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公開番号2023093388
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-07-04
出願番号2022202847
出願日2022-12-20
発明の名称樹脂組成物、その成形品、並びにエラストマー組成物及びその成形品の物性を変化させる方法
出願人埼玉県,株式会社 フューエンス
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C08L 67/04 20060101AFI20230627BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】オゾン耐性を有する、生分解性ポリマーの樹脂組成物及び成形品を提供すること。
【解決手段】ポリヒドロキシアルカン酸として、実質的に3-ヒドロキシブタン酸及び3-ヒドロキシヘキサン酸のみからなる樹脂組成物であって、射出成形等により任意の3次元形状のプラスチック成形品及びエラストマー成形品を容易に量産することができ、この成形品の生分解性、生物適合性、オゾン耐性などの特徴に加えて、弾性率、強度、伸び、硬さを調整する方法を提供することにより、産業及び医薬用途等の幅広い用途への適用が可能となる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリヒドロキシアルカン酸を含む樹脂組成物であって、ポリヒドロキシアルカン酸が、実質的に3-ヒドロキシブタン酸(3-HB)及び3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)のみからなり、前記3-ヒドロキシブタン酸と前記3-ヒドロキシヘキサン酸とはコポリマー(P(3-HB-co-3-HH))として存在し、前記3-ヒドロキシヘキサン酸の割合が、前記ポリヒドロキシアルカン酸の繰り返し単位の全量に対してモル比として8~27mol%の範囲であり、オゾン水及びオゾンガスに耐性を有する樹脂組成物。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
樹脂組成物が、3-ヒドロキシヘキサン酸の割合が、ポリヒドロキシアルカン酸の繰り返し単位の全量に対してモル比として8mol%以上であり、15mol%未満であるプラスチック組成物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
樹脂組成物が、3-ヒドロキシヘキサン酸の割合が、ポリヒドロキシアルカン酸の繰り返し単位の全量に対してモル比として15mol%以上であり、27mol%以下であるエラストマー組成物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
水中オゾン濃度が約15mg/lまでのオゾン水に耐性を有する、及び/又はオゾンガス濃度が約61000体積ppmまでのオゾンガスに耐性を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形品。
【請求項6】
請求項4に記載の樹脂組成物を含む成形品。
【請求項7】
水中オゾン濃度が約15mg/lまでのオゾン水に耐性を有する、及び/又はオゾンガス濃度が約61000体積ppmまでのオゾンガスに耐性を有する、請求項5に記載の成形品。
【請求項8】
水中オゾン濃度が約15mg/lまでのオゾン水に耐性を有する、及び/又はオゾンガス濃度が約61000体積ppmまでのオゾンガスに耐性を有する、請求項6に記載の成形品。
【請求項9】
成形品が、射出成形によるものである、請求項5に記載の成形品。
【請求項10】
成形品が、射出成形によるものである、請求項7に記載の成形品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性バイオポリマーであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)を含む組成物であって、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)が実質的に3-ヒドロキシブタン酸(3-HB)及び3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)のみからなり、3-ヒドロキシブタン酸と3-ヒドロキシヘキサン酸とはコポリマー(P(3-HB-co-3-HH))として存在し、3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)の割合が8~27mol%の範囲であり、耐オゾン性を有する樹脂組成物及びその成形品、並びに3-ヒドロキシヘキサン酸の含有量を変化させることにより、エラストマー組成物及びその成形品の物性を変化させる方法に関するものである。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
