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公開番号2025067356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2023177292
出願日2023-10-13
発明の名称紙コート剤
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類C09D 167/00 20060101AFI20250417BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】紙に塗工することで、紙に撥水性や耐水性を付与することができる樹脂粒子を含有する紙コート剤、該紙コート剤を用いた塗工紙、及び該塗工紙の製造方法を提供する。
【解決手段】非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する樹脂粒子を含有する紙コート剤であって、前記非晶性ポリエステル系樹脂が、アルケニルコハク酸由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する炭化水素ワックス由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、及び付加重合樹脂セグメントを含有するポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも一種であり、前記ワックスの融点が50℃以上95℃以下である、紙コート剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する樹脂粒子を含有する紙コート剤であって、
前記非晶性ポリエステル系樹脂が、アルケニルコハク酸由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する炭化水素ワックス由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、及び付加重合樹脂セグメントを含有するポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも一種であり、
前記ワックスの融点が50℃以上95℃以下である、
紙コート剤。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
前記樹脂粒子中の前記非晶性ポリエステル系樹脂と前記ワックスの質量比(非晶性ポリエステル系樹脂/ワックス)が、60/40以上95/5以下である、請求項1に記載の紙コート剤。
【請求項3】
界面活性剤の含有量が、0.1質量%以下である、請求項1又は2に記載の紙コート剤。
【請求項4】
前記非晶性ポリエステル系樹脂が、非水溶性である、請求項1~3のいずれかに記載の紙コート剤。
【請求項5】
前記ワックスが、エステルワックス、カルナウバワックス、及びパラフィンワックスから選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれかに記載の紙コート剤。
【請求項6】
前記樹脂粒子が、水系媒体に分散されてなる、請求項1~5のいずれかに記載の紙コート剤。
【請求項7】
下記工程1~4をこの順に有する、請求項1~6のいずれかに記載の紙コート剤の製造方法。
工程1:前記非晶性ポリエステル系樹脂及び前記ワックスを有機溶媒に溶解する工程
工程2:塩基性化合物を添加し、前記非晶性ポリエステル系樹脂を中和する工程
工程3:水系媒体を添加し、前記非晶性ポリエステル系樹脂及び前記ワックスを転相乳化する工程
工程4:前記有機溶媒を留去する工程
【請求項8】
紙基材の少なくとも片面に非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する塗工層を有する、塗工紙であって、
前記非晶性ポリエステル系樹脂が、アルケニルコハク酸由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂若しくは水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する炭化水素ワックス由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、又は付加重合樹脂セグメントを含有するポリエステル系樹脂であり、
前記ワックスの融点が50℃以上95℃以下である、塗工紙。
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の紙コート剤を紙基材の少なくとも片面に塗工し、塗工液の層を形成する工程Iと、該工程Iで塗工された前記紙基材上の塗工層を乾燥させる工程IIとを含む、塗工紙の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂粒子を含有する紙コート剤、該紙コート剤の製造方法、及び該コート剤を用いた塗工紙に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、水に対する抵抗性が要求される紙製ラベル、包装紙、紙容器等に用いることができる紙材料としては、耐水性や撥水性を付与するためにポリエチレンフィルムやポリプロピレンといったプラスチックフィルムをラミネート処理した紙が利用されてきた。しかしながら、プラスチックフィルムをラミネート処理した紙はリサイクルが困難である。そのため、近年の環境意識の高まりとともにラミネート処理に代わる耐水性や撥水性を付与する技術が求められ、検討されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、スルホン酸塩基をもつポリエステルを分散剤として用いてポリオレフィンを乳化して得られるエマルジョンを含有することを特徴とする防湿コート用樹脂組成物が記載されており、該防湿コート用樹脂組成物で処理した紙は防湿性に優れると述べられている。
特許文献2には、アクリル系樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体及びポリエステルを含有する耐油性層が紙基材の表面に形成されてなる耐油性紙が記載されており、該耐油性紙は耐油性と撥水性に優れると述べられている。
特許文献3には、セルロース材料を含む基材に堆肥化可能なポリマー及び分散剤を含む堆肥化可能な被覆がされた被覆基材が記載されており、該被覆基材は耐油性、耐グリース性、及び耐水性に優れると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2004-99840号公報
特開2004-76189号公報
