特許ウォッチ

公開番号2025100362
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2024198166
出願日2024-11-13
発明の名称ジャンプインジケーターを駆動する機構が設けられた時計ムーブメントとこれを含む腕時計
出願人ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
代理人個人,個人,個人
主分類G04B 19/253 20060101AFI20250626BHJP(時計)
要約【課題】インジケーターが設けられ、インジケーターをジャンプ駆動するための機構を含む時計ムーブメントを提供する。
【解決手段】インジケーター4が設けられ、インジケーターをジャンプ駆動するための機構6を含む。機構は、ホイールプラットフォーム8と、駆動フィンガー12を画定する剛性部品10と、バネ16とを含む。バネは、ホイールプラットフォームにともに回転するように取り付けられた第1端と、剛性部品にともに回転するように取り付けられた第2端とを有する。機構は、バネが、インジケーターによってジャンプを発生させることができるようにこのバネが負荷を受けているときに収縮するように配置される。駆動フィンガーのホイールプラットフォームに対する角度変位はその後、バネが収縮しているとき、ホイールプラットフォームにともに回転するように取り付けられた角度ストップ28によって制限される。
【選択図】図6A
特許請求の範囲【請求項１】
インジケーター（４）が設けられた時計ムーブメント（２）であって、
前記時計ムーブメント（２）は、このインジケーターをジャンプ駆動する機構（６，６Ａ，６Ｂ）を含み、この機構は、回転軸（２２）を画定するホイールプラットフォーム（８）と、前記ホイールプラットフォームの上方に配置されて前記インジケーターを駆動する駆動フィンガー（１２）を画定する剛性部品（１０，１０Ａ，６０）と、第１端（１７）、コイル（１８）および第２端（１９）によって形成されたバネ（１６）とを含み、前記第１端は前記ホイールプラットフォームにともに回転するように取り付けられ、前記第２端は前記剛性部品にともに回転するように取り付けられ、少なくとも前記バネが前記インジケーターによるジャンプに先行して負荷を受けるたびに、および前記インジケーターがこのジャンプ中に前記機構によって駆動されるときに、前記剛性部品は前記ホイールプラットフォームに対して回転可能であってこの剛性部品における開口（２６）を貫通するシャフトによって前記回転軸（２２）まわりに回転可能に案内され、前記駆動フィンガーは、この駆動フィンガーに及ぼされる力の径方向成分の作用下で前記回転軸に向かって後退することが許容され、
特徴は、
前記機構が、前記バネ（１６）がこのバネが負荷を受けて引き続き前記インジケーターをジャンプさせることができるときに収縮するように配置されることと、
前記バネの前記第２端ひいては前記駆動フィンガー（１２）の、前記ホイールプラットフォームひいては前記バネの前記第１端に対する角度変位が、前記コイルが収縮したときに、前記ホイールプラットフォーム（８）にともに回転するように取り付けられた角度ストップ（２８）によって制限されることと
にある、時計ムーブメント。
続きを表示（約 1,800 文字）【請求項２】
前記インジケーターおよび前記機構は、前記インジケーターによるジャンプが、通常動作において、ひとたびこのジャンプに先行するバネへの負荷作用が終了し、ひいては決定された角度距離（α）に対応すると、前記角度変位が前記角度ストップによって停止された後に行われるように配置されることを特徴とする、請求項１に記載の時計ムーブメント。
【請求項３】
前記バネ（１６）の前記第１端（１７）が、前記ホイールプラットフォーム（８）にともに回転するように取り付けられた中心部分（２４，２４Ｂ）に接続されることを特徴とする、請求項２に記載の時計ムーブメント。
【請求項４】
