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公開番号2025067270
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-24
出願番号2023177138
出願日2023-10-12
発明の名称マイクロ波加熱効率を向上する金属籠
出願人個人
代理人
主分類F24C 7/02 20060101AFI20250417BHJP(加熱;レンジ;換気)
要約【課題】マイクロ波を照射して負荷体を加熱する電子レンジタイプの加熱装置において、の加熱効率を向上する。
【解決手段】異常発熱やアーク発生の危険があるため、マイクロ波加熱装置の庫内に金属を入れることは忌避とされてきた。しかし、金属籠の本体アースを取ることで、本発明の実施例に示す事例で問題は発生しないことが分かった。本発明は、庫内にマイクロ波を照射して、負荷体を加熱する電子レンジタイプのマルチモードのマイクロ波加熱装置において、装置の庫内に複数のスリットを有する金属籠を置いて本体アースを取り、その中に負荷体を入れることで、マイクロ波の照射効率が格段に向上することを発見した。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
庫内にマイクロ波を照射して、負荷体を加熱するマルチモードのマイクロ波加熱装置において、上面、底面がなく、円柱あるいは多角柱、あるいはこれらの辺の一部を切り欠いた構造で、マイクロ波を透過する樹脂製、あるいはガラス製の土台の上に、側面にマイクロ波の方向に沿って、複数のスリットを有する金属板を乗せた金属製の筒、あるいは金属板や金属管で円柱のマイクロ波を透過する樹脂製あるいはガラス製の土台の上に細長い金属板あるいは金属管でコイル状に巻いた金属製の筒であり、金属線あるいは細長い金属板を金属の全段に渡して連結し、複数個所で本体アースを取ることを特徴とするスリットを有する金属籠である。但し、これら金属製の籠が、土台がなくても自立する場合は必ずしも樹脂製、あるいはガラス製の土台は必要ない。マイクロ波加熱装置の庫内にこの金属籠を入れ、1個所あるいは複数個所で本体アースを取った籠の中に加熱あるいは反応させる負荷体を入れたマイクロ波を透過する樹脂製、あるいはガラス製の容器を入れて、マイクロ波を照射することで、金属籠を用いない場合に比べて、加熱速度が増大する、即ち、マイクロ波の照射効率が向上することを特徴する。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
請求項1のスリットを有する金属籠において、スリットを形成する金属が金属板あるいは金属管であり、スリットの長辺がマイクロ波の波長以上(今回の2.45GHzでは125mm以上)であり、短辺(スリット幅)が4mm~25mm好ましくは4mm~20mmであり、スリット間の間隔が4~20mmで3本以上、好ましくは4本以上、より好ましくは5本以上のスリットがマイクロ波の方向に平行に並んでおり、籠の高さはマイクロ波加熱装置の照射口の高さを上限とし、金属板あるいは金属管の全段を金属線あるいは金属板で繋いで、複数個所で本体アースをとることを特徴とするスリットを有する金属籠である。
【請求項3】
スリットを有する請求項1の金属籠において、籠の形状が円柱あるいは多角柱をしており、円柱の場合、その直径はマイクロ波波長λの0.6倍以上からマイクロ波照射装置の庫内の幅までの大きさである、あるいは多角柱の場合側面の1面あるいは2面でマイクロ波波長以上の長さがあり、その対角線が庫内までの大きさであることを特徴とするスリットの金属籠である。
【請求項4】
請求項1のコイル状に巻いた金属籠において、金属の板あるいは管が、その板幅あるいは管径が6mm以上であり、そのピッチが4mm~30mmであり、複数巻、好ましくは3巻以上、より好ましくは5巻以上を巻いたコイルであり、コイルの全ての各段をアースで繋いで本体アースしていることを特徴とするコイルの金属籠である。
【請求項5】
