TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2025157824
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-16
出願番号
2024060088
出願日
2024-04-03
発明の名称
結晶組織評価方法および結晶組織評価装置
出願人
大同特殊鋼株式会社
代理人
弁理士法人上野特許事務所
主分類
G01N
29/50 20060101AFI20251008BHJP(測定;試験)
要約
【課題】結晶粒を含む材料において、超音波を用いて結晶組織の均一性を評価するに際し、測定条件に依存せずに結晶組織の均一性を評価することができる結晶組織評価方法および結晶組織評価装置を提供する。
【解決手段】被検査材に対して、表面の複数の入射点から超音波を入射し、入射した超音波の反射方向または透過方向において、超音波の強度を時間の関数として測定し、超音波信号として入射点ごとに取得する計測工程と、各超音波信号に対して、包絡線を得る包絡線処理工程と、包絡線の群から2つを選択した組を複数作成し、それぞれの組について、少なくとも一部の時間領域において2つの包絡線の間の相関係数を求める相関係数取得工程と、複数の相関係数に対して平均値をとる平均工程と、得られた平均値が大きいほど、小さい超音波散乱強度を与える結晶粒が均一性高く形成された結晶組織を有するとみなす組織評価工程と、を有する、結晶組織評価方法とする。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
結晶粒を含む材料よりなる被検査材に対して、表面の複数の入射点から、超音波を入射し、入射した前記超音波の反射方向または透過方向において、超音波の強度を時間の関数として測定し、超音波信号として、前記入射点ごとに取得する計測工程と、
前記計測工程において得られた各超音波信号に対して、包絡線を得る包絡線処理工程と、
前記包絡線処理工程で得られた前記包絡線の群から2つを選択した組を複数作成し、それぞれの組について、少なくとも一部の時間領域において2つの包絡線の間の相関係数を求める相関係数取得工程と、
前記相関係数取得工程で得られた複数の前記相関係数に対して、平均値をとる平均工程と、
前記平均工程において得られた前記平均値が大きいほど、前記被検査材が、小さい超音波散乱強度を与える結晶粒が均一性高く形成された結晶組織を有するとみなす組織評価工程と、を有する、結晶組織評価方法。
続きを表示(約 650 文字)
【請求項2】
前記組織評価工程において、前記平均値が大きいほど、前記被検査材が、粒径の小さい結晶粒が均一性高く形成された結晶組織を有するとみなす、請求項1に記載の結晶組織評価方法。
【請求項3】
前記包絡線処理工程において、前記計測工程で得られた全ての前記超音波信号に対して包絡線を取得し、
前記相関係数取得工程において、前記包絡線処理工程で得られた前記包絡線の全ての組み合わせに対して相関係数を評価し、
前記平均工程において、前記相関係数取得工程で得られた前記相関係数の全てに対して平均値をとる、請求項1に記載の結晶組織評価方法。
【請求項4】
前記計測工程において、前記超音波信号を前記反射方向において取得し、
前記相関係数取得工程において、前記超音波信号上で、前記被検査材の表面で反射された反射波に相当する時間領域と、前記表面に対向する底面で反射された反射波に相当する時間領域との間の時間領域で、前記包絡線の前記相関係数を求める、請求項1に記載の結晶組織評価方法。
【請求項5】
前記包絡線処理工程において、前記包絡線の作成を、ヒルベルト変換を用いて行う、請求項1に記載の結晶組織評価方法。
【請求項6】
超音波の発生と検出を行う超音波検査装置を備え、
結晶粒を含む材料よりなる被検査材に対して、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の結晶組織評価方法を実行する、結晶組織評価装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶組織評価方法および結晶組織評価装置に関し、さらに詳しくは、超音波を利用して、材料の結晶組織の均一性を評価するための結晶組織評価方法および結晶組織評価装置に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