前記機構（６）が、前記剛性部品（１０，１０Ａ，６０）における前記開口（２６）を貫通する前記シャフトを画定する中心ハブ（３４）を含み、前記中心ハブ（３４）は、この剛性部品を、前記ホイールプラットフォーム（８）および前記中心部分（２４）がともに回転するように前記中心ハブに取り付けられたまま回転可能かつ並進可能に案内することを特徴とする、請求項３に記載の時計ムーブメント。
【請求項５】
前記剛性部品が、
前記バネの上方に延びるプレート（３８，６２）であって、前記開口（２６）が機械加工されたプレート（３８，６２）と、
このプレートのエッジに配置された軸方向壁（４０，４０Ａ，６４）であって、前記ホイールプラットフォームに向かって傾斜する軸方向壁（４０，４０Ａ，６４）と
によって形成され、
前記軸方向壁の少なくとも一部と、その上に積層された前記プレートの一部とが共同して前記駆動フィンガーを形成し、前記駆動フィンガーは、少なくとも前記バネの下側から前記プレートの上面（３９）まで延びる高さ（Ｈ）を有することを特徴とする、請求項１から４のいずれか一項に記載の時計ムーブメント。
【請求項６】
前記剛性部品（１０，１０Ａ）が、前記バネ（１６）が配置される内部空間（１１）を画定するドラムフィンガーを形成することを特徴とする、請求項５に記載の時計ムーブメント。
【請求項７】
前記軸方向壁（４０，４０Ａ）が、前記バネ（１６）の側に側方開口を有する凹部（４２，４２Ａ）を有することと、
前記バネの前記第２端（１９）が、前記剛性部品（１０）と連結する部材によって拡張され、この連結部材（２０，２０Ａ）が、前記側方開口を通って前記凹部の中に少なくとも部分的に侵入することができるように構成されることにより、前記バネが前記剛性部品（１０，１０Ａ）に偶力を加えることが許容され、ひいては前記駆動フィンガーが前記インジケーターを駆動することが許容されることと
を特徴とする、請求項５に記載の時計ムーブメント。
【請求項８】
前記凹部（４２，４２Ａ）および前記連結部材（２０，２０Ａ）が、前記連結部材を介して前記バネの力が及ぼされる前記凹部の接触点または接触ゾーンが、前記バネが負荷を受けているときに実質的に変化することがないように構成されることを特徴とする、請求項７に記載の時計ムーブメント。
【請求項９】
前記凹部（４２，４２Ａ）および連結部材（２０，２０Ａ）が、前記バネが負荷を受けているときに、前記連結部材がそれ自身まわりに前記ホイールプラットフォームの回転方向に実質的に回転することができないように構成されることを特徴とする、請求項７に記載の時計ムーブメント。
【請求項１０】
前記凹部（４２，４２Ａ）が、前記ホイールプラットフォーム（８）の回転方向（５０）に斜めに配向された側方表面（４６，４６Ａ）を有し、前記バネに負荷をかける構成において、前記回転方向に前記インジケーターが、前記側方表面の中心を貫通する径方向に対して駆動されることが意図され、前記連結部材（２０，２０Ａ）が、前記側方表面に面する側方フランク（４８，４８Ａ）を有し、前記側方フランク（４８，４８Ａ）はまた、前記回転軸に対して前記側方表面（４６，４６Ａ）と同じ方向に斜めに傾斜し、前記バネが負荷を受けているときに、かつ前記インジケーターが次のジャンプを行うべく駆動されているときに、この側方表面に当接することを特徴とする、請求項７に記載の時計ムーブメント。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、インジケーターが設けられ、このインジケーターをジャンプ駆動する機構を含む時計ムーブメントに関し、さらに、かかる機構が設けられた時計ムーブメントを組み込んだ腕時計に関する。詳しくは、インジケーターは日付インジケーターである。
続きを表示（約 3,700 文字）【背景技術】
【０００２】
特許文献１はジャンプインジケーターを駆動する機構を記載する。この機構は有利なことに、ドラムの長円孔を通るハブによって回転可能かつ並進可能に案内される剛性のドラムフィンガーと、このドラムフィンガーに配置されたバネであって、ドラムフィンガーをホイールプラットフォームに接続するバネとを含むことによって、従来技術の技術的課題を克服する。
【０００３】
