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公開番号2025011264
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-23
出願番号2024180684,2022125651
出願日2024-10-16,2015-02-11
発明の名称タンパク質の選択的還元
出願人シージェン インコーポレイテッド
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/00 20060101AFI20250116BHJP(有機化学)
要約【課題】本発明は、未キャップのシステインタンパク質調製物、例えば、未キャップの改変されたシステイン抗体調製物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、とりわけ、改変されたシステイン抗体を選択的に還元するための方法を提供する。本方法は、還元剤と改変されたシステイン抗体分子とを接触させ、ここで各抗体分子が、少なくとも1つのキャップされ、改変されたシステイン残基、及び少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合を有し;そして前記還元剤と前記抗体質分子とを、改変されたシステイン残基のキャップを取り、そしてキャップ副産物を形成するのに十分な条件下で、反応せしめることを包含する。本発明はまた、還元反応の間、キャップ副産物を除去することも包含する。還元の前、抗体分子に存在する鎖間ジスルフィド結合の実質的にすべてが、還元に続いて、保持される。抗体複合体、及び未キャップの抗体調製物を用いた抗体複合体の調製方法がまた、記載されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
明細書に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2014年2月11日に提出された米国特許出願第61/938,378号に関する優先権を主張し、この内容は、参照により全体が本明細書に組込まれる。
続きを表示(約 5,600 文字)【背景技術】
【0002】
選択されたアミノ酸がシステインに突然変異されているモノクローナル抗体(すなわち、改変されたシステインmAb又はecmAb)は、それらに由来する複合体(conjugate)が、好ましい性質、例えば、均質性、良好な薬物動態、安定性、及び溶解性を有することができるので、複合体(例えば、抗体薬物複合体(ADC))での使用のために、特に適している。システイン突然変異は、鎖間ジスルフィド結合を一般的に形成しない抗体のアミノ酸配列の位置に配置され、そして、変異体mAbを生成する細胞内の発現機構が不対システインとしてシステイン残基を処理する。従って、改変されたシステインは、一般的に、非コードシステイン分子と共に混合されたジスルフィドの形で発現される(すなわち、改変されたシステインは、キャッピング剤、例えば、システイン、システイニルグリシン、又はグルタチオンにより「キャップされる(capped)」)。
【0003】
従って、ecmAbから複合体(例えば、ADC)を調製するためには、混合されたジスルフィドから遊離チオールに、改変されたシステインを変換する還元条件下に、ecmAbを供することが一般的に必要であり、そして典型的には、この脱キャッピング(uncapping)又は「活性化(activation)」が、ecmAb鎖間ジスルフィドの還元を伴う。鎖間ジスルフィドは、穏やかな酸化により再形成され得るが、そのような再酸化工程は、ADC調製の複雑性及び費用を伴う。選択的還元方法は、鎖間ジスルフィドを同時に還元しないで、改変されたシステインを還元することが困難であることが判明しているので、理解しにくかった。従って、改変されたシステイン残基の脱キャッピングのための選択的還元方法が、必要とされる。本発明は、この必要性及び他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、とりわけ、改変されたシステイン抗体を選択的に還元するための方法を提供する。この方法は、還元剤と改変されたシステイン抗体分子とを接触し、ここで各抗体分子は、少なくとも1つのキャップされ、改変されたシステイン残基、及び少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合を有し;そして、前記還元剤と前記抗体質分子とを、改変されたシステイン残基のキャップを取り、そしてキャップ副産物を形成するのに十分な条件下で、反応せしめることを包含する。キャップ副産物は、還元反応の間、除去される。この方法は、未キャップ(uncapped)の改変されたシステイン抗体調製物の形成をもたらす。未キャップの改変されたシステイン抗体調製物は、キャップされた及び未キャップの両改変されたシステイン抗体を含むことができる。還元反応の前、抗体分子に存在する鎖間ジスルフィド結合の実質的にすべては、未キャップの改変されたシステイン抗体調製物に保持される。前記方法はさらに、キャップ副産物を除去しながら、追加の還元剤を還元反応に補充する工程も包含することができる。還元反応の間、反応混合物からのキャップ副産物の除去は、例えば、透析又はダイアフィルトレーションにおいて、行い得る。好ましい実施態様によれば、キャップ副産物の濃度は、再キャッピングが、改変されたシステイン残基のさらなる活性化を妨げる濃度以下に、還元反応混合物において維持される。
