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公開番号2025116007
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-07
出願番号2025077225,2024553419
出願日2025-05-07,2024-03-22
発明の名称フォトンアップコンバージョンフィルム、フォトンアップコンバージョンフィルムの製造方法、フォトンアップコンバージョン体、積層体およびエネルギー変換デバイス
出願人日東電工株式会社,和歌山県
代理人弁理士法人籾井特許事務所
主分類C09K 11/06 20060101AFI20250731BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】高効率のアップコンバージョンが可能なフォトンアップコンバージョンフィルム、フォトンアップコンバージョン体、積層体およびエネルギー変換デバイスとそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態によるフォトンアップコンバージョンフィルムは、第1の波長領域λ1にある光を吸収可能な増感成分と、該第1の波長領域λ1よりも短波長である第2の波長領域λ2にある光を放射可能な発光成分と、を少なくとも含む発色部を備えている。該フォトンアップコンバージョンフィルムは、298Kにおける時間領域核磁気共鳴法(パルスNMR)を用いてスピン-エコー法により測定した緩和時間が210ms未満である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1の波長領域λ1にある光を吸収可能な増感成分と、該第1の波長領域λ1よりも短波長である第2の波長領域λ2にある光を放射可能な発光成分と、を少なくとも含む発色部と、
マトリックスと、を備え、
前記発色部が、分散相として前記マトリックスに分散されており、
前記発色部が、単分子液晶化合物を含み、
前記マトリックスが、水溶性樹脂を含み、
298Kにおける時間領域核磁気共鳴法(パルスNMR)を用いてスピン-エコー法により測定した緩和時間が210ms未満である、フォトンアップコンバージョンフィルム。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記水溶性樹脂が、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1に記載のフォトンアップコンバージョンフィルム。
【請求項3】
前記発色部が、沸点80℃以上の溶剤を含む、請求項1に記載のフォトンアップコンバージョンフィルム。
【請求項4】
前記発色部が、23℃における粘度が0.6mPa・s以上の溶剤を含む、請求項1に記載のフォトンアップコンバージョンフィルム。
【請求項5】
前記水溶性樹脂1gに対して、前記増感成分を7.00×10
-9
mol~5.00×10
-6
molおよび前記発光成分を5.00×10
-6
mol~7.00×10
-5
mol含む、請求項1に記載のフォトンアップコンバージョンフィルム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムの製造方法であって、
前記増感成分および前記発光成分が分散および/または溶解された媒体と、水溶性樹脂を含む水溶液とからエマルションを調製する工程と、
前記エマルションを基材に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を乾燥させる工程と、を含む、フォトンアップコンバージョンフィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムを備える、積層体。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムを備える、エネルギー変換デバイス。
【請求項9】
第1の波長領域λ1にある光を吸収可能な増感成分と、該第1の波長領域λ1よりも短波長である第2の波長領域λ2にある光を放射可能な発光成分と、を少なくとも含む発色部と、
マトリックスと、を備え、
前記発色部が、分散相として前記マトリックスに分散されており、
前記発色部が、単分子液晶化合物を含み、
前記マトリックスが、水溶性樹脂を含み、
298Kにおける時間領域核磁気共鳴法(パルスNMR)を用いてスピン-エコー法により測定した緩和時間が210ms未満である、フォトンアップコンバージョン体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトンアップコンバージョンフィルム、フォトンアップコンバージョンフィルムの製造方法、フォトンアップコンバージョン体、積層体およびエネルギー変換デバイスに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
低エネルギーの光を高エネルギーの光に変換するフォトンアップコンバージョン(以下、単に「アップコンバージョン」と称する場合がある)技術は、太陽電池または太陽光発電、光触媒、バイオイメージング、光学機器等の様々な分野への応用が期待されている。有機材料におけるアップコンバージョン発光として、三重項状態の分子同士が衝突して起こる三重項-三重項消滅(TTA)を利用した技術が知られている。TTAを利用するアップコンバージョン(TTA-UC)のうち、ドナー化合物とアクセプター化合物とを溶媒に溶解した溶液系では、ドナー化合物分子とアクセプター化合物分子との拡散によりエネルギーの授受が効率的に行われる。一方で、溶液系では実用化できる分野が限定的になってしまうという問題がある。
【0003】
上記のような事情から、固体状態でのアップコンバージョン発光の研究開発が進められている。しかし、固体状態では分子の拡散がほとんど起こらないので、TTAを効率的に利用することができないという問題がある。例えば、ドナー化合物とアクセプター化合物とを導入した樹脂フィルムが検討されているが、そのアップコンバージョン発光効率は不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5491408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、高効率のアップコンバージョンが可能なフォトンアップコンバージョンフィルム、フォトンアップコンバージョン体、積層体およびエネルギー変換デバイスまたそれぞれの製造方法を提供することにある。
