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公開番号2025089899
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-16
出願番号2023204864
出願日2023-12-04
発明の名称浸炭部材の製造方法
出願人大同特殊鋼株式会社
代理人個人
主分類C21D 1/06 20060101AFI20250609BHJP(鉄冶金)
要約【課題】浸炭において結晶粒の粗大化の発生を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】浸炭部材の製造方法は、浸炭部材の基材である肌焼鋼を加熱して軟化させるための軟化熱処理を行う工程と、前記軟化熱処理後の前記肌焼鋼に対して冷間鍛造を行う工程と、前記冷間鍛造後の前記肌焼鋼に対して浸炭を行って前記浸炭部材を得る工程と、を備える。前記浸炭部材は、所定の化学組成を有し、前記浸炭での浸炭温度をTc[℃]とし、前記浸炭において前記浸炭温度に到達するまでの昇温速度をRT[℃/分]とし、Nbの質量含有率を[Nb]とし、Moの質量含有率を[Mo]とするとき、Tc-RT≦2000×[Nb]+133×[Mo]+862の関係が満たされる。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
浸炭部材の基材である肌焼鋼を加熱して軟化させるための軟化熱処理を行う工程と、
前記軟化熱処理後の前記肌焼鋼に対して冷間鍛造を行う工程と、
前記冷間鍛造後の前記肌焼鋼に対して浸炭を行って前記浸炭部材を得る工程と、
を備え、
前記浸炭部材は、質量%で、
C:0.10%以上0.30%以下、
Si:0.03%以上1.10%以下、
Mn:0.30%以上1.00%以下、
Cr:0.50%以上1.80%以下、
Al:0.01%以上0.08%以下、
B:0.0003%以上0.0300%以下、
Ti:0.010%以上0.150%以下、
Nb:0.01%以上0.10%以下、
Mo:0.03%以上1.00%以下、
Cu:0.50%以下、
Ni:0.50%以下、
P:0.03%以下、および、
S:0.03%以下、
からなり、残部がFe及び不可避的不純物であり、
前記浸炭での浸炭温度をTc[℃]とし、前記浸炭において前記浸炭温度に到達するまでの昇温速度をRT[℃/分]とし、Nbの質量含有率を[Nb]とし、Moの質量含有率を[Mo]とするとき、
Tc-RT≦2000×[Nb]+133×[Mo]+862
の関係が満たされる、浸炭部材の製造方法。
続きを表示(約 200 文字)【請求項2】
前記軟化熱処理は、球状化焼鈍し、または、低温焼鈍しである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記浸炭部材のJIS G 0551:2020鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法でのオーステナイト粒の粒度番号は3より大きい、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記浸炭温度は950℃以上である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、浸炭部材の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
浸炭部材は、低炭素鋼の表層に炭素(C)を浸入させた後に焼入れによって硬化させる浸炭が施された鋼材である。浸炭部材は、多くの場合、例えば、ギヤやプーリー等の自動車部品をはじめとして、高い強度が求められる駆動系の機械部品に用いられる。これまで、浸炭部材の性能を高めるための様々な技術が提案されてきた。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、真空浸炭処理中に部品表面からの脱窒素を防止することによって、結晶粒の粗大化を抑制し、浸炭部材の耐衝撃性を高める技術が開示されている。また、下記の特許文献2には、ガス浸炭の際に、窒化アルミニウム(AlN)の形成を抑制することにより、チタン(Ti)系析出物による結晶粒の微細化の効果を高め、浸炭部材の耐衝撃性を高める技術が開示されている。下記の特許文献3には、浸炭部材の表面硬さと残留オーステナイト量とを規定し、クロム(Cr)、ケイ素(Si)、および、モリブデン(Mo)の含有量を調整して、焼戻し軟化抵抗性を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006-322036
国際公開第2016/159391号
特開2022-26597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浸炭部材の製造工程では、浸炭部材の基材である肌焼鋼は、浸炭の前に、鍛造によって、ギヤやプーリー等の部品の形状に成形される場合がある。鍛造の方法としては、例えば、熱間鍛造と冷間鍛造とが知られている。熱間鍛造には、肌焼鋼の変形抵抗を低減できるという利点があるが、二酸化炭素(CO

)の排出量が多いという欠点がある。これに対して、冷間鍛造によれば、その加熱工程において排出されるCO

量を熱間鍛造よりも低減することができるという利点がある。
【0006】
しかしながら、冷間鍛造が行われた肌焼鋼は、内部にひずみが残りやすいため、浸炭中に、オーステナイト粒が異常粒成長し、粗大化する可能性がある。このような結晶粒の粗大化の発生は、浸炭部材の疲労強度の悪化や、熱処理ひずみの増大など、浸炭部材の品質低下の原因となる。
【0007】
本発明は、冷間鍛造を経た肌焼鋼に対する浸炭において、オーステナイト粒の粗大化の発生を抑制できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、浸炭部材についての研究を重ねるうちに、浸炭での結晶粒の粗大化抑制に作用する元素の含有量に応じて、浸炭での熱処理条件を調整することにより、冷間鍛造の後に浸炭を行った場合でも、結晶粒の粗大化を抑制できることを見出した。本発明は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
[第1形態]第1形態は、浸炭部材の製造方法として提供される。第1形態の製造方法は、浸炭部材の基材である肌焼鋼を加熱して軟化させるための軟化熱処理を行う工程と、前記軟化熱処理後の前記肌焼鋼に対して冷間鍛造を行う工程と、前記冷間鍛造後の前記肌焼鋼に対して浸炭を行って前記浸炭部材を得る工程と、を備える。前記浸炭部材は、前記浸炭部材は、質量%で、C:0.10%以上0.30%以下、Si:0.03%以上1.10%以下、Mn:0.30%以上1.00%以下、Cr:0.50%以上1.80%以下、Al:0.01%以上0.08%以下、B:0.0003%以上0.0300%以下、Ti:0.010%以上0.150%以下、Nb:0.01%以上0.10%以下、Mo:0.03%以上1.00%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、P:0.03%以下、および、S:0.03%以下からなり、残部がFe及び不可避的不純物である。前記浸炭での浸炭温度をTc[℃]とし、前記浸炭において前記浸炭温度に到達するまでの昇温速度をRT[℃/分]とし、Nbの質量含有率を[Nb]とし、Moの質量含有率を[Mo]とするとき、Tc-RT≦2000×[Nb]+133×[Mo]+862の関係が満たされる。
【0010】
[第2形態]前記軟化熱処理は、球状化焼鈍し、または、低温焼鈍しである、上記第1形態に記載の製造方法。
(【0011】以降は省略されています)

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