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公開番号2025090285
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-17
出願番号2023205432
出願日2023-12-05
発明の名称ノリ養殖用施肥筒およびノリ養殖施肥方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人クスノキ特許事務所
主分類A01G 33/02 20060101AFI20250610BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】支柱柵方式のノリの養殖における栄養塩の供給に係り、ノリの成長に必要な窒素、リンなどを経済的かつ環境に配慮した形で供給するノリ養殖用施肥筒およびノリ養殖施肥方法を提供する。
【解決手段】施肥筒10の上下に各1箇所の孔3、5があり、潮位の下降と共に前記施肥筒が海面上に露出すると、前記施肥筒上部の孔3から空気が入り、前記施肥筒内部に侵入した海水に施肥材6が溶解してなる水溶液が、前記施肥筒の下部の孔5から排出される。前記下部の孔5の大きさは、前記水溶液が前記施肥筒下部の孔5から出る時の表面張力と、前記施肥筒内部の水溶液の水圧が一致する高さで、前記施肥筒の下部の孔5から水溶液の排出が止まる大きさであるノリ養殖用施肥筒、およびそれを用いたノリ養殖施肥方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ノリ養殖において施肥を行う施肥筒であって、前記施肥筒の上下には各1箇所の孔が開けられており、前記施肥筒の内部はノリの成長に寄与する施肥剤の充填が可能であり、潮位の下降と共に前記施肥筒が海面上に露出すると、前記施肥筒上部の孔から空気が入り、前記施肥筒内部に侵入した海水に前記施肥材が溶解してなる水溶液が、前記施肥筒の下部の孔から排出される構造であり、前記下部の孔の大きさは、前記水溶液が前記施肥筒下部の孔から出る時の表面張力と、前記施肥筒内部の水溶液の水圧が一致する高さで、前記施肥筒の下部の孔からの前記水溶液の排出が止まる大きさであり、潮位の変化により前記水溶液が周囲に拡散し、ノリ網へ施肥を行うことを特徴とするノリ養殖用施肥筒。
続きを表示(約 380 文字)【請求項2】
前記施肥剤の使用量が確認しやすいように、前記施肥筒の蓋に透明な材料を用いることを特徴とする請求項1に記載のノリ養殖用施肥筒。
【請求項3】
前記施肥剤に微量の金属を溶解させるため、前記施肥筒胴部に金属管を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のノリ養殖用施肥筒。
【請求項4】
請求項1に記載のノリ養殖用施肥筒に前記施肥剤を充填し、ノリ網を設置した支柱にノリ網と同じ高さに設置し、干出時には施肥剤が溶出せず、浸漬時に前記水溶液を排出することを特徴とするノリ養殖施肥方法。
【請求項5】
前記施肥剤に、鉄鋼業にて発生する硫酸アンモニウム、製鋼スラグ、リン酸を含む製鋼スラグ、酸化鉄、鉄屑の1種または2種以上を含む連産品を使用することを特徴とする請求項4に記載のノリ養殖施肥方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、主に日本、韓国、中国沿岸で行われているノリ養殖の高効率な栄養塩の供給に関するものであり、施肥剤に鉄鋼プロセスで連産品として製造される硫酸アンモニウム、鉄鋼スラグ、スケールを原料とした製品を活用し、海洋環境に配慮しながら、海藻類の育成を通じて二酸化炭素の固定化と水産業の発展を図るための技術に関わる。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
鉄鋼製造プロセスにおいて発生する硫酸アンモニウムは、日本のノリ養殖業において古くから窒素施肥の原料として利用されてきた。またスラグには、鉄分、マグネシア、珪酸といった、生物環境にとって有効なミネラルが含まれ、例えば海洋環境修復のミネラル源として、あるいは特に脱りんスラグのように、燐酸を含む場合には、肥料としての利用価値が高いことが知られており、全農をはじめ肥料メーカーに年間数万トン利用されている。これらの原料は陸上、海域の植物や海藻育成に繋がる事から、近年「ブルーカーボン」「グリーンカーボン」を推進するための施肥剤としての役割が注目されてきている。
【0003】
一方、世界的に、地球温暖化による海水温の上昇や食害による海藻類の減少「磯焼け」が問題となっており、産官学を上げて藻場造成などの取組が行われているが、海の生き物は海水面全体の0.8%程度しかない沿岸浅海部で8割が生活している事もあり、栄養塩の適切な供給と場所の提供が必要であるが、栄養塩のうちリン、窒素は植物プランクトンの過剰発生を引き起こす要因ともなっていたため、日本の沿岸浅海部では海水中の窒素、リンの総量規制が定められており、海藻類の養殖業者にとっては海水温の上昇に加えて、窒素、リンの栄養不足による生産量、品質の両面で悪影響を受けている。
【0004】
鉄鋼スラグが珪酸肥料や、海洋環境修復材として有効な理由は、SiO
2