スリットを有する請求項1の金属籠において、円柱の直径、あるいは多角形の辺あるいは対角線がマイクロ波照射装置の庫内よりも大きくなる場合に、円柱の一部を切り欠いた扇型あるいは半円状であること、あるいは多角形の一部の辺を切り欠いた構造で、マイクロ波照射口に対して、負荷体の反対側にあり、この切欠き部分が照射口に開いている配置であることを特徴とする円筒あるいは多角柱の一部を切り欠いた大型の金属籠である。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ波を庫内に照射して負荷体を加熱する電子レンジなどのマルチモードのマイクロ波加熱装置において、複数の金属帯あるいは金属管を並行に配置してスリットを形成した金属籠あるいは金属板に複数のスリットを有する金属籠、あるいは細長い金属板や金属管をコイル状に巻いた金属籠を、負荷体の外側に囲うように離して配置することで、マイクロ波照射による加熱効率が格段に向上することに関するものである。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
電子レンジはマイクロ波技術を応用した簡便な加熱調理できる家電加熱機器として広く普及し、既に半世紀を超えている。電子レンジの加熱源としてのマイクロ波は、マグネトロン発振器で消費される電力の全てが負荷体への加熱エネルギーに変換されるわけではなく、その加熱の照射効率は50%程度であることが示されている(非特許文献1)。電子レンジは普及台数が非常に多く、省エネの観点からも、電子レンジの加熱効率を高めるための技術に関して、これまで多くの研究さなされてきた。
【0003】
加熱対象物を効率よく、ムラなく温めるために、ターンテーブルに加熱対象物を乗せて、マイクロ波の照射がムラなく加熱対象物に当たるようにするのもこの一つである。また、近年は、マイクロ波をファンアンテナに当てて、マイクロ波の庫内分散を良くすることで加熱対象物に均一に当たるようにする技術も、既に市販の電子レンジに採用されている。これらのように、負荷体を均一に加熱することで、加熱効率を上げる技術は多くの研究がなされて実用化されているが、マイクロ波照射効率そのものを大きく向上させる技術は、これまで報告された事例は少なく、実用化された事例はない。この他に、庫内体積に対して負荷体を相対的に大きくすることでも負荷体にマイクロ波が当たる比率が上がるため、マイクロ波の効率を高めることができ、加熱効率を高められる。しかし、庫内を小さくすることは、負荷体の容量の上限を相対的に小さくするため好ましくない。逆に負荷体の容量を大きくすることは、負荷体に当たるマイクロ波の効率を高めることはできるが、種々の容量の負荷体を加熱する電子レンジに対して、全体的な加熱効率を高めるということはできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
D. M. Pozar,Microwave Engineering 4th Edition, John Wiley & Sons、New York, 2011
【発明の概要】
【0005】
庫内にマイクロ波を照射して、負荷体を加熱する電子レンジタイプのマルチモードのマイクロ波加熱装置において、スリット状の金属籠を負荷体の外側に囲うようにすることで、加熱効率が格段と向上することを見出した。このスリット状の金属籠は、円柱、あるいは多角柱をしており、上下の面がないものである。この籠の側面に金属製の複数のスリット、あるいは長方形の帯状の金属を複数並べた並行帯、あるいはコイル状の構造を備えており、金属の材質としてアルミ、銅、SUS等が用いられ、金属は板あるいは管でも良い。このスリットを備えた金属籠は金属部分全段が金属線あるいは金属板で連結され、本体アースに繋がっている。この金属籠で負荷体を離して囲うことで、マイクロ波の照射効率が金属籠を用いない場合と比較して1.0倍を超えることを特徴とする。以降、この照射効率の向上を示す指標として、金属籠を用いた場合と金属籠を用いないblankを1とし、blankとの比率を照射効率比と称し、これが1.0を超えることを特徴とする。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
庫内にマイクロ波を照射して、負荷体を加熱する電子レンジタイプのマルチモードのマイクロ波加熱装置において、従来技術ではマイクロ波の加熱効率が50%前後であり、世界に普及する電子レンジの台数の多さから、省エネルギーの観点からも、この加熱効率を上げることが望まれている。また、例えば、加熱効率が例えば1.5倍向上することは、汎用の750Wのマグネトロンで1125W相当の働きができることを意味しており、電子レンジの低価格化にも貢献できる。特に産業面で高出力のマグネトロンを使用する場合には能力増強の面で、設備投資の削減にもなる技術としての応用も考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、庫内にマイクロ波を照射して、負荷体を加熱する電子レンジタイプのマルチモードのマイクロ波加熱装置において、装置の庫内に金属籠を置いて、その中に加熱対象物、負荷体を入れることで、マイクロ波の加熱効率が向上することを発見した。通常は異常発熱やアーク発生の危険があるため、マルチモードのマイクロ波加熱装置の庫内に金属を入れることは忌避事項とされている。しかし、金属籠の本体アースをきちんと取ることで、本発明の実施例に示す事例で異常発熱やアーク発生等の問題は発生しないことが分かった。
