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公開番号2025031387
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023137582
出願日2023-08-25
発明の名称ジアリールエーテル化合物の製造方法およびその方法に使用する装置
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
主分類C07C 41/18 20060101AFI20250228BHJP(有機化学)
要約【課題】環境への負荷を低減できる、ジアリールエーテル化合物の製造方法の提供およびこの方法に用いる装置の提供である。
【解決手段】アリールエノールエーテルのシクロヘキセン環を、酸化剤または酸化触媒を用いて酸化的芳香化することにより、ジアリールエーテル化合物を得る、ジアリールエーテル化合物の製造方法である。また、フェノール類とシクロヘキサノンジアルキルケタールを原料化合物として、酸触媒の存在下、ケタール由来のアルキルアルコールの脱離反応によりアリールエノールエーテルを得る工程と、得られたアリールエノールエーテルのシクロヘキセン環を酸化剤または酸化触媒を用いて酸化的芳香化することにより、ジアリールエーテル化合物を得る工程を備えてもよい。そして、この方法に用いる装置には、アルキルアルコールの脱離反応により脱離したアルコールの吸着材を備えるとよい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(3)で示されるアリールエノールエーテル化合物のシクロヘキセン環を、酸化剤または酸化触媒を用いて酸化的芳香化することにより、下記式(4)で示されるジアリールエーテル化合物を得る、ジアリールエーテル合成工程を備えたジアリールエーテル化合物の製造方法。
TIFF
2025031387000019.tif
22
170
(式中、Arは炭素数6-20のアリール基を示し、芳香環上に置換基を有していてもよい。
Rは炭素数1-10のアルキル基、炭素数1-10のエステル基、炭素数6-20のアリール基から選択される。)
TIFF
2025031387000020.tif
22
170
(式中、Arは式(3)中のアリール基であり、Rは式(3)中のRである。)
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
下記式(1)で示されるフェノール類と下記式(2)で示されるシクロヘキサノンジアルキルケタールを原料化合物として、酸触媒の存在下、シクロヘキサノンジアルキルケタール由来のアルキルアルコールの脱離反応により下記式(3)で示されるアリールエノールエーテル化合物を得る、アリールエノールエーテル合成工程と、
得られたアリールエノールエーテル化合物のシクロヘキセン環を酸化剤または酸化触媒の存在下、酸化的芳香化することにより、下記式(4)で示されるジアリールエーテル化合物を得る、ジアリールエーテル合成工程と
を備えたジアリールエーテル化合物の製造方法。
TIFF
2025031387000021.tif
17
170
(式中、Arは炭素数6-20のアリール基を示し、芳香環上に置換基を有していてもよい。)
TIFF
2025031387000022.tif
30
170
(式中、R

とR

は炭素数1-4のアルキル基であり、R

は炭素数1-10のアルキル基、炭素数1-10のカルボアルコキシ基、炭素数6-20のアリール基から選択される。R

とR

とR

はそれぞれ同じであっても、異なっていても良い。)
TIFF
2025031387000023.tif
22
170
(式中、Arは式(1)中のアリール基であり、Rは式(2)中のR

