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公開番号
2025068875
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-30
出願番号
2023178958
出願日
2023-10-17
発明の名称
インクジェット記録用水系インク
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類
C09D
11/322 20140101AFI20250422BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】間欠吐出性に優れ、かつ、画像のにじみが抑制された記録物を得ることができるインクジェット記録用水系インクを提供する。
【解決手段】顔料、コアシェル構造を有する樹脂粒子A、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、該樹脂粒子Aのコア部を構成するコア部樹脂A1が、分子内に反応性基を複数有する化合物(R1)由来の架橋構造を有し、かつ、該コア部樹脂A1を構成する該化合物(R1)以外のモノマー成分の質量比からFoxの式により算出されるガラス転移温度が25℃以上であり、該樹脂粒子Aのシェル部を構成するシェル部樹脂A2が、カルボン酸モノマー(a2-1)由来の構成単位を含み、かつ、酸価が90mgKOH/g以上350mgKOH/g以下である、インクジェット記録用水系インクである。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
顔料、コアシェル構造を有する樹脂粒子A、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、
該樹脂粒子Aのコア部を構成するコア部樹脂A1が、分子内に反応性基を複数有する化合物(R1)由来の架橋構造を有し、かつ、該コア部樹脂A1を構成する該化合物(R1)以外のモノマー成分の質量比からFoxの式により算出されるガラス転移温度が25℃以上であり、
該樹脂粒子Aのシェル部を構成するシェル部樹脂A2が、カルボン酸モノマー(a2-1)由来の構成単位を含み、かつ、酸価が90mgKOH/g以上350mgKOH/g以下である、インクジェット記録用水系インク。
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【請求項2】
前記シェル部樹脂A2が、分子内に反応性基を複数有する化合物(R2)由来の架橋構造を有していてもよい樹脂であり、該シェル部樹脂A2の下記式で表される架橋密度(q2)が0mmol/g以上1.0mmol/g以下である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インク。
架橋密度(q2)(mmol/g)=[〔(シェル部樹脂A2中の前記化合物(R2)由来の構造単位のモル数)×(前記化合物(R2)が有する反応性基の数)〕/(樹脂粒子A中のシェル部樹脂A2の質量)]×1000
【請求項3】
前記シェル部樹脂A2が架橋構造を有しない樹脂であり、該シェル部樹脂A2の重量平均分子量が5,000以上150,000以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項4】
前記コア部樹脂A1の下記式で表される架橋密度(q1)が0.2mmol/g以上3.0mmol/g以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
架橋密度(q1)(mmol/g)=[〔(コア部樹脂A1中の前記化合物(R1)由来の構造単位のモル数)×(前記化合物(R1)が有する反応性基の数)〕/(樹脂粒子A中のコア部樹脂A1の質量)]×1000
【請求項5】
前記コア部樹脂A1が、前記化合物(R1)として1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート由来の架橋構造を有する樹脂である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項6】
前記コア部樹脂A1の該コア部樹脂A1を構成する該化合物(R1)以外のモノマー成分の質量比からFoxの式により算出されるガラス転移温度が110℃以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤を実質的に含有しない、請求項1~6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項8】
前記コア部樹脂A1及び前記シェル部樹脂A2の合計質量に対する該コア部樹脂A1の質量の比[コア部樹脂A1/(コア部樹脂A1+シェル部樹脂A2)]が0.50以上0.90以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項9】
