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公開番号2023067810
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-05-16
出願番号2022171156
出願日2022-10-26
発明の名称細胞吸着材料、及び細胞吸着カラム
出願人東レ株式会社
代理人
主分類A61M 1/36 20060101AFI20230509BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本発明は、LAP陽性T細胞及びLAP陽性血小板のようなLAP陽性免疫細胞などの細胞を高効率に吸着する細胞吸着材料を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリアミン及び脂肪族アミンからなる群より選択される1種以上の窒素含有化合物が結合した水不溶性担体の繊維又は粒子であり、上記繊維又は上記粒子の断面の最表面から1.0μm以内の領域を領域A、上記繊維又は上記粒子の断面の重心から半径0.5μm以内の領域を領域Bとし、飛行時間型2次イオン質量分析法により測定された上記各領域の25C2H-のスペクトル強度を1としたときの26CN-のスペクトル強度が、下記式(1)及び(2)を満たす、細胞吸着材料。
0.5≦上記領域Aにおける26CN-のスペクトル強度≦3.0 ・・・式(1)
3.0≦上記領域Aにおける26CN-のスペクトル強度/上記領域Bにおける26CN-のスペクトル強度≦20.0 ・・・式(2)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ポリアミン及び脂肪族アミンからなる群より選択される1種以上の窒素含有化合物が結合した水不溶性担体の繊維又は粒子であり、
前記繊維又は前記粒子の断面の最表面から1.0μm以内の領域を領域A、前記繊維又は前記粒子の断面の重心から半径0.5μm以内の領域を領域Bとし、飛行時間型2次イオン質量分析法により測定された前記各領域の
25




のスペクトル強度を1としたときの
26
CN

のスペクトル強度が、下記式(1)及び(2)を満たす、細胞吸着材料。
0.5≦前記領域Aにおける
26
CN

のスペクトル強度≦3.0 ・・・式(1)
3.0≦前記領域Aにおける
26
CN

のスペクトル強度/前記領域Bにおける
26
CN

のスペクトル強度≦20.0 ・・・式(2)
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
前記繊維又は前記粒子の断面の真円度が0.75以上0.95以下である、請求項1記載の細胞吸着材料。
【請求項3】
前記繊維又は前記粒子の長径が15μm以上50μm以下である、請求項1又は請求項2記載の細胞吸着材料。
【請求項4】
前記繊維又は前記粒子の表面の算術平均粗さが0.01μm以上1.00μm以下である、請求項1又は2記載の細胞吸着材料。
【請求項5】
前記窒素含有化合物が、下記一般式(I)で表されるポリアミンである、請求項1又は2記載の細胞吸着材料。




N-X-NR



・・・(I)
[一般式(I)中、Xは、2~20個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は、3~20個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基において1~5個の炭素原子を窒素原子で置き換えたヘテロ原子含有炭素鎖であり、該窒素原子に結合する水素原子は、アルキル基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されていてもよい。R

~R

は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基である。]
【請求項6】
前記窒素含有化合物は、リンカーを介して前記水不溶性担体に結合している、請求項1又は2記載の細胞吸着材料。
【請求項7】
前記細胞が免疫細胞である、請求項1又は2記載の細胞吸着材料。
【請求項8】
前記免疫細胞がLAP陽性免疫細胞である、請求項7記載の細胞吸着材料。
【請求項9】
前記LAP陽性免疫細胞は、LAP陽性T細胞又はLAP陽性血小板である、請求項8に記載の細胞吸着材料。
【請求項10】
請求項1又は2記載の細胞吸着材料を内蔵した細胞吸着カラム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、LAP陽性免疫細胞などの細胞吸着材料及び細胞吸着カラムに関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
がんは、免疫と密接に関係していることが明らかとなってきており、近年、多くの進行がんで免疫抑制性の血液成分が上昇していることが報告されている。その血液成分の一つが白血球であり、リンパ球、顆粒球、単球に分類される。それぞれの白血球は、さらに細分化され、例えば、リンパ球は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞などに分類される。
【0003】
がん細胞は、Transforming growth factor-β(以下「TGF-β」という)に代表される免疫抑制物質を産生することで、免疫抑制性のT細胞を誘導し、免疫機構から逃避する機構を備えていることが知られている。TGF-βは、分子量7.5万のLatency Associated Peptide(以下「LAP」という)と非共有結合で会合した、生理活性のない潜在型LAP-TGF-β複合体として産生される。タンパク質分解酵素や細胞接着分子によりLAPが切断されると、TGF-βは各種細胞上のTGF-β受容体に結合できるようになり、生理機能を発揮する。
【0004】
潜在型LAP-TGF-β複合体は、がん細胞だけでなく、一部の免疫細胞の細胞膜にも結合していることが知られている。このLAP-TGF-β複合体が結合している免疫細胞はLAP陽性免疫細胞と呼ばれ、がん細胞の免疫機構からの逃避の一因にもなっている。特に、LAP陽性免疫細胞の内、LAP陽性T細胞は、がん細胞に対するTGF-βの供給源として着目されており、これを除去するための吸着材の開発が進められてきた。
【0005】
一方、血小板もTGF-βの供給源の一つであることが知られている。そのため、免疫抑制物質TGF-βの供給源であるLAP陽性T細胞及びLAP陽性血小板を合わせたLAP陽性免疫細胞を同時に除去できれば、がんの治療効果がより高まることが予想される。
【0006】
がんを治療する方法として、免疫チェックポイント抗体など、がん細胞から発せられる免疫抑制シグナルの伝達を阻害する薬剤が開発されているが、薬剤の副作用により、自己免疫疾患に罹患する例も認められている。
【0007】
また、副作用を低減しつつ免疫機能を向上させるために、患者自身の白血球でがん細胞を排除する細胞療法も行われている。代表的な方法として、体外でがん抗原を取り込ませた患者の樹状細胞を患者に戻すことで、がん特異的キラーT細胞を誘導して治療する樹状細胞輸注療法がある。しかしながら、現状では、この治療法は治療効果が不十分であるとされている。その理由の一つとして、免疫抑制系の亢進が推測されている。
【0008】
一方で、TGF-βの供給源であるLAP陽性免疫細胞を除去することができれば、がん細胞に対する免疫応答が維持され、がん細胞の死滅やがんの進展抑制が可能になると期待される。
【0009】
特許文献1は、白血球を除去する材料として、繊維の直径が3μm未満で、嵩密度が0.15g/cm

を超え0.50g/cm

以下の不織布からなる白血球除去フィルターを開示している。
【0010】
特許文献2は、繊維径が0.5μm以上10μm以下の繊維を含み、かつ表面積が0.5m

以上10m

未満である吸着体を充填してなる細胞吸着カラムであって、吸着体充填容積が100mL以下であることを特徴とする細胞吸着カラムを開示している。
(【0011】以降は省略されています)

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