この駆動機構には一定数の欠点がある。第１に、バネは日付リングが駆動されると拡張し、バネのコイルは、バネに負荷がかかっているときにドラムの内壁に当接することが意図されているので、バネの拡張が制限され、バネの塑性域に達することが防止される。この結果、バネの有効長の突然の減少がもたらされる。様々なコンポーネントの製造公差を考慮すると、駆動機構の負荷作用時間が変動し得る。バネがドラムの内壁に接触するようになる時間が負荷作用ごとに変動し、接触ゾーンの角度位置も変動するからである。これにより、リングが次の日付に移るトリガーとなる時刻の不正確さがもたらされる。他の問題は、駆動力がバネのコイルを介してフィンガーに伝達されるという事実から生じる。すなわち、バネは、その全長にわたって、詳しくは、ドラムの壁との接触ゾーンと、バネの第２端に配置されたこのドラムと連結する連結部材との間に位置する部分にわたって、十分な剛性／硬さを有する必要があり、この部分は究極的に、接触の瞬間からインジケーターがジャンプする瞬間までに発生する追加トルク全体に耐える必要がある。
【０００４】
引用文献１の図は、バネの連結部材が、この部材が容易に出現し得る浅い凹部に配置されることを示す。この凹部の２つの側方表面は、凹部の中間を通る径方向に平行であり、連結部材は２つの径方向フランクを有し、連結部材の角度幅は、この部材が凹部に容易に侵入できるように、凹部の角度幅よりも小さい。さらに、連結部材は、この連結部材が凹部において動くことができるように、凹部において大きな遊びを有することが意図される。すなわち、比較的小さな衝撃で、連結部材がその凹部から容易に外れ得る。この場合、バネが日付リングの歯に当接して負荷作用を受けるとき、またはこのバネが負荷作用を受ける前のいずれかにおいて、バネはドラムに及ぼされる摩擦ゆえにわずかな拡張を示すのが典型的であるが、連結部材はフィンガー径方向駆動フランクの側面から抜ける。この状況において、ドラムの側壁が径方向の力を連結部材に及ぼし、連結部材はこの側壁との摩擦力を受ける。日付リングの歯に当接するバネが負荷を受けたときに、連結要素が凹部から外れると、その後、連結要素は内側の側方表面に沿ってスライドし、少なくとも駆動ホイールが一回転して連結要素が再び凹部に入るまで日付ジャンプが行われず（最善のシナリオであるが、それでも、日付ジャンプを逃した正しい日付表示が失われる結果となる）、あるいは、摩擦力によってバネが再び拡張する程度に十分となり、そのコイルが側壁に接触して不確定な時刻に日付ジャンプが行われるまで摩擦力がさらに増加する。後者の場合、日付ジャンプの後、ドラムの駆動によってバネが緩む。この状況が再発すると、次回の日付変更はもはや午前０時前後に行われなくなる。連結要素が側壁に沿って所定の突然の角度変位を受けると（これはあり得ることだが）、この状況は少なくとも数日の間、不確定かつ可変の回数、日付の増分で繰り返されることになる。いずれにせよ、日付駆動機構は、連結部材がその凹部から外れるとすぐに、少なくとも数日間は機能しなくなる。この事象は、特許文献１の図に示される機構の場合に、非常に起こりやすい。
【０００５】
凹部における連結部材の大量の遊びと所定の可動性を許容するその凹部に対する連結部材の幾何学形状により、他の問題が生じる。詳しくは、バネに負荷がかかると、バネのコイルが変形し、連結部材がそれ自身のまわりに回転させられる。この回転により、連結部材が凹部の前側壁に対してスライドするので、バネに負荷がかかるにつれて、ドラムフィンガーへのバネからの力の作用点が径方向に低減される。すなわち、所与のバネ負荷作用レベルに対し、バネがフィンガーに与える駆動トルクは、ドラムフィンガーへのバネからの力の、レバーアームによる作用の減少に比例して減少する。これは問題を引き起こす。インジケーターの歯へのフィンガーの駆動力が、所与の接触点に対して同じ比率で減少するからである。インジケーターをジャンプさせるには所与の駆動トルクが必要なので、バネは、バネが負荷作用を受けている間に前記レバーアームが減少する分だけ大きな力を発生しなければならない。これが、駆動機構のバネに負荷をかけることによって大きなトルクを与えなければならない時計ムーブメントの性能に悪影響を及ぼす。これによってさらに、バネを必要以上に頑丈な寸法にする必要がある。