前記顔料がポリマー分散剤Bで分散されてなり、前記樹脂粒子A及び該ポリマー分散剤Bの合計含有量に対する該顔料の含有量の質量比[顔料/(樹脂粒子A+ポリマー分散剤B)]が0.2以上4.5以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水系インク。
【請求項10】
前記樹脂粒子A及び前記ポリマー分散剤Bの合計含有量に対する該樹脂粒子Aの質量比[樹脂粒子A/(樹脂粒子A+ポリマー分散剤B)]が0.4以上0.98以下である、請求項9に記載のインクジェット記録用水系インク。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水系インクに関する。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式は、微細なノズルからインク液滴を直接吐出し、記録媒体に付着させて、文字や画像が記録された記録物を得る記録方式である。インクジェット記録方式は、製版作業が不要で、印刷装置の操作が容易であるといった特徴を有しており、オフィスや家庭での使用をはじめとして、近年は産業用途においてもその需要を伸ばしている。特に、環境負荷を低減する観点から、溶剤として主に水を用いるインクジェット記録用水系インクの需要が高く、記録物の耐水性や耐候性の観点から、着色剤として顔料を用いる水系インクが提案され、顔料とコアシェル型の樹脂粒子とを用いた水系インクの検討がなされてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、光沢性、ブロンズ現象の抑制に優れたインクジェット記録用水系インク等の提供を目的に、着色剤として顔料を含有する水不溶性架橋ポリマー粒子及びコアシェルポリマー粒子を含有する、インクジェット記録用水分散体を用いたインクジェット記録用水系インク等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008-063500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、記録媒体としては普通紙が主であったが、近年はコート紙や樹脂フィルムのような低吸液性記録媒体への印刷の需要が高まっている。しかしながら、従来の水系インクでは、このような低吸液性記録媒体に対して良好な画像を形成し難い場合がある。
また、低吸液性記録媒体へのインクジェット記録では、記録媒体に水系インクを付与した後に一般的に乾燥操作が行われている。しかしながら、この乾燥操作においては、記録ヘッド近傍も温められるため、インクの吐出が一旦休止して記録ヘッドの吐出ノズルの孔周辺のインクが乾燥すると、吐出ノズルの孔周辺でインク中の樹脂成分が濃縮増粘又は造膜して凝集増粘物が生成してノズル詰まりが発生し易く、吐出性が低下するという問題がある。吐出ノズルの孔周辺でのインクの乾燥を防ぐために、沸点の高い溶剤を用いることが一般的に行われるが、一方で、記録媒体に水系インクを付与した後の該水系インクの乾燥性が低下し、画像がにじみ易くなる。特に、水系インクの主溶剤である水は、表面張力が高いため、低吸液性記録媒体上では濡れ広がり難く、また、低吸液性記録媒体内へも浸透し難いことから、色味の異なる未乾燥のインク液滴同士が合一することに起因する境界にじみが発生し、画質の低下につながりやすいという問題がある。
そのため、インクの吐出が一旦休止して再度インクを吐出する際の吐出性、いわゆる間欠吐出性に優れ、かつ、画像のにじみが少ない記録物を得ることができるインクジェット記録用水系インクが求められている。
本発明は、間欠吐出性に優れ、かつ、画像のにじみが抑制された記録物を得ることができるインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、顔料、コアシェル構造を有する樹脂粒子、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、該樹脂粒子のコア部を構成するコア部樹脂が、分子内に反応性基を複数有する化合物由来の架橋構造を有し、かつ、該コア部樹脂を構成する該化合物以外のモノマー成分の質量比からFoxの式により算出されるガラス転移温度が所定の値以上であり、該樹脂粒子のシェル部を構成するシェル部樹脂が、カルボン酸モノマー由来の構成単位を含み、かつ、酸価が所定の範囲であることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、顔料、コアシェル構造を有する樹脂粒子A、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、
該樹脂粒子Aのコア部を構成するコア部樹脂A1が、分子内に反応性基を複数有する化合物(R1)由来の架橋構造を有し、かつ、該コア部樹脂A1を構成する該化合物(R1)以外のモノマー成分の質量比からFoxの式により算出されるガラス転移温度が25℃以上であり、