特表2020-503198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、紙へのプラスチックフィルムのラミネート処理に替わる撥水性、耐水性の付与技術として、フッ素系紙コート剤による処理が知られているが、安全性および環境配慮への観点から、非フッ素系紙コート剤が求められている。しかしながら、特許文献1~3に記載の従来技術では、十分な撥水性、耐水性を有するコート紙を得ることができなかった。本発明はこれらの課題を解決するために紙へ用いる樹脂粒子を含有した紙コート剤に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、紙と水との接触を抑制する塗工層を設けることに着目し、塗工層を形成するための紙コート剤として、ポリエステル系樹脂を含む樹脂粒子を含有し、該樹脂粒子が特定の非晶性ポリエステル系樹脂とワックスを含有することにより、前記課題を解決しうることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔4〕を提供する。
〔1〕非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する樹脂粒子を含有する紙コート剤であって、
前記非晶性ポリエステル系樹脂が、アルケニルコハク酸由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する炭化水素ワックス由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、及び付加重合樹脂セグメントを含有するポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも一種であり、
前記ワックスの融点が50℃以上95℃以下である、
紙コート剤。
〔2〕下記工程1~4をこの順に有する、前記〔1〕に記載の紙コート剤の製造方法。
工程1:前記非晶性ポリエステル系樹脂及び前記ワックスを有機溶媒に溶解する工程
工程2:塩基性化合物を添加し、前記非晶性ポリエステル系樹脂を中和する工程
工程3:水系媒体を添加し、前記非晶性ポリエステル系樹脂及び前記ワックスを転相乳化する工程
工程4:前記有機溶媒を留去する工程
〔3〕紙基材の少なくとも片面に非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する塗工層を有する、塗工紙であって、
前記非晶性ポリエステル系樹脂が、アルケニルコハク酸由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂若しくは水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する炭化水素ワックス由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、又は付加重合樹脂セグメントを含有するポリエステル系樹脂であり、
前記ワックスの融点が50℃以上95℃以下である、塗工紙。
〔4〕前記〔1〕に記載の紙コート剤を紙基材の少なくとも片面に塗工し、塗工層を形成する工程Iと、該工程Iで塗工された前記紙基材上の前記塗工層を乾燥させる工程IIとを含む、塗工紙の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紙に塗工することで、紙に撥水性や耐水性を付与することができる樹脂粒子を含有する紙コート剤、該紙コート剤を用いた塗工紙、及び該塗工紙の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[紙コート剤]
本発明の紙コート剤は、非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する樹脂粒子を含有する紙コート剤であって、前記非晶性ポリエステル系樹脂が、アルケニルコハク酸由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する炭化水素ワックス由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、及び付加重合樹脂セグメントを含有するポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも一種であり、前記ワックスの融点が50℃以上95℃以下である。
【0010】
本発明によれば、撥水性及び耐水性に優れる塗工紙を得ることができる。その理由は定かではないが、次のように考えられる。
一般に、水系媒体に分散された樹脂粒子の分散液において、該樹脂粒子の樹脂成分としてはアクリル樹脂やポリウレタン樹脂等が知られている。しかしながら、これらの樹脂は、水系媒体への分散性を得るために比較的極性が高く親水的であるため、このような樹脂を用いた樹脂粒子の分散液を紙コート剤として紙へ塗工しても、良好な撥水性と耐水性を紙へ付与することはできないという問題がある。また、水系媒体に分散された樹脂粒子の分散液として疎水性で結晶性を有するワックスの分散液も知られている。しかし、疎水性の高いワックスを水系媒体へ分散させるために分散剤として一定以上の界面活性剤を併用する必要があり、ワックスの分散液を紙コート剤として紙へ塗工しても、界面活性剤の影響により良好な撥水性と耐水性を付与することができないという問題がある。
これに対して本発明の紙コート剤は、非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する樹脂粒子を含有する。非晶性ポリエステル系樹脂は、アルケニルコハク酸由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する炭化水素ワックス由来の構成単位を含有するポリエステル系樹脂、及び付加重合樹脂セグメントを含有するポリエステル系樹脂から選ばれ、非晶性ポリエステル系樹脂中で疎水性基が局在化した構造を有している。そのため、転相乳化法で非晶性ポリエステル系樹脂及びワックスを含有する樹脂粒子を製造する際に、ワックスは親和性の高い非晶性ポリエステル系樹脂中の疎水性基部分へ分散すると考えられ、それにより非晶性ポリエステル系樹脂およびワックスを含有する樹脂粒子が得られる。
この樹脂粒子を紙へ塗工すると、非晶性ポリエステル系樹脂のエステル構造などの親水性部分が紙と相互作用することで、強固な塗膜を形成する。一方で、樹脂粒子中に存在するワックス及び非晶性ポリエステル系樹脂中の疎水性基部分の疎水性により、紙に撥水性及び耐水性を付与することができると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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