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公開番号2025064432
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-17
出願番号2023174198
出願日2023-10-06
発明の名称浮体式洋上風力発電施設の施工方法
出願人東亜建設工業株式会社
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類B63B 75/00 20200101AFI20250410BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約【課題】岸壁に浮体式洋上風力発電施設の搭載拠点を整備しなくとも、設置対象海域に係留した浮体の喫水が20m以下の浮体式洋上風力発電施設を効率的に施工できる方法を提供する。
【解決手段】水深が8m以上20m以下の海域に水上構造物10を仮設し、水上構造物10の隣接海域に複数の作業エリアAを設け、風力発電装置3の組立部品を複数組水上構造物10上に仮置きしておく。任意の作業エリアAに停船させた自己昇降式台船20を使用して、その作業エリアAの海底SBに着底させている浮体2に対して一組の組立部品を設置して組立体9を組立てる組立作業を行い、自己昇降式台船20は組立作業を終えた作業エリアAから別の作業エリアAに移動させて、その作業エリアAの海底SBに着底している浮体2に対して組立作業を行い、それに並行して、組立作業を先行して終えた組立体9に対して付加作業を行う。
【選択図】図14
特許請求の範囲【請求項1】
設置対象海域において係留される浮体と、前記浮体上に立設された風力発電装置とを有して、前記浮体を前記設置対象海域に係留した状態で、水面から前記浮体の下端までの喫水が20m以下となる浮体式洋上風力発電施設を複数基並行して施工する施工方法であって、
水深が8m以上20m以下の海域に仮設の水上構造物を構築し、
前記水上構造物に隣接した海域に複数の作業エリアを設け、
前記風力発電装置を構成するナセルハブ、ブレードおよびタワーの組立部品を複数組前記水上構造物上に仮置きしておき、
任意の前記作業エリアに停船させた自己昇降式台船のクレーンを使用して、その作業エリアの海底に着底させている前記浮体に対して、前記水上構造物に仮置きされている一組の前記組立部品を設置して、前記浮体上に前記風力発電装置が構築された組立体を組立てる組立作業を行い、
前記自己昇降式台船は、前記組立作業を終えた前記作業エリアから別の前記作業エリアに順次移動させて、その作業エリアの海底に着底させている前記浮体に対して前記組立作業を行い、それに並行して、前記組立作業を先行して終えた前記組立体に対しては調整作業を含む付加作業を行い、
前記付加作業を終えた前記組立体は順次、前記設置対象海域まで海上輸送し、前記設置対象海域においてその前記組立体を係留することを特徴とする浮体式洋上風力発電施設の施工方法。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
前記自己昇降式台船により前記別の作業エリアで前記浮体に対して前記組立作業を行っているときに、それに並行して、前記組立作業を先行して終えた前記作業エリアにおいて前記組立体に対する前記付加作業を行う請求項1に記載の浮体式洋上風力発電施設の施工方法。
【請求項3】
前記水上構造物として、海域に桟橋または浮体式構造物を構築する請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電施設の施工方法。
【請求項4】
前記組立体を前記設置対象海域へ海上輸送した前記作業エリアの海底に、新たな前記浮体を着底させる請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電施設の施工方法。
【請求項5】
前記水上構造物に隣接した海域に6カ所以上の前記作業エリアを設ける請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電施設の施工方法。
【請求項6】
6組以上の前記組立部品を仮置きできる前記水上構造物を構築する請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電施設の施工方法。
【請求項7】