である。)
TIFF
2025031387000024.tif
22
170
(式中、Arは式(1)中のアリール基であり、Rは式(2)中のR

である。)
【請求項3】
前記酸触媒は、MX

で示される(ここで、Mは周期表の第12-15族の典型金属から選択され、Xは塩素、メチル基、アルコキシ基(OR

)から選択される。また、アルコキシ基のR

は炭素数1-4のアルキル基から選択される。)、少なくとも1種である、請求項2に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【請求項4】
前記アリールエノールエーテル合成工程は、加熱下、有機溶媒の存在下で行う、請求項2または請求項3に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【請求項5】
前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化剤を用いる工程であり、前記酸化剤として2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンを用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【請求項6】
前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化剤を用いる工程であり、前記酸化剤として2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンを用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、請求項4に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【請求項7】
前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化触媒を用いる工程であり、前記酸化触媒として少なくともパラジウムを含む遷移金属触媒を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【請求項8】
前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化触媒を用いる工程であり、前記酸化触媒として少なくともパラジウムを含む遷移金属触媒を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、請求項4に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【請求項9】
前記ジアリールエーテル合成工程は、さらに水素捕捉剤を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、請求項7に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【請求項10】
前記ジアリールエーテル合成工程は、さらに水素捕捉剤を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、請求項8に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアリールエーテル化合物の製造方法に関し、具体的には、アリールエノールエーテル化合物を酸化的芳香化することでジアリールエーテル化合物を製造する方法に関する。特にフェノール類とシクロヘキサノンジアルキルケタールを原料化合物として、触媒の存在下、アリールエノールエーテル化合物を製造する前段反応と、得られたアリールエノールエーテル化合物を、酸化剤または酸化触媒の存在下、酸化的芳香化する後段反応とで構成される段階的合成方法によってジアリールエーテル化合物を製造する方法に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
ジアリールエーテル化合物は、医薬品や農薬、機能性材料の基本骨格に含まれる重要な構造を有する化合物であるため、その効率的な合成法の開発は重要である。その合成法としては、芳香族求核置換反応や、バックワルド・ハートウィッグ(Buchwald-Hartwig)アルコキシ化、ウルマンカップリングのように、芳香族ハロゲン化合物を原料として用いる方法がある。(非特許文献1-2) 。
【0003】
そして、この芳香族求核置換反応は、水素化ナトリウムやフッ化セシウムなどの強塩基存在下で加熱するものであり、またバックワルド・ハートウィッグ(Buchwald-Hartwig)アルコキシ化、ウルマンカップリングは均一系のパラジウム触媒や銅触媒などの遷移金属触媒を必要とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
J. Scott Sawyer, Tetrahedron, 2000, 56, pp.5045-5065.
F. Theil, Angew. Chem. Int. Ed., 1999, 38, pp.2345-2347.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1-2に記載された方法は、環境負荷の大きい芳香族ハロゲン化合物を原料として用いるものであること、また芳香族求核置換反応では水素化ナトリウムやフッ化セシウムなどの強塩基存在下で加熱する必要があり、塩基性に過敏な化合物は適用することができないなどの問題がある。さらに、これらの方法では、均一系のパラジウム触媒や銅触媒などの遷移金属触媒を用いる必要があることから、生成物中の残留金属の処理や環境負荷の問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、環境への負荷を低減できる、ジアリールエーテル化合物の製造方法の提供を目的とする。また、そのような方法が簡便に行えるような、当該方法に使用する装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、アリールエノールエーテル化合物を酸化的芳香化することでジアリールエーテル化合物を製造できること、特に、フェノール類とシクロヘキサノンジアルキルケタールとによりアリールエノールエーテル化合物を合成する前段反応と、得られたアリールエノールエーテル化合物を酸化的芳香化する後段反応との二段階の反応によって、環境への負荷を低減して、ジアリールエーテル化合物を製造できること見いだした。
ジアリールエーテルの一方のアリール基がアルキル基であるアルキルアリールエーテルの合成法として、脂肪族アルコールとシクロヘキサノンを原料化合物とした方法がある(参考文献1:I. Y. El-Deeb, M. Tian, T. Funakoshi, R. Matsubara and M. Hayashi, Eur. J. Org. Chem., 2017, 2017, pp.409-413.)。この方法は、パラジウム炭素触媒存在下、脂肪族アルコールとシクロヘキサノンとにより水分子の脱離を伴いながらアルキルシクロヘキセニルエーテル(アルキルエノールエーテル)を中間体として経て、パラジウム炭素を触媒としてシクロヘキセン環が酸化的芳香化されるものであり、共生成物は水と水素のみである。
【0008】
この参考文献では中間体として、アルキルエノールエーテルを得ており、これを酸化的芳香化することで、アルキルアリールエーテルを得ている。そこで、本発明者らは、アルキル基の部分がアリール基であるアリールエノールエーテル化合物を酸化的芳香化すれば、ジアリールエーテル化合物が合成できると考え、本発明を完成させた。さらに、アリールエノールエーテル化合物は、フェノール類とシクロヘキサノンジアルキルケタールを原料化合物として、触媒の存在下、反応させることにより合成できることを見いだした。具体的には、以下の方法による。
【0009】
(1)下記式(3)で示されるアリールエノールエーテル化合物のシクロヘキセン環を、酸化剤または酸化触媒を用いて酸化的芳香化することにより、下記式(4)で示されるジアリールエーテル化合物を得る、ジアリールエーテル合成工程を備えたジアリールエーテル化合物の製造方法。
TIFF
2025031387000002.tif
22
170
(式中、Arは炭素数6-20のアリール基を示し、芳香環上に置換基を有していてもよい。
Rは炭素数1-10のアルキル基、炭素数1-10のエステル基、炭素数6-20のアリール基から選択される。)
TIFF
2025031387000003.tif
22
170
(式中、Arは式(3)中のアリール基であり、Rは式(3)中のRである。)
(2)下記式(1)で示されるフェノール類と下記式(2)で示されるシクロヘキサノンジアルキルケタールを原料化合物として、酸触媒の存在下、シクロヘキサノンジアルキルケタール由来のアルキルアルコールの脱離反応により下記式(3)で示されるアリールエノールエーテル化合物を得る、アリールエノールエーテル合成工程と、得られたアリールエノールエーテル化合物のシクロヘキセン環を酸化剤または酸化触媒の存在下、酸化的芳香化することにより、下記式(4)で示されるジアリールエーテル化合物を得る、ジアリールエーテル合成工程とを備えたジアリールエーテル化合物の製造方法。
TIFF
2025031387000004.tif
17
170
(式中、Arは炭素数6-20のアリール基を示し、芳香環上に置換基を有していてもよい。)
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2025031387000005.tif
30
170
(式中、R