【0005】
いくつかの態様によれば、前記方法は、未キャップの改変されたシステイン抗体調製物を提供する。典型的には、抗体調製物に存在する改変されたシステイン残基の少なくとも約60%は、未キャップの改変されたシステイン残基である。いくつかの態様によれば、抗体調製物に存在する改変されたシステイン残基の少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%は、未キャップの改変されたシステイン残基である。いくつかの態様によれば、本発明の方法を用いれば、還元反応の前、抗体分子に存在する鎖間ジスルフィド結合の少なくとも85%が、未キャップの改変されたシステイン抗体調製物に保持される。いくつかの態様によれば、前記還元剤及び還元条件は、前記抗体分子に存在する鎖間ジスルフィド結合の約20%未満、約15%未満、約10%未満又は約5%未満が、還元反応の間、一対の遊離チオールに変換されるように選択される。
【0006】
関連する態様によれば、本発明は、抗体薬物複合体を包含する抗体複合体、及び未キャップの抗体を用いての抗体複合体の調製方法を提供する。残留する還元剤は、抗体薬物複合体の調製の前、抗体調製物から除去され得る。
【0007】
本発明はまた、不対システイン残基を有する非抗体タンパク質を選択的に還元するための方法も提供する。前記方法は、還元剤とタンパク質分子とを接触させ、ここで各タンパク質分子は、少なくとも1つのキャップされたシステイン残基、及び少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合を有し;そして、前記還元剤と前記タンパク質分子とを、システイン残基のキャップを取り、そしてキャップ副産物を形成するのに十分な条件下で、反応せしめることを包含する。キャップ副産物は、還元反応の間、除去される。前記方法は、未キャップシステインタンパク質調製物の形成をもたらす。未キャップのシステインタンパク質調製物は、キャップされた及び未キャップの両システインタンパク質分子を含むことができる。還元反応の前、タンパク質分子に存在する鎖間ジスルフィド結合の実質的にすべては、未キャップのシステインタンパク質調製物に保持される。前記方法はさらに、キャップ副産物を除去しながら、追加の還元剤を還元反応に補充する工程も包含することができる。還元反応の間、反応混合物からのキャップ副産物の除去は、例えば、透析又はダイアフィルトレーションにおいて、行い得る。好ましい実施態様によれば、キャップ副産物の濃度は、再キャッピングが改変されたシステイン残基のさらなる活性化を妨げる濃度以下に、還元反応混合物において維持される。前記方法は、未キャップのシステインタンパク質調製物を提供する。典型的には、キャップされたシステイン残基の少なくとも約60%が、前記方法を用いて、脱キャッピングされる(又は、言い換えれば、活性化される)。キャップされたシステイン残基の少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%が、前記方法を用いて、脱キャッピングされる。いくつかの態様によれば、前記方法を用いれば、還元反応の前、タンパク質分子に存在する鎖間ジスルフィド結合の少なくとも85%が、未キャップの改変されたシステイン抗体調製物に保持される。いくつかの態様によれば、前記還元剤及び還元条件は、前記タンパク質分子に存在する鎖間ジスルフィド結合の約20%未満、約15%未満、約10%未満又は約5%未満が、還元反応の間、一対の遊離チオールに変換されるように選択される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、低濃度(2mM)で、同一の条件下で、3種の異なったモノチオール還元剤(システイン、N-アセチルシステイン(NAC)及びシステアミン)により、ecmAb(溶液中、99μM)を処理することにより生成されるサンプルのrPLRPカラム分析の結果を示す。Y軸は、使用可能な全改変されたシステインの%活性化を表す。還元剤のいずれも、使用可能な改変されたシステイン残基の100%活性化に接近することはできない。それらの実験で、鎖間ジスルフィド結合の還元の証拠は存在しなかった。
図2は、S239C ecmAb mcMMAF ADCからの、H鎖のrPLRPカラム分析の結果を示す。S239C ecmAbは、本発明の方法により選択的に還元され、そしてmcMMAF薬物-リンカーにコンジュゲートされる。還元剤は、0.8mMの濃度でのシステインであった。改変されたシステイン残基の活性化は、完了するまで実質的に進行した。%H0で示されるバーは、コンジュゲートされる薬物-リンカーを有さないH鎖を示す。%H1で示されるバーは、1つのコンジュゲートされる薬物-リンカーを有するH鎖を示し、そして%H2で示されるバーは、2つのコンジュゲートされる薬物-リンカーを有するH鎖を示す。
