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公開番号2024179845
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-26
出願番号2023099064
出願日2023-06-16
発明の名称真空浸炭処理方法および真空浸炭炉
出願人DOWAサーモテック株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C23C 8/22 20060101AFI20241219BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】浸炭処理後に炭化水素ガスと酸化性ガスを用いて、ワークに炭素を拡散させる処理を行う真空浸炭処理方法において、同一ロット内で処理される複数個のワークの表面炭素濃度のバラつきを低減する。
【解決手段】加熱室内で行うワークの浸炭工程と、ワークの内部に炭素を拡散させる拡散工程と、を有する真空浸炭処理方法において、拡散工程で、加熱室内に炭化水素ガスと酸化性ガスを供給して加熱室内の圧力が0.1~100kPaで処理を行う第1工程を行い、第1工程の後に行われる第2工程において、当該第2工程の終了時における加熱室内の圧力が第1工程の終了時における加熱室内の圧力よりも低下する条件下で処理を行う。
【選択図】図3

特許請求の範囲【請求項1】
真空浸炭処理方法であって、
加熱室内で行うワークの浸炭工程と、
前記ワークの内部に炭素を拡散させる拡散工程と、を有し、
前記拡散工程は、
前記加熱室内に炭化水素ガスと酸化性ガスを供給して前記加熱室内の圧力が0.1~100kPaで処理を行う第1工程と、
前記第1工程の後に行われる第2工程と、を含み、
前記第2工程において、当該第2工程の終了時における前記加熱室内の圧力が前記第1工程の終了時における前記加熱室内の圧力よりも低下する条件下で処理を行うことを特徴とする、真空浸炭処理方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記第2工程において、前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスの供給、および、前記加熱室内の排気がいずれも停止した状態を保持することを特徴とする、請求項1に記載の真空浸炭処理方法。
【請求項3】
前記第1工程において、前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスは、下記の式(1)で算出される累積供給量比が1~20となるように供給されることを特徴とする、請求項1または2に記載の真空浸炭処理方法。
累積供給量比=加熱室内に供給された酸化性ガスの累積供給量/加熱室内に供給された炭化水素ガスの累積供給量・・・(1)
【請求項4】
前記炭化水素ガスは、プロパンガス又はブタンガスであることを特徴とする、請求項1または2に記載の真空浸炭処理方法。
【請求項5】
前記酸化性ガスは、二酸化炭素ガスであることを特徴とする、請求項1または2に記載の真空浸炭処理方法。
【請求項6】
真空浸炭炉であって、
浸炭処理されたワークの内部に炭素を拡散させる処理が行われる加熱室と、
前記加熱室内に炭化水素ガスと酸化性ガスを供給するガス供給機構と、
前記加熱室内の排気を行う排気機構と、
前記ガス供給機構と前記排気機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記ワークの内部に炭素を拡散させる処理を行う拡散工程において、
前記加熱室内に炭化水素ガスと酸化性ガスを供給して前記加熱室内の圧力が0.1~100kPaで処理を行う第1工程と、
前記第1工程の後に行われる第2工程と、を行い、
前記第2工程において、当該第2工程の終了時における前記加熱室内の圧力が前記第1工程の終了時における前記加熱室内の圧力よりも低下する条件下で処理を行う制御を実行するように構成されていることを特徴とする、真空浸炭炉。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2工程において、前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスの供給、および、前記加熱室内の排気がいずれも停止した状態を保持する制御を実行することを特徴とする、請求項6に記載の真空浸炭炉。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記第1工程において、下記の式(1)で算出される累積供給量比が1~20となるように前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスを供給する制御を実行することを特徴とする、請求項6または7に記載の真空浸炭炉。
累積供給量比=加熱室内に供給された酸化性ガスの累積供給量/加熱室内に供給された炭化水素ガスの累積供給量・・・(1)
【請求項9】
前記炭化水素ガスは、プロパンガス又はブタンガスであることを特徴とする、請求項6または7に記載の真空浸炭炉。
【請求項10】
前記酸化性ガスは、二酸化炭素ガスであることを特徴とする、請求項6または7に記載の真空浸炭炉。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、真空浸炭処理方法および真空浸炭炉に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、鋼材料からなる自動車部品や機械部品等の耐久性を向上させる熱処理として、ワーク表面(部品表面)に炭素を固溶させてワーク表面を硬化させる浸炭処理が行われている。また、浸炭処理が行われる浸炭炉から排出される二酸化炭素量を削減できる浸炭処理として、真空雰囲気下で浸炭処理を行う真空浸炭処理が知られている。
【0003】
ところで、上記の真空浸炭処理では、カーボンポテンシャル(Cp値)の制御を行うことができないために、真空浸炭処理後のワークの角部(エッジ部)には、平面部よりも過剰にセメンタイトが残留することが知られている。
【0004】
