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公開番号
2025079495
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-22
出願番号
2023192203
出願日
2023-11-10
発明の名称
環境中に生息する生物の多様性の調査方法
出願人
株式会社豊田中央研究所
代理人
個人
,
個人
主分類
C12Q
1/6869 20180101AFI20250515BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】簡便に効率よく生物由来核酸を採取して、環境中の生物の多様性を調査する。
【解決手段】環境中に生息する生物の多様性の調査方法は、環境中を移動する生物または無生物である環境内移動物から、生物由来核酸を回収し、回収した生物由来核酸について、生物由来核酸が由来する生物の種類および存在量に関する解析を行う。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
環境中に生息する生物の多様性の調査方法であって、
環境中を移動する生物または無生物である環境内移動物から、生物由来核酸を回収し、
回収した前記生物由来核酸について、前記生物由来核酸が由来する生物の種類および存在量に関する解析を行う
環境中に生息する生物の多様性の調査方法。
続きを表示(約 820 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の環境中に生息する生物の多様性の調査方法であって、
前記環境内移動物は、移動性の生物であり、
前記生物由来核酸として、前記移動性の生物に付着した核酸、あるいは、前記移動性の生物の体内に取り込まれた核酸を回収する
環境中に生息する生物の多様性の調査方法。
【請求項3】
請求項1に記載の環境中に生息する生物の多様性の調査方法であって、
前記移動性の生物は、魚類、または鳥類である
環境中に生息する生物の多様性の調査方法。
【請求項4】
請求項3に記載の環境中に生息する生物の多様性の調査方法であって、
前記移動性の生物は、魚類であり、
前記生物由来核酸として、前記魚類の体表に付着した核酸を回収する
環境中に生息する生物の多様性の調査方法。
【請求項5】
請求項1に記載の環境中に生息する生物の多様性の調査方法であって、
前記環境内移動物は、移動性の無生物であり、
前記移動性の無生物から核酸を抽出することにより、前記生物由来核酸を回収する
環境中に生息する生物の多様性の調査方法。
【請求項6】
請求項1に記載の環境中に生息する生物の多様性の調査方法であって、
前記移動性の無生物は、生物の排泄物、生物からの脱離物、および降水のいずれかである
環境中に生息する生物の多様性の調査方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の環境中に生息する生物の多様性の調査方法であって、
調査対象である特定の環境において、前記環境内移動物から前記生物由来核酸を回収して前記解析を行う動作を繰り返し行って、前記特定の環境中に生息する生物をモニタリングする
環境中に生息する生物の多様性の調査方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境中に生息する生物の多様性の調査方法に関する。
続きを表示(約 4,900 文字)
【背景技術】
【0002】
環境中に生息する生物の多様性に関する調査、すなわち、環境中にどのような生物がどの程度存在するのか等に関する調査の結果は、その環境の状態を評価する上での指針となり得る。例えば、調査対象の環境中において、その環境に応じた多様な生物が存在する状態が長く安定して維持されている場合には、その環境の健康度(ヒトやその他の生物にとって生息しやすいことを示す程度)が比較的良好な状態で安定していると判断することができると考えられる。また、調査対象の環境中の生物の多様性をモニタリングする過程において、生息する生物の多様性に大きな変化が観察される場合には、その環境に生息する特定の生物種を増減させるような物質の環境への流入や環境条件の変化等が生じたと推定することができる。あるいは、調査対象の環境中において特定の病原性微生物の増加が観察されるときには、当該病原性微生物に起因する疾患の流行を予測することができる。このような環境中に生息する生物の多様性を調査する方法としては、例えば、河川や湖沼などから環境水を採取して、採取した環境水に含まれるRNAやDNA等の核酸、すなわち、環境中に生息する生物に由来する生物由来核酸を解析する方法が知られている(例えば、特許文献1、および、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第7041176号公報
【非特許文献】
【0004】