図3は、S239C ecmAb mcMMAF ADCからの、H鎖のrPLRPカラム分析の結果を示す。S239C ecmAbは、本発明の方法により選択的に還元され、そしてmcMMAF薬物-リンカーにコンジュゲートされる。還元剤は、0.55mMの濃度でのシステインであった。改変されたシステイン残基のわずかな割合が、キャップされたままであるが(%H0)、しかしながら、未キャップの改変されたシステイン残基の割合は、100%に接近し(%H1)、そして非特異的還元の量(%H2)は、低いままであった。
図4は、改変されたシステインの活性化が、H及びL鎖可変領域の同一性にもかかわらず、S239C ecmAbにより選択的に達成されたことを示す。mAb1はヒト化2H12 ecMAbであり、そしてmAb2はヒト化h1F6 ecMAbである(活性化:%H0;選択性:%H2)。脱キャッピングの割合は、2つのmAbについて類似した。改変されたシステインの選択的活性化が、3種の異なった部位S239、K326及びA327で、mAb1について示されている。結果は、改変されたシステイン活性化が、種々の部位で選択的に達成され得ることを示唆する。それらの実験は約0.9mMのシステインにより実施された。
図5は、mAb1のS239C変異体についての改変されたシステインの活性化を示す。反応混合物中のmAb濃度は、図4における反応についてとほぼ同じであるが、しかしながらシステイン濃度は、時間経過を通して低く、約0.5mMであった。この実験は、最大選択性が低システイン濃度で得られ、そして十分な時間が与えられると、完全な活性化が、非常に良好な選択性を伴って達成され得ることを示した。この実験における最終時点から調製された複合体の平均薬物負荷は、1.93であり、これは、2.0の公称値に近く、そして非選択的還元、続く再酸化の従来の方法により得られる値の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
I.一般
本発明は、とりわけ、抗体、例えば、モノクローナル抗体における改変されたシステイン残基から、スルフィドキャップを選択的に除去するための方法を提供する。ある選択的除去は、低濃度での小分子チオールへの抗体の長期暴露の後に観察されるが、完全なキャップ除去は、静的反応混合物においては発生しない。好都合には、改変されたシステインのほぼ完全な活性化が、還元副産物を除去しながら、還元剤濃度が維持されている本発明の方法を用いることにより達成され得る。改変されたシステインの実質的にすべてを活性化することが所望されない実施態様によれば、本発明の方法は、活性化のレベルを調節するために使用され得る。驚くべきことには、未キャップの抗体が、抗体構造を保持し、そして薬物、又は他の機能性薬剤との抗体のコンジュゲートの前、再酸化工程の必要性を除去する、無傷(intact)の鎖間ジスルフィド結合により得られる。とりわけ、本発明の方法は、抗体複合体、例えば、抗体薬物複合体の調製のための現在の製造基準の有意な簡略化を提供する。
【0010】
II.定義
本明細書において使用される場合、用語「抗体(antibody)」とは、インタクトな(intact)モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(すなわち、二重特異性抗体)、及び所望する生物学的活性(すなわち、標的抗原に対する特異的結合)を示し、そして少なくとも1つの生来の鎖間ジスルフィド結合を有する抗体フラグメントを広範囲には意味する。インタクトな抗体は、典型的には、4個のポリペプチド鎖(2つのH鎖及び2つのL鎖)から構成され、各ポリペプチドは、主に2つの領域、すなわち、可変領域、及び定常領域を有する。可変領域は、標的抗原に対して特異的に結合し、そしてそれと相互作用する。可変領域は、特定の抗原上の特異的結合部位を認識し、そしてそれに結合する相補性決定領域(CDR)を含む。定常領域は、免疫系により認識され、そして、それと相互作用することができる(例えば、Janeway et al., 2001, Immuno. Biology, 5th Ed., Garland Publishing, New Yorkを参照のこと)。4個のポリペプチド鎖は、鎖間ジスルフィド結合を通して、お互いに共有結合される。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1 及び IgA2)又はサブクラスのものであり得る。抗体は、任意の適切な種に由来することができる。いくつかの実施態様によれば、抗体は、ヒト、又はネズミ起源のものである。モノクローナル抗体は、例えば、ヒト、ヒト化、又はキメラ性であり得る。属性に依存して、用語「抗体」とは、単一の抗体分子、又は抗体分子の集合体、例えば、抗体溶液を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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