれる領域面積をS、前記熱可塑性樹脂層の合計積層数をNとしたときに、0.060≦S/(λ・N)≦0.300を満足する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記異なる3種類の熱可塑性樹脂層が結晶性/半結晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層、あるいは結晶性/非晶性/非晶性の熱可塑性樹脂層の組み合わせで構成される、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項7】
請求項1または2に記載の積層フィルムを用いてなる、窓部材
【請求項8】
請求項1または2に記載の積層フィルムを用いてなる、車載部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、窓部材や車載部材等として用いた際の視認性が良好で、居住環境を向上する積層フィルムに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
特定波長帯域の光線を遮蔽・抽出可能な光制御フィルムは、光や熱線などの環境因子から製品の内部環境の悪化や構成成分の劣化を防止する目的や、特定波長帯域の光線のみを抽出して所望の色調に発色させる目的で、多岐の分野にわたり実用化されている。代表例として、例えば建材や自動車用途では室内/車内の温度上昇を抑制するための近赤外線カットフィルム、工業材料用途では紫外線レーザー表面加工時の過剰な紫外線を吸収するための紫外線カットフィルム、電子情報分野ではディスプレイ光源から発せられる眼に有害な青色光線を遮蔽するブルーライトカットフィルムや、拡散・喪失するバックライトの光を再帰反射させることができる輝度向上フィルム、自動車内装材やモバイル筐体用途では金属調を付与するための可視光全域を反射する金属調フィルム、などが利用されている。
【0003】
その他、食品、医療、農業、インクなどの分野においても、内容物の光劣化を抑制する目的で光制御フィルムが用いられる。中でも、近赤外線カットフィルムは、建物の窓や車窓に貼り合わせることで、太陽光に含まれる高エネルギーの熱線(近赤外線)をカットして室内/車内温度上昇を抑制できるほか、それにより空調技術の省エネルギーにも貢献できる材料として、実用化が進んでいる。このような近赤外線カットフィルムは、特に車載用途においては、近赤外線領域の光線カットに加え、周囲の視認性を高めるための高い透明度が要求される。
【0004】
特定波長帯域の光線を制御(遮蔽)する手法として、フィルムを構成する樹脂に染料・顔料・熱線吸収剤等の光吸収剤を添加した吸収タイプの光制御フィルムが広く利用されている(特許文献1)。しかしながら、吸収タイプの光制御フィルムの吸収特性は、吸収剤の添加濃度とフィルム厚みの積に性能が依存するため、近年のフィルムにおける薄膜化のトレンドに従うと、吸収剤の添加濃度を高くすることが必要となる。これにより、光吸収剤の種類によっては表面析出が顕著となり、製膜工程汚染によるフィルム欠点、光吸収剤含有濃度減少によるカット性能低下等、品位や品質の低下が問題となる。また、光吸収剤は緩やかなカットオフ特性を示す場合が多く、可視光線領域と近赤外線量領域の境界をカットできる熱線吸収剤を用いた場合、可視光線領域の赤色領域までカットし、フィルムに色づきが生じる問題もあった。
【0005】
このような吸収タイプの光制御フィルムの欠点を補うことができる、特定の波長帯域のみの光線を急峻に遮蔽でき、かつ、簡便に波長帯域を調整できる光制御フィルムとして、屈折率の異なる層をフィルム厚さ方向に積層し、光干渉理論に基づく干渉反射を利用する反射タイプの光制御フィルムが挙げられる。中でも、屈折率の異なる2種類の層(A層、B層)を交互に積層する(AB)m構成(mは繰り返し単位の数を表す自然数)の光制御フィルムは多くの公知技術が報告されており、例えば、層厚みに連続的に傾斜分布を付与することで広い波長帯域の光線を反射できること、また、所望の波長帯域以外に短波長帯域に発生する望まれない反射(高次反射と称する)を抑制するために、光学厚みを波長の1/4に設計する技術(特許文献2,3)や、1:7:1の比率を有する特殊な層厚みパターニングを施す技術(特許文献4,5)、などが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2013-210598号公報
特表2004-503402号公報
特表平8-503312号公報
米国特許5360659号
特開2018-205615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2~5が開示する(AB)m構成(mは繰り返し単位の数を表す自然数)の反射タイプの光制御フィルムにおいて、高い遮熱性能を得るためには、近赤外線領域における分光反射スペクトルの反射帯域が広く、かつ、当該反射帯域での反射率が高いことが求められる。本光学特性を実現出来る積層フィルム設計として、積層数を増やす、あるいは、2種類の樹脂層の屈折率差を高めることが挙げられる。しかしながら前者の場合は、フィルムが厚くなり近年の薄膜化トレンドに反する態様になる点、後者の場合は、屈折率の大きく異なる異種樹脂層界面で層間剥離が起こる点が問題となる。そのため、特許文献2~5が開示する(AB)m構成(mは繰り返し単位の数を表す自然数)の反射タイプの光制御フィルムには、実用面での大きな問題があった。
【0008】
また、高い透明性を得るためには、干渉反射技術において副次的に発生する短波長領域の高次反射を抑制する必要がある。遮熱フィルムの場合、主反射帯域を近赤外線領域とすることで、可視光線領域での高次反射が生じる場合がある。高次反射抑制については、特許文献2~5が開示するように、λ/4設計あるいは、1:7:1比率の、特殊な光学厚みパターニングを施すことで改善出来る。このとき、屈折率の異なる2種類の樹脂の厚み比率を高精度に制御することが求められるが、押出機の吐出変動や、樹脂積層工程での幅方向流動むらにより、広い範囲にわたって均一な積層比を示すことは難しく、積層フィルムが大面積にわたり高い透明性を示すことが難しいという課題があった。
【0009】
積層フィルムの遮熱性能を高めるためには、反射率を100%まで高め、さらに近赤外線領域の光線を広く遮蔽することも重要である。従来の交互積層構造を有する積層フィルムでは、反射率向上は異なる2種類の樹脂の屈折率差を制御することで実現出来る。一方で、反射帯域の拡張は、干渉反射理論に基づいて積層フィルム内の層厚み分布設計により達成出来るものの、理論上、帯域拡張により可視光線領域への高次反射が生じるため、積層フィルムの色づきが生じる問題があった。そのため、高い透明性と、高反射+広帯域化による高遮熱性能を両立することは、2種類の屈折率の異なる層(A層、B層)の交互積層構造を基本とする従来技術では達成できなかった。
【0010】
加えて、高次反射発生による他の課題として、積層フィルムを斜め方向から見た場合、積層フィルム内での光路長が変化することによる反射帯域波長の短波長シフトが生じる。このシフト特性により、可視光線領域に高次反射が生じる積層フィルムの場合は、正面方向と斜め方向で色味が変化する場合がある。積層フィルム正面からは着色が見られない場合でも、斜め方向からは樹脂屈折率変化も相まって着色を呈することがあり、そのような積層フィルムを車窓フロントガラスに用いると、視認性が悪化する問題がある。すなわち、前記のように、高次反射が発生しやすい従来の交互積層構造を有する積層フィルムの場合は、実用面において視認性が悪化する課題があった。
(【0011】以降は省略されています)

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