公開番号2025061185 公報種別公開特許公報(A) 公開日2025-04-10 出願番号2025003825,2023192177 出願日2025-01-10,2015-05-18 発明の名称ヒトEPOを発現する遺伝子改変された非ヒト動物 出願人リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド,REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.,イエール ユニバーシティ,インスティテュート フォー リサーチ イン バイオメディシン (アイアールビー) 代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人 主分類A01K 67/0278 20240101AFI20250403BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業) 要約【課題】動物ゲノムからヒトEPOを発現する遺伝子改変非ヒト動物、及び該非ヒト動物を作製する方法の提供。 【解決手段】EPOプロモーター配列に機能的に連結されたhEPOのコード配列またはその断片を含む核酸配列と、マウス多能性幹細胞を接触させる工程であって、該コード配列とEPOプロモーター配列が、内在性マウスEPO遺伝子座と相同である配列が隣接しているカセットを形成する、工程;相同組換えによる内在性マウスEPO遺伝子座におけるマウスゲノムへの核酸配列の組み込みを促進する条件の下で多能性幹細胞を培養する工程;およびhEPOをコードする核酸配列を含むマウス多能性幹細胞からマウスを作製する工程により作成されたヒトEPOタンパク質(hEPO)を発現するマウス。 【選択図】図2 特許請求の範囲【請求項1】 EPO遺伝子プロモーターに機能的に連結されたヒトEPOタンパク質(hEPO)をコードする核酸配列を含む、遺伝子改変された非ヒト動物。 続きを表示(約 910 文字)【請求項2】 EPO遺伝子プロモーターが内在性非ヒトEPOプロモーターである、請求項1に記載の非ヒト動物。 【請求項3】 前記機能的連結が、非ヒト動物EPO遺伝子座において内在性非ヒトEPOプロモーターとなされている、請求項1に記載の非ヒト動物。 【請求項4】 前記機能的連結が、非ヒトEPO遺伝子座における非ヒトEPO遺伝子のヌル変異をもたらす、請求項3に記載の非ヒト動物。 【請求項5】 hEPOをコードする核酸配列を含む対立遺伝子についてヘテロ接合性である、請求項4に記載の非ヒト動物。 【請求項6】 hEPOをコードする核酸配列を含む対立遺伝子についてホモ接合性である、請求項4に記載の非ヒト動物。 【請求項7】 hEPOをコードする核酸配列がヒトEPOゲノムのコード配列および非コード配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の非ヒト動物。 【請求項8】 hEPOをコードする核酸配列がヒトEPO cDNA配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の非ヒト動物。 【請求項9】 M-csfプロモーターの調節下で核酸によってコードされたhM-CSFタンパク質; Il-3プロモーターの調節下で核酸によってコードされたhIL-3タンパク質; Gm-csfプロモーターの調節下で核酸によってコードされたhGM-CSFタンパク質; TPOプロモーターの調節下で核酸によってコードされたhTPOタンパク質;および Sirpaプロモーターの調節下で核酸によってコードされたhSirpaタンパク質 からなる群より選択される1種または複数種の付加的なヒトタンパク質を発現する、請求項1~8のいずれか一項に記載の非ヒト動物。 【請求項10】 プロモーターが、対応する非ヒト動物遺伝子座にある内在性非ヒト動物プロモーターであり、非ヒト動物が、非ヒト遺伝子についてヘテロ接合性ヌルである、請求項9に記載の非ヒト動物。 (【請求項11】以降は省略されています) 発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 相互参照 本願は、参照によってその開示全体が本明細書に組み入れられる、2014年5月19日に出願された米国仮出願第62/000,460号の恩典を主張する。 続きを表示(約 3,700 文字)【0002】 発明の分野 本発明は、遺伝子改変された非ヒト動物の分野に関係する。 【背景技術】 【0003】 導入 遺伝子改変マウス、改変され生着がなされたマウス、およびヒト疾患のモデル化におけるそれらの使用は、当技術分野において公知である。しかしながら、現在まで、ヒト赤血球系統の細胞を標的とする病原体によるヒト感染をモデル化する遺伝子改変マウスの生成は、ほとんど成功していない。そのような病原体、例えば、プラスモディウム(Plasmodium)属、バベシア(Babesia)属、およびタイレリア(Theileria)属の原虫は、ヒトにおいて生命に関わる疾患を引き起こし得る。 【0004】 例えば、プラスモディウム属の原虫は、マラリアを引き起こす。2010年、世界中の全部で106の国が、マラリアが蔓延していると見なされ、疾患発症のリスクを有する人々は33億人と推定された。2010年の世界中の疾病負荷は、2億1600万例と推定され、死亡数は655,000と推定され、そのうち86%は5歳未満の子供であった。現在、マラリアの防止および処置のための薬物およびワクチンは、未だに極めて限定されている。さらに、一般的に使用されているマラリア治療薬に対する寄生虫耐性が出現しており、不断の課題を提示する。従って、ヒト赤血球を標的とする病原体のコントロールおよび処置のための新たな薬物およびワクチンの開発が、緊急に必要とされている。 【0005】 これらの病原体の多くは実験用齧歯類の赤血球に感染しないため、インビボ研究は、伝統的に、齧歯類寄生虫プラスモディウム・ベルゲイ(berghei)ANKAによって引き起こされたマラリアの研究、または多数のヒト赤血球を毎日の注入によって急性に生着させ、同時にもしくはその後に、寄生された赤血球を注入によって感染させた、NOD/SCIDマウス、NOD/SCID/IL2rg null (NSG)マウス、もしくはBXNマウスの研究に限定されてきた(Angulo-Barturen et al.