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公開番号2025101871
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2023218944
出願日2023-12-26
発明の名称溶銑の予備処理方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人
主分類C21C 5/28 20060101AFI20250701BHJP(鉄冶金)
要約【課題】脱P性と歩留ロス抑制との両立を安定して実現可能な溶銑の予備処理方法を提供する。
【解決手段】転炉型容器を用いた溶銑の予備処理方法であって、固酸以外の副原料の投入量に基づいて脱P処理後の溶銑温度を推定し、前記推定した溶銑温度に応じて、固酸の投入、ランス高さの調整、および酸素流量の調整の中の少なくとも1つを行うことにより、脱P処理後のスラグ中のFeO濃度および溶銑温度がそれぞれ設定値および設定温度に近づくように制御して吹錬を行う。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
転炉型容器を用いた溶銑の予備処理方法であって、
固酸以外の副原料の投入量に基づいて脱P処理後の溶銑温度を推定し、
前記推定した溶銑温度に応じて、固酸の投入、ランス高さの調整、および酸素流量の調整の中の少なくとも1つを行うことにより、脱P処理後のスラグ中のFeO濃度および溶銑温度がそれぞれ設定値および設定温度に近づくように制御して吹錬を行うことを特徴とする溶銑の予備処理方法。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
前記推定した溶銑温度が前記設定温度よりも高い場合は、溶銑温度を前記設定温度とする固酸の投入量を計算し、前記計算した投入量での固酸の投入により推定される脱P処理後のスラグ中のFeO濃度が前記設定値に近づくように前記固酸の投入量の調整、またはランス高さの調整および酸素流量の調整の中の少なくとも1つを行い、
前記推定した溶銑温度が前記設定温度以下の場合は、ランス高さの調整および酸素流量の調整の中の少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理方法。
【請求項3】
前記計算した投入量での固酸の投入により推定される脱P処理後のスラグ中のFeO濃度が前記設定値から所定値超小さい場合は、前記計算した投入量で固酸を投入するとともに、さらにランス高さの調整および酸素流量の調整の中の少なくとも1つを行い、
前記計算した投入量での固酸の投入により推定される脱P処理後のスラグ中のFeO濃度が前記設定値から所定値超大きい場合は、前記計算した固酸の投入量よりも少ない量で固酸を投入するように調整することを特徴とする請求項2に記載の溶銑の予備処理方法。
【請求項4】
前記推定した溶銑温度が前記設定温度以下の場合は、予め用意したランス高さの変化量とスラグ中のFeO濃度の変化量との関係に基づいて、ランス高さを調整することを特徴とする請求項2または3に記載の溶銑の予備処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、脱P処理での脱P性および中間排滓による鉄分の歩留ロスの抑制を両立させた溶銑の予備処理方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
製鉄における製鋼工程では、精錬工程において高炉で鉄鉱石を還元して得られる溶銑中のC、Si、P、Sなどの不純物を除去して溶鋼とし、その後鋳造工程において溶鋼を鋳造することによってスラブ等を製造する。精錬工程では酸化還元反応により溶銑中から不純物をスラグまたはガスとして除去するが、近年ではスラグの発生量を削減したり、副原料の使用量を削減したりすることを目的として、転炉を用いた溶銑予備処理が行われている。溶銑予備処理では脱Si、脱P処理が転炉内にて行われ、脱P処理では以下の式(1)の反応により溶銑中のPが除去され、P
2

5
を含むスラグが生成される。一方で、脱P処理で生成したP
2

5
を含むスラグが、その後行われる脱C処理中に存在すると、脱C処理による溶銑温度の上昇と共にスラグ中のP
2

5
が分解し、再び溶銑中に復Pしてしまう。
2[P]+5(FeO)→(P
2

5
)+5[Fe] ・・・(1)
ここで、[ ]は溶鋼中であることを示し、( )はスラグ中であることを示す。
【0003】
復Pを回避するためには、スラグ中のP
2

5
をCaOと反応させて分解を防ぐ(スラグ中に固定する)ことが必要であり、脱C処理時に生石灰および石灰石などのCaO源を投入することが有効であるが、CaO源の使用量およびスラグの発生量の増加を招く。そこでCaO源の使用量を極力抑えるために、脱Si、脱P処理を行った後、かつ脱C処理を行う前に脱Si、脱P処理で生成したP
2

5
を含むスラグの排滓(中間排滓)が一般に行われる。
【0004】
さらに、脱P処理後の脱P量が不十分であると脱C処理でPの更なる除去にCaO源の添加が必要となるため、CaO源の使用量を抑えるためには、脱P反応に影響する溶銑予備処理時の溶銑温度の管理も重要である。脱P反応は熱力学的に低温ほど進行しやすいため、副原料の投入量などを調整して脱P処理中の溶銑温度を脱Pに適した温度とすることによって、脱P反応を効率よく進行させることができる。そして、処理後の溶銑温度が1300~1350℃程度になるようにして脱P反応をより進行させることで、溶銑中のP濃度を低く、即ちスラグ中のP
2

5
濃度を高くして中間排滓で炉外へ排出されるP
2

5
量を増加させ、脱C処理に持ち越されるP量を低減することができ、脱C処理で添加するCaO源の使用量を抑えることができる。
【0005】
また、式(1)からわかるように、脱P反応はスラグ中に存在するFeO量に影響されるため、上吹きランスや底吹きによる酸素の供給速度などを調整してFeOの生成量を制御したり酸化鉄源の供給量を制御したりしてスラグ中のFeO濃度を確保する必要がある。一方で、スラグは中間排滓にて系外へ排出されるため、FeO濃度が高すぎる場合は系外に排出されるFe分が多くなり鉄分の歩留低下の要因となる。したがって脱P処理では、処理後の溶銑温度とスラグ中のFeO濃度との調整により溶銑中のP濃度を低下させると同時に、スラグ中のFeO濃度が高くなり過ぎないようにすることが必要となる。
【0006】
脱P性と歩留ロス抑制とを両立させる技術として、特許文献1には、吹錬初期に上吹きランスの高さ、酸素ガス流量の調整によりFeOの生成を促進させ、吹錬末期に上吹きランス高さ、酸素ガス流量の調整によりFeOの還元を促進させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2006-152426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
脱C処理でのCaO源の使用量を抑えるためには、中間排滓で排出するスラグ量(排滓性)をできるだけ多くすることも重要である。そのためには、脱P処理で供給する酸素と溶銑中のCとの脱C反応で生じるCOガスによってスラグをフォーミングさせ、スラグ体積を大きくすることが有効である。一方で、過剰にフォーミングした場合は吹錬中に転炉炉口からスラグが溢出したり、排滓中に炉前操業床へスラグが飛散したりしてしまうため、フォーミングしたスラグが転炉内で予め設定した所定の高さに到達した時点で脱P処理を終了させる必要がある。したがって、フォーミングのタイミングによって脱P処理時間が変わるため、脱P量やスラグ中のFeO濃度がばらつき、脱P不良、歩留ロスにつながる可能性がある。
【0009】
特許文献1に記載の方法では、脱P処理の終了タイミングは不明であり、過剰にフォーミングして脱P処理の終了が早い場合には目的値への調整が十分にできないと考えられる。特に、スラグ中のFeO濃度に関しては一度上昇させてから吹錬末期で低下させるように制御するため、脱P処理の終了が早い場合にはスラグ中のFeO濃度を十分に制御できない。
【0010】
本発明は前述の問題点を鑑み、脱P性と歩留ロス抑制との両立を安定して実現可能な溶銑の予備処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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