ワーク角部のセメンタイトを低減または除去する方法として、特許文献1には、真空浸炭処理後に脱炭を含む拡散処理を行う方法が開示されている。例えば特許文献1の実施例2A(表3)では、アセチレンガスを用いて真空浸炭をした後、真空雰囲気下において、浸炭性ガスであるプロパンガスと脱炭性ガスである二酸化炭素ガスの混合ガスを用いて拡散処理を実施している。このように脱炭性ガスを用いて拡散処理を行うことで、ワークの角部におけるセメンタイトが低減または除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004-115893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上述のようなプロパンガスと二酸化炭素ガスを供給してワークの内部に炭素を拡散させる処理方法を用いて、複数個のワークを同時に真空浸炭処理する試験を実施した。その試験結果から、炉内(加熱室内)における各ワークの配置位置によって、各ワークの表面炭素濃度に差が生じ易く、同一ロット内で複数個のワークを真空浸炭処理する際には、表面炭素濃度のバラつきが大きくなるという知見を得た。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、浸炭処理後に炭化水素ガスと酸化性ガスを用いてワークの内部に炭素を拡散させる処理を行う真空浸炭処理方法において、同一ロット内で処理される複数個のワークの表面炭素濃度のバラつきを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の態様を以下に例示する。
[1]真空浸炭処理方法であって、
加熱室内で行うワークの浸炭工程と、
前記ワークの内部に炭素を拡散させる拡散工程と、を有し、
前記拡散工程は、
前記加熱室内に炭化水素ガスと酸化性ガスを供給して前記加熱室内の圧力が0.1~100kPaで処理を行う第1工程と、
前記第1工程の後に行われる第2工程と、を含み、
前記第2工程において、当該第2工程の終了時における前記加熱室内の圧力が前記第1工程の終了時における前記加熱室内の圧力よりも低下する条件下で処理を行うことを特徴とする、真空浸炭処理方法。
[2]前記第2工程において、前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスの供給、および、前記加熱室内の排気がいずれも停止した状態を保持することを特徴とする、[1]に記載の真空浸炭処理方法。
[3]前記第1工程において、前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスは、下記の式(1)で算出される累積供給量比が1~20となるように供給されることを特徴とする、[1]または[2]に記載の真空浸炭処理方法。
累積供給量比=加熱室内に供給された酸化性ガスの累積供給量/加熱室内に供給された炭化水素ガスの累積供給量・・・(1)
[4]前記炭化水素ガスは、プロパンガス又はブタンガスであることを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載の真空浸炭処理方法。
[5]前記酸化性ガスは、二酸化炭素ガスであることを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載の真空浸炭処理方法。
[6]真空浸炭炉であって、
浸炭処理されたワークの内部に炭素を拡散させる処理が行われる加熱室と、
前記加熱室内に炭化水素ガスと酸化性ガスを供給するガス供給機構と、
前記加熱室内の排気を行う排気機構と、
前記ガス供給機構と前記排気機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記ワークの内部に炭素を拡散させる処理を行う拡散工程において、
前記加熱室内に炭化水素ガスと酸化性ガスを供給して前記加熱室内の圧力が0.1~100kPaで処理を行う第1工程と、
前記第1工程の後に行われる第2工程と、を行い、
前記第2工程において、当該第2工程の終了時における前記加熱室内の圧力が前記第1工程の終了時における前記加熱室内の圧力よりも低下する条件下で処理を行う制御を実行するように構成されていることを特徴とする、真空浸炭炉。
[7]前記制御装置は、前記第2工程において、前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスの供給、および、前記加熱室内の排気がいずれも停止した状態を保持する制御を実行することを特徴とする、[6]に記載の真空浸炭炉。
[8]前記制御装置は、
前記第1工程において、下記の式(1)で算出される累積供給量比が1~20となるように前記炭化水素ガスと前記酸化性ガスを供給する制御を実行することを特徴とする、[6]または[7]に記載の真空浸炭炉。
累積供給量比=加熱室内に供給された酸化性ガスの累積供給量/加熱室内に供給された炭化水素ガスの累積供給量・・・(1)
[9]前記炭化水素ガスは、プロパンガス又はブタンガスであることを特徴とする、[6]~[8]のいずれかに記載の真空浸炭炉。
[10]前記酸化性ガスは、二酸化炭素ガスであることを特徴とする、[6]~[9]のいずれかに記載の真空浸炭炉。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浸炭処理後に炭化水素ガスと酸化性ガスを用いてワークの内部に炭素を拡散させる処理を行う真空浸炭処理方法において、同一ロット内で処理される複数個のワークの表面炭素濃度のバラつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の一実施形態に係る真空浸炭炉の概略構成を示す説明図である。
加熱室を説明するための斜視図である。
加熱室へのワークの装入工程から冷却室におけるワークの焼入工程までの加熱室内の圧力履歴および温度履歴を示す図である。
加熱室へのワークの装入工程を説明するための図である。
加熱室へのワークの装入と、加熱室から冷却室へのワークの搬送について説明するための図である。
浸炭処理試験で使用された治具に対する各ワークの配置を説明するための図である。
実施例1の浸炭処理試験における加熱室内の圧力履歴および温度履歴を示す図である。
比較例1の浸炭処理試験における加熱室内の圧力履歴および温度履歴を示す図である。
比較例2の浸炭処理試験における加熱室内の圧力履歴および温度履歴を示す図である。
ワークの表面炭素濃度の測定位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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