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公開番号
2024164797
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-27
出願番号
2024020418
出願日
2024-02-14
発明の名称
表面処理金属材、及び接合体
出願人
株式会社神戸製鋼所
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
C23C
26/00 20060101AFI20241120BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】接着接合に使用され、接着耐久性をより一層向上させることができる表面処理金属材、及びこの表面処理金属材を含む接合体を提供する。
【解決手段】金属基材の表面の少なくとも一部にシラン皮膜が設けられた表面処理金属材であって、シラン皮膜の表面に、入射角が75°である平行偏光を入射して、フーリエ変換式赤外分光法により吸収スペクトルを測定した場合に、1250(cm
-1
)以上1150(cm
-1
)以下の波数領域において吸収のピークを有し、シラン皮膜の表面において、任意の3箇所における1mm×1mmの測定範囲について、レーザ顕微鏡により表面粗さを測定した場合に、アスペクト比が0.5以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
金属基材の表面の少なくとも一部にシラン皮膜が設けられた表面処理金属材であって、
前記シラン皮膜の表面に、入射角が75°である平行偏光を入射して、フーリエ変換式赤外分光法により吸収スペクトルを測定した場合に、1250(cm
-1
)以上1150
(cm
-1
)以下の波数領域において吸収のピークを有し、
前記シラン皮膜の表面において、任意の3箇所における1mm×1mmの測定範囲について、レーザ顕微鏡により表面粗さを測定した場合に、アスペクト比が0.5以上であることを特徴とする、表面処理金属材。
続きを表示(約 520 文字)
【請求項2】
前記シラン皮膜の表面上に、接着樹脂層を有することを特徴とする、請求項1に記載の表面処理金属材。
【請求項3】
前記吸収のピークにおける吸光度は、0.003以上であることを特徴とする、請求項1に記載の表面処理金属材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理金属材を含む接合体であって、
第1部材と第2部材とが、接着樹脂層を介して接合されており、
前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方が、前記表面処理金属材であり、
前記表面処理金属材の前記シラン皮膜と前記接着樹脂層とが接着されていることを特徴とする、接合体。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理金属材を含む接合体であって、
第1部材と第2部材とが、接着樹脂層を介して接合されており、
記第1部材及び前記第2部材の両方が、それぞれ同一又は異なる金属材料からなる前記金属基材を有する前記表面処理金属材であり、
前記第1部材の前記シラン皮膜と、前記第2部材の前記シラン皮膜とが、前記接着樹脂層により接着されていることを特徴とする、接合体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理金属材、及び該表面処理金属材を含む接合体に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)
【背景技術】
【0002】
自動車、船舶及び航空機などの輸送機の分野においては、軽量化の観点から、鋼材と軽量素材(アルミニウム合金やチタン合金、炭素繊維など)のような異種材料間の接合技術として、接着接合が使用される。また溶接工の後継者不足や技術伝承、作業環境改善といった現場課題に対し、生産性や作業性向上の観点からも、溶接代替技術として接着接合が注目されている。
【0003】
一方、接着接合は、長期間使用時の強度信頼性に課題があり、高温、高湿環境や疲労又はクリープなどの応力が複合的に作用する環境では、溶接やボルト締めと比較して強度低下が生じやすいことが知られている。接着接合では、接着剤と被着材である金属との密着性が重要であり、金属材料表面と接着剤の密着性が不十分であると、金属と樹脂との界面に水が浸入する。その結果、金属表面の腐食が進行し、両者の界面から剥離が生じるため、接着強度が著しく低下する。そのため、金属と接着樹脂の密着性を高めることで接着界面への水の浸入を予防し、また、万が一水が浸入しても金属表面が容易に状態変化しないように、金属材料の表面を改質し、接着に適した表面状態に調整する必要がある。
【0004】
上記各課題を解決するため、従来から種々の表面処理技術が提案されている。例えば、特許文献1には、テトラアルキルシリケート又はそのモノマー状又はオリゴマー状の加水分解生成物と、シリカゾル等の水和酸化物ゾルを含む水性組成物が開示されている。上記水性組成物でアルミニウム材、鋼材やチタン材等の金属材料を処理することにより、その上に形成される接着剤などの塗膜の初期密着性や密着性の長期安定性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表平10-510307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の表面処理技術を使用した場合であっても、長期の湿潤劣化試験により、接着剤等の樹脂との接着強度が大きく減少してしまう。したがって、要求される接着耐久性を得ることができない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、接着剤等の樹脂との接着強度が優れているとともに、樹脂との接着耐久性をより一層向上させることができる表面処理金属材、及びこの表面処理金属材を含む接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、表面処理金属材に係る下記[1]の構成により達成される。
【0009】
[1] 金属基材の表面の少なくとも一部にシラン皮膜が設けられた表面処理金属材であって、
前記シラン皮膜の表面に、入射角が75°である平行偏光を入射して、フーリエ変換式赤外分光法により吸収スペクトルを測定した場合に、1250(cm
-1
)以上1150(cm
-1
)以下の波数領域において吸収のピークを有し、
前記シラン皮膜の表面において、任意の3箇所における1mm×1mmの測定範囲について、レーザ顕微鏡により表面粗さを測定した場合に、アスペクト比が0.5以上であることを特徴とする、表面処理金属材。
【0010】
また、表面処理金属材に係る本発明の好ましい実施形態は、以下の[2]及び[3]に関する。
(【0011】以降は省略されています)
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