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公開番号2025016856
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-05
出願番号2023119605
出願日2023-07-24
発明の名称酸化スズ(II)薄膜の製造方法
出願人株式会社高純度化学研究所
代理人個人,個人
主分類C23C 16/40 20060101AFI20250129BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】本発明は、II価のスズ化合物を前駆体とし、原子層堆積法(ALD)を用いた酸化スズ(II)薄膜の製造方法において、成膜速度をさらに一層向上させ、かつ、均一に制御性良く成膜する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】II価のスズ前駆体、好適には下記一般式(1)で表されるビスシクロペンタジエニルスズ(II)またはビス置換シクロペンタジエニルスズ(II)を原料とし、反応剤として、水および水素プラズマをこの順に用いて、原子層堆積法により酸化スズ(II)薄膜を形成することを特徴とする、酸化スズ(II)薄膜の製造方法(一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、mおよびnはそれぞれ1~5の整数を表す。)。
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【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
II価のスズ前駆体を原料とし、反応剤として、水および水素プラズマをこの順に用いて、原子層堆積法により酸化スズ(II)薄膜を形成することを特徴とする、酸化スズ(II)薄膜の製造方法。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
前記II価のスズ前駆体が、下記一般式(1)で表されるビスシクロペンタジエニルスズ(II)またはビス置換シクロペンタジエニルスズ(II)である、請求項1に記載の酸化スズ(II)薄膜の製造方法
TIFF
2025016856000003.tif
43
168
(一般式(1)中、R
1
およびR
2
は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、mおよびnはそれぞれ1~5の整数を表す。)。
【請求項3】
前記酸化スズ(II)薄膜の成長速度が、0.08nm/サイクル以上である、請求項1または請求項2に記載の酸化スズ(II)薄膜の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、前駆体としてII価のスズ化合物を用いて、原子層堆積法(ALD)により、酸化スズ(II)薄膜を製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
酸化インジウムスズ(ITO)や酸化亜鉛(ZnO)など、酸化物半導体と呼ばれる金属酸化物は、その広いバンドギャップ(Eg)と高い伝導性により、透明導電膜や薄膜トランジスタ(TFT)として広く利用されている。なかでも酸化インジウム-ガリウム-亜鉛(IGZO)はキャリア移動度が非常に高く、大面積基板上に低温で均一にかつ安定にIGZO-TFTを形成できることから、有機ELディスプレイや量子ドットディスプレイなどに実用化されている。
【0003】
これらの酸化物半導体のいずれもn型であるが、酸化スズ(II)(SnO)、酸化銅(I)(Cu
2
O)または酸化銀(I)(Ag
2
O)など、正孔を利用して電気伝導を起こすp型も開発されている。
【0004】
p型酸化物半導体のうちSnOはp型TFTや、n-チャネルTFTと組み合わせた相補型金属酸化物半導体(CMOS)を作製するのに有望な金属酸化物である。他の金属酸化物がその価電子帯最上部(VBM)が酸素2pの軌道により構成されるために、正孔移動度およびp型伝導性が低いのに比べると、SnOはバンドギャップが2.7~3.4eVであるが、SnOのVBMはスズ5sおよび酸素2pの軌道により構成されるため、比較的高い正孔移動度を有する。また、SnOは準安定状態にあるため、容易に酸化されて酸化スズ(IV)(SnO
2
)になるのが難点ともいえるが、不活性雰囲気下で加熱されると不均化が起こり、SnO薄膜中には金属スズ(Sn)が含まれることとなる。この金属Snが高い移動相として作用し、正孔移動度は18.7cm
2
/Vsにもなる。
【0005】
ところで、p型TFTはスパッタリング、熱蒸発、熱加工およびパルスレーザー堆積などにより作製することができる。これらのうち、ALDにより作製したp型のデバイスが、高いオン・オフ比と低いサブスレッショルド係数を示すことから、さらなる低消費電力化を期待して、最近ALDを用いたp型TFTの開発が行われている。
【0006】
非特許文献1では、原料ガス(前駆体)としてスズ(II)アルコキシドであるジ(t-ブトキシ)スズ(II)を用いて、原子層堆積法(ALD)により、薄膜トランジスタ(TFT)特性を示すp型SnO半導体薄膜を製造する方法が記載されている。
【0007】
スズにジアルキルアミノ基が配位したスズアミノアルコキシド錯体や、スズを骨格とし、シクロペンタジエニル配位子を2つ持つ錯体は、いずれも熱的に安定でかつ蒸気圧の高い液体であるため、スズまたはスズ酸化物薄膜のための前駆体として知られている(特許文献1~3)。
【0008】
特許文献4では、スズ(II)のアミノアルコキシドをALDの前駆体とした例が報告されている。具体的には、スズ(II)のジアルキルアミノエトキシドまたはスズ(II)のジアルキルアミノアルキルエトキシドを前駆体とし、反応剤に水を用いて、ALDにより、SnO薄膜を形成している。このときの、1サイクル当たりの成膜速度(GPC)は、0.052nm/サイクル(実施例1)、0.010nm/サイクル(実施例2)、および0.014nm/サイクル(実施例3)と低い。
【0009】
スズ(II)ビス(t-アミルオキシド)(Sn(TAA)
2
)、ビス(1-ジメチルアミノ-2-メチル-2-プロポキシド)スズ(II)(Sn(dmamp)
2
)、ビス(ジメチルアミノ-2-メチル-2-ブトキシ)スズ(II)(Sn(dmamb)
2
)、ビス(N-エトキシ-2,2-ジメチルプロパンアミド)スズ(Sn(edpa)
2
)、ビス[ビス(トリメチルシリル)アミノ]スズ(II)またはN,N’-t-ブチル-1,1-ジメチルエチレンジアミンスタニレン(II)を前駆体とし、水を反応剤として、Spatial ALDを用いて、p型酸化スズ(II)半導体薄膜を形成した例もある(非特許文献2)。非特許文献2によれば、前記前駆体のうち、Sn(TAA)
2
を用いて、大気圧でのSpatial ALDを行うと、一般的なTemporal ALD(時間でサイクルを回すALD)に比べて成膜時間は短縮できるが、GPCは、成膜温度が100℃のときでも、0.055nm/サイクルと低くなっている。
このように、従来の、前駆体としてII価のスズ化合物を用いて、原子層堆積法(ALD)により、酸化スズ(II)薄膜を製造する方法におけるGPCは、最高でも約0.06nm/サイクルと低く(非特許文献2、Table 1)、改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許第5314468号公報
特開2021-24846号公報
特開2021-25121号公報
国際公開第2020/129616号
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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