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公開番号2025015363
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023128158
出願日2023-07-19
発明の名称振動式歯周組織マッサージャー
出願人個人
代理人
主分類A61H 13/00 20060101AFI20250123BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本願発明は、与えられた振動刺激の動脈系での作用とリンパ管系での作用の、相対的な大きさの割合を調節可能とし、簡単な機構と小さなパワーで振動刺激を生じさせて不要な振動や騒音を少なくし、唾液に満ちた狭小な口腔内環境に装置を適用して、複数の歯間乳頭部を閉口状態で同時にマッサージすることを目的とする、歯周組織マッサージャーの開発を課題とするものである。
【解決手段】本願発明では、振動モーターを用いる歯周組織マッサージャーの振動モーター制御回路に可変抵抗器を備え、該可変抵抗器が振動モーターの定格出力から振動モーターが停止に至るまでの範囲に於いて無段階的な調節が可能であるものとし、振動モーター以外の運動変換機構あるいは運動伝達機構を用いず、防水性を有した振動モーターを口腔内に入れて、振動モーターの振動を口腔粘膜に伝導することを手段とするものである。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
バッテリーと電源スイッチと操作部を備えた可変抵抗器で成る振動モーター制御回路と振動モーターで構成される電気装置と、電気装置を設置する樹脂製構造体を主要構成要素として、電気装置を樹脂製構造体に設置して成るマッサージ装置の、樹脂製構造体がヘッド部とヘッド部に接続する細縦長の形状をしたネック部とネック部に接続するハンドル部で成り、ハンドル部内に振動モーター制御回路を収容して設置し、縦長円柱形の形状をして防水性を有する振動モーターを、振動モーターの長軸方向とネック部の長軸方向とを平行に、ネック部に接続しているヘッド部に設置して、振動モーターと振動モーター制御回路をネック部に埋設したリード線で接続することにより、一体型の樹脂製構造体に該電気装置を設置した振動式マッサージ装置に於いて、振動モーター制御回路の構成要素である操作部を備えた該可変抵抗器は、振動モーターの定格出力から停止に至るまでの範囲に於いて無段階的な調節が可能なものであることを特徴とする、振動式歯周組織マッサージャー。
続きを表示(約 280 文字)【請求項2】
バッテリーと電源スイッチと操作部を備えた可変抵抗器で成る振動モーター制御回路と、防水性を備えたリード線と、1個以上の振動モーターで成る電気装置と、樹脂製構造体を主要構成要素として、振動モーター制御回路を樹脂製構造体内に収容設置し、1個以上の振動モーターを防水性を備えたリード線で振動モーター制御回路と並列に接続した振動式マッサージ装置に於いて、振動モーター制御回路の構成要素である操作部を備えた該可変抵抗器は、振動モーターの定格出力から停止に至るまでの範囲に於いて無段階的な調節が可能なものであることを特徴とする、振動式歯周組織マッサージャー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は振動刺激を用いる歯周組織のマッサージ装置に関する。
続きを表示(約 5,900 文字)【背景技術】
【0002】
歯周病は嫌気性菌による口腔粘膜の歯槽骨吸収を伴う感染症であることから、生体内と外界との境界部であり細菌の侵入部位である歯牙の歯頚部から細菌を取り除くことが原因療法となり、プラークの除去が歯周病の最も基本的な治療方法であったが、歯ブラシを用いた歯周病の治療に於いて、プラークの除去よりも歯茎のマッサージの方がより臨床効果が高いとの報告がなされていた(非特許文献1、2参照)。
しかしながら、歯茎のマッサージによって歯周病が改善されるメカニズムは、ブラッシングによる結果が生じた後の歯周組織の細胞像が示されているものの、そこに至る機能的なメカニズムは解明されていなかった。
【0003】
