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公開番号2025026280
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2024045773
出願日2024-03-21
発明の名称タンディッシュ及びインゴットの製造方法
出願人株式会社プロテリアル
代理人
主分類B22D 41/02 20060101AFI20250214BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】
タンディッシュ内残湯を効果的に抑制しつつ複数回の使用が可能であり、一軸傾動炉にも対応可能なタンディッシュと該タンディッシュ用いたインゴットの製造方法の提供。
【解決手段】
インゴットを製造するためのタンディッシュであって、前記タンディッシュを鋳造方向から見たとき、前記タンディッシュの中央部に、鋳型へ通ずる出湯口を有し、前記出湯口にむかって10度から30度の傾斜面を有し、前記傾斜面に連続して形成される内壁面を有するタンディッシュである。前記タンディッシュは、一軸傾動炉用であることが好ましい。
【選択図】 図4



特許請求の範囲【請求項1】
インゴットを製造するためのタンディッシュであって、前記タンディッシュを鋳造方向から見たとき、
前記タンディッシュの中央部に、鋳型へ通ずる出湯口を有し、
前記出湯口にむかって10度から30度の傾斜面を有し、
前記傾斜面に連続して形成される内壁面を有することを特徴とするタンディッシュ。
続きを表示(約 370 文字)【請求項2】
前記タンディッシュは、一軸傾動炉用である請求項1に記載のタンディッシュ。
【請求項3】
前記傾斜面の厚さが均一である請求項1または2に記載のタンディッシュ。
【請求項4】
前記出湯口を形成する円柱状の貫通孔において、その直径とストレート部の長さの比率が1:1である請求項1または2に記載のタンディッシュ。
【請求項5】
請求項1または2に記載のタンディッシュを用いたインゴットの製造方法であって、
真空容器内に設置された溶解炉を用いて溶湯を得る溶解工程と、
前記溶湯を鋳造してインゴットを得る鋳造工程を有し、
前記鋳造工程において、溶湯を鋳型に鋳造するときに、前記タンディッシュを用いてインゴットを得ることを特徴とするインゴットの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インゴット鋳造用のタンディッシュ及びインゴットの製造方法に関するものである。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
溶解炉で溶解した溶湯を、鋳型内に鋳造してインゴットを製造するとき、インゴット鋳造用のタンディッシュを用いて、一旦タンディッシュ内で溶湯を受け止めてから、タンディッシュ内に形成された鋳型へ通ずる出湯口を溶湯が通過して鋳型へ溶湯が注がれる。
このインゴットを鋳造する場合に用いられるタンディッシュの代表的な形状としては、例えば、特開昭63-247589号公報(特許文献1)で示される図1や、特開2013-032247号公報(特許文献2)で示される図1のように、平坦な底面に出湯口が形成された構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開昭63-247589号公報
特開2013-032247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンディッシュ内に形成された出湯口を通じて溶湯が鋳型へ注がれるが、鋳造完了後、タンディッシュの内底面に凝固した溶湯(以下、タンディッシュ内残湯と表記)が残る課題がある。タンディッシュ内残湯はインゴットに含まれないため、投入した溶解原料に対するインゴットの重量比率、すなわち原料歩留が低下し、溶解原料のロスが発生する。特にタンディッシュ内底面が平坦な場合、出湯口へ溶湯が流れ切る前に温度低下による溶湯の凝固が始まるため、タンディッシュ内残湯量が増加し、原料歩留が低下する。さらに小型の溶解炉では、一度に投入可能な溶解原料の重量が小さいため、インゴットの重量も必然的に小さくなり、タンディッシュ内残湯に起因する原料歩留の低下が製造コストを上昇させ、許容できないレベルに達する。
また、上述したタンディッシュ内残湯量が増加すると、鋳造完了後の出湯口が凝固した溶湯で閉塞するため、同じタンディッシュを複数回使用することが甚だ困難になる。このようにタンディッシュの使用可能回数が減少すると、タンディッシュの使用数量が増加するため、インゴットの製造コスト上昇を招くだけでなく、使用済みタンディッシュの廃棄量増加による環境負荷の増大にもつながる。
【0005】
