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公開番号2024167942
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2023084277
出願日2023-05-23
発明の名称表面処理鋼材
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C23C 22/36 20060101AFI20241128BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】塗装密着性及び導電性に優れた表面処理鋼材を提供すること。
【解決手段】鋼材と、ZnまたはZn合金を含むめっき層と、前記めっき層の表面に形成された化成処理被膜と、を有し、前記化成処理被膜が、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物と、P及びFと、を含み、前記化成処理被膜の1.2mm×1.2mmの範囲において、顕微FT-IRの反射法で測定ピッチを19μmとして測定したときの、各測定位置での、2750~3000cm-1の吸光度ピークの面積をAc、980~1180cm-1の吸光度ピークの面積をAsi、1500~1700cm-1の吸光度ピークの面積をAhとしたとき、Ac/(Ac+Asi+Ah)の、標準偏差が0.05~0.30であり、平均値が0.20~0.70であり、Ah/(Ac+Asi+Ah)の、標準偏差が0.02~3.00であり、平均値が0.02~0.30である、表面処理鋼材。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
鋼材と、
前記鋼材の表面に形成された、ZnまたはZn合金を含むめっき層と、
前記めっき層の表面に形成された化成処理被膜と、
を有し、
前記化成処理被膜が、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物と、P及びFと、を含み、
前記化成処理被膜の1.2mm×1.2mmの範囲において、顕微FT-IRの反射法で測定ピッチを19μmとして測定したときの、各測定位置での、2750~3000cm
-1
の吸光度ピークの面積をAc、980~1180cm
-1
の吸光度ピークの面積をAsi、1500~1700cm
-1
の吸光度ピークの面積をAhとしたとき、
Ac/(Ac+Asi+Ah)の、標準偏差が0.05~0.30であり、平均値が0.20~0.70であり、
Ah/(Ac+Asi+Ah)の、標準偏差が0.02~3.00であり、平均値が0.02~0.30である、
ことを特徴とする、表面処理鋼材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は表面処理鋼材に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、鋼板の表面に亜鉛を主体とするめっき層が形成されためっき鋼板(亜鉛系めっき鋼板)が、自動車や建材、家電製品などの幅広い用途で使用されている。
また、このような亜鉛系めっき鋼板の表面に、耐食性や塗装密着性などを付与する目的で、クロム酸、重クロム酸又はそれらの塩を主成分として含有する処理液によりクロメート処理を施す方法、クロムを含まない金属表面処理剤を用いて処理を行う方法、リン酸塩処理を施す方法、シランカップリング剤単体による処理を施す方法、有機樹脂被膜処理を施す方法、などが一般的に知られており、実用に供されている。
【0003】
主としてシランカップリング剤を使用する技術としては、例えば特許文献1に、金属材表面に、特定の構造のシランカップリング剤2種を特定の質量比で配合して得られる有機ケイ素化合物(W)と、特定のインヒビターとを含有する水系金属表面処理剤を塗布し乾燥することにより、各成分を含有する複合被膜を形成したクロメートフリー表面処理金属材が開示されている。
また、特許文献2には、耐食性、耐熱性、耐指紋性、導電性、塗装性及び加工時の耐黒カス性の各要素に優れたクロメートフリー表面処理を施した表面処理金属材、及び金属材料に優れた耐食性及び耐アルカリ性を付与するために用いるクロムを含まない金属表面処理剤が開示されている。
また、特許文献3には、シランカップリング剤およびPを含んだ金属表面処理剤をめっき鋼板に塗布することで、クロメートフリー表面処理被膜の表面から前記被膜と前記めっき層との界面までの範囲でのPの平均濃度よりもPの濃度が高い、濃化層を有した表面処理鋼材が開示されている。
また、特許文献4には、金属板の少なくとも片面に、上層塗膜(α)が形成されているクロメートフリープレコート金属板であって、前記金属板と前記上層塗膜(α)との間に、(1)分子中にアミノ基を含有するシランカップリング剤(A)と分子中にグリシジル基を含有するシランカップリング剤(B)とを配合し反応させて得られ、構造中に環状シロキサン結合と鎖状シロキサン結合を有し、前記環状シロキサン結合と前記鎖状シロキサン結合の存在割合が、FT-IR反射法による環状シロキサン結合を示す1090~1100cm