一般的には、マッサージの作用は末梢の血行を促進することにあると単純に考えられているが、マッサージ作用が生じるには微小循環系を構成している3種類の脈管系の機能が共に関与していると考えられ、必ずしも血行促進作用だけではないと考えられる。
例えば、超音波マッサージの場合では、超音波が表皮下で吸収される際に、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて表皮下組織が加温される作用があり、赤外線照射の場合でも、赤外線の透過作用を有した熱線放射による表皮下組織の加温作用であり、高周波によるマッサージも、高周波が組織の深部にまで到達する性質を利用して、筋肉等の組織深部でジュール熱を発生させ、深部組織を加温する作用である。
従って、上記のマッサージによる作用の本質は温熱作用であり、組織の温度が上がることでQ10効果による組織代謝の促進があるが、温熱作用によって動脈の径が広がり、それによって灌流圧が増大して組織への血流量が増えることで静脈血流の促進が生じさらなる代謝の促進が可能となるものであり、血流量の増大による組織液の増大と温度上昇もまた、リンパ管の蠕動運動の促進を生じさせることから、温熱作用を生じさせるマッサージ操作の主たるターゲット部位は動脈系である。
【0004】
これに対し、低周波による筋肉のマッサージでは、低周波電流の筋肉に対する電気刺激作用を利用して筋肉に弛緩収縮を起こさせ、周囲に間欠的な圧迫を生じさせることで静脈弁を有する静脈に作用して、強力なポンピング作用と搾乳作用を生じさせるものである。これによって静脈血流が増え、筋肉を通過する血液の灌流量が増加することから、動脈血流も受動的に増える。
さらに、筋代謝の上昇と動脈血流量の増加による筋温の上昇と筋肉の動きは共にリンパ管の蠕動運動を誘発、あるいは促進する作用を有していて、これらが総合されて組織の微小循環機能や代謝が改善され、疲労の回復や爽快感を得ることができると考えられることから、血流促進作用を生じさせるマッサージ操作の主たるターゲット部位は静脈系である。
【0005】
空気圧式リンパマッサージャー(非特許文献3参照)では、エアーバッグで血行を阻害しない程度に組織に間欠的圧力刺激を加えることで、弁を有している静脈とリンパ管にポンピング作用が生じる他、組織圧が高くなることによって組織液の静脈とリンパ管への取り込みが促進され、組織液の排出が促進される作用が生じるものであり、組織液の排出促進作用を生じさせるマッサージ操作の主たるターゲット部位は静脈系およびリンパ管系である。
【0006】
微小循環系は複雑な相互作用を有していて、マッサージ操作による作用は被マッサージ部に在る動脈系や静脈系、リンパ管系のすべてに影響が及ぶことから、マッサージ操作のターゲット部位を単純に分けることはできないが、マッサージには動脈系が主として機能するマッサージ方法と、静脈系が主として機能するマッサージ方法と、リンパ系が主として機能するマッサージ方法の3種類があると考えることができる。
【0007】
一方、プラークの除去よりも歯茎のマッサージをより重視した前記歯磨きの方法では、他の歯磨き方法と比べて歯間乳頭部の歯茎に間欠的圧力刺激が加わることが特徴と考えられるが、生体には僅かな圧力変動で静脈血やリンパ液を中枢側に送出する還流支援機構が備わっていることから、該歯磨きの方法でも同様な機構が働いて、静脈血流やリンパ輸送が促進されることが臨床効果の高い原因であると考えることが可能である。
細胞外液である体液は、血液、組織液、リンパ液に分けられるが、心臓のポンプ作用は血液を駆出する能力は高いが、静脈血を還流させる能力は高くなく、リンパ液を還流させる能力はない。そこで生体には、静脈血やリンパ液を心臓の力を借りずに心臓に還流させる仕組みが備わっている。
それは、静脈やリンパ管に備わっている弁の、逆流を防止して静脈血やリンパ液を中枢側へしか流さない整流作用と、血液やリンパ液は圧力の高い所から圧力の低い所へ流れる自然原則の下で、周囲の圧力変動を利用して静脈血やリンパ液の心臓への還流を促進する仕組みである。
寄り添って走る伴行動静脈に於ける動脈の脈動が、接している静脈の静脈血の還流を促進することや、呼吸運動に伴う胸腔や腹腔の体腔内圧の変動までも、その仕組みの中で機能しているが、特に脚の筋肉に挟まれた脈管系ではこの働きが大きく、脚の筋肉運動がポンプのように働いて静脈血やリンパ液の還流を促進していることは、一般的に筋ポンプ作用として良く知られている(非特許文献4参照)。