【発明の効果】
【0008】
この負荷体の外側に金属籠を配置したマイクロ波照射装置で、マイクロ波を照射して負荷体の温度上昇速度を測定し、金属籠を配置しないblankと昇温速度と比較してその向上効果を測定した。その結果、加熱効率比(照射効率比)で、1.0倍を超える向上が見られ、blankに対する照射効率比で1.05~1.61という、大きな照射効率の向上効果が見られた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施例1~3の金属板を用いた円筒の並行帯籠の作成例と配置例を示した。
実施例4の金属管を用いた並行帯籠の作成例である。
実施例5の多角柱の並行帯籠の作成例である。
実施例5の多角柱の並行帯籠の配置例を示した。
実施例6の金属板を用いたコイル籠の作成例である。
実施例7の金属管を用いたコイル籠の作成例である。
実施例8の金属板を用いたスリット籠の作成例を展開図で示した。
実施例9の円筒あるいは多角柱の一部を切り欠いた大型の並行帯籠の作成例である。
実施例9の切り欠いた大型の並行帯籠の配置例を示した。
比較例1-1(blank-1)と実施例1-1~1-5の円筒の並行帯籠のマイクロ波照射試験である。
比較例1-2(blank-2)と実施例1-6の小口径円筒の並行帯籠のマイクロ波照射試験である。
実施例2の円筒の並行帯籠の金属帯の本数を変えた並行帯籠のマイクロ波照射試験である。
実施例3の金属の材質、銅を用いた並行帯籠のマイクロ波照射試験である。
実施例4の金属管を用いた並行帯籠のマイクロ波照射試験である。
実施例5の多角柱の並行帯籠のマイクロ波照射試験である。
実施例6の円筒のコイル籠のマイクロ波照射試験である。
実施例7の円筒の金属管を用いたコイル籠のマイクロ波照射試験である。
実施例8の円筒あるいは多角柱のスリット籠のマイクロ波照射試験である。
実施例8のスリット籠の一部の電解シミュレーションによる電場強度である。
実施例9の四角柱の一部を切り欠いた並行帯籠の庫内配置の例である。
実施例9の円筒の一部を切り欠いた大型の並行帯籠のマイクロ波照射試験である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
スリット状の金属籠の定義は以下の通りである。
1.並行帯籠…帯状の金属板あるいは金属管を3本以上の複数本数を並行にマイクロ波を透過する例えばポリプロピレン製の容器に並べて、全段を金属線あるいは細長い金属板を用いて連結しこの線あるいは細長い板をアースに繋ぐ金属籠であることを特徴とする。但し、当該籠が自立する場合はマイクロ波を透過する板を用いなくても良い。
2.コイル籠…細長い金属板あるいは金属管を用い、マイクロ波を透過する例えばポリプロピレン製の容器にコイル状に一定ピッチで3巻以上巻いたもので、金属線、あるいは細長い金属板で全段を転結し、これをアースとして繋いだ金属籠であることを特徴とする。当該籠が自立する場合はマイクロ波を透過する板を用いなくても良い。
3.スリット籠…金属板に複数個のスリット穴をあけ、多角柱、あるいは円筒状に成型し、複数個所で金属線あるいは細長い金属板でアースを取った金属籠であることを特徴とする。基本的に自立させることが出来るが、マイクロ波を透過する例えばポリプロピレン製の容器に張り付けても良い。
4.円筒・多角形の一部を切り欠いた並行帯籠…マイクロ波加熱装置の庫内に入りきらない大きさの1項と同じ並行帯の金属籠であり、この金属籠を庫内に入れるために円筒、あるいは多角形の一部を切り欠いた籠である。配置は切り欠いた部分をマイクロ波照射口に向ける。また、壁面に2か所接続することから、その両端を金属線あるいは細長い金属板で全段を繋いで、これでアースを繋ぐことを特徴とする。 当該籠が自立しない場合は、マイクロ波を通す例えばポリプロピレン製の樹脂板を用いて成型しても良い。
(【0011】以降は省略されています)

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