石油を主原料とする合成樹脂は軽く、設計自由度も高いことから、金属やガラスなどの主要材料と並んで普及し、利便性を向上させ、社会を豊かにしてきた。特に、加熱すると溶融し、冷却すると固化するといった熱的可逆性の特徴を有する合成樹脂である熱可塑性樹脂は、生産性や加工性、さらにはリサイクル性にも優れることから、日用雑貨や産業部品、医療部品に加工・適用され、成形加工材料として材料開発が盛んに行われている。熱可塑性樹脂の中でも比較的新しく開発された、ゴム的な性質を有するエラストマーは、多様な柔軟部材に向けた材料開発が進み、市場を広げている。今後も高分子材料としてのエラストマーの開発が社会に果たす役割は大きくなっていくものと考えられている。
一方、これからの新しい材料の開発を含めた製品技術の開発は、製品開発を取り巻く状況を見れば、環境に対する負荷が最小になる形で発展せざるを得ない。プラスチックやエラストマーを含む合成樹脂についても、原料となる石油価格が変動し、原料供給が一定しないといった問題に加え、環境へのマイナスの影響として、温室効果ガスを産生すると共に、製造過程においてあるいは製品として使用された後、排水処理場を通り抜け、あるいは最終製品が崩壊、投棄あるいは廃棄され河川・海洋などに流入することにより、様々な問題を生じるなど、世界的規模での解決が迫られている。
【0003】
特に、最近では、海洋でのマイクロプラスチックの汚染が問題となっている。例えば、プラスチックごみが波や紫外線で粉砕されると長さ5ミリメートル以下のマイクロプラスチックとなり、魚の体内にマイクロプラスチックが蓄積する。50年後には海のプラスチックごみは魚の総重量を超えるとされ、プラスチックごみを削減させることは人類にとって喫緊の課題となってきている。したがって、合成樹脂が必須の産業分野においても、環境汚染の低減や脱炭素社会の観点から、高分子材料として従来から使用している合成樹脂の転換が迫られている。
【0004】
また、エラストマーは一般的な熱可塑性樹脂の量産機で容易に成形できることから、産業用途に広く普及し、柔軟性のある容器やシール部材、医療分野においても注射器や瓶栓、チューブなどの医療機器から生体組織と接触する人工肺膜やドレーン、人工血管などの製品技術要素として既に大きな需要がある。これら医療分野では、安全性の観点から生体に適応したエラストマー成形品も使用されているが、生体反応や可滅菌性などの安全性・性能・適合性のさらなる向上が求められている。したがって、医療分野におけるエラストマー成形品として、生体内での安全な使用を可能とするために安全性・適合性・生体内分解性などの条件を満たしながら、より有用な物性・性能を持つことが必須となっている。
さらに、エラストマーを適用する分野は広範にわたることから、物性についても、適用する用途に応じた弾性率や強度、伸び、硬さが可変であることも必須となる。近年、脱臭や除菌、滅菌、殺菌工程に使用されるオゾンや、こうしたオゾンを利用する産業用機器用途に対するオゾン耐性も検討するべき重要な技術課題となっている。こうした課題は、エラストマーに限られるものではなく、プラスチックにおいても同様である。
【0005】
これらの課題の解決方法の一つとして、様々な形態及び態様において、生分解性バイオポリマーを原料とした耐オゾン性を有する樹脂組成物やその成形品を使用することが提案されている。
【0006】
特許文献1には、ポリヒドロキシ酪酸にヒドロキシヘキサン酸を共重合させ、一つの応用例としてエラストマーへの適用が記載されている。
特許文献2には、生分解性エラストマーを含むポリマー層フィルムから構成される制御放出の抗生物質ソケットにおける素材の一例として4-ヒドロキシ酪酸(PHB)とポリヒドロキシアルカエート類(PHA)が挙げられている。
オゾンに関しては特許文献3では、臭気が低減され、熱安定性に優れ、伸び率等の機械的特性に優れるPHAの提供について記載されている。温度が0~50℃、オゾン濃度が0.001以上10ppm以下に保たれたオゾンに接触処理されたことを特徴とするPHAを含有する樹脂組成物が記載されている。
しかしながら、これらの先行技術文献に記載された技術的事項からは、生分解性材料の特徴を十分に生かし、量産機で容易に3次元形状の成形品に成形できる柔軟なエラストマー組成物を含む樹脂組成物を得ることは困難であり、所望の物性さらにはオゾンに耐性を有する成形品の実用化には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特表平9―508424
特開2021―72894
特開2016-094547
