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公開番号2024049375
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-09
出願番号2023162440
出願日2023-09-26
発明の名称分離膜エレメント
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B01D 69/00 20060101AFI20240402BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】分離膜エレメントにおいて、封止部への原水中の溶質の流入を防ぎ、膜剥がれを抑制し、安定的に造水できる分離膜エレメントを提供する。
【解決手段】基材と、前記基材上に設けられた多孔質層と、前記多孔質層上に設けられた分離機能層から成る複合半透膜を含む分離膜エレメントであって、前記複合半透膜は、少なくとも前記基材の空隙に封止材を含む領域Aとそれ以外の領域Bを有し、前記領域Aの分離機能層表面の静的接触角は80°以上であり、前記領域Bの分離機能層表面の静的接触角は、79°以下である分離膜エレメント。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材と、前記基材上に設けられた多孔質層と、前記多孔質層上に設けられた分離機能層から成る複合半透膜を含む分離膜エレメントであって、前記複合半透膜は、少なくとも前記基材の空隙に封止材を含む領域Aとそれ以外の領域Bを有し、前記領域Aの分離機能層表面の静的接触角は80°以上であり、前記領域Bの分離機能層表面の静的接触角は、79°以下である分離膜エレメント。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
前記領域Aの分離機能層表面は撥水層を備え、前記撥水層の厚みは50μm以下である請求項1に記載の分離膜エレメント。
【請求項3】
前記領域Aの撥水層の厚みは10μm以下である請求項2に記載の分離膜エレメント。
【請求項4】
前記撥水層は、少なくともフッ素またはケイ素を含む請求項2または3に記載の分離膜エレメント。
【請求項5】
前記領域Aが、多官能アミンと多官能ハロゲン化物との重合物である架橋ポリアミドを含み、フッ素原子を持つ化合物が前記架橋ポリアミドと化学結合されてなる請求項4に記載の分離膜エレメント。
【請求項6】
前記領域Aにおける基材空隙率は10%以下である請求項1~3のいずれかに記載の分離膜エレメント。
【請求項7】
前記分離膜エレメントは液体処理用途の逆浸透膜エレメントであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の分離膜エレメント。
【請求項8】
請求項1~3のいずれかに記載の分離膜エレメントを用いて、供給側流体を濃縮水と透過側流体に分離する工程を有する造水方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は供給側流体と透過側流体の混合を防ぐ分離膜リーフの封止部の膜剥離抑制し、安定的に造水できる分離膜エレメントに関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
海水及びかん水、食品用液体等に含まれるイオン性物質またはタンパク質等の溶質を除くための技術においては、近年、省エネルギー及び省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水及び有害物を含んだ水等からの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに、排水処理及び有価物の回収、牛乳濃縮プロセス等に用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
【0003】
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に供給側流体を供給し、他方の面から透過側流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで、1個の分離膜エレメント当たりの膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメント当たりに得られる透過側流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型又は平膜集積型等の各種の形状が提案されている。
【0004】
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル型分離膜エレメントは、集水管と、集水管の周囲に巻き付けられた分離膜とを備える。
【0005】
分離膜は、基材と基材上に設けられた多孔質層と、多孔質上に設けられた分離機能層からなり、一般的に二つ折りした間に、供給側流体(つまり被処理水)を分離膜表面へ供給する供給側流路材を配置したものと、供給側流体に含まれる成分を分離する分離膜及び分離膜を透過し分離された透過側流体を集水管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成される。ここでは供給側流体と透過側流体の混合を防ぐ封止部を形成するため封止材を分離膜端部(3辺)に塗布して分離膜リーフを作製し、この分離膜リーフの単数または複数を集水管の周囲にスパイラル状に巻き付けることによって、スパイラル型エレメントは製造される。スパイラル型分離膜エレメントは、供給側流体に高い圧力を付与することができるので、透過側流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
【0006】
スパイラル型エレメントは、分離膜リーフを有するが、複数の分離膜リーフの透過側面同士が接着剤により封止されており、供給側流体の混入を防いでいる。
【0007】
分離膜リーフの封止方法については、例えば特許文献1に、ホットメルトタイプのテープ状接着剤を用いて封止し、仮固定した上で電磁波を照射することにより分離膜周辺部を接着する方法が開示されている。また特許文献2、3には、分離膜に熱加工されていない基材を用いることやプライマーを使用することで多孔質体表層近傍まで封止材を含浸させる方法、特許文献4には、接着面粗面化による封止面積拡大、封止材の含浸性を改善する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平7-204471号公報
特開2006-68644号公報
特開平10-000341号公報
特開2006-247629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の接着性向上を目的とした封止法は、基材や封止材の制約が多いという課題があった。さらに、分離膜リーフ部への塩やタンパク質等の溶質の流入による浸透圧によって生じる膜剥離を抑制できないという問題点があった。
【0010】
そこで本発明は、供給側流体と透過側流体の混合を防ぐ分離膜リーフの封止部の膜剥離抑制し、安定的に造水できる分離膜エレメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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