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公開番号2025032476
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-12
出願番号2023137754
出願日2023-08-28
発明の名称積層フィルム、構成体、ヘッドアップディスプレイシステム、及び輸送用機器
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B32B 7/023 20190101AFI20250305BHJP(積層体)
要約【課題】本発明は、輸送用機器の風防の最表面に貼合したときの外観不良の軽減と、耐摩耗性を両立した積層フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】
基材層の少なくとも一方の表面に保護層を備え、波長400~2000nm、入射角度60°の条件で前記保護層に入射したP波の反射率が、100nm以上にわたり連続して10%以上となる反射帯域(反射帯域A)を少なくとも一つ有し、前記保護層における無機粒子の濃度が10質量%以上60質量%以下であり、前記保護層の最表面の無機粒子占有率が0.1%以上60%以下であることを特徴とする、積層フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
基材層の少なくとも一方の表面に保護層を備え、波長400~2000nm、入射角度60°の条件で前記保護層に入射したP波の反射率が、100nm以上にわたり連続して10%以上となる反射帯域(反射帯域A)を少なくとも一つ有し、前記保護層における無機粒子の濃度が10質量%以上60質量%以下であり、前記保護層の最表面の無機粒子占有率が0.1%以上60%以下であることを特徴とする、積層フィルム。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
前記無機粒子の平均粒子径が5nm以上60nm以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記保護層の算術平均粗さが0.10nm以上0.90nm以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
JISR-3255:1997に準拠したマイクロスクラッチ試験法により得られる前記保護層のクラック発生圧力が100GPa以上600GPa以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項5】
150℃で30分間熱処理をしたときの熱収縮率が1.0%以上3.0%以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
入射角度60°で前記保護層に入射した波長400~700nmのP波の平均反射率が10%以上である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項7】
波長800~2000nm、入射角度0°の条件で前記保護層に入射した光の反射率が、100nm以上にわたり連続して30%以上となる反射帯域(反射帯域B)を少なくとも一つ有する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記基材層の一方の表面に前記保護層を備え、前記保護層と反対側の表面に接着層を備える、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記接着層の最表層スクラッチ試験によるクラック発生荷重が1.0GPa以上である、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項10】
前記接着層の厚みが5μm以上25μm以下である、請求項8に記載の積層フィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示性に優れた積層フィルム、構成体、ヘッドアップディスプレイシステム、輸送用機器に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイシステムは、車両等の輸送用機器の搭乗者の視野に情報を映し出す表示システムであり、例えば搭乗者の前方の風景に合わせた進路情報、注意喚起情報、建造物情報などを表示することにより運転の安全性や快適性を向上させるものである。そのメカニズムについては、影像投射器から輸送用機器の風防(例えば、フロントガラス)の投影部に対して斜め方向から影像を投射して反射させ、該反射像を搭乗者の視野に入れる方式が最も簡単なものである。
【0003】
ヘッドアップディスプレイにおける風防の投影部の構成として、例えば偏光反射特性を有するフィルムを2枚のガラス間に内挿した構成が示されている(特許文献1)。しかしながら当該構成では、ブリュースター角と呼ばれる特定の入射角にて影像を投射しない限り、フィルムでの反射像とは別に、影像投射器側のガラス表面で反射像が発生する。そのため、当該構成ではいわゆる2重像が視認され、表示性が損なわれる。
【0004】
そこで2重像抑制のため、反射特性を有する基材層をガラス面の映像投射器側の最表面に接着層を介して貼合した構成が提案されている(特許文献2、3)。このような構成とした場合、ガラスよりも前に反射特性を有する基材層面で影像が反射するため、ガラス面での反射による2重像を抑制することができる。一方で、このような態様では基材層が露出することから、傷から基材層を守るハードコートなどの保護層を、基材層の最表面に備える必要がある。但し、輸送用機器の風防は平面でなく3次元に曲面構造を有しており、保護層を有する基材層を風防に貼合する際、皴や保護層の割れなどの外観不良が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2006-512622号公報