-1
の吸光度(C1)と鎖状シロキサン結合を示す1030~1040cm
-1
の吸光度(C2)の比〔C1/C2〕で表して0.4~2.5である、有機ケイ素化合物(C)と、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種のカチオン性有機樹脂(D)とを含む、造膜成分(X)と、(2)チタン化合物及びジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(E)とリン酸化合物(J)とフッ素化合物(F)とを含むインヒビター成分(Y)であって、但し、前記金属化合物(E)がフルオロ金属錯化合物(E’)である場合は、前記フッ素化合物(F)を含まなくても良い、インヒビター成分(Y)と、を配合して調整した下地処理剤を塗布し乾燥することにより形成される下地処理層(β)を有することを特徴とする、クロメートフリープレコート金属板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第4776458号公報
特許第5336002号公報
特開2022-85512号公報
特許第5933324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に開示された技術は、耐食性、導電性、塗装性などに優れたクロメートフリー表面処理を施した表面処理鋼板として実用化されている優れた技術である。
しかしながら、近年の顧客ニーズの高度化により、先行技術では実用上において、表面処理材の表面に塗布された塗料との密着性(塗装密着性)の更なる向上が求められる場合がある。すなわち、特許文献1~3に記載された技術では、これまで一般に評価されてきた塗膜形成後の密着性に加えて、高温の水中に塗膜付き表面処理鋼材が浸漬された場合などのより厳しい条件下でも密着性が確保できるような、密着性の更なる向上が求められる。
また、特許文献4では、造膜成分として、有機樹脂を含む必要がある。そのため、耐食性と塗膜密着性とについては優れたとしても、導電性に劣るという課題がある。
【0006】
そのため、本発明は、鋼材の表面に亜鉛または亜鉛合金を含むめっき層を有する亜鉛系めっき鋼材の表面に化成処理被膜を有する表面処理鋼材を前提として、塗装密着性及び導電性に優れた表面処理鋼材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、塗装密着性の向上について検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
(a)化成処理被膜の塗装密着性は、化成処理被膜に存在する特定の有機官能基の量や水分量の影響を受ける。
(b)塗装密着性向上に繋がる有機官能基の分布を均一に維持し、かつ、塗膜中の局部的な水分の残存を低減することで、塗装密着性が向上する。
(c)化成処理被膜に存在する特定の有機官能基の量や水分量は、顕微FT-IRの反射法によって測定した吸光度のスペクトルによって評価することができる。
【0008】
本発明は上記の知見に鑑みてなされた。本発明の要旨は以下の通りである。
[1]本発明の一態様に係る表面処理鋼材は、鋼材と、前記鋼材の表面に形成された、ZnまたはZn合金を含むめっき層と、前記めっき層の表面に形成された化成処理被膜と、を有し、前記化成処理被膜が、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物と、P及びFと、を含み、前記化成処理被膜の1.2mm×1.2mmの範囲において、顕微FT-IRの反射法で測定ピッチを19μmとして測定したときの、各測定位置での、2750~3000cm
-1
の吸光度ピークの面積をAc、980~1180cm
-1
の吸光度ピークの面積をAsi、1500~1700cm
-1
の吸光度ピークの面積をAhとしたとき、Ac/(Ac+Asi+Ah)の、標準偏差が0.05~0.30であり、平均値が0.20~0.70であり、Ah/(Ac+Asi+Ah)の、標準偏差が0.02~3.00であり、平均値が0.02~0.30である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、塗装密着性及び導電性に優れた表面処理鋼材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本実施形態に係る表面処理鋼材の断面の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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