環境DNA分析技術を用いた淡水魚類調査手法の手引き 第1版、環境省自然環境局生物多様性センター、令和2年6月、[令和5年10月2日検索]、インターネット<https://www.biodic.go.jp/edna/reports/fwfish_tebiki1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような環境水中や大気中においては、生物由来核酸を含む環境核酸は極めて希薄な状態で存在するため、生物由来核酸の十分な回収および解析が困難となり得る。また、例えば生物由来核酸を得るために河川や湖沼などから環境水を取得する場合には、調査対象の水域全体における生物多様性の網羅的な把握のために調査地点を複数設定する、あるいは、安全性を確保しやすい箇所で調査地点を設定する、等とする必要があり、調査に係るサンプリング等の動作が比較的困難となり得る。上記のように生物由来核酸が極めて希薄な状態で存在することに起因する問題は、生物由来核酸を環境水から回収する場合だけでなく、例えば大気中から生物由来核酸を回収する場合など、種々の環境から生物由来核酸を回収する際にも同様に生じる問題であった。そのため、より簡便に効率よく生物由来核酸を採取して、環境中に生息する生物の多様性の調査を可能にする技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、環境中に生息する生物の多様性の調査方法が提供される。この環境中に生息する生物の多様性の調査方法は、環境中を移動する生物または無生物である環境内移動物から、生物由来核酸を回収し、回収した前記生物由来核酸について、前記生物由来核酸が由来する生物の種類および存在量に関する解析を行う。
この形態の環境中に生息する生物の多様性の調査方法によれば、環境内移動物が環境内を移動するのに伴い、環境内移動物の表面や内部で生物由来核酸が濃縮されるため、環境中から環境内移動物を取得して、取得した環境内移動物から生物由来核酸を回収するという簡便な動作によって、高い効率で生物由来核酸を回収することができる。そのため、例えば環境内の多くの箇所からサンプリングを行う等の煩雑な動作を行うことなく、効率よく生物由来核酸を採取して、環境中に生息する生物の多様性を調査することができる。
(2)上記形態の環境中に生息する生物の多様性の調査方法において、前記環境内移動物は、移動性の生物であり、前記生物由来核酸として、前記移動性の生物に付着した核酸、あるいは、前記移動性の生物の体内に取り込まれた核酸を回収することとしてもよい。このような構成とすれば、移動性の生物が環境内を移動することにより、環境中において希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が、上記移動性の生物の体表等に付着し、あるいは体内に取り込まれて濃縮される。そのため、移動性の生物から生物由来核酸を回収することにより、簡便に効率よく生物由来核酸を回収することができる。
(3)上記形態の環境中に生息する生物の多様性の調査方法において、前記移動性の生物は、魚類、または鳥類であることとしてもよい。このような構成とすれば、魚類が環境水中を移動することにより、あるいは、鳥類が大気中を移動することにより、環境水中や大気中で希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が、魚類や鳥類の体表等に付着し、あるいは体内に取り込まれて濃縮される。そのため魚類や鳥類から生物由来核酸を回収することにより、簡便に効率よく生物由来核酸を回収することができる。
(4)上記形態の環境中に生息する生物の多様性の調査方法において、前記移動性の生物は、魚類であり、前記生物由来核酸として、前記魚類の体表に付着した核酸を回収することとしてもよい。このような構成とすれば、魚類を捕獲して体表からサンプリングするという簡便な動作により、水圏においてその魚類が移動する比較的広い範囲における生物多様性を容易に把握することが可能になる。
(5)上記形態の環境中に生息する生物の多様性の調査方法において、前記環境内移動物は、移動性の無生物であり、前記移動性の無生物から核酸を抽出することにより、前記生物由来核酸を回収することとしてもよい。このような構成とすれば、移動性の無生物が環境内を移動することにより、環境中において希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が、上記移動性の無生物の表面に付着することなどによって濃縮される。そのため移動性の無生物から生物由来核酸を回収することにより、簡便に効率よく生物由来核酸を回収することができる。
(6)上記形態の環境中に生息する生物の多様性の調査方法において、前記移動性の無生物は、生物の排泄物、生物からの脱離物、および降水のいずれかであることとしてもよい。このような構成とすれば、移動性の無生物が生物の排泄物である場合には、環境中において希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が移動性生物の体内に取り込まれて濃縮されて、移動性生物の排泄物に含まれるようになる。また、移動性の無生物が生物からの脱離物である場合には、この脱離物が環境中を移動することにより、環境中の種々の生物由来核酸が脱離物の表面に付着するなどにより濃縮される。また、移動性の無生物が降水である場合には、降水が地表へと落下する過程において、環境中(大気中)の種々の生物由来核酸が降水中に取り込まれて濃縮される。そのため、これらの移動性の無生物を採取して核酸を抽出することにより、簡便に効率よく生物由来核酸を回収することができる。