がCaOとの複合酸化物を形成していて、珪酸分の溶出が容易であること、鉄分の多くが、天然に多く存在する3価ではなく、生物の活動や育成に有効な2価の形態で存在するためである。不可避的に含まれる未反応のCaO分(以下、フリーライムと称す)に起因するアルカリ水課題についても、炭酸ガスにて中和した上で腐食土と反応させフルボ酸鉄を生成する事で、安全な鉄供給資材の提供が可能となっている。一方、コークス炉から出る硫化水素を除去する過程で生成する硫酸アンモニウムは、農業分野で「硫安」として古くから広く利用されているが、水産分野においては、昭和50年代は、東京湾のアサクサノリなどで利用するなどの文献情報はあるが、昭和45年に水質汚濁防止法が制定され、硫安が有害物質(水質汚濁防止法第2条、施行令第2条、排水基準を定める省令第1条)に指定された事、加熱分解により人体に有害なアンモニア、亜硫酸ガスを発生するなど取り扱いに熟練を要する事から、現在では、水産試験場などで実験的に用いられる事はあるが、有明海や瀬戸内海などノリ養殖が盛んな一部の地域において、漁業者による特例的な施肥利用を除けば、海域での使用は行われていない。
【0005】
我が国の海藻類養殖業は、海域の栄養塩を有効に活用し食料生産と海域環境保全の両面で重要な役割を果たしている。主に食用とされる海藻類養殖業の海面漁 業生産統計調査(水産庁http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/index.html )によると、ノリ類、ワカメ類、コンブ類、モズク類の4種に大別され、ノリ類、 ワカメ類、コンブ類、モズク類の順に生産量が多く、合計で年間400~500千t程度であり、ノリ養殖で生産量が最も多いのは黒ノリ類である。黒ノリ類の中で最も生産 量の多いのはスサビノリ(Pyropia yezoensis)で、ウシケノリ科アマノリ属に分類される紅 藻類の海藻である。福島県以北の太平洋岸に自生しているが、板ノリの原料として日本各地で養殖されている。
【0006】
これら海藻類の養殖は海域から人為的に二酸化炭素を取り上げる役割も担っており、カーボンオフセットの手法として近年注目を集めており、養殖する海藻に対して効率良く硫安や鉄鋼スラグによる施肥を行う事は、鉄鋼業による連産品を用いて、水質汚濁を引き起こさずに二酸化炭素を海水中から取り出す事を意味しており、日本の二酸化炭素排出量の削減と海藻養殖業の支援の両面から重要な課題である。
【0007】
例えば特許文献1には、筒状容器の孔径が2~20mmで、該筒状容器の外側全表面積に対する 孔の総面積の割合が0.001~0.1で、且つ孔の数が少なくとも4個以上である内径50~250mm、 長さ500~2,000mmの筒状容器であって、少なくとも筒の一方に開閉口部を有し、且つ、肥料充 填用容器の細孔径が0.1~1mmで、該容器の外側全表面積に対する細孔の総面積の割合が0.000001~0.001で、且つ細孔の数が少なくとも5個以上ある肥料充填用容器を内装した海苔養殖用施肥容器という技術が開示されている。孔の数が多いとメンテナンスに手間が掛かるし製造コストもかかる。特許文献2には、L *a*b*表色系色彩判定法により測定されたa *値及びb *値について、a *値が0以下であってb *値が3~-1であるときを鉄及び窒素の複合欠乏と判断し、鉄分及び窒素分をノリ養殖場に施肥することを特徴とする請求項1又は2に記載のノリ藻体の色落ち防止及び回復方法とあるが、具体的な容器については記載がなく、単に窒素分を施肥するというだけで濃度制御などに関する記述はない。特許文献3には、有価金属の抽出又は半導体製造装置の洗浄の際に排出される窒素含有廃液を原料として使用することを特徴とする施肥材の製造方法および海苔の色落ちを抑制する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第4818311号公報
特許第5505374号公報
特許第6554191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ヒビ建て方式などの支柱柵によるノリの養殖における栄養塩の供給に係り、ノリの成長に必要な窒素、リンなどを経済的かつ環境に配慮した形で供給する施肥容器及びその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の施肥容器および施肥容器を用いたノリへの施肥方法は
(1)ノリ養殖において施肥を行う施肥筒であって、前記施肥筒の上下には各1箇所の孔が開けられており、前記施肥筒の内部はノリの成長に寄与する施肥剤の充填が可能であり、潮位の下降と共に前記施肥筒が海面上に露出すると、前記施肥筒上部の孔から空気が入り、前記施肥筒内部に侵入した海水に前記施肥材が溶解してなる水溶液が、前記施肥筒の下部の孔から排出される構造であり、前記下部の孔の大きさは、前記水溶液が前記施肥筒下部の孔から出る時の表面張力と、前記施肥筒内部の水溶液の水圧が一致する高さで、前記施肥筒の下部の孔からの前記水溶液の排出が止まる大きさであり、潮位の変化により前記水溶液が周囲に拡散し、ノリ網へ施肥を行うことを特徴とするノリ養殖用施肥筒である。
(2)前記施肥剤の使用量が確認しやすいように、前記施肥筒の蓋に透明な材料を用いることを特徴とする請求項1に記載のノリ養殖用施肥筒である。
(3)前記施肥剤に微量の金属鉄を溶解させるため、前記施肥筒胴部に金属管ブリキ材を用いることを特徴とする(1)または(2)に記載のノリ養殖用施肥筒である。
(4)(1)に記載のノリ養殖用施肥筒に前記施肥剤を充填し、ノリ網を設置した支柱にノリ網と同じ高さに設置し、干出時には施肥剤が溶出せず、浸漬時に前記水溶液を排出することを特徴とするノリ養殖施肥方法である。
(5)前記施肥剤に、鉄鋼業にて発生する硫酸アンモニウム、製鋼スラグ、リン酸を含む製鋼スラグ、酸化鉄、鉄屑の1種または2種以上を含む連産品を使用することを特徴とする(4)に記載のノリ養殖施肥方法である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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