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公開番号2025009411
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023112406
出願日2023-07-07
発明の名称コンクリート構造物の電気防食工法
出願人株式会社ナカボーテック
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類C23F 13/06 20060101AFI20250110BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】比較的簡単な工程で高い防食効果が得られるコンクリート構造物の電気防食工法を提供すること。
【解決手段】本発明の電気防食工法は、鋼材2が埋設されたコンクリート本体3と、該本体3の表面に設けられた撥水通気層4とを有し、撥水通気層4がシラン系又はシラン・シロキサン系の表面含浸材を含む、コンクリート構造物1に適用されるもので、前処理工程と陽極設置工程とを有する。前記前処理工程は、構造物1から撥水通気層4を含む表層を除去するか、又は構造物1の表面に、電解質と湿潤剤とを含む前処理液を付与する工程である。前記陽極設置工程は、構造物1における前記前処理工程が施された部分に、陽極材61を含む陽極ユニット6を直接設置し、陽極材61と鋼材2とを電気的に接続する工程である。前記構造物1における陽極ユニット6と平面視で重なる領域には撥水通気層4を形成しない。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
鋼材が埋設されたコンクリート本体と、該コンクリート本体の表面に設けられた撥水通気層とを有し、該撥水通気層がシラン系又はシラン・シロキサン系の表面含浸材を含む、コンクリート構造物の電気防食工法であって、
前記コンクリート構造物から前記撥水通気層を含む表層を除去するか、又は前記コンクリート構造物の表面に、電解質と前記撥水通気層の表面濡れ性を改質する湿潤剤とを含む前処理液を付与する、前処理工程と、
前記コンクリート構造物における前記前処理工程が施された部分に、陽極材を含む陽極ユニットを直接設置し、該陽極材と前記鋼材とを電気的に接続する陽極設置工程とを有し、
前記コンクリート構造物における前記陽極設置工程で設置された前記陽極ユニットと平面視で重なる領域に前記撥水通気層を形成しない、コンクリート構造物の電気防食工法。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
前記コンクリート構造物における前記前処理工程が施された部分の電気抵抗値が1~100kΩ・cmである、請求項1に記載のコンクリート構造物の電気防食工法。
【請求項3】
前記前処理工程で前記コンクリート構造物から前記表層を除去する場合、その表層の除去量は、厚みにして1.0mm以上である、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の電気防食工法。
【請求項4】
前記前処理工程で前記コンクリート構造物の表面に前記前処理液を付与する場合、該前処理液の被付与部に前記電解質を5g/m

以上、前記湿潤剤を0.02g/m

以上付与する、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の電気防食工法。
【請求項5】
前記前処理工程では、前記コンクリート構造物から前記表層を除去した後、その表層が除去された部分に前記前処理液を付与する、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の電気防食工法。
【請求項6】
前記前処理工程で前記コンクリート構造物から前記表層を除去する場合、その表層の除去量は、厚みにして0.05mm以上であり、
前記表層が除去された部分に、前記電解質を5~30g/m