また、インゴット鋳造時には溶湯をタンディッシュ内へ注ぐため、溶解炉をタンディッシュ方向へ傾ける必要がある。従って、溶解炉の炉体には、タンディッシュ方向へ傾動させるための傾動軸が存在する。前記傾動軸を備えた溶解炉を傾動炉と呼ぶ。また、炉体に備えた傾動軸が一つである溶解炉を、一軸傾動炉と呼ぶ。
一軸傾動炉の場合、タンディッシュ内への溶湯の注ぎ始めにおいて、炉体からタンディッシュまでの落差が高く、炉体から遠い位置に溶湯が落下する。一方、傾動角度が90°以上になる注ぎ終わりでは、溶湯が炉体から流れ出る速度が低下し、炉体に近い位置に溶湯が落下する。従って、タンディッシュが溶湯をこぼさずに受け止めるためには、注ぎ始めから終わりまでに変化する溶湯の落下位置を全てタンディッシュ内に納める必要がある。
一軸傾動炉のように炉体からタンディッシュまでの落差が高い場合、タンディッシュ内底面や内壁面、およびタンディッシュ内溶湯面で跳ねた溶湯のスプラッシュ(しずく)が、タンディッシュの外へ飛散し、溶解炉内を汚染するおそれがあった。
以上の課題に対して、従来の発明技術では何ら検討がなされていなかった。
本発明の目的は、タンディッシュ内残湯を効果的に抑制しつつ複数回の使用が可能であり、一軸傾動炉にも対応可能なタンディッシュと該タンディッシュを用いたインゴットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものである。
すなわち本発明は、インゴットを製造するためのタンディッシュであって、前記タンディッシュを鋳造方向から見たとき、前記タンディッシュの中央部に、鋳型へ通ずる出湯口を有し、前記出湯口にむかって10度から30度の傾斜面を有し、前記傾斜面に連続して形成される内壁面を有するタンディッシュである。
前記タンディッシュは、一軸傾動炉用であることが好ましい。
更に好ましくは、前記傾斜面の厚さが均一であるか、或いは、前記出湯口を形成する円柱状の貫通孔において、その直径とストレート部の長さの比率が1:1であるタンディッシュである。
【0007】
また、本発明は、前期タンディッシュを用いたインゴットの製造方法であって、
真空容器内に設置された溶解炉を用いて溶湯を得る溶解工程と、前記溶湯を鋳造してインゴットを得る鋳造工程とを有し、前記鋳造工程において、溶湯を鋳型に鋳造するときに、前記タンディッシュを用いてインゴットを得るインゴットの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タンディッシュ内残湯を効果的に抑制しつつ複数回の使用が可能で、一軸傾動炉にも対応可能なタンディッシュとすることができる。特に、タンディッシュ内残湯に起因する原料歩留の低下を回避できるため、高価な原料を用いたインゴットの製造には特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
鋳造方向から見たタンディッシュの一例を示す模式図である。
タンディッシュの一例を示す部分断面模式図である。
底面外側から見たタンディッシュの一例を示す模式図である。
複数回使用した後のタンディッシュの外観写真である。
フィルターを設けたタンディッシュの一例を示す部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、本発明のインゴットを製造するためのタンディッシュについて、図面を用いて説明する。
図1に示すのはタンディッシュ21を鋳造方向から見たときの模式図である。タンディッシュ21は、その内底面の中央部に出湯口1を有している。そして、図2はタンディッシュの部分断面部である。図2に示すように、出湯口1にむかって10度から30度の傾斜面2を有している。傾斜面2を設けているのは、例えば、一軸傾動炉用の溶解炉で得られる溶湯は、傾斜面上の出湯口までの同一経路へ常に注がれないため、長い傾斜面を移動した溶湯はタンディッシュ側に熱を奪われ、溶湯が凝固してタンディッシュ内残湯となる。つまり、タンディッシュ内底面のどの位置に溶湯が落下しても、出湯口1にむかって溶湯を速やかに流すことを可能として、溶湯は出湯口1を通じて鋳型内(図示しない)へ鋳造するためである。
傾斜面2の角度が10度未満であると、タンディッシュ内底面上を流れる溶湯の速度が低下するため、温度低下による凝固が進み、タンディッシュ内残湯が多くなる。また、傾斜面2の角度が30度を超えると、注ぎ始めから終わりまでに変化する溶湯の落下位置を全てタンディッシュ内に納めようとすると、傾斜面を長く設ける必要が生じる。そのため、傾斜面2の角度を10度から30度とする。好ましい傾斜面2の角度の下限は15度であり、好ましい傾斜面2の角度の上限は25度である。
(【0011】以降は省略されています)

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