とR

は炭素数1-4のアルキル基であり、R

は炭素数1-10のアルキル基、炭素数1-10のカルボアルコキシ基、炭素数6-20のアリール基から選択される。R

とR

とR

はそれぞれ同じであっても、異なっていても良い。)
TIFF
2025031387000006.tif
22
170
(式中、Arは式(1)中のアリール基であり、Rは式(2)中のR

である。)
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2025031387000007.tif
22
170
(式中、Arは式(1)中のアリール基であり、Rは式(2)中のR

である。)
(3) 前記酸触媒は、MX

で示される(ここで、Mは周期表の第12-15族の典型金属から選択され、Xは塩素、メチル基、アルコキシ基(OR

)から選択される。また、アルコキシ基のR

は炭素数1-4のアルキル基から選択される。)、少なくとも1種である、前記(2)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(4)前記アリールエノールエーテル合成工程は、加熱下、有機溶媒の存在下で行う、前記(2)または(3)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(5)前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化剤を用いる工程であり、前記酸化剤として2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンを用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、前記(1)から前記(3)のいずれか1つに記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(6)前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化剤を用いる工程であり、前記酸化剤として2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンを用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、前記(4)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(7)前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化触媒を用いる工程であり、前記酸化触媒として少なくともパラジウムを含む遷移金属触媒を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、前記(1)から前記(3)のいずれか1つに記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(8)前記ジアリールエーテル合成工程は、前記酸化触媒を用いる工程であり、前記酸化触媒として少なくともパラジウムを含む遷移金属触媒を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、前記(4)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(9)前記ジアリールエーテル合成工程は、さらに水素捕捉剤を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、前記(7)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(10)前記ジアリールエーテル合成工程は、さらに水素捕捉剤を用いてジアリールエーテル化合物を得る工程である、前記(8)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
【0010】
(11)前記アリールエノールエーテル合成工程とジアリールエーテル合成工程とを一つの反応器を用いて連続して行う、前記(4)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(12)前記アリールエノールエーテル合成工程とジアリールエーテル合成工程とを一つの反応器を用いて連続して行う、前記(6)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(13)前記アリールエノールエーテル合成工程とジアリールエーテル合成工程とを一つの反応器を用いて連続して行う、前記(8)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(14)前記アリールエノールエーテル合成工程とジアリールエーテル合成工程とを一つの反応器を用いて連続して行う、前記(10)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(15)前記アリールエノールエーテル合成工程において、脱離したアルキルアルコールを除去しながらアリールエノールエーテルを得る、前記(4)に記載のジアリールエーテル化合物の製造方法。
(【0011】以降は省略されています)

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