、前記湿潤剤を0.02~2.0g/m

付与する、請求項5に記載のコンクリート構造物の電気防食工法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の電気防食工法によって製造されたコンクリート構造物の電気防食構造であって、
前記コンクリート構造物の表面における前記陽極ユニットとの接触部分が研削された状態であるか、又は該接触部分は、該表面における該接触部分の周辺部に比べて前記湿潤剤の含有量が多い、コンクリート構造物の電気防食構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の電気防食工法に関し、詳細には、既に表面含浸工法が適用されているコンクリート構造物に電気防食工法を追加適用する技術に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
鉄筋、PC鋼線、鉄骨等の鋼材を含むコンクリート構造物においては、塩化物イオン、水、酸素等が該構造物の内部に浸透・透過することによって該鋼材に腐食が発生し、更に、該腐食を起因とする構造物の劣化が進行し、最終的には、該構造物の強度等の諸性能が著しく低下する場合がある。そこで、コンクリート構造物中の鋼材の腐食を防止する様々な手段が開発されており、該手段の1つとして、電気防食工法と表面含浸工法とを組み合わせた工法(以下、「電気防食・表面含浸併用法」とも言う。)が知られている。
電気防食工法は、コンクリート構造物内の鋼材を陰極とし、該陰極と、該コンクリート構造物の表面又はその表面に切削した溝等に設置された陽極との間に防食電流を流すことにより、鋼材(陰極)の電位を卑方向に変化させ防食する工法である。電気防食工法には、流電陽極方式と外部電源方式とがある。流電陽極方式は、陰極となる鋼材よりもイオン化傾向の高い卑金属を陽極として電池を作製し、両極間の電位差によって防食電流を流す方式である。一方、外部電源方式は、直流電源装置を用いて陽極から陰極(鋼材)に防食電流を流す方式である。
表面含浸工法は、コンクリート構造物の表面に表面含浸材を付与してコンクリート表層部に撥水通気層を形成することにより、外部から塩化物イオン、水等の浸透を抑制する工法である。前記表面含浸材としては、シラン系(撥水型)及びケイ酸塩系(緻密化形)並びにこれらを組み合わせたもの等が知られている。
【0003】
特許文献1及び2には、電気防食・表面含浸併用法として、外部電源方式又は流電陽極方式により電気防食を施したコンクリート構造物の表面に表面含浸材を付与する方法が記載されている。前記コンクリート構造物は、鋼材を埋設したコンクリート本体に陽極材がセメントモルタル等の被覆材で覆われた状態で設置されてなるものであり、表面含浸材は、該被覆材の表面及びその周囲の該コンクリート本体の表面に付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-236485号公報
特開2012-144771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表面含浸工法は、コンクリート構造物内の塩化物イオン濃度が高い状態で施工された場合には腐食抑制効果が得られにくく、施工後にコンクリート構造物内の鋼材が腐食するという問題がある。この問題への対策として、防食手段として表面含浸工法のみが適用されたコンクリート構造物、すなわち表面に表面含浸材からなる撥水通気層が形成されたコンクリート構造物に、電気防食工法を追加適用することが考えられる。つまり、表面含浸工法から、特許文献1及び2に記載の如き電気防食・表面含浸併用法への変更である。具体的な方法として、コンクリート構造物における既設の撥水通気層の表面に陽極を設置する方法が挙げられる。しかし、撥水通気層は電気抵抗値が大きいため、単に、既設の撥水通気層の表面に陽極を設置しただけでは、該陽極と防食対象の鋼材との間に十分な防食電流が流れず、電気防食工法を追加適用する意義に乏しい結果となり得る。そこで、既設の撥水通気層を除去してから陽極を設置することが考えられる。具体的には、コンクリート構造物から、撥水通気層を含む該コンクリート構造物の表層を除去して設置スペースを確保し、該設置スペースに無収縮モルタル等のコンクリート部分の修復材料を付与して、該表層の除去分の厚みを補った後、該設置スペースに陽極を設置し、更に、該陽極の外面に表面含浸材を塗布して撥水通気層を形成することで、既設の表面含浸材の除去分を補う方法が挙げられる。しかし、斯かる作業は、設置スペースの確保作業及び陽極設置作業に加えて更に、設置スペースの修復作業及び設置した陽極への表面含浸材の塗布作業を含むため、工程数が比較的多く、また、これらの修復作業及び塗布作業は電気防食工法の規模等によっては大掛かりなものとなるため、煩雑で施工コストが高額になるという問題がある。
【0006】
したがって本発明の課題は、比較的簡単な工程で高い防食効果が得られるコンクリート構造物の電気防食工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鋼材が埋設されたコンクリート本体と、該コンクリート本体の表面に設けられた撥水通気層とを有し、該撥水通気層がシラン系又はシラン・シロキサン系の表面含浸材を含む、コンクリート構造物の電気防食工法であって、
前記コンクリート構造物から前記撥水通気層を含む表層を除去するか、又は前記コンクリート構造物の表面に、電解質と前記撥水通気層の表面濡れ性を改質する湿潤剤とを含む前処理液を付与する、前処理工程と、
前記コンクリート構造物における前記前処理工程が施された部分に、陽極材を含む陽極ユニットを直接設置し、該陽極材と前記鋼材とを電気的に接続する陽極設置工程とを有し、
前記コンクリート構造物における前記陽極設置工程で設置された前記陽極ユニットと平面視で重なる領域に前記撥水通気層を形成しない、コンクリート構造物の電気防食工法である。
【0008】
また本発明は、前記の本発明の電気防食工法によって製造されたコンクリート構造物の電気防食構造であって、
前記コンクリート構造物の表面における前記陽極ユニットとの接触部分が研削された状態であるか、又は該接触部分は、該表面における該接触部分の周辺部に比べて前記湿潤剤の含有量が多い、コンクリート構造物の電気防食構造である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、比較的簡単な工程で高い防食効果が得られるコンクリート構造物の電気防食工法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明のコンクリート構造物の電気防食工法の一実施形態の説明図であり、図1(a)は、該電気防食工法の適用対象であるコンクリート構造物の厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図、図1(b)は、図1(a)に示すコンクリート構造物に対し前処理工程を実施し、その表層を除去する様子を模式的に示す断面図、図1(c)は、図1(b)に示すコンクリート構造物に対し陽極設置工程を実施して得られた電気防食構造を模式的に示す断面図である。
図2は、図1(c)に示す電気防食構造における陽極ユニットの設置側の模式的な斜視図である。
図3は、本発明のコンクリート構造物の電気防食構造の他の実施形態の厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図である。
図4は、表面含浸材の含浸深さと電気抵抗値との関係を調査する際に使用したモルタル試験体の模式的な斜視図である。
図5は、図4に示すモルタル試験体を用いたサンプルA(表面含浸材の塗布無し)についての研削深さ-電気抵抗値曲線を示す図面代用グラフである。
図6は、図4に示すモルタル試験体を用いたサンプルB(表面含浸材の塗布有り)についての研削深さ-電気抵抗値曲線を示す図面代用グラフである。
図7は、図4に示すモルタル試験体を用いたサンプルC(表面含浸材の塗布有り)についての研削深さ-電気抵抗値曲線を示す図面代用グラフである。
図8は、実施例の電気防食構造についての電流密度の測定試験結果を示す図面代用グラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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