これを、歯ブラシを用いた歯茎のマッサージに適応して考えると、歯茎に加えられた圧力によって静脈が圧迫され、扁平になることによって静脈の内圧が高くなるが、末梢への逆流は末梢側の静脈弁によって阻止される。しかし中枢側は、中枢側に在る静脈弁が中枢側に開いて、加圧された静脈の中の静脈血が圧力の低い中枢側へ送出される。
その後、脈管に加わる圧力が除かれると、静脈血を送出して扁平となった脈管が脈管の弾力性によって元の形状に戻る動きが生じるが、その際に脈管の中では陰圧が発生し、空となっている脈管内に末梢からの静脈血が引き込まれて、再び脈管内を静脈血によって満たす動きが生じてくる。
その時の中枢側の静脈弁は閉じていて、送り出した静脈血の末梢側への逆流は阻止されるが、末梢側の静脈弁は開いていて、末梢側からの静脈血の流入を許して脈管内に静脈血が溜まり、次ぎにくる圧力刺激で再び満たされた静脈血が中枢側へ送り出される。
ポンピング作用による末梢循環の促進は、これを効率的に繰り返すことであるが、それを可能とするためには、再び加圧する前に脈管内が静脈血で再び満たされている必要があり、送出後の脈管内に末梢からの静脈血が流入して脈管内を再び満たすまで待つ必要がある。そのため、再び加圧するまでの時間(再充満時間)を十分にとることが必要で、それが間欠的圧力刺激によって効率的なポンピング作用を生じさせる重要な条件である。
しかし、もし、脈管内が静脈血で十分に満たされないまま早い頻度で次の間欠的圧力刺激がきて、それが繰り返されるようなマッサージのやり方では、送出すべき静脈血が脈管の中に十分に溜まらないまま次の圧力刺激が繰り返されることになる。
これによって、一回当たりの静脈血の送出量が漸減しながら、ついには有効な静脈血の送出が起きない事態となり、実質的には静脈を閉塞するに等しくなる。
その様な現象は、心拍数が多いにもかかわらず有効心拍出量が激減して、重篤な事態に至る心室細動や心房細動のメカニズムと似ているが、一方で、ブラッシングに於ける間欠的圧力刺激の適当な頻度については定量的なデータが得られていなかった。
そこで、人体内で生理的に生じている周期的圧力変動で一番大きな頻度と思われる最高心拍数の約200回/分程を準用して、約200回/分以下の頻度の間欠的圧力刺激であれば、すでに生体内で生理的に機能している頻度であり、弁を有した末梢静脈が必要とする再充満時間の確保に十分可能な頻度であると推測することができる。
そうすると、マッサージ作用が大きいとされる手を用いて歯ブラシを操作する該歯磨きの方法では、その頻度が上記の範囲を逸脱することがないと考えられる。
しかしながら、ポンピング作用が生じるには被加圧部での静脈弁の存在が必要であり、歯周組織では上下顎共に齦頬移行部でしか多数の静脈弁が認められないことから(非特許文献5参照)、歯間乳頭部の歯茎に限局した間欠的圧力刺激では血流を促進するポンピング作用は生じないと考えられ、歯間乳頭部の歯茎に限局した間欠的圧力刺激による臨床効果の高さは、動脈や静脈が主としてかかわる血流促進以外の要因によると考えることができる。
【0008】
歯周組織の歯間乳頭部には上皮の直下に豊富な毛細血管網が存在していて、リンパ管にも富んでいる特徴がある。
リンパ管は、僅かな圧力変動、僅かな張力、僅かな振動などによって、蠕動運動が停止している場合には蠕動運動が誘発され、蠕動運動が生じている場合には蠕動運動が促進される性質を有していることから(非特許文献6参照)、ブラシングによる歯茎に対する間欠的圧力刺激はリンパ管の蠕動運動を促進すると考えられる。
そして、炎症によって組織間隙に滲出した血球や細菌、あるいはそれらの残骸などの顆粒状成分や、蛋白質等の分子量の大きな物質は毛細血管を透過することができないことから(非特許文献6参照)、それらの歯周組織からの排除は、それらを透過するリンパ管からでしかできず、ブラッシングによって生じる炎症症状の改善効果は、リンパ管系の関与を抜きにしては考えることのできない現象である。
