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公開番号2025022187
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-14
出願番号2023126533
出願日2023-08-02
発明の名称低温液体運搬船
出願人株式会社名村造船所
代理人弁理士法人西浦特許事務所
主分類B63B 25/16 20060101AFI20250206BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約【課題】タンク内に液化アンモニアまたは液化アンモニアと同等の冷却温度で液化する物質の低温液体が収容される低温液体運搬船を、船体と一体型のタンク方式の構成を採用することで、LPG船やLNG船に比べて建造の手間が少なく、しかも経済性を向上させることができる低温液体運搬船を提供する。
【解決手段】タンク3を内殻12と上甲板14の内側に、主として平板状の低温用鋼板を用いて構築された複数の隔壁によって構成された1以上のタンク構造物31により構成する。タンク構造物31を防熱材7によって覆う。内殻12及び上甲板14とタンク構造物31とを連結する連結構造物4を、ステンレス鋼板を用いて構成する。タンクに対して1以上のタンク構造物内で発生したガスを液化する再液化装置8を1台以上設ける。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
外殻と内殻を有する二重船殻と、上甲板と、前記二重船殻及び前記上甲板の内側に配置されたタンクとを具備し、前記タンク内に液化アンモニアまたは液化アンモニアと同等の冷却温度で液化する物質の低温液体が収容される低温液体運搬船であって、
前記タンクは前記内殻と前記上甲板の内側に、主として平板状の低温用鋼板を用いて構築された複数の隔壁によって構成された1以上のタンク構造物からなり、
前記タンク構造物は防熱材によって覆われており、
前記内殻及び前記上甲板と前記タンク構造物とを連結する連結構造物は、ステンレス鋼板を用いて構成されており、
前記タンクに対して該タンク構造物内で発生したガスを液化する再液化装置が1台以上設けられていることを特徴とする低温液体運搬船。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記タンク構造物は、上下方向に間隔をあけて配置された上隔壁及び前記上隔壁と対向する下隔壁と、船長方向に間隔をあけて配置される一対の船幅方向隔壁と、前記船長方向と直交する船幅方向に間隔をあけて配置される一対の船長方向隔壁を備えている請求項1に記載の低温液体運搬船。
【請求項3】
前記タンク構造物は、上下方向に間隔をあけて配置された上隔壁及び前記上隔壁よりも船長方向と直交する船幅方向の長さが短い下隔壁と、前記船長方向に間隔をあけて配置される一対の船幅方向隔壁と、前記船長方向と直交する船幅方向に間隔をあけて配置される一対の船長方向隔壁を備えており、
前記一対の船長方向隔壁が、上下方向に延びる第1の隔壁部分と該第1の隔壁部分と前記下隔壁とを連結するために傾斜する第2の隔壁部分とを備えている請求項1に記載の低温液体運搬船。
【請求項4】
前記上隔壁、前記下隔壁、前記一対の船幅方向隔壁及び前記一対の船長方向隔壁は、それぞれE級鋼で形成されている請求項2または3に記載の低温液体運搬船。
【請求項5】
前記連結構造物は、前記上隔壁と前記上甲板を連結する船幅方向に延びる板状部分と、前記下隔壁と前記内殻とを連結する船幅方向に延びる板状部分と、前記一対の船長方向隔壁と前記内殻とを連結する上下方向に延びる一対の板状部分とを有して、前記船長方向から見て前記タンクの周囲を囲むように構成され、前記船長方向に間隔をあけて配置される複数のトランスと、
前記船長方向に延びて前記上隔壁と前記上甲板を連結する1以上の第1のガーダーと、前記船長方向に延びて前記下隔壁と前記内殻とを連結する1以上の第2のガーダーと、前記船長方向に延びて前記一対の船長方向隔壁と前記内殻とを連結する一対の1以上の第3のガーダーとを備え、
前記1以上の第1のガーダーと、前記1以上の第2のガーダーと、前記一対の1以上の第3のガーダーが、前記船長方向から見て前記タンクの周方向に間隔をあけて配置され且つ前記複数のトランスと直交する構造を有している請求項1に記載の低温液体運搬船。
【請求項6】
前記複数のトランス及び前記第1乃至第3のガーダーの少なくとも一部には、作業員が通る交通用貫通孔が形成されている請求項5に記載の低温液体運搬船。
【請求項7】
前記タンク構造物内の中央部には、少なくとも前記上隔壁及び前記下隔壁に連結されて船長方向に延び、前記タンク内を仕切る補強用隔壁が設けられている請求項1に記載の低温液体運搬船。
【請求項8】
前記タンク構造物の少なくとも前記上隔壁及び前記下隔壁と、前記一対の船長方向隔壁及び前記一対の船幅方向隔壁の外面部には、それぞれ前記船長方向に延びる複数の防撓材及び/または前記船幅方向及び垂直方向に延びる複数の防撓材が溶接されている請求項2に記載の低温液体運搬船。
【請求項9】
前記1以上のタンク構造物は前記船長方向に間隔をあけて並ぶ複数のタンク構造物からなり、
隣り合う2つの前記タンク構造物の間の空間は、作業者が入ることができる寸法を有している請求項1に記載の低温液体運搬船。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内に液化アンモニアまたは液化アンモニアと同等の冷却温度で液化する物質の低温液体が収容される低温液体運搬船及びその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