前記水上構造物を防波堤の内側の海域に構築する請求項1または2に記載の浮体式洋上風力発電施設の施工方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式洋上風力発電施設の施工方法に関し、さらに詳しくは、岸壁に浮体式洋上風力発電施設の搭載拠点(基地港湾)を整備しなくとも、設置対象海域に係留した状態での浮体の喫水が20m以下の浮体式洋上風力発電施設を効率的に施工できる浮体式洋上風力発電施設の施工方法に関するものである。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
海域に係留される浮体の上に風力発電装置を立設した構造の浮体式洋上風力発電施設は、浮体の構造毎に、スパー型、セミサブ型、TLP(テンションレグプラットフォーム)型、バージ(コンクリート製)型に分類されている。例えば、スパー型の浮体式洋上風力発電施設は、高さが50m~100m程度の柱形状のスパー型浮体の大部分を潜水させた状態とし、その1本の巨大なスパー型浮体の上に風力発電装置を立設している(例えば、特許文献1参照)。設置対象海域に係留した状態でのスパー型の浮体の喫水は50m~100m程度である。一方で、スパー型以外のセミサブ型、TLP型、バージ型の浮体式洋上風力発電施設では、浮体を半潜水状態で海上に浮かべた状態とし、設置対象海域に係留した状態でのセミサブ型の浮体、TLP型の浮体、バージ型の浮体の喫水はそれぞれ、20m以下である。具体的には、例えば、セミサブ型の浮体式洋上風力発電施設では、高さが20m~40m程度の複数のコラムとコラムどうしを連結する連結体(所謂、フーチング部材等)とを有するセミサブ型の浮体を半潜水状態で海上に浮かべた状態とし、浮体の1ヶ所のコラム上に風力発電装置を立設している。
【0003】
一般的なスパー型の浮体式洋上風力発電装置の施工方法では、岸壁などの陸上においてスパー型の浮体と風力発電装置を構成するタワーとを横に倒した状態で接続し、スパー型の浮体とタワーの一体物をそのまま横に倒した状態で半潜水台船に積み込み、水深が100m以上の海域まで運搬する。そして、水深が100m以上の海域でスパー型の浮体とタワーの一体物を進水させ、スパー型の浮体のバラスト水の調整を行うことで、横に倒していた一体物を起こして立てた状態にする。その後、立てた状態の一体物を設置対象海域まで曳航し、水深が100m以上の設置対象海域において一体物を係留する。次いで、固定式起重機船を使用してタワーの上部にナセルハブを設置して、ナセルハブにブレードを設置することで、スパー型の浮体式洋上風力発電装置の立設が完了する。
【0004】
特許文献1に記載の発明では、タワーの中途に屈曲部を設けている点と、陸上でタワーに風車(ナセルハブおよびブレード)を設置する点で一般的な施工方法とは異なるが、特許文献1に記載の発明においても、スパー型の浮体(基礎)と風力発電装置のタワーの一体物を陸上で組み立てている。
【0005】
浮体式洋上風力発電施設を構成する浮体と風力発電装置はサイズが非常に大きく重量も非常に大きい。それ故、浮体とタワーの一体物を、陸上で長距離輸送することは困難である。そのため、一般的な施工方法や特許文献1に記載の発明のように、浮体とタワーの組立体(一体物)を陸上で組立てる場合には、岸壁などの陸地に、浮体と風力発電装置の組立部品を搭載するスペースを確保することや、組立体の組立作業を行うスペースを確保して組立体を直接海上に進水させる必要がある。しかし、一般的な岸壁では多くの場合、地盤が組立体の荷重に耐え得る強度を有していない。そのため、浮体式洋上風力発電施設の搭載拠点を岸壁に整備するには、岸壁やエプロンに対して地耐力を向上させる地盤改良工事などの大規模な工事が必要となり、比較的多くのコストや労力や時間を要するという問題がある。特に、陸上で複数の組立体を組立てる場合には、岸壁に浮体式洋上風力発電施設の搭載拠点としての広大なスペースを確保することが困難な場合もある。
【0006】