(7)上記形態の環境中に生息する生物の多様性の調査方法において、調査対象である特定の環境において、前記環境内移動物から前記生物由来核酸を回収して前記解析を行う動作を繰り返し行って、前記特定の環境中に生息する生物をモニタリングすることとしてもよい。このような構成とすれば、調査対象である特定の環境中に生息する生物を網羅的に特定して、生物の多様性として現れる環境状態の変化を把握することが可能になる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、生物由来核酸の解析方法、生物多様性の評価方法、生物多様性のモニタリング方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
環境中の生物多様性の調査方法を表すフローチャート。
各サンプルの菌叢組成を綱(Class)の分類階級で示す説明図。
各サンプルの菌叢組成を科(Family)の分類階級で示す説明図。
各サンプルの菌叢組成を属(Genus)の分類階級で示す説明図。
各サンプルのウイルス叢組成を示す説明図。
環境1~環境3中の魚体表と環境水における菌叢組成を示す説明図。
図6のデータについての主座標分析の結果を示す説明図。
3か所のツバメの巣ごとに採取した糞に関する主座標分析結果を示す説明図。
各巣から採取した糞における菌叢およびウイルス叢の組成を示す説明図。
雨水の生物組成を示す説明図。
図10に示したバクテリアについての詳細組成を示す説明図。
図10に示したウイルスについての詳細組成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本開示の実施形態としての環境中の生物多様性の調査方法を表すフローチャートである。図1に示す環境中の生物多様性の調査方法を実行する際には、まず、調査者は、環境内移動物を取得する(工程T100)。ここで、環境内移動物とは、調査対象である特定の環境中を移動するものであり、生物であってもよく、無生物であってもよい。
【0009】
環境内移動物として、環境内を移動する移動性の生物を用いる場合であって、調査対象である環境が、河川、湖沼、海などの水圏である場合には、環境内移動物として、例えば、上記水圏内を移動する動物、具体的には魚類等を用いることができる。また、環境内移動物として生物を用いる場合であって、調査対象である環境が陸上の場合には、環境内移動物として、例えば、陸上を移動する鳥類や昆虫類を用いることができる。これらの移動性の生物が環境内を移動することにより、環境中において希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が、上記移動性の生物の体表等に付着して濃縮される。あるいは、これらの移動性生物が環境内を移動することにより、環境中において希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が移動性生物の体内に取り込まれて濃縮され、移動性生物の消化管内容物等の体内物質に含まれるようになる。工程T100では、上記のような移動性生物を捕獲すればよい。
【0010】
環境内移動物として無生物を用いる場合には、環境内移動物は、例えば、生物の排泄物、生物からの脱離物、および降水のいずれかとすることができる。移動性生物が環境内を移動することにより、環境中において希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が移動性生物の体内に取り込まれて濃縮され、その結果、移動性生物の排泄物に含まれるようになる。生物からの脱離物としては、例えば、魚類の鱗や鳥類の羽根などの移動性の動物の体表からの脱離物や、移動性を有しない植物から放出されて環境中を移動する種子や胞子、あるいは、植物から脱離して環境中を移動する植物体の一部(落ち葉など)とすることができる。脱離物が環境中を移動することにより、これらの脱離物の表面では、環境中において希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が付着して濃縮される。降水とは、空から地表に降ってくる雨・雪・あられ・ひょうなどのことである。これらの降水が地表へと落下する過程において、環境中(大気中)で希薄な状態で存在する種々の生物由来核酸が降水中に取り込まれて濃縮される。工程T100では、上記のような移動性の無生物を環境内から採取すればよい。
(【0011】以降は省略されています)
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