また、媒体の最適化により高透過かつ高効率を満たすアップコンバージョンが可能なフォトンアップコンバージョンフィルム、フォトンアップコンバージョン体、積層体およびエネルギー変換デバイスまたそれぞれの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の1つの実施形態によるフォトンアップコンバージョンフィルムは、発色部を備えている。該発色部は、増感成分と、発光成分と、を少なくとも含んでいる。該増感成分は、第1の波長領域λ1にある光を吸収可能である。該発光成分は、該第1の波長領域λ1よりも短波長である第2の波長領域λ2にある光を放射可能である。該フォトンアップコンバージョンフィルムでは、298Kにおける時間領域核磁気共鳴法(パルスNMR)を用いてスピン-エコー法により測定した緩和時間が210ms未満である。
[2]上記[1]に記載のフォトンアップコンバージョンフィルムは、マトリックスをさらに備えていてもよい。上記発色部は、分散相として該マトリックスに分散されている。
[3]上記[2]に記載のフォトンアップコンバージョンフィルムにおいて、上記マトリックスは、樹脂から構成されていてもよい。
[4]上記[3]に記載のフォトンアップコンバージョンフィルムにおいて、上記樹脂は、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリビニルアルコール系樹脂を含んでいてもよい。
[5]上記[1]から[4]のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムにおいて、上記発色部は、沸点80℃以上の溶剤を含んでいてもよい。
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムにおいて、上記発色部は、23℃における粘度が0.6mPa・s以上の溶剤を含んでいてもよい。
[7]上記[1]から[6]のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムにおいて、上記発色部は、単分子液晶化合物を含んでいてもよい。
[8]上記[3]から[7]のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムは、上記樹脂1gに対して、上記増感成分を7.00×10
-9
mol~5.00×10
-6
molおよび上記発光成分を5.00×10
-6
mol~7.00×10
-5
mol含んでいてもよい。
[9]本発明の別の局面によるフォトンアップコンバージョンフィルムの製造方法は、上記[1]から[8]のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムの製造方法であって、上記増感成分および上記発光成分が分散および/または溶解された媒体と、水溶性樹脂を含む水溶液とからエマルションを調製する工程と;該エマルションを基材に塗布して塗膜を形成する工程と;該塗膜を乾燥させる工程と;を含んでいる。
[10]本発明の別の局面による積層体は、上記[1]から[8]のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムを備えている。
[11]本発明のさらに別の局面によるエネルギー変換デバイスは、上記[1]から[8]のいずれかに記載のフォトンアップコンバージョンフィルムを備えている。
[12]本発明のさらに別の局面によるフォトンアップコンバージョン体は、発色部を備えている。該発色部は、増感成分と、発光成分と、を少なくとも含んでいる。該増感成分は、第1の波長領域λ1にある光を吸収可能である。該発光成分は、該第1の波長領域λ1よりも短波長である第2の波長領域λ2にある光を放射可能である。該フォトンアップコンバージョンフィルムでは、298Kにおける時間領域核磁気共鳴法(パルスNMR)を用いてスピン-エコー法により測定した緩和時間が210ms未満である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、高効率のアップコンバージョンが可能なフォトンアップコンバージョンフィルム、フォトンアップコンバージョン体、積層体およびエネルギー変換デバイスまたそれぞれの製造方法を実現し得る。また、媒体を最適化することにより高透過かつ高効率なアップコンバージョンが可能なフォトンアップコンバージョンフィルム、フォトンアップコンバージョン体、積層体およびエネルギー変換デバイスまたそれぞれの製造方法を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
アップコンバージョンのメカニズムを説明するエネルギーレベルの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0010】
A.フォトンアップコンバージョンのメカニズム
図1を参照してフォトンアップコンバージョンのメカニズムを説明する。まず、増感成分(ドナー)が入射光を吸収し、励起一重項状態S

からの系間交差により励起三重項状態T

が生成される。次いで、ドナーから発光成分(アクセプター)へ三重項-三重項エネルギー移動(TTET)が生じ、アクセプターの励起三重項状態T

が生成される。次に、励起三重起状態T

にあるアクセプター同士が拡散・衝突もしくはエネルギー移動が可能な範囲で近づくことにより、三重項-三重項消滅(TTA)が起こる。その結果、アクセプターの高い励起一重項エネルギー状態S

が生成される。この高い励起一重項エネルギー状態S

からアップコンバージョン光(励起光よりも大きなエネルギーをもつ光)が発せられる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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