金属材料等、結晶粒を含む材料において、結晶組織の状態を検査によって判定することが、所望の材料特性を確保するために、重要となる。非破壊で結晶粒の状態を判定する方法として、超音波による検査が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に、超音波を利用して結晶粒の異方性を判定するための方法が開示されている。ここでは、被測定材中に超音波を発振し、受振された反射波のうちから所定時間範囲の反射波を取り出して、取り出した反射波の周波数分析を行い、全周波数の反射波パワーの合計値に対する所定周波数以上の反射波パワーの合計値の割合に基づいて被測定材の結晶粒が変形を生じているか否かを判定している。被測定材内部の結晶粒に異方性を生じていると高調波や波形の歪みが生じることを利用して、上記割合が一定値以上になったときに結晶粒の異方性を生じていると判定するものである。
【0004】
上記特許文献1に開示されている判定方法のように、超音波を利用することで、異方性等、結晶粒の状態を判定することができる。しかし、特許文献1の方法のように、単一の測定における反射波を分析する方法においては、超音波が通過する領域に存在する材料組織の平均としての状態を検出できるのみであり、結晶組織の状態が不均一に変化した領域が局所的に存在する場合には、そのような領域の存在を検出することは困難である。しかし、金属等の材料においては、組織内の大部分の結晶粒が、粒径や異方性等の特性において、よく揃っていたとしても、それらの大部分の結晶粒とは粒径や異方性が異なる領域が、局所的に生じ、組織が不均一になる場合がある。そこで、発明者らは、結晶粒を含む材料において、結晶組織に不均一性を有する部位が、材料全体のうちの一部のみに存在する場合でも、超音波を用いて、その不均一性を評価することができるように、特許文献2に開示している結晶組織評価方法および結晶組織評価装置を開発した。特許文献2においては、計測工程において、結晶粒を含む材料よりなる被検査材に対して、表面の複数の入射点から、超音波を入射し、検出される散乱波の強度を、散乱強度として、入射点ごとに計測する。そして、次の統計処理工程において、計測工程において所定の散乱強度が得られた入射点の数を、散乱強度の関数として整理して、散乱強度関数を作成する。さらに、評価工程において、統計処理工程において得られた散乱強度関数のピーク幅が大きいほど、被検査材において、結晶組織の不均一性が高いとみなす。散乱に寄与する結晶組織の不均一性が低い(均一性が高い)と、各入射点において得られる散乱強度のばらつきが小さくなり、一方で、散乱に寄与する結晶組織の不均一性が高いと、入射点によって、得られる散乱強度のばらつきが大きくなる。よって、結晶組織の不均一性が高いほど、散乱強度関数において、ピーク幅が大きくなる。このように、散乱強度関数のピーク幅に着目することで、結晶組織に不均一性を有する部位が、材料全体のうちの一部のみに存在する場合でも、超音波を用いた測定の結果から、結晶組織の不均一性を評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2013-257146号公報
特開2020-085888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の結晶組織評価方法においては、各入射点に対応して得られる散乱波の強度の分布を統計的に処理することで、材料組織の均一性を評価している。この評価方法においては、散乱強度の絶対値そのものを統計処理するため、被検査材における結晶粒の粒径、成分組成、異方性等、結晶組織がとる状態が同一であるとみなしうる領域が、同程度の散乱強度を与えることが前提となる。被検査材への超音波の入射条件や、超音波を検出するセンサの検出条件を同じに揃えて評価を行う場合には、その前提が成り立つため、簡便に結晶組織の均一性を定量評価できる優れた手法となる。しかし、異なる検査装置を用いる場合等、被検査材への超音波の入射条件や、超音波を検出するセンサの検出条件が変化する場合に、それら異なる条件で計測したデータに基づく評価結果を直接比較することは難しい。
【0007】
例えば、図6に超音波を検出するセンサの感度が異なる場合の散乱強度関数を模式的に示す。(a)が検出感度の低い場合、(b)が検出感度の高い場合を示している。ここでは、いずれの場合にも、散乱強度関数を、ピーク高さの大きい主ピークと、主ピークよりも散乱強度(横軸の値)が大きくかつピーク高さの小さい副ピークに分割することができる。図では副ピークをグレーで表示している。主ピークは、結晶粒径が小さく、かつ大きな領域を占める結晶組織、つまり均一性の高い微細な結晶粒よりなる組織に、帰属することができる。一方、副ピークは、結晶粒径が大きく、かつ占有する領域が狭い結晶組織、つまり粗大な結晶粒が不均一に生成した組織に、帰属することができる。(a),(b)のいずれの場合についても、このように、散乱強度関数から、結晶粒径の異なる2つの組織の存在を検出することができる。