また、スパー型の浮体式洋上風力発電施設の一般的な施工方法では、水深が100m以上の海域で横に倒していたスパー型の浮体とタワーの一体物を起こして立てた状態にする作業が必要となる。特許文献1に記載の構築方法においても、ヒンジ開閉手段によってタワーのヒンジから後方の部分とスパー型の浮体(基礎)を横倒しの状態から直立状態に変化させる必要がある。それ故、従来提案されている施工方法では、海上において高度で煩雑な作業が必要になるという問題もある。このように、従来提案されている施工方法には様々な問題があり、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2012-202250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、岸壁に浮体式洋上風力発電施設の搭載拠点を整備しなくとも、設置対象海域に係留した状態での浮体の喫水が20m以下の浮体式洋上風力発電施設を効率的に施工できる浮体式洋上風力発電施設の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の浮体式洋上風力発電施設の施工方法は、設置対象海域において係留される浮体と、前記浮体上に立設された風力発電装置とを有して、前記浮体を前記設置対象海域に係留した状態で、水面から前記浮体の下端までの喫水が20m以下となる浮体式洋上風力発電施設を複数基並行して施工する施工方法であって、水深が8m以上20m以下の海域に仮設の水上構造物を構築し、前記水上構造物に隣接した海域に複数の作業エリアを設け、前記風力発電装置を構成するナセルハブ、ブレードおよびタワーの組立部品を複数組前記水上構造物上に仮置きしておき、任意の前記作業エリアに停船させた自己昇降式台船のクレーンを使用して、その作業エリアの海底に着底させている前記浮体に対して、前記水上構造物に仮置きされている一組の前記組立部品を設置して、前記浮体上に前記風力発電装置が構築された組立体を組立てる組立作業を行い、前記自己昇降式台船は、前記組立作業を終えた前記作業エリアから別の前記作業エリアに順次移動させて、その作業エリアの海底に着底させている前記浮体に対して前記組立作業を行い、それに並行して、前記組立作業を先行して終えた前記組立体に対しては調整作業を含む付加作業を行い、前記付加作業を終えた前記組立体は順次、前記設置対象海域まで海上輸送し、前記設置対象海域においてその前記組立体を係留することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、設置対象海域に係留した状態での浮体の喫水が20m以下の浮体式洋上風力発電施設を複数基並行して施工する方法であり、スパー型を除くその他の型(セミサブ型、TLP型、バージ型)の浮体式洋上風力発電施設の施工に採用できる。本発明では、水深が8m以上20m以下の比較的浅い海域に仮設の水上構造物を構築するので、水上構造物の構築に要するコストや労力や時間は比較的少ない。風力発電装置の組立部品を水上構造物上に仮置きするので、岸壁に組立部品をまとめて仮置きするような浮体式洋上風力発電施設の搭載拠点を整備する必要もない。水上構造物を水深が8m以上20m以下の海域に構築することで、水上構造物の近傍に自己昇降式台船を停船させることが可能であり、水上構造物の近傍の海底に浮体を容易に着底させることができる。波浪の影響を受けない自己昇降式台船のクレーンを使用し、さらに、浮体を海底に着底させていることで、浮体に対して一組の組立部品を設置して、浮体上に風力発電装置が構築された組立体を組み立てる組立作業を非常に安定した状態で効率的に行える。さらに、水上構造物に隣接した海域に複数の作業エリアを設け、任意の作業エリアで組立作業を終えた自己昇降式台船を、組立作業を終えた作業エリアから別の作業エリアに順次移動させて、その作業エリアで組立作業を行い、それに並行して、組立作業を先行して終えた組立体に対しては調整作業を含む付加作業を行う。これにより、組立作業と付加作業をそれぞれ別々の場所で並行して行うことができ、自己昇降式台船を効率的に活用できる。付加作業を終えた組立体は設置対象海域まで海上輸送し、設置対象海域において組立体を係留するだけで浮体式洋上風力発電施設の施工が完了する。それ故、本発明では、岸壁に浮体式洋上風力発電施設の搭載拠点を整備しなくとも、設置対象海域に係留した状態での浮体の喫水が20m以下の浮体式洋上風力発電施設(スパー型を除くその他の型の浮体式洋上風力発電施設)を複数基並行して効率的に施工できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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