特開2009-42647号公報
特開2022-81716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした外観不良を抑制する手法として、貼合工程の100℃以上の高温下で基材層を一定量収縮させながら、曲面に追従させる手法がある。しかしながら、特許文献2、3に開示されるような一般的な保護層を本用途に適用する場合、耐摩耗性を向上させれば、収縮性が不足して貼合時に保護層に割れが生じることがある。逆に収縮性を高めて高品位な貼合を可能とすれば、耐摩耗性が不足し布等で汚れをぬぐったときに容易に傷が入ることがある。すなわち、一般的な保護層を備えるフィルムは収縮性(加工性)と、耐摩耗性や硬度がトレードオフの関係にあり、本用途への適用は難しい。そこで本発明は、当該課題を解決し、輸送用機器の風防の最表面に貼合したときの外観不良の軽減と、耐摩耗性を両立した積層フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、以下の構成からなる。すなわち、基材層の少なくとも一方の表面に保護層を備え、波長400~2000nm、入射角度60°の条件で前記保護層に入射したP波の反射率が、100nm以上にわたり連続して10%以上となる反射帯域(反射帯域A)を少なくとも一つ有し、前記保護層における無機粒子の濃度が10質量%以上60質量%以下であり、前記保護層の最表面の無機粒子占有率が0.1%以上60%以下であることを特徴とする、積層フィルムである。
【0008】
また、本発明の積層フィルムは以下の態様とすることもでき、また、以下の通り構成体、ヘッドアップディスプレイシステム、輸送用機器に用いることもできる。
(1) 基材層の少なくとも一方の表面に保護層を備え、波長400~2000nm、入射角度60°の条件で前記保護層に入射したP波の反射率が、100nm以上にわたり連続して10%以上となる反射帯域(反射帯域A)を少なくとも一つ有し、前記保護層における無機粒子の濃度が10質量%以上60質量%以下であり、前記保護層の最表面の無機粒子占有率が0.1%以上60%以下であることを特徴とする、積層フィルム。
(2) 前記無機粒子の平均粒子径が5nm以上60nm以下である、(1)に記載の積層フィルム。
(3) 前記保護層の算術平均粗さが0.10nm以上0.90nm以下である、(1)または(2)に記載の積層フィルム。
(4) JISR-3255:1997に準拠したマイクロスクラッチ試験法により得られる前記保護層のクラック発生圧力が100GPa以上600GPa以下である、(1)~(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5) 150℃で30分間熱処理をしたときの熱収縮率が1.0%以上3.0%以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6) 入射角度60°で前記保護層に入射した波長400~700nmのP波の平均反射率が10%以上である、(1)~(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7) 波長800~2000nm、入射角度0°の条件で前記保護層に入射した光の反射率が、100nm以上にわたり連続して30%以上となる反射帯域(反射帯域B)を少なくとも一つ有する、(1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(8) 前記基材層の一方の表面に前記保護層を備え、前記保護層と反対側の表面に接着層を備える、(1)~(7)のいずれかに記載の積層フィルム。
(9) 前記接着層の最表層スクラッチ試験によるクラック発生荷重が1.0GPa以上である、(8)に記載の積層フィルム。
(10) 前記接着層の厚みが5μm以上25μm以下である、(8)または(9)に記載の積層フィルム。
(11) ガラスまたは樹脂を主成分とする支持体の少なくとも一方の面に、(8)~(10)のいずれかに記載の積層フィルムを備えてなる構成体。
(12) 影像を投射する影像投射器と、(11)に記載の構成体とを備えた、ヘッドアップディスプレイシステム。
(13) 前記影像投射器から投影される光線において、P波成分の強度が全光線成分の強度の51%以上である、(12)に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
(14) (11)に記載の構成体を備える、輸送用機器。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、当該課題を解決し、輸送用機器の風防の最表面に貼合したときの外観不良の軽減と、耐摩耗性を両立した積層フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の積層フィルムは、基材層の少なくとも一方の表面に保護層を備え、波長400~2000nm、入射角度60°の条件で前記保護層に入射したP波の反射率が、100nm以上にわたり連続して10%以上となる反射帯域(反射帯域A)を少なくとも一つ有し、前記保護層における無機粒子の濃度が10質量%以上60質量%以下であり、前記保護層の最表面の無機粒子占有率が0.1%以上60%以下であることを特徴とする。以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。
(【0011】以降は省略されています)

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