【0008】
しかし、主ピークに対する副ピークの存在割合が、(a)と(b)では異なっている。検出センサの検出感度が高くなると、各入射点に対応して得られる散乱強度が大きくなる。また、微弱な超音波信号でも検出可能となる。すると、(b)の図に見られるように、(a)の検出感度が低い場合と比較して、散乱強度関数が高散乱強度側(右側)にシフトするとともに、広い範囲の散乱強度(広い横幅)に分布するようになる。すると、同じ被検査材を検査していても、主ピークを基準とした副ピークのピーク高さやピーク位置が、検出感度によって変化してしまう。つまり、図6に示した形態では、(b)の場合の方が(a)の場合よりも、粒径の大きな結晶粒まで含み、しかもそれら粒径の大きな結晶粒の存在割合も大きく、結晶組織の均一性が低いという評価結果となってしまう。逆に、検出センサの検出感度が低くなっている場合には、結晶組織の均一性が高いという評価結果となる。
【0009】
このように超音波の散乱波の強度の分布を統計的に処理する方法を用いる場合には、検査装置の変更、検査装置におけるパラメータの設定値の変化、また検出センサをはじめとする装置各部の調整や較正の揺らぎ、経時変化等によって、超音波検査の条件が変化すると、結晶組織の均一性を、正確に評価できなくなる可能性がある。異なる装置を用いて、また異なる条件で計測したデータを用いて、複数の材料における結晶組織の均一性を評価するためには、例えば、共通する標準試料との対比を行うなど、間接的な比較が必要となる。しかし、種々の条件で測定したデータに基づいて、多数の材料における結晶組織の均一性を評価する等の場合には、使用する装置の種類や、測定に用いるパラメータ、装置各部の状態等、具体的な測定条件に依存せずに、材料における結晶組織の均一性を評価できるようにすることが望まれる。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、結晶粒を含む材料において、超音波を用いて、結晶組織の均一性を評価するに際し、測定条件に依存せずに、結晶組織の均一性を評価することができる結晶組織評価方法および結晶組織評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
関連特許
大同特殊鋼株式会社
触媒合金
1か月前
大同特殊鋼株式会社
放熱材料
5日前
大同特殊鋼株式会社
軟磁性合金
13日前
大同特殊鋼株式会社
疵判定方法
27日前
大同特殊鋼株式会社
棒材計数方法
13日前
大同特殊鋼株式会社
介在物評価方法
13日前
大同特殊鋼株式会社
炉蓋の支持構造
19日前
大同特殊鋼株式会社
超音波探傷方法
1か月前
大同特殊鋼株式会社
雰囲気熱処理炉
1か月前
大同特殊鋼株式会社
電磁攪拌制御方法
今日
大同特殊鋼株式会社
丸棒体の本数計数方法
8日前
大同特殊鋼株式会社
連続式真空ホットプレス装置
1か月前
大同特殊鋼株式会社
熱処理設備および浸炭焼入れ方法
13日前
大同特殊鋼株式会社
磁性線材および磁性線材の製造方法
1か月前
大同特殊鋼株式会社
磁性線材および磁性線材の製造方法
1か月前
大同特殊鋼株式会社
レーザ積層造形用粉末およびその製造方法
13日前
大同特殊鋼株式会社
結晶組織評価方法および結晶組織評価装置
6日前
大同特殊鋼株式会社
浸炭時の粗大粒防止特性に優れた肌焼鋼材
6日前
大同特殊鋼株式会社
変位量測定治具およびピーリングマシンにおける芯出し方法
21日前
個人
メジャー文具
15日前
個人
アクセサリー型テスター
8日前
個人
高精度同時多点測定装置
7日前
日本精機株式会社
位置検出装置
21日前
日本精機株式会社
位置検出装置
21日前
日本精機株式会社
位置検出装置
21日前
ユニパルス株式会社
ロードセル
14日前
大和製衡株式会社
組合せ秤
26日前
大和製衡株式会社
組合せ秤
26日前
アズビル株式会社
電磁流量計
1日前
アズビル株式会社
圧力センサ
20日前
トヨタ自動車株式会社
検査装置
23日前
株式会社ヨコオ
ソケット
14日前
トヨタ自動車株式会社
監視装置
13日前
株式会社ユーシン
操作検出装置
23日前
株式会社チノー
放射光測温装置
14日前
エイブリック株式会社
磁気センサ回路
20日前
続きを見る
他の特許を見る