液化ガス運搬船(低温液体運搬船)は、常温では気体のLNGなどを、液化して運搬する船であり、大きな圧力をかけて常温下で液状にするか比較的高圧で極低温保冷を併用して液状にして運ぶ船(タイプC独立タンク船)と極低温に冷やして保冷して常圧下で液状にして運ぶ船(タイプA・B独立タンク船、メンブレン船、一体型タンク船)などがある。タイプCの独立タンク船のタンクは、高圧タンク(圧力容器)であり、大型化するとタンクのシェル(外皮、或いは外殻)が極端に厚くなって経済的に成り立たないために、小型のタンクが主体になっている。経済的に大型化して大量に運ぶためには、極低温で保冷して常圧下で液化するタイプが適当である。この場合の液化に要する温度は、LNGが-163℃、LPGが-50℃、アンモニアが-30℃などである。
【0003】
そこで以前から液化石油ガス(LPG)を搬送するLPG船をアンモニア兼用とすることが行われてきた。これはLPG船(独立タンク方式)は-50℃のLPGを輸送するため、-30℃の液化アンモニアを輸送するために兼用することが比較的容易なためである。
【0004】
実公昭46-10354号公報(特許文献1)には、低温液化ガス(LNG)運搬船において、摺動支持と断熱の二つの機能を持つ摺動支持材を用いてタンクを船体で支持する構造が開示されている。この摺動支持材は、タンクと船体を固着するのではなく、タンクが内部の低温液体によって熱収縮するときに、縮むタンクと縮まない船体の間に挟まれて摺動を許容する。言い換えれば、船体はタンクから引っ張られることなく、即ち、船体にはタンクの収縮による応力が発生しない。断熱材は、熱伝導率が極めて低い(鋼の100分の1以下)素材であって、熱流入を抑えて、タンク内の液化ガスの昇温によるガス化を抑制し、液状での輸送を可能にする。この構造が現行のLPG船に共通の、独立タンク方式の要件であって、タンクと船体を固着せずに摺動支持材であり且つ断熱材である支持材を挟むことが共通且つ必須事項になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
実公昭46-10354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、現状では、液化アンモニアを大量(液化状態で数万m
3
以上)に輸送する船舶としては、LPG運搬船をアンモニア兼用船として運用するのが主流である。しかし液化アンモニアの温度は-30℃であり、LNG(-163℃)やLPG(-50℃)よりも高温で、周囲の構造に及ぼす熱応力などの影響が比較的軽微である。そのためLNG運搬船やLPG運搬船のように摺動支持材を用いるために建造に多大な手間が掛かる高額な船舶を利用するよりも、より高い温度に応じた、より簡易な構造で安価な船舶を利用する方が経済的であるという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、タンク内に液化アンモニアまたは液化アンモニアと同等の冷却温度で液化する物質の低温液体が収容される低温液体運搬船を、船体と一体型のタンク方式の構成を採用することで、LPG船やLNG船に比べて建造の手間が少なく、しかも経済性を向上させることができる低温液体運搬船及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外殻と内殻を有する二重船殻と、上甲板と、二重船殻及び上甲板の内側に配置されたタンクとを具備し、タンク内に液化アンモニアまたは液化アンモニアと同等の冷却温度で液化する物質の低温液体が収容される低温液体運搬船を対象とする。本発明においては、タンクを内殻と上甲板の内側に、主として平板状の低温用鋼板を用いて構築された複数の隔壁によって構成された1以上のタンク構造物により構成する。1以上のタンク構造物を防熱材によって覆う。内殻及び上甲板とタンク構造物とを連結する連結構造物を、ステンレス鋼板を用いて構成する。そしてタンクに対して該1以上のタンク構造物内で発生したガスを液化する再液化装置を1台以上設ける。
【0009】
本発明のように、タンクを内殻と上甲板の内側に、主として平板状の低温用鋼板を用いて構築された複数の隔壁によって構成するタンク構造物にすると、船体の製造過程において、二重船殻と上甲板の製造と一緒にタンク構造物を製造できるので、船体及びタンクの製造が容易でしかも、構成が平板主体の極めて単純な構造となるため、建造の手間が大きく削減される。その結果、船体及びタンクの価格を下げることができるだけでなく、船体及びタンクを短い期間で製造することができる。LPG船の場合は、直接的な熱侵入経路がタンク支持材である断熱性樹脂のみであり、極低温を維持できる。しかしながら本発明のように、二重船殻と上甲板とタンク構造物とを連結構造物を介して連結した場合は、タンクと船体が金属の連結構造物によって直接繋がることになる。そのため外界からの熱流入が大きくなる問題が生じる。しかし本発明においては、タンク構造物を防熱材によって覆った上で、内殻及び上甲板とタンク構造物とをつなぐ連結構造物の主要部または全部に、熱伝導率の低いステンレス鋼板を用いることで侵入熱を抑制している。このように構成した一体型タンク船に対する熱伝導解析を実施した結果、高温の条件下の航海でも、再液化装置を併用することで、熱バランスが保たれる(液化アンモニアを液状のまま運搬できる)ことを確認した。また試設計した船体に対する応力解析でも、発生する熱応力に対する構造強度が十分であることを確認した。
【0010】
その結果、本発明によれば、タンク内に液化アンモニアまたは液化アンモニアと同等の冷却温度で液化する物質の低温液体が収容される低温液体運搬船を、船体と一体型のタンク方式の構成を採用することで、LPG船やLNG船に比べて建造の手間が少なく、しかも経済性を向上させることができる低温液体運搬船を提供することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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