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公開番号2025025286
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2023129926
出願日2023-08-09
発明の名称画像形成方法及びトナー
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類G03G 9/087 20060101AFI20250214BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】ポリエチレンテレフタラートフィルムへの画像形成方法であって、ポリエチレンテレフタラートフィルムへの密着性に優れる画像を得ることができる画像形成方法を提供する。
【解決手段】結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂Cと非晶性複合樹脂Aを含むトナーにより、ポリエチレンテレフタラートフィルムに画像を形成する方法であって、結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、非晶性複合樹脂Aがポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数10以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む、画像形成方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂Cと非晶性複合樹脂Aを含むトナーにより、ポリエチレンテレフタラートフィルムに画像を形成する方法であって、
結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
非晶性複合樹脂Aが、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数10以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む、
画像形成方法。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
非晶性複合樹脂A中のポリエステル樹脂セグメントが、ビスフェノールAのポリオキシプロピレン付加物を80モル%以上含むアルコール成分と、カルボン酸成分との重縮合物である、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
非晶性複合樹脂A中のポリエステル樹脂セグメントが、ビスフェノールAのポリオキシプロピレン付加物を80モル%以上含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
脂肪族ジカルボン酸がセバシン酸を含み、脂肪族ジカルボン酸中のセバシン酸の含有量が40モル%以上である、請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
非晶性複合樹脂A中の付加重合樹脂セグメントの含有量が、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントの合計量に対して、5質量%以上30質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数12以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物である、請求項1~4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
結着樹脂中、非晶性複合樹脂Aに対する結晶性ポリエステル樹脂Cの質量比(結晶性ポリエステル樹脂C/非晶性複合樹脂A)が、3/97以上45/55以下である、請求項1~5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂Cと非晶性複合樹脂Aを含み、ポリエチレンテレフタラートフィルムに画像を形成するためのトナーであって、
結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
非晶性複合樹脂Aが、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数10以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む、
トナー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及びトナーに関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
印刷メディアの多様化により、紙以外の印刷メディアへの電子写真印刷が求められ始めている。ポリエチレンテレフタラートフィルム(以下、PETフィルムとも称する。)は、耐熱性や耐寒性、香気保存性に優れるため、冷凍食品やレトルト食品などのパッケージ用フィルムとして需要の高いフィルムである。一方、PETフィルムは、紙と比べて基材表面が平滑であるため電子写真用トナーを印刷して形成される塗膜(画像)との間にアンカー効果が働きにくい。さらにPETフィルムは、紙と比べて基材の表面張力が低いために画像が基材に対し濡れにくい。その結果、PETフィルムに対し画像の密着性が低く、剥がれやすいという問題がある。
特許文献1には、PETフィルム及びPPフィルムに対する密着性に優れ、保存安定性に優れる印字フィルムが得られるトナーを提供すること等を目的として、重合体(A)とポリエステル樹脂(B)とを含み、前記重合体(A)は、特定の構造単位を含む重合体(a)の不飽和カルボン酸及びその無水物の少なくとも一方による変性体である樹脂組成物を含むトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-161177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食品パッケージでは、デザインや成分表示の剥離を抑制する観点から、印刷用フィルムに対して、画像を強固に密着させる必要がある。しかしながら、従来のトナーを用いた画像形成方法により形成される画像は、印刷用フィルムとしてのポリエチレンテレフタラートフィルムに対する密着性が十分とはいえない。
本発明は、ポリエチレンテレフタラートフィルムへの画像形成方法であって、ポリエチレンテレフタラートフィルムへの密着性に優れる画像を得ることができる画像形成方法を提供することに関する。また、本発明は、ポリエチレンテレフタラートフィルムへの密着性に優れる画像を得ることができるトナーを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、エチレングリコールを特定量以上含むアルコール成分と、特定の炭素数の脂肪族ジカルボン酸を特定量以上含むカルボン酸成分との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂セグメント、及び特定の炭素数の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性複合樹脂とを組み合わせて含むトナーにより、ポリエチレンテレフタラートフィルムに形成される画像が、ポリエチレンテレフタラートフィルムに対する密着性に優れることを見出した。
本発明は、以下の〔1〕及び〔2〕に関する。
〔1〕結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂Cと非晶性複合樹脂Aを含むトナーにより、ポリエチレンテレフタラートフィルムに画像を形成する方法であって、
結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
非晶性複合樹脂Aが、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数10以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む、
画像形成方法。
〔2〕結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂Cと非晶性複合樹脂Aを含み、ポリエチレンテレフタラートフィルムに画像を形成するためのトナーであって、
結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
非晶性複合樹脂Aが、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数10以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む、
トナー。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポリエチレンテレフタラートフィルムへの画像形成方法であって、ポリエチレンテレフタラートフィルムへの密着性に優れる画像を得ることができる画像形成方法が提供される。また、本発明によれば、ポリエチレンテレフタラートフィルムへの密着性に優れる画像を得ることができるトナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、実施例において、密着性評価に用いた試験片の端面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、結着樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂Cと非晶性複合樹脂Aを含むトナーにより、ポリエチレンテレフタラートフィルムに画像を形成する方法であって、結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物であり、非晶性複合樹脂Aがポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数10以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む。
なお、以下の説明において、「結晶性ポリエステル樹脂C」を単に「樹脂C」、「非晶性複合樹脂A」を単に「樹脂A」、と称することもある。また、本発明の画像形成方法で使用されるトナーを、単に「トナー」と称することもある。
【0009】
本発明の画像形成方法により、PETフィルムに高い密着性を有する画像を形成することができる詳細なメカニズムは定かではないが、次のように考えられる。
本発明では、エチレングリコールを90モル%以上含むアルコール成分と、炭素数10以上16以下の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むカルボン酸成分との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂Cと、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数10以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性複合樹脂Aとを組み合わせて含むトナーを用いる。非晶性複合樹脂A中の特定の炭素数の炭化水素基が、結晶性ポリエステル樹脂C中の特定の炭素数の脂肪族鎖に親和性を有するため、トナー中、非晶性複合樹脂Aに結晶性ポリエステル樹脂Cを微分散させやすくするとともに、結晶性ポリエステルドメインの結晶化を促進すると考えられる。そして、トナーをPETフィルム上へ加熱定着する際に、結晶性ポリエステル樹脂Cと非晶性複合樹脂Aは相溶化した状態で定着するものの、定着後、トナーの温度低下により直ちに結晶性ポリエステル樹脂Cの微分散再結晶化が起こることで、PET成分であるエチレングリコールとの親和性の大きい結晶性ポリエステル樹脂Cを介して、トナーがPETフィルム上に定着することで、PETフィルムに高い密着性を有する画像が形成されると考えられる。
なお、本発明の効果に関する上記のメカニズムは推定であり、これに限定されるものではない。
【0010】
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
明細書中、ポリエステル系樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解してカルボン酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
炭化水素基に関して、「(イソ)」を括弧とする記載は、これらの接頭辞が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在しない場合には、ノルマルを示す。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「スチレン系化合物」とは、無置換又は置換スチレンを意味する。
なお、本発明の画像形成方法で使用されるトナーが含有する成分(各必須成分)及び含有し得る成分(各任意成分)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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