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、樹脂組成物を構成する原料として生分解性バイオポリマーであるポリヒドロキシアルカン酸を使用することで、樹脂組成物の製造工程及び製品としての使用後における処理工程での環境問題に対応すると共に、医療用途を含めた広範囲な用途において求められる多様な特性に適応させ、また、滅菌などのオゾンが生じる環境に耐性を有する材料を提供することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の繰り返し単位として実質的に3-ヒドロキシブタン酸(3-HB)及び3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)のみからなるコポリマーを含む樹脂組成物を射出成形機により成形した成形品は、3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)の割合により、プラスチックとしての物性、又は柔軟で引き伸ばされても元に戻るといったエラストマーとしての物性を有することを見出し、また、かかるコポリマーにおける3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)の含有量を変化させることにより、コポリマーを含むエラストマー組成物及びその成形品の弾性率、強度、伸び、硬さが変化することを見出した。さらに、こうした樹脂組成物及びその成形品がオゾンガス及び高濃度オゾン水に対する耐性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。なお、本発明に係る組成物は、3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)の含有量により、プラスチック組成物又はエラストマー組成物となるものであり、プラスチック組成物とエラストマー組成物とを総称して樹脂組成物と記載している。
本発明は、以下の特定事項により特定されるとおりのものである。
【0010】
(1)ポリヒドロキシアルカン酸を含む樹脂組成物であって、ポリヒドロキシアルカン酸が、実質的に3-ヒドロキシブタン酸(3-HB)及び3-ヒドロキシヘキサン酸(3-HH)のみからなり、前記3-ヒドロキシブタン酸と前記3-ヒドロキシヘキサン酸とはコポリマー(P(3-HB-co-3-HH))として存在し、前記3-ヒドロキシヘキサン酸の割合が、前記ポリヒドロキシアルカン酸の繰り返し単位の全量に対してモル比として8~27mol%の範囲であり、オゾン水及びオゾンガスに耐性を有する樹脂組成物。
(2)樹脂組成物が、3-ヒドロキシヘキサン酸の割合が、ポリヒドロキシアルカン酸の繰り返し単位の全量に対してモル比として8mol%以上であり、15mol%未満であるプラスチック組成物である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3)樹脂組成物が、3-ヒドロキシヘキサン酸の割合が、ポリヒドロキシアルカン酸の繰り返し単位の全量に対してモル比として15mol%以上であり、27mol%以下であるエラストマー組成物である、(1)に記載の樹脂組成物。
(4)水中オゾン濃度が約15mg/lまでのオゾン水に耐性を有する、及び/又はオゾンガス濃度が約61000体積ppmまでのオゾンガスに耐性を有する、(1)~(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)(1)~(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形品。
(6)(4)に記載の樹脂組成物を含む成形品。
(7)水中オゾン濃度が約15mg/lまでのオゾン水に耐性を有する、及び/又はオゾンガス濃度が約61000体積ppmまでのオゾンガスに耐性を有する、(5)に記載の成形品。
(8)水中オゾン濃度が約15mg/lまでのオゾン水に耐性を有する、及び/又はオゾンガス濃度が約61000体積ppmまでのオゾンガスに耐性を有する、(6)に記載の成形品。
(9)成形品が、射出成形によるものである、(5)に記載の成形品。
(10)成形品が、射出成形によるものである、(7)に記載の成形品。
(11)成形品が、射出成形によるものである、(8)に記載の成形品。
(12)(3)に記載の樹脂組成物において、前記樹脂組成物に含まれる3-ヒドロキシヘキサン酸の含有量を変化させることにより、エラストマー組成物及び/又は前記エラストマー組成物を含むエラストマー成形品の物性を変化させる方法。
(13)物性が、引張最大応力、引張破断伸び、引張弾性率、引張永久ひずみ、及び/又は硬度である、(12)に記載の方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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