血液やリンパ液、組織液は、体液の内の細胞外液であり、血液中の水分、ガス、電解質、その他の溶質、分子量の小さい少量の蛋白質などは、毛細血管壁を通過して組織間隙に至り細胞代謝の影響を受けた後、大部分は再び血管内に戻るが、少量の蛋白質など分子量の大きな物質を含んだ組織液はリンパ管へ移行してリンパ流を形成し、リンパ液が静脈角に注ぐことで、すべての拍出された血液が心臓に還流している。
そして、リンパ流の主な推進力はリンパ管壁の能動的な収縮にあるとされるが、筋収縮、動脈拍動、組織のマッサージ、呼吸運動等の、外部の力による受動的な圧力変動もまた、リンパ流の促進とリンパ液の還流に大きく作用している(非特許文献6参照)。
従って、歯ブラシによる間欠的圧力刺激には、リンパ管のアンカーリングフィラメントを緊張させて組織液をリンパ管に吸引し、リンパ管の蠕動運動を誘発あるいは促進してリンパ流を促進し、リンパ輸送を増大させる作用があると考えられ、リンパ管でしか輸送できない細菌や白血球、また、それらの死骸、毒素、組織融解を引き起こす各種酵素、細胞浸潤を引き起こす遊走因子、血管透過性亢進因子、血液凝固因子等、炎症によって連鎖的に生じた複雑な免疫関連物質や炎症性物質を、リンパ管を通して歯周組織から排出して、歯周組織が浄化されることによって炎症の負の連鎖反応が止められ、それによって血管の透過性の亢進が抑制されると共に分子量の大きな物質が排出されて組織液の膠質浸透圧が下がることから、Starlingの仮説(非特許文献6参照)によって組織液の静脈側毛細血管への流入量が増えて静脈血流量が増え、それによってヘマトクリット値が低下し血漿の粘性が低下することで静脈血が流れ易くなることから動脈の血流量も受動的に増えると考えられる。
これによって歯周組織への酸素供給量が増大し、歯周組織内の嫌気的環境が改善されて嫌気性菌が抑制され、歯周組織の代謝の正常化と亢進がなされることでコラーゲンの合成能と線維芽細胞の増殖能力が高まる他、付着上皮細胞のターンオーバーも正常化すること等で歯周組織の修復能力と防御能力を回復し、歯周病の治癒機転が進行すると考えられる。
以上のことから、口腔粘膜の炎症症状が該方法による歯茎のブラッシングによって改善され高い臨床効果が得られるのは、間欠的圧力刺激によって組織液のリンパ管への流入と、リンパ管の蠕動運動が誘発、促進されてリンパ流が促進されることにより、リンパ輸送が増大する作用の結果であると考えることができる。
従って、歯周病に罹患している場合には、主としてリンパ管系を機能させるマッサージが適していると考えられる。
【0009】
これに対して、明らかに歯周病に罹患していない健康な歯周組織では、組織液の量や組成等に異常がなく、微小循環系の機能にも異常がないために、組織液の排出ではなく歯周組織の各細胞に十分な栄養と酸素を届けて代謝の亢進を図ることが、各細胞を活性化して組織の健全性を保ち、歯周組織内環境を好気的に維持して嫌気性菌の抑制につながることから、動脈系を機能させるマッサージが歯周病予防に於いて効果的であると考えられる。
【0010】
しかしながら、動脈血流の増大による組織血流量の増大は、動脈側毛細血管からの血漿の濾過量が血流量に比例して生理的に増えることから、炎症等によって血管の透過性が亢進している場合には、組織液が過剰に増えて浮腫を生じる危険性があり、しかも浮腫は毛細血管からの酸素の拡散移動距離を拡大させることから、歯周組織に酸素供給不足を招来して嫌気的環境となり、炎症を悪化させる要因となる。
一方、体内と体外の移行部である歯牙歯頚部の歯肉内縁付着上皮は、常に細菌の侵入に曝されていることから、一般的には自覚されないまま歯周病に罹患している場合が多く、常に血管の透過性が亢進している可能性のあることを考慮する必要がある。
それ故、歯茎をブラッシングする場合には、動脈血流の促進作用だけではなく、静脈血流の促進作用やリンパ流促進作用を共に有したマッサージ操作を行うことが望ましく、あるいはそれらの作用を有したマッサージを後で行うことも、マッサージによる浮腫を抑制して炎症の憎悪を導かないためには効果的であり、微小循環系の改善あるいは歯周病の予防に於いても効果的であると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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