【０００６】
最後に、問題の機構に関するもう一つの問題が、インジケーターが駆動されるときに、バネのコイルが、フィンガーに直径方向反対側のエリアで外方に向けられた、ひいては実質的に長円孔の長手方向の、径方向の力をドラムに及ぼす、という事実から生じる。これは、このフィンガーをリングの歯部から離れるように動かす傾向がある。それゆえ、特にそのような状況での小さな衝撃の事象において、フィンガーは、インジケーターが駆動されないまま歯を通過する可能性が高くなる。またも留意すべきことであるが、そのような状況では、フィンガーが接触を維持することにより歯を駆動できる角度経路が減少するので、日付のジャンプを確実にするのに十分な角度距離にわたって駆動トルクを受ける前にフィンガーが歯を通過することが可能となる。日付リングは中間位置に静止したままであり、またはフィンガーが歯を通過したとたんに以前の安定した位置に戻る。さらに、歯に駆動力を加えるレバーアームを低減するには、所定の駆動トルクに対し、必要な駆動力を増加させる必要がある。これにより、バネが与える力、ひいてはその張力、も増加させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
欧州特許出願公開第３８２８６４４号明細書
【発明の概要】
【０００８】
本発明の目的は、ジャンピングインジケーターを駆動する機構を与えることであり、この機構には上述した先行技術の欠点がない。本発明はさらに、インジケーターが設けられた時計ムーブメントであって、このインジケーターをジャンプ駆動する機構を含む時計ムーブメントを与えることを目的とする。この機構は効率的であり、このような機構を含む各時計ムーブメントにおいて正確となり得る。その動作は、外部応力、例えば衝撃、によって妨げられることがほとんどまたはまったくない。
【０００９】
この目的のために、本発明は、インジケーターが設けられた時計ムーブメントであって、このインジケーターをジャンプ駆動するための機構を含む時計ムーブメントに関する。機構は、回転軸を画定するホイールプラットフォームと、ホイールプラットフォームの上に配置されて、インジケーターを駆動する駆動フィンガーを画定する剛性部品と、第１端、コイルおよび第２端によって形成されたバネとを含む。第１端は、ホイールプラットフォームにともに回転するように取り付けられ、第２端は、少なくとも、インジケーターによるジャンプに先立つバネへの負荷作用、およびこのジャンプの間の機構によるインジケーターの駆動のそれぞれの間に、剛性部品にともに回転するように取り付けられる。この剛性部品は、ホイールプラットフォームに対して回転可能であり、この剛性部品における開口を貫通するシャフトによって前記回転軸まわりに回転可能に案内され、これにより、この駆動フィンガーに及ぼされる力の径方向成分の作用下で、駆動フィンガーを回転軸に向かって後退させることが許容される。この機構は、インジケーターをジャンプさせることができるようにバネが、このバネに負荷がかかったときに収縮する態様で、および、コイルが収縮したときに、ホイールプラットフォームに対するひいてはバネの第１端に対する、バネの第２端のひいては駆動フィンガーの角度変位が、ホイールプラットフォームにそれとの回転のために取り付けられた角度ストップによって制限される態様で、配置される。
【００１０】
好ましい実施形態において、インジケーターおよび機構は、インジケーターによる各ジャンプが、通常動作において、このジャンプに先行するバネへの負荷作用がひとたび終了し、ひいては（バネに角度応力がかかっていない角度位置からの）決定された角度距離に対応すると、前記角度変位が角度ストップによって停止された後に発生するように配置される。
（【００１１】以降は省略されています）

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