該樹脂粒子Aのシェル部を構成するシェル部樹脂A2が、カルボン酸モノマー(a2-1)由来の構成単位を含み、かつ、酸価が90mgKOH/g以上350mgKOH/g以下である、インクジェット記録用水系インクを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、間欠吐出性に優れ、かつ、画像のにじみが抑制された記録物を得ることができるインクジェット記録用水系インクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[インクジェット記録用水系インク]
本発明のインクジェット記録用水系インク(以下、単に「水系インク」ともいう)は、顔料、コアシェル構造を有する樹脂粒子A(以下、「コアシェル型樹脂粒子A」又は「樹脂粒子A」ともいう)、水溶性有機溶剤、及び水を含有し、該樹脂粒子Aのコア部を構成するコア部樹脂A1が、分子内に反応性基を複数有する化合物(R1)由来の架橋構造を有し、かつ、該コア部樹脂A1を構成する該化合物(R1)以外のモノマー成分の質量比からFoxの式により算出されるガラス転移温度が25℃以上であり、該樹脂粒子Aのシェル部を構成するシェル部樹脂A2が、カルボン酸モノマー(a2-1)由来の構成単位を含み、かつ、酸価が90mgKOH/g以上350mgKOH/g以下である。
なお、本発明において「水系」とは、インクの媒体中で水が質量基準で最大割合を占めていることを意味する。
また、本発明において、記録媒体が低吸液性であるか高吸液性であるかは、記録媒体と純水との接触時間100m秒における該記録媒体の吸水量により判定される。該吸水量は、自動走査吸液計(例えば、熊谷理機工業(株)製「KM500win」)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下で、純水の接触時間100m秒における転移量として測定できる。「低吸液性」とは、低吸液性及び非吸液性を含む概念であり、前記吸水量が0g/m
2
以上7g/m
2
以下であることを意味する。「高吸液性」とは、前記吸水量が7g/m
2
超であることを意味する。
【0009】
本発明は、間欠吐出性に優れ、かつ、画像のにじみが抑制された記録物を得ることができるという格別の効果を奏する。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系インクは、コアシェル構造を有する樹脂粒子を含有し、該樹脂粒子のコア部を構成するコア部樹脂が、分子内に反応性基を複数有する化合物由来の架橋構造を有し、かつ、該コア部樹脂を構成する該化合物以外のモノマー成分の質量比からFoxの式により算出されるガラス転移温度が25℃以上である。そのため、インクの吐出が一旦休止して記録ヘッドの吐出ノズルの孔周辺のインクが乾燥しても、コア部樹脂が水溶性有機溶剤によって膨潤し難く、吐出ノズルの孔周辺でも造膜が抑制され、ノズル詰まりが発生し難くなり、間欠吐出性が向上すると考えられる。
一方で、コアシェル構造を有する樹脂粒子のシェル部を構成するシェル部樹脂が、カルボン酸モノマー由来の構成単位を含み、かつ、酸価が90mgKOH/g以上350mgKOH/g以下であるため、記録媒体上に付与されたインク滴が乾燥する際にはインクの濃縮及びシェル部樹脂の水溶性有機溶剤による膨潤により、インクの粘度が上昇してインクの流動性が低下し、インク滴同士の合一を抑制することができ、その結果、画像のにじみが抑制された記録物を得ることができると考えられる。
【0010】
<コアシェル構造を有する樹脂粒子A>
本発明の水系インクは、コアシェル構造を有する樹脂粒子A(コアシェル型樹脂粒子A)を含有する。本発明において「コアシェル構造を有する樹脂粒子A」とは、一つの粒子で核(コア)と殻(シェル)を構成する樹脂成分が別種である樹脂粒子をいう。コアシェル型樹脂粒子Aの核に存在する樹脂を「コア部樹脂A1」と称し、樹脂粒子の最外殻に存在する樹脂を「シェル部樹脂A2」と称する。樹脂粒子が3種以上の別種の樹脂成分に分類できるものであっても、最外殻に存在する樹脂を「シェル部樹脂A2」と称し、最外殻に存在する樹脂以外の樹脂は「コア部樹脂A1」と称する。
本発明において「別種の樹脂成分」とは、樹脂成分を構成するモノマーの種類が互いに異なることを意味する。すなわち、コア部樹脂A1を構成するモノマー(a1)の種類とシェル部樹脂A2を構成するモノマー(a2)の種類とを比較した際に、種類の異なるモノマー成分が存在することを意味する。
なお、樹脂成分が別種であるかを判別する際、コア部樹脂A1を構成する分子内に反応性基を複数有する化合物(R1)、及びシェル部樹脂A2を構成していてもよい分子内に反応性基を複数有する化合物(R2)も、モノマー成分として判別する。
また、本発明において、コアシェル型樹脂粒子Aは、顔料を含有しない樹脂粒子であり、記録媒体への定着剤としての機能を有するものである。
(【0011】以降は省略されています)
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