(2008) A murine model of falciparum-malaria by in vivo selection of competent strains in non-myelodepleted mice engrafted with human erythrocytes. PLoS One 3:e2252(非特許文献1);Jimenez-Diaz et al.(2009) Improved murine model of malaria using Plasmodium falciparum competent strains and non-myelodepleted NOD-scid IL2Rgnull mice engrafted with human erythrocytes. Antimicrob Agents Chemother 53:4533-4536(非特許文献2);Badell et al.(2000) Human malaria in immunocompromised mice:an in vivo model to study defense mechanisms against Plasmodium falciparum. JEM 192(11):1653-1660(非特許文献3);Moreno et al.(2006) The course of infections and pathology in immunomodulated NOD/LtSz-SCID mice inoculated with Plasmodium falciparum laboratory lines and clinical isolates. Int.J.Parasitol.36:361-369(非特許文献4))。ヒトに対するマラリア原虫およびその他の病原体の効果を研究し、これらおよびその他の病原体による感染の防止および感染したヒトの処置における効力についてワクチンおよび薬物を試験するためには、そのような病原体に感染しやすいよう、または伝統的な齧歯類モデルにおいて行われるように感染前に動物へ急性に移植されるヒト赤血球をよりよく支持するよう、遺伝子改変マウスのような非ヒト動物を有することが有用であろう。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0006】 Angulo-Barturen et al.(2008) A murine model of falciparum-malaria by in vivo selection of competent strains in non-myelodepleted mice engrafted with human erythrocytes. PLoS One 3:e2252 Jimenez-Diaz et al.(2009) Improved murine model of malaria using Plasmodium falciparum competent strains and non-myelodepleted NOD-scid IL2Rgnull mice engrafted with human erythrocytes. Antimicrob Agents Chemother 53:4533-4536 Badell et al.(2000) Human malaria in immunocompromised mice:an in vivo model to study defense mechanisms against Plasmodium falciparum. JEM 192(11):1653-1660 Moreno et al.(2006) The course of infections and pathology in immunomodulated NOD/LtSz-SCID mice inoculated with Plasmodium falciparum laboratory lines and clinical isolates. Int.J.Parasitol.36:361-369 【発明の概要】 【0007】 概要 動物ゲノムからヒトEPOを発現する遺伝子改変された非ヒト動物が提供される。非ヒト動物ゲノムからヒトEPOを発現する非ヒト動物を作製する方法、および非ヒト動物ゲノムからヒトEPOを発現する非ヒト動物を使用する方法も、提供される。これらの動物および方法は、例えば、ヒトの赤血球生成および赤血球機能のモデル化;赤血球のヒト病原体感染のモデル化;例えば、健常または疾患の状態における、赤血球生成および/または赤血球機能をモジュレートする薬剤についてのインビボスクリーニング;赤血球または赤血球始原細胞に対して毒性である薬剤についてのインビボスクリーニング;赤血球または赤血球始原細胞に対する毒性薬剤の毒性作用を防止するか、和らげるか、または逆転させる薬剤についてのインビボスクリーニング;疾患治療に対する個体の応答性を予測するための個体由来の赤血球または赤血球始原細胞のインビボスクリーニングを含む、当技術分野における多くの用途を有する。 【0008】 本発明のいくつかの局面において、非ヒト動物のゲノムからヒトEPOを発現する遺伝子改変された非ヒト動物が提供される。換言すると、非ヒト動物は、ヒトEPOタンパク質をコードする核酸配列を含む。 【0009】 いくつかの態様において、ヒトEPOタンパク質をコードする核酸配列は、EPO遺伝子プロモーターに機能的に連結される。いくつかの態様において、EPO遺伝子プロモーターは、ヒトEPOプロモーターである。他の態様において、EPOプロモーターは、内在性、即ち、非ヒトのEPOプロモーターである。ある種のそのような態様において、内在性EPOプロモーターは、非ヒト動物EPO遺伝子座にある。換言すると、ある種の態様において、ヒトEPOタンパク質をコードする核酸配列は、非ヒト動物EPO遺伝子座において非ヒト動物EPOプロモーターに機能的に連結される。いくつかのそのような態様において、機能的連結は、非ヒトEPO遺伝子座における非ヒトEPO遺伝子のヌル変異をもたらす。 【0010】 いくつかの態様において、本発明の非ヒト動物は、ヒトEPOタンパク質をコードする核酸配列を含む対立遺伝子についてヘテロ接合性である。他の態様において、非ヒト動物は、ヒトEPOタンパク質をコードする核酸配列を含む対立遺伝子についてホモ接合性である。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する